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マツダ、新型「CX-5」販売好調の要因は、昨年5月から推進している国内ビジネス構造変革の効果と三浦忠理事
2026年9月7日 10:17
- 2026年9月2日 実施
マツダは9月2日、昨年6月に公表した「国内ビジネス構造変革」の進捗説明会を実施した。今回の説明では、マツダが重視する販売現場での取り組みに重点を置くとのことで、関東マツダの横浜鶴見店が会場となった。
登壇者は、マツダ 国内ブランドビジネス統括本部長 三浦忠理事、国内事業戦略企画 又平知也部長、国内ブランドコミュニケーション部 竹下雅人主幹、関東マツダMBA(マツダ・ブランド・アカデミー)推進グループ長 小西壮一氏の4名。
現在マツダは世界130の国と地域でビジネスを展開し、その中でも日本は本社のある大切なマザーマーケットと位置付けているものの、2019年以降は「ビッグプレイヤーと同じような全国一律・全国共通の戦略を展開し、効率的な成長投資を行なえていない」「新規顧客に選んでもらうためのマーケティングや店舗への成長投資が十分でなかった」「店舗へのブランド浸透が現場任せになり、メーカーとして適切な現場支援が行なえていなかった」といった要因から国内ビジネスは停滞。
商品主導で成長した後の構造転換が遅れ、ブランドの認知不足により新規他銘柄顧客の減少を招いてしまっていた。そこでこの流れに歯止めをかけ、反転を目指すために着手したのが「国内ビジネス構造変革」となる。この改革によりブランド価値で選ばれる企業になれば、企業規模の大小を超えてユーザーに愛されるブランドとなり、企業価値を創出できる。そのためにまずは「すべての起点にお客さまを置く」という原理原則を定めたという。
国内ビジネス構造改革の柱となるのは、「ブランド育成に向けた成長投資」「優先地域の特定 都市圏戦略」「店舗体験の向上に向けた現場支援の徹底」という3つ。そしてそれらの鍵となるのが「販売網再構築」「マツダブランドにフォーカスしたマーケティング投資」「店舗へのブランド価値の浸透の仕組みやそのための体制の整備」「バックヤードの機能効率化を担う新会社設立」という4つの重点施策となる。
また国内ビジネス構造改革と合わせて、国内市場でブランドの強みを最大限発揮できる強力な商品群を生み出す計画と、利益拡大のためのVC(バリューチェーン)ビジネス戦略も策定。これらを着実に進捗させることで、2025年3月期通期の国内販売台数15万2000台を、2030年には20万台に、20万人から選ばれるブランドになることを目指すとしている。
「都市圏重点エリアでの販売網再編」の進捗
マツダ 理事 国内ブランドビジネス統括本部長の三浦氏によると、店舗は“ユーザーに体験を提供する場”として重視し、強化策はユーザーが多く住む都市圏での販売網再構築を加速していく戦略を策定。具体的にはユーザーにマツダブランドを体感してもらうための、「新世代店舗」というアップグレードした店舗への改装を計画。2025年度は全国で16店舗、都市圏で12店舗の新築・改装を実施したことで、結果的に東京や首都圏では登録車シェア数の反転に成功。2026年度も同規模(全国16店舗、都市圏11店舗)の新築・改築を予定しているという。
今後は単なるリニューアルにとどまらず、店舗での顧客体験をマツダの独自価値としてさらに引き上げていく工夫を取り入れ、店舗のしつらえを開放的でオープンな空間として、ユーザーとの交流を促進できるような空間づくりを目指すとしている。
新規顧客獲得のためのマーケティング変革の進捗
マーケティング変革について三浦氏は、「新しいお客さまに知っていただき、選んでいただくために、クルマの購入を考えている人に我々が伝えたいことを一方的に伝えるのではなく、ユーザーが知りたい情報を徹底的な分かりやすさで伝えることに注力。合わせて十分な投下量を確保していく」と方針を説明。
2025年度上半期のSUVキャンペーンでは、マツダのSUVのユーザーベネフィットについて分かりやすく紹介。下半期の「走りたい。を、つくりたい。」というブランドキャンペーンでは、マツダがつくりたいのはクルマだけでなく、「走りたい、走り出したい、走り続けたい」という前向きな感情そのものであるという思いの鮮明化。2026年上半期は、5月の新型「CX-5」導入タイミングに合わせ、広島県出身でマツダとの親和性が高い綾瀬はるかさんをアンバサダーとして起用。徹底した分かりやすさでの訴求を継続している。
