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NVIDIAジェンスン・フアンCEO、フィジカルAIの大規模市場はレベル4自動運転車 VLAによる自動運転プラットフォーム「アルパマヨ」
「いつの日か路上を走る10億台のクルマがすべて自律走行する未来を想像」
2026年1月24日 17:58
今後10年間で世界のクルマの大部分が自動運転車もしくはそれらの機能を搭載するものになっていく
NVIDIAは米国ネバダ州ラスベガスで開催されている世界最大のテクノロジイベント「CES2026」において、同社創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏による新製品発表や新しいソリューション発表のプレゼンテーションを行なった。
このプレゼンテーションでは、同社が強みを発揮しているAIデータセンター向けの新CPU・新GPUである「Vera」と「Rubin」や、それらの演算性能の高さを支える「NVLink 6 Switch」「ConnectX-9 SuperNIC」「BlueField-4 DPU」「Spectrum-6 Ethernet Switch」といった高速ネットワーク製品を正式発表。新しいデータモデルであるNVFP4を使用した状態で、NVFP4 Inference(推論)で50PFLOPS、NVFP4 Training(学習)で35PFLOPSに達するとし、現世代のBlackwellに対し、それぞれ5倍、3.5倍の性能向上になるという。
フアンCEOのプレゼンテーションでは、通常クルマ関係(同社なので自動運転関係)は後半になることが多いが、2026年のCESでは中程に時間を割いて語った。
フアンCEOは、昨年のCESでロボットや自動運転車などの自律タイプのモビリティに搭載されるフィジカルAI(Physical AI)の時代が来ると示していたが、その世界初の大規模市場が自律自動運転に分類される自動運転車になるという。そのためのレベル4自動運転車、ロボタクシー(無人の自動運転車)の開発に取り組むプラットフォームとして「Alpamayo(アルパマヨ)」を発表し、今後10年間で世界のクルマの大部分が自動運転車もしくはそれらの機能を搭載するものになっていくと予測する。
アルパマヨは、Open Reasoning VLA for Autonomous Vehiclesと同社が説明する開発プラットフォームで、オープン環境での開発、Reasoning(推論)を用いたVLA(Vision Language Action)モデルの採用など、新たなフィジカルAIとして公開された。
これは近年の生成AIであるLLM(Large Language Model)の進展を活かしたもので、カメラやLiDARからセンサーフュージョンされた映像を元に言語化して今後なにが起こるのかを推論、その推論を行動につなげていく。NVIDIAのブログでは、「ボールが転がってくるのが見えたら、子供が飛び出してくる」と推論し、行動(Motion Plan)としてクルマを停止するという一連の動きを公開しており、言語化して自動運転が行なわれているのが分かる。
At NeurIPS, NVIDIA Advances Open Model Development for Digital and Physical AI
私たちは、いつの日か路上を走る10億台のクルマがすべて自律走行する未来を想像している
NVIDIAはこのアルパマヨを核としてフルスタックのAV(Autonomous Vehicle、自動運転車)向けフィジカルAIプラットフォームを提供。生成AIを使用したNVIDIA COSMOSによるトレーニング、デジタルツインであるNVIDIA OMNIVERSEによるシミュレーション、そしてNVIDIA Thorによるインファレンスを用意している。
フアンCEOはこのアルパマヨによって作られたフィジカルAIを搭載したクルマとしてメルセデス・ベンツ CLAがあると紹介。このメルセデス・ベンツ CLAには2基のNVIDIA Orinが搭載されたAIシステムが採用されており、アルパマヨによるエンドツーエンドの自動運転を提供する。
ただし、実際の市販車となるため仕組みとしてはアルパマヨによるエンドツーエンドの自動運転スタックのほかに、従来タイプの自動運転スタックも搭載。安全方向の判断で行動を決定していく。さらに、その行動決定はHalos OSで安全を確認。クルマとしてもレベル2++だとしており、最終的には人間の判断による運転を行なっていく。
これは、機械責任の領域が含まれるレベル3やレベル4の自動運転車を発売するためにはODD(Operational Design Domain、運行設計領域)を作り上げる必要があり、すべての運行設計を網羅するというのはなかなか難しいため。
レベル2であれば、すでに普及しているクルマと同じ人間責任となるため実際の市販車として市場に投入しやすく、レベル2++としてエンドツーエンドの自動運転機能を導入できる。もちろん++や+などは国際的に規定されておらず、ある意味のマーケティングキーワードになる。とはいえ、レベル2とすることで従来より高機能なADAS(Advanced Driver-Assistance Systems、先進運転支援システム)を搭載したクルマを市場投入でき、社会には安全性の向上を、購入者には利便性という価値を提供できる。
メルセデス・ベンツ CLAでは、このアルパマヨによるエンドツーエンドの自動運転をOTA(Over The Air)によるアップデートで提供。フアンCEOはその時期をアメリカでは2026年Q1、EUでは2026年Q2であるとした(編集部注:メルセデス・ベンツ日本に確認したところ、日本での提供時期は未定)。
フアンCEOは、「私たちは、いつの日か路上を走る10億台のクルマがすべて自律走行する未来を想像している」と語り、10年以内に起こるという自動運転車社会への変曲点とともに、フィジカルAIがもたらすモビリティ社会の未来を示した。
なお、NVIDIAのロードマップによると、レベル2++の自動運転車は2027年には世界での普及が始まり、同時期にロボタクシーも普及開始。2028年~2030年に市販車でのレベル4自動運転が登場するとしている。







