SUPER GT第6戦鈴鹿リポート【決勝編】
マシンもバトルも大炎上、最後まで緊迫した戦い

優勝した35号車 KRAFT SC430(石浦宏明/大嶋和也)

2009年8月23日決勝



 2009 AUTOBACS SUPER GT第6戦「第38回 インターナショナル ポッカ GT サマースペシャル」の決勝レースが8月23日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で行われた。GT500クラスは35号車 KRAFT SC430(石浦宏明/大嶋和也)が初優勝。GT300クラスは最終ラップ手前のシケインでトップに立った46号車 エスロードMOLA Z(星野一樹/柳田真孝)が優勝した。今回がデビュー戦の62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/密山祥吾)は予選でフロントデフのトラブルから出火、決勝の出走はできなかった。

 夏の最後を飾るこのレースは、昨年までポッカ1000kmとして行われていたが、今年は諸事情があり700kmのレースとなった。短縮されたとはいえ、通常のレースが300kmなので、倍以上の距離で争う過酷なレースであることは変わらない。またシリーズ唯一のナイトランが行われるのも特徴で、ゴール後の花火は7月に行われる8時間耐久オートバイレースとならんで、夏の鈴鹿の風物詩となっている。

 今回のレースの特別ルールは3回のピットインが義務付けられていることだ。距離の長いレースではポルシェ、フェラーリ、RX-7などの燃費の悪いマシンと、そうでないマシンでピットイン回数が異なることがあった。今回は3回のピットイン義務付けなので、基本的には4スティントのレースとなる。

 121周を4スティントで戦うと、GT500クラスは約30周でピットインすることになる。ラップタイムの遅いGT300クラスは約110周のレースとなるので、およそ28周でピットインとなる。だが、燃費のよいGT300マシンは2回の給油で走りきれるので、停止するだけのショートストップを行う可能性もある。GT300クラスはピット戦略が勝敗を左右する可能性がありそうだ。

 2009 SUPER GTシリーズは全9戦で行われる。今シーズンのルールでは、今回の6戦までは獲得ポイント×2kgのウエイトハンディが課される。GT500クラスのポイントリーダー、1号車 MOTUL AUTECH GT-Rは43ポイントで86kg、GT300のポイントリーダー、19号車 ウェッズスポーツIS350は50ポイントで100kgのウエイトが乗せられている。第7戦、第8戦は獲得ポイント×1kgのウエイトハンディ、最終戦はウエイトハンディなしとなるので、今回の第6戦が最も重いハンディとなる。獲得ポイントの少ないチームにとっては、ポイント差が20ポイントあれば重量差が40kgとなる今回のレースまでは、上位躍進のチャンスでもある。

 第5戦までのGT500クラスの上位チームは次のとおり。

ポイントランクナンバー車名ドライバー獲得ポイント
1位1号車MOTUL AUTECH GT-R本山哲
ブノワ・トレルイエ
43
2位36号車PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一
アンドレ・ロッテラー
39
3位24号車HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒聖治
37
4位8号車ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢拓也
33
5位18号車ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮卓史
32
6位17号車KEIHIN NSX金石年弘
塚越広大
金石勝智
31
7位38号車ZENT CERUMO SC430立川祐路
リチャード・ライアン
29
8位3号車HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
安田裕信
26

 GT300クラスの上位チームは次のとおり。

ポイントランクナンバー車名ドライバー獲得ポイント
1位19号車ウェッズスポーツIS350織戸学
片岡龍也
50
2位7号車M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝
折目遼
48
3位2号車アップル・K-one・紫電加藤寛規46
4位43号車ARTA Garaiya新田守男
高木真一
44
5位33号車ハンコックポルシェ木下みつひろ
影山正美
40
6位46号車エスロード MOLA Z星野一樹
柳田真孝
33
7位11号車JIMGAINER ADVAN F430田中哲也
平中克幸
30
8位81号車ダイシン アドバン Ferrari青木孝行
藤井誠暢
青山光司
28

KRAFT SC430(石浦宏明/大嶋和也)がGT500クラス初優勝
 前戦のSUGOではスタート直後に雨が降り、徐々に乾くコースコンディションで、タイヤ選択が勝敗を左右した。今回も午前中まで強い日差しが降り注いでいたが、スタート直前にパラパラと雨が落ち始め、スターティンググリッドにはレインタイヤが用意されるなど、微妙な空模様の中スタート時刻を迎えた。

