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「初優勝」の文字も一瞬よぎった!? 波乱の結末となった2026年メディア対抗ロードスター耐久レース
2026年10月10日 06:04
- 2026年10月3日~4日 開催
10月3日と4日、マツダ「ロードスター」を使ったワンメイクレースの2026年大会「第37回 メディア対抗ロードスター耐久レース(通称:メデ耐)」が開催された。主に自動車雑誌やWebサイト、関連メディアなどの編集者やライター、ジャーナリストなどがチームになって競い合うレースで、2024年大会では「世界で最も長く続くワンメイクレースシリーズ」としてギネス世界記録にも認定されている。
メデ耐で競うところは速さだけでなく「燃費」。与えられたガソリンを最後の1滴まで無駄にせず走り切ることが重要となるが、少しでも燃費計算を間違えばガス欠、反対にガソリンを温存してしまえば速さ不足というジレンマのなかで3時間を戦う。
3時間、新燃料で無給油、新タイヤ、富士で初めてのドライコンディション
最初にメデ耐の仕組みを紹介しておくと、全車イコールコンディションのロードスターを使い、速さだけでなく燃費に注意しながら走行し、ドライバーの技量もさることながら燃費やドライバー交代やピットインのタイミングをレース全体を見通しながら指示を出す監督の判断も重要なレースとなる。
今回のレースでの課題は、まず、富士スピードウェイで初めてのドライコンディションのレースということ。前々回までは筑波サーキットで行なって十分なノウハウを得ていたが、前回から富士スピードウェイ。今回が2回目なのだが、前回はウェットコンディションと夕方から夜にかけてのレースだった。
ところが今回は予選が前日の土曜日、決勝が日曜日の午前中に変更となり、コースは完全なドライコンディション。しかも、燃料は今回からエネオスの次世代レース用燃料「ENEOS EARTH ONE(E20)」となり、タイヤは同じブリヂストン ポテンザ アドレナリンだが、前回までのRE004から新しいRE005に変更となった。
そのため新しく経験することが多く、十分なデータのない状態での走行となる。その一方で、今回チームCar Watchのドライバーとして腕を振るっていたのはマツダのチャレンジプログラム4期生の中西拓也氏。チャレンジプログラムはeモータースポーツから実車のレースを目指すプログラムなので、さまざまな設定条件のもとで“走って”いた、経験豊富な頼もしいドライバー。これまで前回、前々回と同プログラム出身の選手に助けられているので非常に期待が高まる。
クルマは市販のNR-Aグレードのロードスター
メデ耐で戦うワンメイクのロードスターだが、仕様を紹介しておくと、市販のNR-Aグレードのロードスターで各チームとも装備も同一。Car Watchのクルマ自体も2024年から使っているクルマそのもの。
NR-Aに追加した統一装備は、タイヤは今年発売のブリヂストン「POTENZA Adrenalin RE005」でサイズは195/50R16、CUSCO製「NR-A専用 SAFETY21 ロールケージセット」、エンドレス製ブレーキパッド「MFE1」、シートはブリッド製フルバケットシート「ZETA IV」、CUSCOレーシングハーネス「6Points FHR」、ダンパーはNR-A純正装備のビルシュタイン製となっている。
油脂類も統一し、エンジンオイルは「Gulf ARROW GT30」、ギヤオイルは「Gulf PRO GUARD Gear Oil 75W-90 GL5」、ブレーキフルードは「ENDLESS S-FOUR」という組み合わせはこれまでと同じ。エンジン、トランスミッション、排気系はノーマルのNR-Aから一切変更していない。もちろん、チーム側で改造などは一切できない。
今回、新しくなった燃料は、エネオスのモータースポーツ用低炭素燃料「ENEOS EARTH ONE(E20)」。メデ耐で使用するのはカッコ書きにE20とあるとおり、バイオエタノールを20%混合した低炭素燃料で、スーパー耐久やSUPER GTの一部に供給が始まっている。メデ耐では決勝レースにはロードスターのタンクにENEOS EARTH ONEを満タン(40L)とし、途中給油なしで最後まで走り切る。
データがないなか、予選で賭けに出る
データがなく手探りでやらなければならない今回のメデ耐。そこで、チームCar Watchは賭けに出る。練習走行の時間に一切走らずタイヤを温存、新品タイヤで予選に出る作戦を選択。
今回のドライバー5人のうち、4人は昨年も走っていてウェットコンディションとはいえ富士のコースを経験している。そして、マツダチャレンジプログラムの中西氏もシミュレーターで走っている。中西氏は実車で走った経験がないものの、最新のシミュレーターで鍛えているだけあって、大丈夫と判断した。
MAZDA 787Bなどのデモランでトラブルがあり、予選開始が少し遅れていたが、時間になり、チームCar Watch参加のモータージャーナリスト山田弘樹氏がコースイン、いよいよ予選がスタートした。
