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アーチオン、日野・三菱ふそうの開発機能の融合を担う「ARD8」メンバー座談会開催

小木曽CTO「R&Dの統合が一番難しい」と文化の異なる両社で人材交流や設備相互利用など推進

2026年10月19日 開催
日野自動車と三菱ふそうトラック・バス、両社開発部門の相互理解を経て4月1日に結成された「ARD8」のメンバーとARCHION(アーチオン)株式会社 取締役 製品・開発・調達本部長 CTO 小木曽聡氏(写真中央)

 ARCHION(アーチオン)は10月19日、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合による事業開始から半年が経過したことを受け、都内の本社においてメディア向け説明会「ARCHION media connect Vol. 3」を開催した。

 今回の説明会では両社の開発現場をつなぐ専任組織「ARD8(エーアールディーエイト)」のメンバー8名と、取締役 製品・開発・調達本部長 CTOの小木曽聡氏が登壇。「ARCHIONで進む開発機能の統合とシナジー創出」をテーマに、現場目線での協働の進捗や手応えを語る座談会が行なわれた。

小木曽CTO「一番融合が難しいR&Dを一つに」

ARCHION(アーチオン)株式会社 取締役 製品・開発・調達本部長 CTO 小木曽聡氏

 説明会の冒頭、登壇した小木曽CTOは、ARCHIONグループが掲げるミッション「人と物の移動をつなぎ、ともに豊かな未来を創ります」に触れながら、開発統合における狙いや今回の座談会の狙いを明かした。

 小木曽CTOは「一番融合が難しいと言われているR&Dを一緒にするという活動をしているのがこのメンバー」と紹介した上で、「よいものをお客さまにお届けしようとすると、製品と開発と調達、そしてモノを作る生産が一緒にならなければいけない」と開発機能の一体化が不可欠であると説明。開発機能の融合については「かなりいい形で進んでいる部分もあれば、正直そんな簡単じゃなくて苦しんでいるところもある」と、両社が共通の目標に向かって歩みを進めている中で、現場の声を聞いてほしいと今回の座談会への思いを述べた。

日野・三菱ふそうから両社4名ずつで構成する「ARD8」。4つの柱で全体最適を推進

第3回メディア向け説明会「ARCHION media connect Vol. 3」は現場を動かすR&Dメンバーによる座談会を中心に構成された。写真は左から、組織担当の上田悠樹氏、栗田志朗氏、設備担当の有馬昭彦氏、田上佳弘氏、プロセス担当の久保田修二氏、端本健氏、技術ロードマップ担当の小関哲郎氏、野村隆氏
日野と三菱ふそうの精鋭8名で構成されるARD8のメンバープロフィール

 座談会の主役となった「ARD8(ARCHION R&D 8)」は、日野と三菱ふそうから各4名、計8名の技術者が集まり、小木曽CTO直下に設置された専任組織。社内調整で合意形成に時間がかかりがちな複雑な開発テーマに対し、どちらか一方の立場に偏ることなく、中立的な立場から全体最適解を導き出す“接着剤”としての役割を担っている。

 ARD8の活動は「技術ロードマップ」「プロセス」「設備」「組織」という4つの柱で構成されており、それぞれ両社から1名ずつ、計2名の専任担当が配置されている。

ARD8立ち上げの背景や目指す価値と役割
ARD8の活動を支える4つの柱。単独ではなく8名が一体となって推進する

 具体的な成果の一例として、設備の相互利用がすでに実用段階に入っていることが報告された。三菱ふそうの喜連川研究所(栃木県さくら市)に設置されているエンジンベンチを活用し、日野の大型エンジン開発試験を9月から開始。両社の技術者が肩を並べ、既存リソースを有効活用しながらシナジー創出を具体化させている。

座談会で報告されたシナジー創出の事例

三菱ふそうの「スピード感」と日野の「丁寧な進め方」 現場が感じたカルチャーの違い

 座談会では、企業風土が異なる両社が机を並べる中で生じたカルチャーギャップや、現場ならではの実感が率直に語られた。

プロセス領域を担当する日野出身の端本健氏

 プロセス領域を担当する日野出身の端本健氏(技術統括部クルマづくり改革推進グループ兼エンジン実験課長)は、三菱ふそうの美点について「三菱ふそうのいいところは、プロセスに基づいて開発を行なう考え方がしっかりしていて、切れ目切れ目で判断が下されること。日野の場合は、みんなで走りながら瞬時瞬時に判断して進めていく考え方が強い」と分析。

組織領域を担当する上田悠樹氏

 これに対し、組織領域を担当する三菱ふそう出身の上田悠樹氏(元・開発本部長アシスタント)は、「日野はより人にフォーカスした仕事のやり方。どう一緒に仕事をし、どう一丸となってやっていくかに重きを置いていると感じる」と応じ、互いの特性を客観的に認め合っている様子を示した。

組織領域の取り組みとして実施されている人材交流プログラムでは、相互理解と対話を通じてカルチャーの融合を図る

 現場同士の距離を縮める取り組みとして、9月からは約1週間の短期人材交流プログラムもスタートした。相手先の職場に入り込んで実際の業務を体験した参加者からは、日野側から「三菱ふそうのスピード感は真似したい」、三菱ふそう側から「日野の丁寧な進め方を取り入れたい」といった声が寄せられているという。

組織担当の栗田志朗氏

 組織担当の栗田志朗氏(日野出身、元・シャシ開発部長)は、「ベースに流れているエンジニアの思いは同じ。『話せば通じる』という実感がある。個人レベルでも『One ARCHION』『One R&D』という意識が非常に高まってきている」と語り、新たな取り組みによるシナジー創出に自信をのぞかせた。