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プジョー「3008」発表会、次世代フラグシップモデルとしての存在感を強調した新型CセグメントSUV
2025年7月3日 10:42
- 2025年7月2日 開催
プジョー(Stellantisジャパン)は7月2日、フルモデルチェンジした新型CセグメントSUV「3008」の発表会を都内で開催した。
3008は「セダンのドライビングフィールとインテリア」「MPV(マルチ・パーパス・ビークル)の広い室内空間と高いアイポイント」「SUVの力強いスタイリング」を兼ね備えるCセグメントのクロスオーバーモデルとして2010年6月に初代モデルが日本デビュー。2017年3月に発売された2代目からはPHEV(プラグインハイブリッド)をラインアップに加えてさらに魅力を高めている。
3代目となる新型3008では、ステランティスがC~Dセグメント向けに新たに開発した新世代の電動車用プラットフォーム「STLA-Medium(ステラ ミディアム)」を採用。これを受けてパワートレーンも刷新され、直列3気筒DOHC 1.2リッターガソリンターボエンジンとモーター内蔵6速デュアルクラッチ式トランスミッションを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムと、年内の発売を予定しているBEV(バッテリ電気自動車)の2種類をラインアップ。同日発売の「3008 Hybrid」は3グレード展開となり、「3008 Allure Hybrid」が489万円、「3008 GT Hybrid」が540万円、「3008 GT アルカンタラパッケージ Hybrid」が558万円となっている。
直列3気筒の1.2リッターターボエンジンではミラーサイクルを採用
発表会では新型3008のパワートレーン開発に携わったPeugeot 電動パワートレインシステム デザインエキスパート リドゥアン・ハバーニ氏が登壇。新しい3008で採用した電動パワートレーンについて解説を行なった。
ハバーニ氏は車両の電動化について、ストップ&スタートシステムを搭載する「マイクロハイブリッド」から電気だけで走るBEVまで電動化レベルを6段階に分け、日本発売した3008では中間に位置する48Vマイルドハイブリッドシステムを採用。走行中に排出するCO2を20%削減する効果を発揮することを紹介した。
ハイブリッドシステムの方式を3つに大別して、エンジンとタイヤのあいだに機械的な接続を持たない「シリーズハイブリッド」、エンジンとタイヤのあいだに機械的な接続を持つ「パラレルハイブリッド」、シリーズハイブリッドとパラレルハイブリッドを組み合わせた「スプリット」になると説明。パラレルハイブリッドには機械的な接続の仕方によって「P0」「P1」「P2」「P3」「P4」といったコンフィギュレーションに分けられ、P3とP4はトランスミッションより下流にモーターを配してタイヤを駆動させる。スプリットは高速走行時の燃費向上にも効果を発揮する方式で、トヨタ自動車や本田技研工業のモデルで採用しているとした。
3008で採用する48Vマイルドハイブリッドシステムの構造については詳細に解説を行ない、直列3気筒の1.2リッターターボエンジンでは希薄燃焼を行なうミラーサイクルを採用して、最高出力は100kW(136PS)/5500rpm、最大トルクは230Nm/1750rpmを発生。エンジンとトランスミッションのあいだにはエンジンの作動をフリーにする「K0クラッチ」を備え、これによって電動化システムと完全に切り離すことを可能としている。
6速DCTには油冷式となる「K1」「K2」のデュアルクラッチを組み込み、こちらはローンチクラッチとして利用。モーターによる走行時には適切なギヤを利用して快適な走りを実現する。48Vバッテリで作動させる「トラクションモーター&ジェネレーター」は16kWの出力を持つことに加え、より重要な役割としての20~25kwの回生発電を行なって制動時に電力を回収する。このほかにも48Vバッテリは「ベルトスターター」を動かし、エンジンを起動させてバッテリ走行からハイブリッド走行にスムーズに移行させる。
具体的な走行事例としては、WLTCモードのサイクルで走行した場合にパワートレーンがどのように働くかをグラフで説明。黄色で示したガソリン走行の時間は全体の約半分になると語った。また、6速DCTを採用する48Vマイルドハイブリッドシステムは走りのパフォーマンスにもよい影響を与えると説明し、トルコンATを採用していた先代3008との加速性能の比較を紹介。エンジン排気量は先代モデルよりも小さくなっているが、発進加速や中間加速が向上しており、購入者にメリットを感じてもらえる点だと解説した。
