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ブリヂストン、新スタッドレスタイヤ「ブリザック WZ-1」発表会 ブリザック史上“断トツ”のアイスコントロール性を実現

2025年7月15日 開催
1万3970円~14万8500円/本
「BLIZZAK WZ-1」の発表会を都内で開催

 ブリヂストンは7月15日、乗用車用プレミアムスタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1(ブリザック ダブルゼットワン)」の発表会をベルサール新宿南口(東京都渋谷区千駄ヶ谷)で開催した。先代の製品となった「ブリザックVRX3」が2021年の発表となるから、4年ぶりの製品更新となる。発売日は2025年9月1日、サイズ数は119と軽自動車からミニバン、輸入車、EV(電気自動車)まで幅広く対応するサイズを用意する。

 今回のBLIZZAK WZ-1は商品設計基盤技術「ENLITEN」(エンライトン)を乗用車用スタッドレスタイヤとして初搭載し、ブリザック史上で“断トツ”のアイスコントロール性を実現するとともに、サステナビリティへも貢献する製品へと進化。

 まずトレッドパターンでは、ブロックまわりへの水の回り込みを抑制するL字ブロック、ブロック面への水の侵入を抑えるL字タンクサイプを採用するとともに、独自技術「発泡ゴム」に、業界初の新技術「親水性向上ポリマー」を配合した「Wコンタクト発泡ゴム」を搭載。ゴムの気泡による水の除去に加え、親水性向上ポリマーとわずかに残った水の分子間力により、すべる原因となっていた水をもグリップ力へと変換することに成功したという。

 これにより、従来品である「BLIZZAK VRX3」と比べ、氷上でのブレーキ制動距離を11%短縮し、氷上旋回時のラップタイムは4%短縮、さらに氷上での車両挙動の安定性も向上しているとのこと。

 また、ゴムの柔らかさを持続させる「ロングステイブルポリマー」を使いこなすことで、4年使用後でも従来品の新品時を超えるゴムの性能を維持し、タイヤを長く安全に使用できることでサステナビリティに貢献するとしている。

新トレッドパターンを採用するとともに、発泡ゴムには業界初の新技術「親水性向上ポリマー」を配合した「Wコンタクト発泡ゴム」を採用。従来品の「BLIZZAK VRX3」対比で氷上でのブレーキ制動距離を11%短縮、氷上旋回時のラップタイムを4%短縮、さらに氷上での車両挙動の安定性も向上しているという

ドライ路面での静粛性、乗り心地はBS夏タイヤ同等以上のレベルに達した

株式会社ブリヂストン 常務役員 BSJP タイヤ販売事業管掌 兼 ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社 代表取締役社長の久米伸吾氏

 発表会ではまず、ブリヂストン 常務役員 BSJP タイヤ販売事業管掌 兼 ブリヂストンタイヤソリューションジャパン 代表取締役社長の久米伸吾氏が登壇し、「タイヤは命を乗せている」という言葉がブリヂストンのすべての根源であり、果たすべき責任だとの考えを示すとともに、「ブリザックは1988年の誕生以来、徹底して冬道の安心・安全を追求してまいりました。その結果、厳しい路面環境にある北海道、北東北の主要都市で多くの方々にご支持をいただき、2台に1台がブリザックを装着。24年間装着率No.1という結果に繋げさせていただいております」と報告。

 そして新商品であるBLIZZAK WZ-1について、そのネーミングは「氷雪上性能」と「サステナビリティ」という2つの最高性能の掛け合わせ(Double Zenith)に由来するとし、「この生まれ変わった新たなBLIZZAK WZ-1の発売により、冬道の安心・安全を支えることをより強固なものにしてまいりたいと考えております」と力強く宣言した。

BLIZZAK WZ-1のネーミングについて
ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社 商品企画本部長の徳屋光伸氏

 次に登壇したブリヂストンタイヤソリューションジャパン 商品企画本部長の徳屋光伸氏は、BLIZZAK WZ-1の企画開発にあたって日本における路面の特徴、ユーザーの行動や価値観の変化をとらえることを重視して取り組んできたといい、スタッドレスタイヤを購入するユーザーがもっとも期待する性能は氷雪上性能であり、操縦安定性であると報告するとともに、「スタッドレスタイヤの使用年数が長期化しており、降雪地帯では半分以上、非降雪地帯では6割近いユーザーがスタッドレスタイヤを4シーズン以上使用しております。特に降雪地帯では、その割合が10年前から7%も増加する一方で、長期間使用することによる性能低下に不安を感じている声もあり、われわれは安心してスタッドレスタイヤを長く使いたいというニーズに応えることが何よりも重要と考えております」。