予選の時間は10分間だが、走行を重ねるうちに新品タイヤがベストな状態となり、各車がタイムアタックするなか、気づけばチームCar Watchの予選順位は6位で終了。スターティンググリッドでは過去最高順位につけてしまった。
山田氏によれば、コースインしたばかりではまだタイヤのグリップがなかったが、次第にグリップが増していく。今回の新しいタイヤPOTENZA Adrenalin RE005については、「グリップはほどほどで、タイヤの剛性がすごくしっかりしていて、上手になりたい人のためのタイヤ」と絶賛。
なお、予選トップでポールポジションを獲得したREVSPEEDロードスターのタイムは2分13秒453。Car Watchのロードスターは2分14秒752。トップとの差は1秒299。
チームCar Watchも6位をとったこととタイヤ温存作成が成功したことで、ピットも大盛り上がりだった。
翌朝の決勝は、これまで見たことのない位置からスタート
決勝は一夜明けて翌朝9時35分スタート。朝6時30分からドライバー受付と鍵渡しが開始され、車両移動、決勝前ブリーフィングとあわただしく進む。
決勝スタートの1時間以上前からスターティンググリッドに並び、決勝前セレモニー、チーム紹介と全く気が休まることなく時間が過ぎていく。
いままでにない前方のスタートに盛り上がっているチームであるが、唯一のクルマの調整か所であるタイヤの空気圧の調整もせず、決勝に向けて気持ちを整えていく。
ほかのチームは最後の準備としてタイヤ空気圧の調整に余念がないが、チームCar Watchでは、予選が6位だったことからタイヤの空気圧もベストだったと判断し、これまでにないベストラップを刻んだ予選の状態のまま決勝に挑むことにしたからだ。
今回参戦の22チームのドライバー紹介が終わるといよいよ決勝。第1ドライバーの編集長小林が1人、Car Watchロードスターで待機する。
最初の周回で6位→9位へ
決勝はこれまでどおりローリングスタート形式で行なわれ、9時35分に決勝レースがスタートした。6位スタートをどう生かしていくかは第1ドライバーの編集長小林次第、1ラップ目は9位で戻ってきた。
ここで解説しておくと、昨年の上位陣チームや事務局の判断により「助っ人」と認定されたドライバーがいるチームは、ピットストップのハンデが設けられている。ストップ時間は前年の順位からチームごとに異なるが、これをスタート直後の周回で消化するチームが多い。スタート直後で各車が入り乱れるところでハンデを消化することで、後方からクリアなラップを刻み、後半に向けて追い上げていくスタイルだ。
そのため、1ラップ目から実質的な順位が分からなくなっていく。ハンデを消化したとしても、ドライバーの人数は4~5人とバラバラ。一度ピットインしたら交代が終わっても1分間は停車というルールもある。ドライバーのなかには2回目を走る人もいて、さらに分からなくなっていく。
もしかしたら、1ラップ目の混乱のなか、序盤で一瞬でも上位になる可能性もある。そんな期待を寄せながらレースが進んでいく。
と、そのとき、走行中の編集長小林からの連絡が途絶えていることに気が付いた。レース中、ピットとの連絡はボイスチャットで行なっているが、気づけば応答がないのだ。
序盤にピットとドライバーの連絡は重要で、タイムや順位はピット側のほうで分かるが、燃料がどうなっているかはドライバーがクルマの燃費表示を見るしかない。リアルタイムに状況が分かりやすいのは燃費計で、ドライバーが見た情報からレース全体を組み立てていく必要があるが、その情報がピットに入ってこないのだから、指示の出しようも組み立てもできない。現在の燃費を知るのは編集長小林ただ1人という状況。
一方の編集長小林も燃費計の数値を連絡しながら走行ペースを決めていくつもりだったが、それもできない。しかも、ドライバー側から現在の正確な順位やタイムが分からない。上位スタートだったため上位陣について走ろうとすれば燃費は悪化する。ドライバー交代後に振り返った編集長小林は、燃費の数値が悪化していきながらも走らなければならず、葛藤のなかで走行していたという。
30分ほど走行したところで、サインボードを使って指示を出して無事にピットイン。2番手のISHIKAWA氏にバトンタッチ。ほかのクルマのピットインも重なってコースには7位で戻った。
ここで通信は復活したので、ISHIKAWA氏は悪化していた燃費を立て直すことに専念。燃費を見ながら周回を重ねて、予定どおり15分間で序盤の混乱を立て直すという役割をきっちり果たしたISHIKAWA氏。そのあとは、いよいよ期待のチャレンジプログラム4期生の中西氏がステアリングを握る。
20位から2位へ、驚異の追い上げ
編集長小林、ISHIKAWA氏と短い間隔でピットインを繰り返したため、中西氏のドライブでCar Watchロードスターがコースに戻ったときは20位。しかし、ここから中西氏が本領を発揮。中西氏が安定した好燃費と好タイムで走行していると、いつのまにか20位から2位まで大躍進を遂げたのだ。