新しいプジョーのブランドコンセプトは「シリアス アバウト プレジャー」
また、Stellantisジャパン 代表取締役社長 成田仁氏のあいさつでは、自身が初めて購入した新車がプジョーの「306 XSi」のMT車で、「私にクルマの運転の仕方を教えてくれた1台と言っても過言ではない、スポーティで非常に楽しいクルマでした」とコメント。その後もワゴン車の「306 ブレーク」にも乗り、キャンプ道具やスキー用具、カヌーなどを載せ、家族や友人たちとあちこちを旅したことが思い出として残っており、プジョー車には特別な思い入れがあると語った。
そんなプジョーでは、新しいブランドコンセプト「シリアス アバウト プレジャー」を春から展開しており、これはクルマを運転すること、所有することの喜びに真摯に向き合うという世界観を醸成していくことだと説明した。
新たに販売を開始する新型3008は日本の国内市場で競合ひしめくCセグメントのSUVとなっているが、新時代のSUVとしてまったく新しいコンセプトで生まれ変わっており、自信を持って世に送り出すこの新型車を、多くの人に販売店に足を運んでもらい、これまで見たことがなかった、感じたことがなかった新しいプジョー車に出会ってもらいたいとアピールしている。
3008は日本のプジョー車販売で約20%を占める主力商品
新型3008の商品解説はStellantisジャパン フレンチブランドヘッド 小川隼平氏が担当。小川氏は最初に「このニュープジョー 3008は、日本におけるプジョーブランドとして待望のフルモデルチェンジになります」と力説。エレガントさとドライビングプレジャーの革新を続けていくプジョーブランドのフラグシップモデルでありながら、日本でのプジョー車の販売台数で約20%を占めるビジネス上の主力商品になっているという。
フルモデルチェンジした新しい3008の注目点としては、「新開発STLA-Mediumプラットフォーム初の日本導入モデル」「2つの電動化されたパワートレーンを搭載する優れた環境性能」「エレガンスと機能性を極めた次世代のエクステリアとインテリア」という3点を挙げた。
最初に挙げたSTLA-Mediumプラットフォームは、BEV向けの設計ながらマルチエネルギーにも対応可能となっており、キャビンスペースを最大化するフラットフロア設計を採用。ブランドごとの個性をしっかりとモデルに与えることが可能な高いモジュール性を特徴としている。このプラットフォームを採用した新型3008は、CセグメントSUVとしてダイナミックなボディサイズを手に入れると同時に、プジョーモデルらしい機敏さを発揮するクルマとなっており、次世代プラットフォームが持つ高い実力を感じてもらえると信じているとアピールした。
電動化されたパワートレーンでは、HEV(ハイブリッドカー)の3008 HybridとBEVのE-3008の2種類をラインアップ。3008 Hybridではハバーニ氏のプレゼンテーションでも紹介されているように、直列3気筒DOHC 1.2リッターガソリンターボエンジンと6速DCTを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載して、モーターアシストによって滑らかな発進加速を実現し、市街地走行では最大50%の時間でエンジン停止状態を維持する。さらに低速時には、走行状況に応じて約30km/hまでモーターのみでの走行が可能となった。
燃費はWLTCモード燃費で19.4km/Lとなり、輸入車のCセグメントSUVで唯一、「自動車税環境性能割」で税率1%の対象になっている。環境性能に加えてモーターアシストによる瞬間的なトルクの立ち上がりは、プジョー車らしい機敏さの発揮という面でも役立っているという。なお、E-3008については年内を予定する発売時に詳細を明らかにするとのことだ。
エクステリアデザインについては、先代モデルからルーフエンドを前方に移動させたファストバックスタイルを採り入れ、次世代フラグシップモデルとしての存在感を強調。空力性能に優れるクーペフォルムとSUVらしい力強さを融合させた特徴的な外観となっている。フロントマスクには中央に大きなブランドエンブレムを設置する「大型フレームレスグリル」を採用して、プジョーモデルの新しいアイデンティティとなっている「ライオンの爪痕」をモチーフにした3本の「LEDデイタイムランニングライト」と同じく3灯式の「薄型マトリックスLEDヘッドライト」を備え、リアでも立体造形で鋭さを表現する「3D LEDリアコンビネーションランプ」を使ってモダンかつスタイリッシュにブランドの世界観を演出している。