その結果、Web来訪が前年比112%に増えたほか、新型CX-5の国内発表会以降、新規集客数は約7倍に拡大。また、現在でも約5倍レベルを継続。さらに、2025年2月にオープンしたブランド体験施設「MAZDA TRANS AOYAMA(マツダ トランス 青山)」への来場者数も累計10万人を超えるなど、当初の目的に対して順調に成果を上げているという。
ブランド浸透によるリテール(販売)オペレーション変革の進捗
マツダ 国内ブランドコミュニケーション部の竹下雅人主幹によると、「我々は“お客さまを中心に置く”という言葉だけでは、ユーザーから選んでもらうには足りないと考え、本当に大切なのはユーザーの幸せを心から願って、その思いを1人ひとりの行動で表現できるかだと考えています」と説明。
そこでマツダは単に商品性能だけではなく、ユーザーに「大切にされている」「安心感がある」「活力をもらえる」「信頼できる」「誇らしい」と感じてもらうため、プロとして信頼できる安心感と、人として大切にされている温かさ、この両方を届けることこそ、ユーザーが「マツダらしい」と感じる価値でブランドエッセンスになると設定した。また同時に、約54万件のユーザーの声を分析し、店舗に求められていることも分析したという。
そこから「セールス」「サービス」「オーナーシップ」の領域で、マツダがやりたいことではなく、「ユーザーが求めること」と「マツダらしさ」を両立するためのふるまいや行動基準となる「マツダブランドスタンダード」を策定したという。
店舗で行なわれる1つひとつの接客や対応は、ブランドメッセージ「走りたい。を、つくりたい。」といった思いをユーザーに感じてもらうための行動そのものの基準で、ブランド戦略と店舗オペレーションを一気通貫でつなげることが、この活動の特徴となる。
このマツダブランドスタンダードの実践と定着を支援する仕組みが、「MBA(マツダ・ブランド・アカデミー)」で、2026年4月からマツダと販売会社が一体となり新体系で活動を推進。MBAでは「協同体制」「教育トレーニング」「成果モニタリング」「評価賞賛制度」の4つの取り組みがあり、全国の販売会社にいる100名以上のコーチがしっかりと学び合い、ユーザーの声をもとに現場を改善し、その成果を評価・賞賛するサイクルを回している。
これからは「何をすればよいか」を考えるのではなく、「ブランドメッセージを体現するには、どう行動すべきか」という視点で、マツダと販売会社が一体となって活動を進め、MBAはブランドメッセージを店舗の現場で実現する活動そのものとなる。
ある既存店舗では、商品力が急に上がったわけではないものの、来店者の要望や不安を深く理解し、1人ひとりに合わせた提案を行なうなど、ブランドスタンダードに基づく活動が商談の場で実践され始めた結果、新規来店者が当日のうちにマツダ車を成約する割合が、前年第1四半期の7.5%から31%へと向上。
また以前は、「親しみやすい」や「丁寧だった」という接客品質に関する評価が多かったが、2026年4月以降は「自分に合った提案をしてくれた」「自分のことを理解してくれた」という声が増え、ユーザー1人ひとりに寄り添う体験価値が伝わり始めていると竹下氏は成果を分析している。
MBAを実践する現場である関東マツダの進捗現状
実際にMBAを実践する現場の声として、関東マツダ マツダブランドアカデミー推進グループ長の小西壮一氏は、「今年4月にMBA推進グループを新設し、現在は10事業部に14名のコーチを配置し、各エリアや店舗に寄り添いながら地域に根ざした活動を推進しています。また、MBAコーチとマツダ本社のコーチが月に1度集まり、進捗ミーティングを開催しています」と関東マツダのMBA体制を紹介。
続けて、「最も重視しているユーザーの声『お客さまアンケート(CXリサーチ)』を振り返りながら、ユーザー視点での活動をさらに広げていくことを目的に、各コーチが担当店舗のいい事例や課題を共有しています。ブランドスタンダードの浸透・実践に向けた店舗勉強会や、理解度に応じた個別トレーニング、試乗・デモンストレーションのトレーニングも実施しています」と活動内容を説明した。
そのほかにも、ユーザーとの関係感やマツダらしい温かみを感じてもらう活動の強化と実践を開始し、整備内容や今後必要となるメンテナンスをより分かりやすく伝える『コンディションレポート』の活用事例を全店舗で共有することで、ユーザーに選ばれ続ける店舗づくりを推進しているという。また、MBA活動の結果としては、一部店舗でユーザーからの声やCXリサーチの結果もいい方向へ変化が見られ始めたほか、新型「CX-5」の好調な販売に寄与しているとのこと。