2007年、GT300で年間チャンピオンを取りウイニングラップを走る石浦選手

 予選トップは35号車 KRAFT SC430(石浦宏明/大嶋和也)、初のポールポジションからのスタートだ。ここまで獲得ポイントは14ポイント、ウエイトハンディは28kg、長丁場の決勝も有利に戦えそうだ。今年からペアを組んだ石浦宏明/大嶋和也は2007年、GT300クラスで「トイ・ストーリーレーシング」でシリーズチャンピオンを取ったコンビだ。若手ペアのGT500クラス初優勝も期待できそうだ。
 雨は小康状態で路面を濡らすほどではない。ゴール時刻が夜となるので、普段より遅めの15時にフォーメーションラップが開始された。スタート直後の1コーナーは35号車 KRAFT SC430がトップをキープ、2位以下も上位は予選順位のまま通過した。

スタートでトップをキープする35号車 KRAFT SC4301周目のヘアピン進入。35号車 KRAFT SC430、3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-R、6号車 ENEOS SC430、38号車 ZENT CERUMO SC430と続く
フロントラジエターに芝を詰まらせ走行する32号車 EPSON NSX。オーバーヒートでリタイヤとなる

 700km、121周、4時間を超える長丁場とあって、序盤は穏やかな展開となった。レースが動き出したのは10周過ぎだった。12周目、32号車 EPSON NSX(ロイック・デュバル/中山友貴)がGT300クラス808号車 初音ミク Studie GLAD BMW Z4と接触してコースアウト。コースサイドの芝をフロントラジエターに詰まらせ、オーバーヒートでピットイン。ピットに戻るときにはクーラントを吹き出すほどで、そのままリタイヤ1号となった。

 27周が終了した時点で、トップの35号車 KRAFT SC430がルーティーンのピットイン、給油とタイヤ交換を済ませ、石浦選手から大嶋選手に交代した。その後各車ピットインする中、33周終了までピットインを遅らせた8号車 ARTA NSXがラルフ・ファーマン選手の頑張りで2位に浮上して伊沢選手にステアリングを託した。

 35号車 KRAFT SC430が2位以下を離して独走態勢、2位争いは3台がテール・トゥ・ノーズの接戦となった。40周目のシケインで8号車 ARTA NSXがオーバーラン、3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rにかわされた。更にストレートで6号車 ENEOS SC430にも抜かれ一気に4位に後退した。後方でも接近戦が勃発、序盤の展開から大きく様変わりした。

 スタートから離れることのなかった3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rと6号車 ENEOS SC430だったが、56周目の1コーナーで6号車 ENEOS SC430が3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rをかわし2位へ浮上。6号車 ENEOS SC430は前戦SUGOではトップを走りながら、タイヤ選択の不運で優勝を逃しただけに、このままトップに迫りたいところだ。

 58周目、トップの35号車 KRAFT SC430がピットイン、一旦順位を落とすが、64周目に6号車 ENEOS SC430がピットインし再びトップをキープした。このまま35号車 KRAFT SC430対6号車 ENEOS SC430の争いが続くかと思われたが、65周目に入るところで2位を走る6号車 ENEOS SC430が突然のスローダウン、デグナーを抜けたところで息の根を止めヘアピン手前で停止した。ここへ来て速さを見せるが、結果が出せない状態が続いているだけに、伊藤選手には残り3戦で、2007年シリーズチャンピオンの意地を見せて欲しいものだ。

2位争いは3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rが6号車 ENEOS SC430をおさえ50周を越えた速さは見せるが、結果に結びつかない6号車 ENEOS SC430後方でも僅差のバトルが繰り広げられた。5、6、7位になった12号車 IMPUL カルソニック GT-R、1号車 MOTUL AUTECH GT-R、39号車 DUNLOP SARD SC430
前半はペースのよかった17号車 KEIHIN NSXと38号車 ZENT CERUMO SC430のバトル。17号車 KEIHIN NSXがヘアピン進入でアウトから並びかけ、クロスラインで立ち上がり、加速で抜いた