インテリアではダッシュボードから両サイドのドアトリムまで連続する水平基調の造形を与え、キャビン全体をワイドに見せる視覚的効果によって開放感のある空間を演出。左右非対称形状のセンターコンソールとインパネは助手席側で斜めにつながり、収納力と機能性を維持しながら大胆なラインでモダンな雰囲気を際立たせる。さらにテキスタイル調のトリムやフランス車ならではという色彩、質感へのこだわりが随所に反映され、8色から選択可能な間接照明とドットパターンの加飾を組み合わせることで、時間帯やシーンに応じて多彩に表情を変えるモダンな車内空間となっている。
先進装備では新開発の「PEUGEOT Panoramic i-Cockpit(プジョー パノラミック アイコックピット)」を採用。プジョー独自のi-Cockpitと「21インチパノラミックカーブドディスプレイ」を融合させ、フローティング感のある未来的なデザインを実現。ディスプレイをドライバーに向けてゆるやかにカーブさせたことで、必要な情報をセンターに集約しつつ、視認性と操作性を向上させている。インパネにはカスタマイズ可能な「i-Toggles(アイトグル)」を設置。計10個のショートカットキーを設定することが可能で、運転中にエアコンやナビゲーションなどを直感的に操作できる。
グレード展開は3種類を用意して、最も高価な558万円の3008 GT アルカンタラパッケージ Hybridが販売の主力になると想定。より多くの人に新型3008と過ごす豊かなカーライフを提案していきたいとの考えから、新開発のハイブリッドパワートレーンを搭載して大幅にバリューアップを図ったモデルでありながら、先代モデル同等の価格設定を用意していると小川氏は語った。
「プジョー車は手段ではなく運転そのものが目的になる」
このほか、小川氏のプレゼンテーション終了前には、当日の司会を務めていたフリーアナウンサーの安東弘樹氏をステージ上に呼び、当初予定にはなかった即興のトークセッションを2人で実施。
安東氏はプジョーのBEV「e-208」のオーナーであり、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員を務めているだけに、展示されている新型3008にも興味津々。もともと欲しいと感じて本国Webサイトを閲覧して情報を集めていたと説明。
安東氏はクルマの外観について「塊感」を重視すると語り、新型3008はリアがファストバックスタイルになっているシャープさと塊感が融合したデザインを絶賛。一方、フロントマスクのLEDデイタイムランニングライトについては、自身のe-208が両サイドに1本ずつのところ、新型3008では各3本となっている部分に敗北感を感じつつ、悔しいながらもかっこいいと感想を口にした。
小川氏も先だってパリを訪れたときに街角を走る新型3008を見て、強い存在感に圧倒されてしまったというエピソードを語った。
実は安東氏はこの発表会直前に千葉県の幕張周辺で1時間ほど試乗しており、高速道路も使って一部に制限速度が120km/hとなっている区間もある東関東自動車道も走らせてみたが、区間に入ってからあっという間に120km/hまで加速。さらにパドルシフトを使った変速も瞬時に行なわれ、メーター表示の燃費はカタログ値を上まわる23.8km/Lになるなど、マイルドハイブリッドながら高速燃費も上々だったとアピールした。
最後に小川氏から「プジョー車のオーナーである喜びとは何ですか?」と問われた安東氏は、「こういった質問にはいつも、どこかに移動するこのプジョー車は、手段ではなく運転そのものが目的になるんですと回答している」とコメント。シートは良好でドライバビリティが高く、「永遠に目的地に着きたくない」と感じる瞬間にプジョー車のオーナーだなと実感すると語り、そんなに愛着を持って乗っているメーカーのクルマなのに、2024年の輸入車販売台数でプジョーは7%ほどしかシェアがないと説明。もっと多くの人にプジョー車の魅力を知ってもらいたいと考えて活動していると述べた。
小川氏はプレゼンテーションの締め括りで、「これまで説明してきたとおり、エレガンスとクルマの楽しさを追求したニュープジョー 3008は、人生を気負わず自然体で楽しむ相棒にふさわしい、フランス車らしいモデルに進化したと自負しております。今後はニュープジョー 3008が彩るライフスタイルの発信を通じて、日本におけるプジョーの発展に尽力する所存です」とコメントしている。











