最後に小西氏は、「関東マツダは一都三県に広がる非常に恵まれたマーケットを有する反面、店舗数も多く、店舗間での活動の進捗や実践品質にバラつきがあることが課題。また、関東マツダならではの価値や、ユーザーに関東マツダを選んでもらう理由をさらに明確にしていく必要があると考えています」と課題解決に向けて言及した。
変革を支える組織・人事・風土変革の進捗
変革を支える組織・人事・風土変革の進捗について前出の三浦氏は、「マツダ本社で1万人以上に実施した組織風土の改革プログラム『マツダ・ブループリント』を、2026年4月に販社の代表者向けに実施し、現在は風土改革を推進するナビゲーターを養成する実践プログラムを実施しています。また、国内事業に携わる本社、販売会社すべての従業員がユーザー視点で考え、行動し続ける基盤づくりを進めています」とスムーズに展開していることを紹介。
続けて、「バックヤード機能を集約して効率化を担う新会社マツダビジネスパートナー(MBP)を2025年に立ち上げ、すでにオペレーション業務が着実に根付いています。現在は関西マツダ、関東マツダなどの店舗で実証を行なっていて、全国展開に向けて進捗しています」と状況を説明した。
受注好調な新型「CX-5」の現状とこれから
これまでの4つの重点施策を含め、現在推進している国内ビジネス構造変革が成果として表れつつある新型「CX-5」の状況について三浦氏は、「受注累計台数は順調に伸びていて、8月末時点で累計1万7000台超え。月販目標が2000台ですので発売後約3か月としては順調に推移していると思います。また、課題であった新規他銘柄からの獲得比率も直近で半数を超え、大きな成果が出たと感じております。また、20代や30代の若年層ユーザーの支持が多いのも特徴です。受注内容も旧型CX-5と異なり最上位グレードが全体の6割を占め、我々が伝えたかった商品価値が、コミュニケーションやブランドアカデミーでの商品価値伝達トレーニングの成果として届いているのだと感じています」と評価した。
20代や30代の販売が好調の理由について、マツダ 国内事業戦略企画部長 又平知也氏は、「やはりまずデザインと走りがいいというのはベースラインだと思います。また、私達にも意外だったのが、若いオーナーさんに『何がよかったんですか?』と聞くと、「画面がデカい」と「Google搭載」といわれました。やはりそういったトレンドがちゃんとインストールされていて、マツダらしく格好よくてマツダらしくしっかり走るというのが刺さったと思います」と分析する。
続けて、「ちょっと前のマツダ車の方向性は、『それか? 否か?』という世界や『あれはないけれどマツダらしさはある』というものだったけれど、今の若い方々って生活の中にIT機器やスマホ連携が当たり前にあるもので、そういう部分をちゃんとフォローしていけば、若い方にもちゃんと選んでもらえるんだなと、最近そんな実感を持っています。20代の新規他銘柄のユーザーが60%を超えるというのは過去に経験のない実績です。エントリーモデルのSグレードが330万円(2WD/FF)と手ごろな価格感というのもあるかもしれないですが、実際は若い方も407万円(2WD/FF)の一番上のLグレードを買っています。残価設定が65%というのもあるかもしれませんが、これからいろいろ分析していきます」と、これまでの手応えを語っていた。
2025年11月にリニューアルした関東マツダ横浜鶴見店
店舗はもちろんマツダ車を展示する大きな役割を持つ。関東マツダ横浜鶴見店 留奥大樹店長は、「一番大事にしているのは、ユーザーと一番最初に接するポイントとなる“お出迎えゾーン”であり、ユーザーが帰られる際の“お見送りゾーン”でもあるエントランスです。黒色の外壁は緊張感を増幅させますが、天井に自然に近い茶色を採用することで、緊張感を和らげています。整備工場は、働くエンジニアスタッフがユーザーの愛車を安心・安全・快適に整備できるように、すべてエアコンを完備し、集中力を維持しながら作業ができる環境を整えています。またオーナーが見学できるスペースも設けています」と紹介。
続けて「店内は、マツダデザインの持つ造形美や匠塗りを代表する色を、ユーザーに余すところなく届け・提供できる環境になっています。また、室内の床はブラウンの木目調と、自然に近い色彩を採用することで居心地をよくしているのもポイントです」と説明してくれた。








