 レース後半に入った70周終了の順位は次のとおり。

クラス順位ナンバー車名ドライバー
1位35号車KRAFT SC430石浦宏明
大嶋和也
2位8号車ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢拓也
3位3号車HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
安田裕信
4位38号車ZENT CERUMO SC430立川祐路
リチャード・ライアン
5位24号車HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒聖治
6位18号車ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮卓史

 2位を走る8号車 ARTA NSXはタイヤに不安を感じていた。ラルフ・ファーマン選手から無線でスローパンクチャーの情報が入り、いつでもタイヤ交換できる体制で様子を見ながらの走行となっていた。ストレートを抜け85周目の1コーナーで8号車 ARTA NSXの左リアタイヤが悲鳴を上げた。完全にパンク状態となり、左リアが沈み、右フロントタイヤが浮き上がる状態のスロー走行でピットを目指すが、バックストレートエンドで左リアから出火、130Rイン側にマシンが停止したときには激しく炎上することとなった。

 8号車 ARTA NSXの炎上で、セーフティーカーが導入された。隊列が整いセーフティーカーの後ろに35号車 KRAFT SC430、3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rが続き周回を始めるが、ピットクローズが解除されると35号車 KRAFT SC430が先頭を切って最後のピットインを行った。各車ピットインしマシンを斜めに停めるなど混乱の中、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が給油中に出火、ピットクルーが火に包まれたが、隣のピットからも消火作業に参加するなど迅速な対応で大事には至らなかった。24号車 HIS ADVAN KONDO GT-Rは停止後にギアが噛んでピットアウトできず、大きく後退した。

8号車 ARTA NSXは予選5位から着々と順位を上げ、優勝も狙える位置にいたが炎上リタイヤとなった8号車 ARTA NSXの炎上でセーフティーカー導入となったピット作業で炎上し、ボディーに黒いススが付いた状態で走る36号車 PETRONAS TOM'S SC430

 レース再開後、91周目の順位は次のとおり。

クラス順位ナンバー車名ドライバー
1位35号車KRAFT SC430石浦宏明
大嶋和也
2位36号車PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一
アンドレ・ロッテラー
3位3号車HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
安田裕信
4位38号車ZENT CERUMO SC430立川 祐路
リチャード・ライアン
5位18号車ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮卓史
6位12号車IMPUL カルソニック GT-R松田次生
セバスチャン・フィリップ

 セーフティーカー導入でリードを失った35号車 KRAFT SC430だったが、再開後もリードを広げゴールを目指した。日が沈み、ナイトランとなる中、2位争いは接近戦となった。95周目のシケインで3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rが36号車 PETRONAS TOM'S SC430を抜き2位浮上。103周目には、36号車 PETRONAS TOM'S SC430が130R進入でGT300クラス81号車 ダイシン アドバン Ferrariのインに飛び込むが汚れた路面で姿勢を乱し81号車 ダイシン アドバン Ferrariと接触、エスケープゾーンからなんとか復帰するが38号車 ZENT CERUMO SC430に抜かれてしまった。

レース再開後、ナイトランも安定した走りで逃げ切った35号車 KRAFT SC430

 36号車 PETRONAS TOM'S SC430は4位をキープするが、この接触でドライブスルーペナルティが課され8位に後退した。最後尾、周回遅れの17号車 KEIHIN NSXは、このレースが引退レースとなる第3ドライバー金石勝智選手が残り2周でドライバー交代しコースイン、ラストランに臨んだ。

GT500初優勝となった石浦宏明/大嶋和也の35号車 KRAFT SC430
2位に入った3号車 HASEMI TOMICA EBBRO GT-R(ロニー・クインタレッリ/安田裕信)
3位表彰台を獲得した38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)

 35号車 KRAFT SC430は終始安定した走りで逃げ切りGT500クラス初優勝。最終順位は以下のとおり。

クラス順位ナンバー車名ドライバー
1位35号車KRAFT SC430石浦宏明
大嶋和也
2位3号車HASEMI TOMICA EBBRO GT-Rロニー・クインタレッリ
安田裕信
3位38号車ZENT CERUMO SC430立川祐路
リチャード・ライアン
4位18号車ROCKSTAR 童夢 NSX道上龍
小暮卓史
5位12号車IMPUL カルソニック GT-R松田次生
セバスチャン・フィリップ
6位1号車MOTUL AUTECH GT-R本山哲
ミハエル・クルム
7位39号車DUNLOP SARD SC430アンドレ・クート
平手晃平
8位36号車PETRONAS TOM'S SC430脇阪寿一
アンドレ・ロッテラー
9位100号車RAYBRIG NSX井出有治
細川慎弥
10位17号車KEIHIN NSX金石年弘
塚越広大
金石勝智
11位24号車HIS ADVAN KONDO GT-RJ.P・デ・オリベイラ
荒聖治
12位8号車ARTA NSXラルフ・ファーマン
伊沢拓也
13位6号車ENEOS SC430伊藤大輔/ビヨン
ビルドハイム
14位32号車EPSON NSXロイック・デュバル
中山友貴

