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豊田章男会長、ル・マン24時間100周年で水素GRカローラをフルコースデモラン 水素の排気音をル・マンの空に響かせる

ル・マンで水素カローラの走行を終え、スタッフと記念写真

 6月10日(現地時間)、ル・マン24時間レースの決勝前にサルト・サーキットではさまざまなイベントが行なわれている。その中でも高い注目となっていたのが、モリゾウ選手ことトヨタ自動車 豊田章男会長による、32号車水素GRカローラのデモラン。

 日本ではスーパー耐久のST-Qクラスに参戦し、トヨタのかかげるカーボンニュートラルへのマルチパスウェイを象徴するクルマだ。2年前の4月、豊田章男社長(当時)、佐藤恒治GRカンパニープレジデント(当時、現社長)によって突然水素燃焼エンジンによるレース参戦を発表した。

走行に挑むモリゾウ選手

 水素は燃焼後、基本的には水(水蒸気)しか出ないため究極のクリーンエンジンを作ることができる可能性を持つのだが、多くの自動車メーカーが出力が出ない、異常爆発が起きるといった基本的な問題に悩まされ、開発を断念していった技術。それを2年前に、走らせるだけではなく、24時間レーシングスピードで戦うとぶちあげたので、クルマに詳しい人ほど信じられない発表だった。もちろん記者もその一人で、テスト走行時にレーシングスピードで富士を水素カローラが走っているときには驚愕したものだ。あまりにも驚きの事態だったため、ピットに行って排気管からの排気ガスのにおいをかがせてもらったが、ガソリン特有の甘いにおい(芳香族系)ではなく、ふんわかした水蒸気であったのを今でも強烈に覚えている(正確には、NOx問題の解決はこれからだし、潤滑油の燃焼はあるようだ)。

 その衝撃を再び、ではないだろうがトヨタは水素を燃やしながらレーシングスピードで走る水素GRカローラをル・マンに持ち込み、サルト・サーキットでフルコースのデモランを行なったのだ。

 ドライバーは、ル・マンを主催するACO(Automobile Club de l'Ouest、フランス西部自動車クラブ)のプレスカンファレンス(つまり、ル・マンで最も大事なカンファレンス)で登壇した豊田章男会長。プレスカンファレンスでACOのピエール・フィヨン会長に「ドライバーは?」と聞かれた際に、「It's Me」と答えていたとおりに、レーシングスーツ姿のモリゾウ選手として登場した。

 この水素GRカローラは、現在日本で参戦が始まっている液体水素GRカローラ(液水カローラ)ではなく、70MPaの高圧水素を持ちいる水素GRカローラ。カラーリングなどを見る限り、2022年12月にタイの25時間レースに出たタイ仕様だろう。

コースインする水素カローラ
ル・マンのフルコースを走る

 水素GRカローラは無事フルコースのデモランを終え、モリゾウ選手は満足そうにスタッフと会話。ル・マンオフィシャルメディアのインタビューを受けていた。