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トヨタ豊田章男会長、F1も走るモナコで水素エンジン車「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」をデモラン

デモラン後に「モナコのコースを運転できたことは大変光栄です」とコメント

モナコでデモランを行なう前に囲み取材に応えるトヨタ自動車株式会社 代表取締役会長 豊田章男氏

 1月24日(現地時間)、WRC(世界ラリー選手権)開幕戦ラリー・モンテカルロが開催されているモナコにおいて、モリゾウ選手ことトヨタ自動車 代表取締役会長 豊田章男氏が水素エンジンを搭載するラリーカー「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」によるデモンストレーション走行を行なった。

 豊田章男会長は日本において水素エンジンを搭載する水素カローラによるスーパー耐久参戦を行ない、自らステアリングを握ってレースに参加することで水素燃焼エンジン車の可能性を日本国内に広く知らしめてきた。日本の多くの人が、水素エンジン車が走ることをあまり不思議と思わないほどのトレンドを作り上げたと言ってよいだろう。

雨の中、F1のスタート地点として有名なPLANET SUSHI前をデモランする水素ラリーカー「GRヤリス ラリー2 H2コンセプト」

 海外においても同様に水素エンジン車の未来を訴求しており、2022年8月には水素GRヤリスをWRC第9戦ラリー・ベルギーでユハ・カンクネン選手とドライブ。エンジン音を奏でながら走る水素車両をヨーロッパで初公開することで、大きな衝撃を与えた。

 さらに2023年6月には、100周年となるル・マン24時間レースウィークにおいて、サーキット仕様の水素カローラをサルト・サーキットでデモラン。100周年という特別なル・マンに世界中から集まったモータースポーツファンの前で、高速で走るサーキット仕様の水素車両をデモンストレーションした。

 そして2026年。WRC開幕戦であり第94回という伝統を誇るモンテカルロラリーでラリー2仕様の水素GRヤリス ラリー2 H2コンセプトをデモラン。市販ラリーレーシング車両であるGRヤリス ラリー2の水素バージョンの走りを、多くのラリーファンに見せることで水素レーシングカーの可能性を訴えた。

 2022年のラリー・ベルギーでのデモランが郊外に訪れるコアなラリーファン向けだったのに対し、今回は多くのセレブが住むモナコ。F1などモータースポーツ関係者の多くが居を構えており、そういった関係者の心に水素エンジンの音を届けようとしたのかもしれない。

 デモラン前に豊田章男会長に話を聞いたところ、このデモランは前回のラリー・ベルギーとは位置づけが違うという。「あの時(2022年のラリー・ベルギー)は世の中BEV(バッテリEV)一辺倒だったじゃないですか。そういう中にね、やっぱり『敵は炭素』。いろいろな選択肢は、それぞれの国のエネルギー事情とかあるんじゃないの?ということ。一番の思いは、エンジンがなくなること(への危機感)。自動車って3万点の部品でできていて、エンジンは1万点の部品を作っているところがいなくなるでしょ。それはダメじゃない?って思ってたんですよ。だからあの時の環境に比べれば、今はマルチパスウェイという言葉も少し定着し、いろいろな選択肢があるよねという意味ではちょっと変わってきたのかな。それとおもしろいのは、あの時はノーマルのヤリスに水素エンジンを載せましたけど、今回はラリー2ですからね。トヨタがラリー2を出したのが2024年。今回はそのパワートレーンが水素だから、確実にトヨタは進化してますよと。そのラリー2の水素を、ここモナコという初戦でお披露目できることは、意味があるんじゃないかなと思います」と、トヨタの水素技術の進化、そして市販レーシングカーへの適用を見てもらうことに意味があると語る。

 本番はあいにくの雨模様となったものの、モリゾウ選手はモナコのデモランコースで集まったファンに水素ヤリス ラリー2の走りを披露。デモラン時の放送解説が少なかったのは残念だったものの、F1も走るモナコの特別コースをモリゾウ選手の手によって水素GRヤリス ラリー2が駆け抜ける姿はインパクトのあるものだった。

 豊田章男会長は走行後に、「モナコという場所で、数あるトップドライバーの中で、私だけ単に運転の好きなおじさんですからね。それが混じってモナコのコースを運転できたことは大変光栄です。ラリー2に水素エンジンが載ったこと、これは多くの人の力によってここまで来たと思いますけど、水素で動いているということが多くの人に分かってもらえるといいなと思います。音とか聞いている限りは、(水素エンジンであることが)分からないと思うんですよ。ぜひそこを分かってもらい、モータースポーツの未来の世界を応援いただけるといいなと思います」とコメント。脱炭素のクルマでもモータースポーツができる可能性を示し、ここまで水素エンジン車を進化させてきた多くのスタッフに感謝の思いを述べた。