2位といっても、ほかのチームのピットインもあるので、実質順位はまた別のところにあり、すべてオーバーテイクしたわけではないものの、この追い上げは驚異的。ピットからの細かい走行指示についても忠実に従えるという、まさにドライバーの鏡のような走行だった。
走行を終えた中西氏によれば、ドライブ前は「練習走行で走れず、初めての実車で不安があった」とのこと。しかし「コースインして、後ろにいた2台を前に出してコースの感覚をつかみ、その後パスした」という。そして、大きく順位を上げたことには、「ピットインの順位変動もあるので、すべてパスしたわけではないが、最初の2台以外は後ろにつかれることなく周回を重ねられた」と語っている。
一瞬、1位に! 上位をキープした山田氏
続いて4番手は予選も走った山田氏。4位でコースに戻り、途中、順位変動はあったもののほぼ4位を維持していると、一瞬、トップに。
モニターには1位の表示。ピットインなどの合間の順位変動とはいえ、ピットは盛り上がる。
とはいえ、このまま1位で終われることはなく、最後は3位でピットイン、最終ドライバーのモータージャーナリスト日下部保雄氏にタスキをつなぐ。
山田氏は走行を「すごく楽しいスティントだった」と振り返る。その理由としてライバルの走り方を見ながら、「こっちの走行も“正解”だと分かることができたから」とし、ピットからの的確な指示もあり、途中で燃費がわるくなる瞬間もあったが、燃費を元に戻す方法も分かったという。
もしかして表彰台? からのガス欠
最終走者の日下部氏も順調に走行を重ね、途中では2位で走行。しかし、最終盤になってくると、最初にハンデを消化した強豪チームの追い上げが始まり、後方から速いタイムのクルマが次々と迫ってくる。
そうなると前後のチームのピットイン状況や、後方のチームのラップタイムから、ゴール順位予測ができてくる。最後のスパートをかけるのか、後ろの状況によっては速度を緩めて燃費に余裕を持たせるなど、なんとしても表彰台や入賞を守りたいため、順位計算が忙しくなる。
ここでピット側で出した結論は、燃費計から見た燃費や燃料残量の計算上は、このままゴールできる見込みと判断し、このままゴールへ向かうということだった。
そして、ゴールまであと少しと迫ったとき、ガス欠となりコースアウトするクルマが現れた。しかも、1台や2台ではなく、次々と止まっていくクルマが中継映像で映し出された。そのなかにはマツダの社員が乗る「人馬一体ロードスター」も含まれていた。
Car Watchも一瞬、似たカラーリングのクルマが止まったときに中継映像に間違って「Car Watchロードスター」という字幕が出て、ピットは混乱するも、本物のCar Watchロードスターはまだ走行していたことが確認できて一安心。
しかし、安心するのも束の間、残り約5分のタイミングで64号車 Car Watch号にも突然ガス欠が襲ってきた。
最終コーナーを立ち上がり、「ホームストレートで加速しようというところで突然の“ドン”という衝撃とともにエンジンが停止した」と日下部氏。
コースのアウト側にならそのまま出ることも可能だったが、最終コーナーから立ち上がって加速する場所で、安全性を考えるとコースのアウト側よりもイン側に止めるのが安全と日下部氏は判断。後続車に注意しながら、そして再始動にわずかな望みをかけつつイン側に寄せようとするが、無情にも惰性が足りずにクルマの半分がコース上に残ってしまった。
結果は、ガス欠だけでなく「コース上停止」ということから失格扱い。残念ではあるが、最後の最後まで安全に注意しながらトラブルなくレースを戦えた。
完走は9台という燃費に翻弄されたレース
終わってみれば出走22台のうち完走はわずか9台。ガス欠によるリタイヤが12台、失格となったのはCar Watchロードスターのみという結果。いかに燃費に翻弄されたのかが完走台数からよく分かるレースとなった。
前回までに比べ、ここまで多くのチームが最後の最後で燃費計算を間違えるのはなかなかない。その理由としては、昨年は雨だったためデータ不足、新タイヤ、新燃料など、未知数の条件がいくつも重なった影響といえるだろう。
メデ耐の決勝レースの結果は、優勝が「aheadロードスター」で70周を走行、タイムは3時間1分8秒641、2位は自動車メーカー5社の代表がドライブする「共挑 S耐ワイガヤクラブロードスター」、3位はブリヂストンの代表執行役Global CEO 森田泰博氏もドライバーとして参加した「ブリヂストンMSWEBロードスター」となった。
そして、4位は「ドライバーズミーティングロードスター」、5位が「CARPRIME ROADSTER」、6位が「ピンクパンサー・ロードスター」。ファステストラップは2分17秒744を記録した「LOVECARS!TV!ロードスター」だった。
失格となってしまったチームCar WatchのCar Watchロードスターだが、何よりも全員無事でレースを終えることができた。もしかしたら表彰台? というところまで行った今回のレースだが、得たものは大きく、上位に入っていないので次回はハンデなしで再挑戦できる。
来年も出場することがあれば、ぜひ応援をお願いしたい。















