「また、非降雪地域ではウェット/ドライ路面の走行割合が近年高まっております。この地域でも週末でのレジャーや雪山に行くためにスタッドレスタイヤを購入されるユーザーが数多くいらっしゃいます。普段走り慣れない氷雪路での不安を解消するために、氷雪性能を最重視することはもちろんのこと、その他の性能、具体的にはドライ路面での操安性や静粛性、乗り心地といった快適性も重視される方が増えております。日常運転での安心安全に加え、快適性についても配慮が必要と考えております」と述べる。

 そうした中、新商品であるBLIZZAK WZ-1では「ICEコントロール性能」「サステナビリティ」「あらゆる路面での高いパフォーマンス」の3点が提供価値であるとし、「氷雪性能としてはしっかり止まるだけではなく、しっかりと曲がり、そして粘るという断トツのアイスコントロール性能を実現しました。ブレーキ性能の大幅な向上だけでなく、コーナリング性能の高さと、粘りのある走りを実現いたします。これにより車両が横滑りしたときのグリップの復活の速さによって、アイスバーンなどの氷雪路面でも安定感のある走りを提供します」。

「また、接地形状と構造をイチから見直すことにより、雪上、ドライ、ウェット路面でのパフォーマンスを向上いたしました。雪道やウェット路面での安全性はもちろん、特にドライ路面での静粛性、乗り心地は弊社夏タイヤ同等以上のレベルに達しております。これにより、あらゆる路面で安心・安全、そして快適な走行体験を提供いたします」とアピールした。

35年以上の歴史を持つブリザック
日本では気温3度でも路面が凍る
日本における冬道の特徴
スタッドレスタイヤに求める性能は「アイスバーンでしっかりと止まる」が90.0%でトップ。横滑りに対する不安の声も聞かれたという
降雪地帯では半分以上、非降雪地帯では6割近いユーザーがスタッドレスタイヤを4シーズン以上使用する
氷雪上の効きを重視しつつ、氷雪上以外の性能も譲れないユーザーが多い
新しいブリザックの提供価値
進化した3つの特徴
氷上でのブレーキ制動距離は11%短縮し、氷上旋回時のラップタイムは4%短縮
発売時期、対象車種、サイズ数

佐藤琢磨選手「ひとことで言うと安心できるタイヤ」

株式会社ブリヂストン 常務役員 製品・生産技術開発管掌の草野亜希夫氏

 次に登壇したブリヂストン 常務役員 製品・生産技術開発管掌の草野亜希夫氏からはBLIZZAK WZ-1に搭載された具体的な技術説明が行なわれ、35年以上の歴史を持つBLIZZAKのコア技術は発泡ゴムにあるとし、「発泡ゴムの進化のポイントは除水です。発泡させたゴムの中に含まれる気泡により、氷上の水を効果的に除去します。これまで、気泡の堆積が親水性を向上させることでゴムが取り込む水の量を増やし、除水効果をさらに高めてきました。そして毛細管効果を利用して水を吸い上げ、除水・吸水力を進化させてきました。このように、発泡ゴムでは常に除水・吸水効果を改良し続け、お客さまに安心・安全な走行を提供してまいりました。このような発泡ゴムの進化に合わせて、発泡ゴム専用のパターンも35年を超えて進化し続けています。独自のブロックやサイプ形状による地面を引っかく力や溝の配置、形状により、アイス路面とタイヤの水の流れをコントロールする除水技術がブリザックの進化を可能としてまいりました。そして、35年を超え進化し続けたブリザックが商品設計基盤技術のENLITENにより次のステージへ。そしてBLIZZAK WZ-1が誕生いたします」とコメント。

 ブリザック史上断トツの氷上性能については、氷上ブレーキ性能がさらに向上するだけでなく、氷上でもグリップが粘ることによりクルマが曲がる際のコントロール性能を大幅に向上させ、そしてその氷上性能は4年使っても維持されることに加え、雪上、ドライ、ウェットなどあらゆる路面で性能が向上したと胸を張る。

