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ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEO、「フルEVは計画撤回、V12は2035年まで作り続ける」
2026年3月19日 16:00
伊ランボルギーニが2025年の決算発表を行なった。それを受けて同社のステファン・ヴィンケルマンCEOがオンラインで日本、韓国、オーストラリアの報道陣の取材に答えた。
発表によると、2025年の新車の納車台数が1万747台という新記録を達成しただけでなく、売上高は30億ユーロという目標値を2年連続で上まわり、前年比3.3%増の32億ユーロにまで到達したという。営業利益は7億6800万ユーロで利益率24%、こちらは前年比微減という結果になっている。
ハイブリッドモデルはランボルギーニの熱狂的ファンにも認められた?
──2025年の成功の要因を教えてください。
ヴィンケルマンCEO:重要な要素としては、製品への投資、希少性の維持、残価の管理、パーソナライゼーション(Ad Personam)、顧客が求める最新技術に投資ができたことが要因として挙げられます。
また市場面では、日本は現在アメリカ、ドイツに次ぐ第3の市場となっていて、非常に重要な位置を占めています。アメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋地域にバランスよく市場が分散していることも強みの1つです。
ただし今後は中東情勢、中国の高級車市場の減速、地政学リスクなど、世界経済への影響要因が増えてきているので、これらは今後のビジネスに影響する可能性があります。とはいえコロナ後の物流停滞時の対応や、ロシア・ウクライナの戦争勃発時の対応などを考えてみると、わが社は今のところうまく対応してきているとは思います。
──一方で、営業利益が史上2番目になったのはどういった理由があるのでしょう。
ヴィンケルマンCEO:理由は明確で、1つ目はアメリカの関税の影響を初めて受けたこと。少なくとも6か月間、これが当社の業績にマイナスの影響を与えました。2つ目は為替レートで、特に大きな影響を与えた通貨は米ドルと日本円です。
そして3つ目は、当社が第4のモデルについて、完全電気自動車(EV)からプラグインハイブリッドへ方針を変更することを発表したことです。つまり将来に向けて異なるアプローチを採用することになりました。そのため、2030年にフルEVを投入しないという決定が、今回の数字にも影響しています。ただし、電動化の研究や開発は引き続き進めていきます。
──ハイブリッドモデルは、ランボルギーニの熱狂的ファンにも認められたと見てよいのでしょうか。
ヴィンケルマンCEO:われわれが「コル・タウリ」という電動化戦略を発表した際には、新しいデザイン、新しい技術、プラグインハイブリッド化、より高いパフォーマンス、CO2排出削減、ランボルギーニらしい感情的体験などを提供すると約束し、その全てを守ることができました。それこそが受け入れられた理由だと考えています。
そして2026年にはレヴエルト、ウルスSE、テメラリオというハイブリッドモデルが完全にそろう年になるので、戦略の成果がより明確になると思います。
一方で、2030年に予定していたフルEVを見送ったのは、市場調査を行なった結果、当社のセグメントにおける完全電動車の受容性はむしろ低下していることが分かったのです。ランボルギーニは単にクルマを作る会社ではなく、夢を作る会社なのです。そのため最新技術には投資しますが、最終的に顧客が求めるものでなければ意味がありません。現時点では、完全EVに対する顧客の受容はまだ十分ではないと判断しました。
──ハイブリッドモデルにも、これまで同様の強力なV12エンジンや、1万回転も回るV8エンジンを搭載していますが、これらに投資を続けていく価値を教えてください。
ヴィンケルマンCEO:これは、私たちが完全EVを見送った理由の1つです。快音を発生する強力なV8やV12エンジンを維持することで、エンジンサウンド、振動、ドライビングフィールといった感情的な体験を守ることができます。ランボルギーニの顧客にとって、この感情的要素は非常に重要です。
パフォーマンスというのは2つあって、1つは数字で測ることができる合理的なパフォーマンス、例えば0-100km/h加速が何秒とか、トップスピードが何km/hとか、ラップタイムが何秒で、制動距離がどれぐらいなどですね。もう1つはコーナーを抜ける入り方や出方、サウンド、バイブレーションなどのユニークな部分です。お客さまがランボルギーニに求めているのはその後者の要素が大きいので、それをできるだけ長く維持したいと思っています。
そしてV12はランボルギーニのDNAです。そのため2035年まではV12エンジンを維持できると考えています。それを実現するためにCO2削減、Euro7規制対応、排出粒子の削減など、エンジン技術の改良を進めています。サステナビリティはCO2だけではないのです。私たちはすべての環境要素に対応する技術を開発しているのです。
──ランボルギーニにとって重要なキーワードは何でしょう。
ヴィンケルマンCEO:ランボルギーニのブランドを表す3つの言葉はBrave(大胆)、Unexpected(予想外)、Authentic(本物)です。重要なキーワードと言えば、希少性(Scarcity)、独自性(Exclusivity)、デザイン、パフォーマンス、ブランドです。
つまり新しい技術と新しいデザインで完全に新しいモデルを製品化すること。これらへの投資が最も重要です。また同時に重要なのは生産を増やしすぎないこと。希少性を保つことがブランド価値につながります。
さらにランボルギーニは単なるクルマではなく、コミュニティでもあるので、顧客がクルマを購入した後の体験も大事です。具体的にはモータースポーツ、サーキットイベント、ブランドイベント、サンタアガタ本社訪問などの体験をしてもらうことです。そして最も重要なのは、顧客の期待を超えるクルマを作ることです。
ヴィンケルマンCEOは、「2026年には先に述べたハイブリッドモデル3台がそろう初年度となります。また第4のモデルとして2+2GTのPHEVモデルが企画されております。5月には自社アリーナ、7月のグッドウッドフェスティバル、8月のペブルビーチ、年末のアートバーゼル・マイアミなどで大規模イベントを行なう予定です。ここで新プロダクトコンセプトを発表し、2027年に市場投入する予定です。以上が2025年の総括と2026年に向けた計画の概要となります」と締めくくった。








