試乗記
ランボルギーニは雪道が大好き! 冬の北海道で「テメラリオ」に試乗した
ブリヂストン「ブリザック LM005」を装着して一般道路と高速道路の約200kmを走行
2026年3月2日 13:38
ランボルギーニの最新V8ハイブリッド・スーパースポーツモデル「テメラリオ」で冬の北海道を走る「テメラリオ・BULL RUN at 北海道」が開催された。新型PHEVスーパーカーはどんな走りを披露してくれるのか? 2月半ば、筆者は新千歳空港に降り立った。
テメラリオとは?
2024年にワールドデビューしたテメラリオは、「レヴエルト」に続くランボルギーニのHPEV(ランボルギーニがいうところの電動化されたハイパフォーマンススポーツカーの意)の2番目のモデルで、「ウルスSE」の発売に続いて、サンタアガタ・ボロネーゼ(ランボルギーニの本社)におけるハイブリッド化を完成させたモデルだ。
搭載するパワートレーンは、ランボルギーニが独自開発した800PSを発生する排気量4.0リッターのV型8気筒ツインターボエンジンと、前2、後1の3つのモーターを組み合わせたPHEVシステムで、システム総合で920PSを発生するもの。コクピット背後のこのエンジン、量産型としては初めて1万回転を達成した唯一のエンジンで、システムがもたらすパフォーマンスは0-100km/h加速2.7秒、最高速340km/h超という圧倒的なもの。ランボルギーニではこのクルマを「Fuoriclasse(フォリクラッセ)」と呼んでいて、その意味はFuori=〜の外へ、Classe=クラスやレベル、ということで、これまでとは技術的にもスタイル的にも次元が違う、傑出したものであるというものだ。
その性能の一端を確かめるべく筆者は2025年千葉県にある高級プライベートサーキット「THE MAGARIGAWA CLUB」で開催された試乗会に参加して、1万回転の世界を味わっている(テメラリオのスペックやサーキットでの走りはその試乗記を参考に)のだが、今回のものは真冬の北海道の一般道を使用してのものだ。フォリクラッセはどんな形で表現されるのだろうか。
雪道が大好きなランボルギーニ
さて、ランボルギーニというメーカーは実は冬の試乗会が大好きで、筆者は海外で行なわれた雪上試乗会に2度ほど参加したことがある。
1度目は2015年に米コロラド州デンバーの高級リゾート地アスペンで開催された「ウインター・アカデミア」で、雪が降り積もったクローズドのアスペン・モータースポーツパークを使用して「ランボルギーニのスーパースポーツモデルで、雪道を早く安全に走る」ためのドライブテクニックを学ぶユーザーイベントだった(参加費はドライバーが6995ドル! 同伴者が695ドル。筆者はメディアとして参加)。使用したのは当時最新のウラカンとアヴェンタドールで、装着していたのはピレリのスタッドレス「ソット・ゼロ(零度以下の意味)」に200〜300個のピンを打ち込んだ特製スパイクタイヤ。インストラクターは2001年シーズンにアロウズからF1に参戦していたエンリケ・ベルノルディさんで、筆者のことを当時のライバルだった日本人ドライバーの佐藤琢磨さんにちなんで「タクマ、ガス! ガス!(もっとアクセルを踏めっ)」と叫び続けていたのを思い出した。うまくドリフトが決まると「タクマより正確だぞ」と誉めてくれたりと楽しい講習だったのだ。そして、リッチなユーザーにふさわしいランボルギーニならではの体験をさせることこそが、プレミアムメーカーが提供するサービスであるという信念のようなものを学ばせてくれたのも、このときだったのだ。
2度目は2019年12月にイタリアで開催された「クリスマス・ドライブ」。売れ行きの良かった世界10カ国から1名ずつのジャーナリストを呼んで行なわれたのがこの試乗会で、場所は、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪の会場の1つであるコルティナ・ダンペッツォからひと山越えた、イタリアアルプスの麓や標高3000mを超えるスキー場だった。ツルンツルンのアイスバーンでの走行では、サンタの格好をしてウラカンスパイダーに乗り、寒いながらも楽しい体験を。そしてアヴェンタドールのSモデルでは、強烈なシングルクラッチのシフトショックのたびにお尻がムズムズしたのにはビビらされた。
北海道の道路には雪がない?
今回の試乗コースは、新千歳空港にある「ポルトム・インターナショナル」を起点に室蘭までを往復する(約200km)、一般道と高速道路を組み合わせたコースだ。雪の上でテメラリオはどんな走りを見せてくれるのか興味津々だったのだが、道南地域は試乗日の前日に雨が降ったとのことで、当日の路面は残念ながらドライの状態。一般道のアスファルト路面は、厳しい気温変化やスタッドレスタイヤに削られて相当に荒れた凹凸が顔を出していて、そこを背の低いスーパーカーがどうクリアしていくのか。それが新たな試練となるのだろう。
走行モードで「STRADA」を選び、右パドルでギアを入れてスタート。30km/hまではモーターで静かに走行し、それを超えると背後のV8が「ジャイィィン」と目覚める。すぐに遭遇した連続する凹凸では相当なショックが伝わってくると思って身構えていたのだが、意外や意外、そうした路面でもテメラリオは思ったよりもスムーズに通過することができたのだ。つまり超高剛性のアルミスペースフレームに支えられた足がよく動くのだ。
今回テメラリオが履いていたのは、冬走行に合わせて装着されたブリヂストンのウインタータイヤ「ブリザック LM005」。名称もなんとなくランボルギーニっぽいこのタイヤは、欧州で開発・製造される専用カスタムタイヤで、V字シェイプのトレッドパターンを持つとともに日本のブリザックよりブロック剛性が高めに設定してあるということで、どちらかといえばオールシーズンタイヤに近い性格を持つのだという。こちらも良好な乗り心地に寄与していると思われる。
そういえば、MAGARIGAWAで行なわれた試乗会で、レーシングドライバーの土屋圭市選手が「共同開発したおかげで、サスペンションとタイヤ(ポテンザ)が一緒に動いて波長が合っている感覚がある」と評されていたが、ウインター(ブリザック)の方もそれに準じた性能を発揮しているからなのだろう。LM005は日本のカタログには載っていないが、ディーラーオプションで手に入るそうなので、オーナーさん(ウラカン各モデルとレヴエルトにも対応)はスタッフに声掛けしてみてはいかがだろうか。
180度のフラットプレーン型クランクシャフトを採用し、最大ブースト圧2.5バールを誇る大型ツインターボをV8の中に抱いて1万回転を発揮するエンジン性能の10分の1ほどしか使っていないと思われる今回の試乗だったが、広がった頭上空間や快適なフィット感をもたらすスポーツシート(シートヒーター付き)とその後方に荷物が置けるスペース、助手席専用のスリムな情報ディスプレイなど、ロングドライブにも対応できるスペースユーティリティ性能はウラカンから大幅にアップ。
それでいてあのジェット機を思わせる赤いカバー付きのエンジンスターター/ストップボタンやレーシングカーを思わせるステアリング(赤いクラウンのドライブモード選択ダイヤル、レーススタートボタン、リフト機能ボタン、インジケータースイッチを装備)、大型のペダル類などのコックピットは、ファイティングブルの精神を忘れていない。
ゴー・ストップで隣に並んだクルマや対向車のドライバーさんから熱い視線を常に感じたことで、やっぱりただものでないクルマに乗っているのだという実感があるのは、もはや言うまでもないことなのだが。





