ブリザックの発泡ゴムの歴史
トレッドパターンも進化してきた
エンライトン採用で次のステージへ
BLIZZAK WZ-1の性能チャート

 草野氏のプレゼンではとくに氷上性能にフォーカスし、発泡ゴムとトレッドパターンの進化について解説が行なわれ、トレッドパターンについては「これまでパターンの変形により氷雪路でタイヤがひっかく、捉える性能を向上させてまいりました。これにより、アイス路面とタイヤの接地面の水を除く除水効果を強化し続けてまいりました。そして今回開発した新たなL字タンクサイプにより、タイヤ表面の水を素早く流す、水を導く技術が進化し、除水効果はさらに向上しました。そして、新たな着眼点としてタイヤ表面の水をパターンで吸い上げる貯水機能を導入しております。これらによりパターンによる除水効果をさらに向上、接地面積を最大化させ、グリップ力を高めることに成功しております」と解説した。

 また、発泡ゴムについては「35年以上のブリザックの歴史を塗り替える、新時代の革新的な技術を導入いたしました。この技術により、発泡ゴムの進化を全く新しいステージへ引き上げています。これまでタイヤ表面の水がすべりの原因となってきましたが、ブリザック35年を歴史の中で、この水を減らし、なくすために技術開発を進めてまいりました。そのため、従来の発泡ゴムでは気泡の大きさや体積、親水性の向上、発泡による水の吸い上げといった、除水・吸水効果の進化を追求してきました。今回開発導入した新しい親水性向上ポリマーは、ポリマー内に水と相互作用を可能とする反応器を持っています。この反応器は、空気と触れているときには相互作用を持ちませんが、水に触れた瞬間、即座に水の分子と反応し、粘り・グリップ力を生みます。この従来の発想を大きく変えた新しい親水性向上ポリマーは、滑りの原因となった水に触れるとゴムが覚醒し、グリップ力に変換します」。

「さらに前商品で開発したロングステイブルポリマーをさらに進化させ、より性能の長持ちを可能としています。通常、発泡ゴムも時間が経つと柔らかさを維持するオイルなどが抜け、硬くなってしまいます。前商品においては、当社独自のナノレベルの分析技術により、柔らかさを維持するロングステイブルポリマーを開発してまいりました。今回、新商品においては、このロングステイブルポリマーをさらに進化させることで、時間が経っても発泡ゴムが柔らかさを保つことができます。これにより、氷上性能をより長持ちさせることが可能となっております。新品時の氷上ブレーキ性能の向上に加え、このように性能が長持ちすることで、約4年使用後でも前商品であるBLIZZAK VRX3の新品以上の氷上ブレーキ性能を発揮することができます。これらは材料は異なりますが、モータースポーツの中で培われてきた分子レベルの配合設計技術を応用することで実現しています」。

「そして構造・形状も進化しており、新構造・新形状により“薄く・軽く・円く”を実現し、より均一なタイヤ、ボディプライ張力とより均一な接地圧により、あらゆる路面で、あらゆる状況においてしなやかなタイヤ変形とグリップ力を発揮します」とアピールしている。

L字タンクサイプ
Wコンタクト発泡ゴム
ロングステイブルポリマー
WZ Motion ライン
アイスブレーキを11%短縮
氷上旋回のラップタイムを4%短縮
あらゆる路面で高いパフォーマンス性能を発揮する

 なお、発表会ではレーシングドライバーの佐藤琢磨選手が登壇し、新しいBLIZZAK WZ-1に試乗した感想を報告。佐藤選手は「ひとことで言うと安心できるタイヤ。コメントでも言ってましたけど、楽しいんです。タイヤに一番最初に求められる性能は安全、グリップ感なので、楽しさっていうのはもちろん2の次なんですけども、タイヤの性能を限界まで引き出したいと思って走ったときに、本当に意のままに操れる。タイヤからのフィードバックがすごく正確だったのでピーキーさがなく、過渡特性はリニア。本当に手に取るように分かる。それが雪上だけじゃなくアイスバーンだったりドライ路面、ウェット路面とありとあらゆるところで試しましたが全工程が本当に楽しかった」と笑顔で答えていた。

発表会で登壇したレーシングドライバーの佐藤琢磨選手
発表会第二部で登壇した元スキージャンプ選手の原田雅彦さん
発表会第二部で登壇したタレントの藤本美貴さん
集合写真