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トヨタ、欧州の脱炭素推進へ第3世代燃料電池を供給 中嶋裕樹副社長はクルマ社会を下支えする戦略を明確に

ドイツ ハノーファーで開催された世界最大級の商用車ショー「IAA TRANSPORTATION 2026 in Hannover」において、欧州の脱炭素における水素モビリティの提携強化を語るトヨタ自動車 代表取締役副社長兼CTO 中嶋裕樹氏

ドイツ 交通大臣も出席し、欧州における水素モビリティ社会の推進を打ち出す

 ドイツ ハノーファーで世界最大級の商用車ショー「IAA TRANSPORTATION 2026 in Hannover」が9月15日~20日(プレスデーは14日)の日程で開催されている。一般公開日の初日となる15日に、欧州の脱炭素に向けた水素事業連携強化のイベントが行なわれた。

 このイベントには、地元ドイツの交通大臣であるSteffen Bilger(シュテフェン・ビルガー)が冒頭のあいさつを行なったほか、aimler Truck(ダイムラートラック)、Volvo Group(ボルボグループ)、Bosch(ボッシュ)、Air Liquide(エア・リキード)、TotalEnergies社(トタルエナジーズ)、TEAL Mobility(ティール・モビリティ)、MB Energy(エムビー・エナジー)といった水素事業を手掛ける自動車メーカー、サプライヤー、エネルギー企業などが参加。日本からはトヨタ自動車が加わり共同会見。各社の水素の取り組みを語った。

ドイツ政府 交通大臣 Steffen Bilger氏

 この中でトヨタは、欧州の脱炭素における水素モビリティ分野で、技術協力など明確に下支えする姿勢を明確にした。

 トヨタの代表としてIAAトランスポーテーションに登壇した代表取締役副社長兼CTO(最高技術責任者)である中嶋裕樹氏は、「大型商用車分野において、トヨタはダイムラートラックおよびボルボグループによる燃料電池合弁会社であるセルセントリックとの連携を進めていきたい」とあいさつ。このセルセントリックを通して次世代燃料電池システムをより迅速に市場へ提供できるという。

 さらに大型トラックや大型バスを手掛けるスカニアやイヴェコとの連携や、BMWとの取り組みも紹介。燃料電池車「MIRAI(ミライ)」や水素燃焼エンジン車をモータースポーツに投入する完成車メーカーとしてのアピールはほとんどなく、OEMメーカーとの協業、FC(燃料電池)の供給などサプライヤー的スタイルを強く出していた。

第3世代燃料電池パワーユニットがメインのトヨタブース

 これは、トヨタブースも同様で、自動車メーカーらしくFCEVハイラックスをダカールラリーに参戦させることや2028年に市販化することの発表はプレゼンテーションであったものの、展示はなし。パネルが1枚展示されているだけと、完成車としての訴求はほとんど行なわれていなかった。

 一方、パワーユニットとして展示した第3世代燃料電池については、乗用車や小型商用車向けの110kW、中型商用車向けの150kW、大型商用車向けの300kWの3つを用意。展示エリアや説明も詳細に行なわれており、トヨタが欧州において何を訴えたかったかが伝わってくる。

 大型トラックなどが多数展示されている商用車ショーだけあり、110kWのものより、300kWの第3世代燃料電池への注目が高く、担当者への質問も積極的だったように見えた。300kW燃料電池は同じイベントに登壇したボッシュもブース展示を行なっており、商用車向けの燃料電池としては一つのトレンドになっていくのかもしれない。

トヨタがIAAトランスポーテーション2026に展示した第3世代燃料電池 300kW
トヨタがIAAトランスポーテーション2026に展示した第3世代燃料電池 150kW
トヨタがIAAトランスポーテーション2026に展示した第3世代燃料電池 110kW

 トヨタというブランドを見ると、日本においては圧倒的なコンシューマーメーカーであり、完成車メーカーとしてのイメージが強い。しかしながら、すでにハイブリッドシステムのTHSはスバルにも供給しており、安全運転支援システムのTSSもほかのメーカーに供給を開始している。

 また、電子プラットフォームについても他社への供給を仕掛けており、単なるクルマメーカーから、モビリティのプラットフォーマーへ変革しようとする意識が見える。

 世界最大級の商用車ショーであるIAAトランスポーテーションにおいては、特に水素燃料電池においてモビリティのプラットフォーマーとしての側面が強く出ており、脱炭素時代に向けクルマ社会を下支えするという戦略を明確にしていた。

 かつて世界を席巻していた日本の半導体は、電機メーカーの垂直ビジネスモデルからはみ出すことができずに、水平分業のビジネスモデル確立が遅れ、世界シェアを失っていった。トヨタには、垂直ビジネスモデルで成功しているうちに、モビリティのプラットフォーマーとして水平分業のビジネスモデルを作り上げようという意思が見える。優れた技術に裏打ちされた第3世代燃料電池、第3世代FCを、どれだけ多くの自動車OEMに供給できるかがポイントになっていくだろう。