 ランキングトップの1号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)は6位でフィニッシュ。5ポイントを追加し、シリーズポイントトップの座を守った。

大波乱のエンディング、セーフティーカー導入が明暗を分けたGT300
 GT300の最大の注目は、62号車 R&D SPORT LEGACY B4(山野哲也/密山祥吾)の参戦だったが、予選でフロントデフからオイルが漏れ出火、残念ながら決勝の出走はできなかった。予選で目を引いたのが808号車 初音ミク Studie GLAD BMW Z4(菊地靖/田ヶ原章蔵/番場琢)の大躍進だった。ここまで最後尾スタートから1台もパッシングすることなくテールエンダーだったが、足まわりのアップデートに加え、第3ドライバーとして参加した番場選手の頑張りで予選12番手(66号車のタイム抹消で1ポジションアップ)からのスタートとなった。

 スタートからポールポジションの81号車 ダイシン アドバン Ferrariが飛び出しトップをキープ。2位争いは予選3位の26号車 UP START タイサンポルシェが11号車 JIMGAINER ADVAN F430をアウトからかわした。

GT300はフェラーリ、ポルシェの争いでスタートした1周目ヘアピン進入。予選3位の26号車 UP START タイサンポルシェが2位浮上

 GT300は序盤から波乱の展開で始まった。3周目の1コーナーで直線番長、26号車 UP START タイサンポルシェがトップに立った。3周終わって2号車 アップル・K-one・紫電がピットイン、ほんのわずか給油を行った。3回ピット義務付けのルールに対応した戦略だ。燃費のよいチームは実質2ストップ、3スティントに義務消化のショートストップを行う戦略を選択した。給油のタイミングは約37周となる。

3周目に26号車 UP START タイサンポルシェがトップに立った5周目に右リアタイヤのバーストでスロー走行する26号車 UP START タイサンポルシェ今度は左リアタイヤのバースト。この後も右リアタイヤがバーストした

 5周目のデグナーでトップを走っていた26号車 UP START タイサンポルシェが右リアタイヤをバースト、優勝戦線から早くも脱落した。26号車 UP START タイサンポルシェはその後も度々タイヤトラブルに見舞われ速さを活かすことができなかった。

トップ争いをする81号車 ダイシン アドバン Ferrariセーフティーカー導入までは優勝に最も近かった11号車 JIMGAINER ADVAN F430

 予選10位の5号車 マッハGOGOGO車検320Rマッハ号(玉中哲二/赤鮫オヤジ)が序盤の主役に躍り出た。徐々に順位を上げ、17周目の1コーナーで11号車 JIMGAINER ADVAN F430を抜き2位に、23周目の裏ストレートで81号車 ダイシン アドバン Ferrariを抜きついにトップに立った。

 人気チーム、808号車 初音ミク Studie GLAD BMW Z4(菊地靖/田ヶ原章蔵/番場琢)はスタート直後にショートピットインを行った2号車 アップル・K-one・紫電、74号車 COROLLA Axio apr GT、タイヤバーストの26号車 UP START タイサンポルシェがいなくなり9位までポジションを上げた。参戦以来初のシングルポジション、ポイント圏内での走行となった。このまま大躍進が続くかと思われたが、GT500、32号車 EPSON NSXとの接触で17周終了時にペナルティピットインが課せられて後退してしまった。

予選10位からトップまで上がった5号車 マッハGOGOGO車検320Rマッハ号(玉中哲二/赤鮫オヤジ)

 26周目、5号車 マッハGOGOGO車検320Rマッハ号はトップをキープしたままピットインに入るが、エンジンが再始動せずコースに復帰することはできなかった。これでトップ争いは11号車 JIMGAINER ADVAN F430と81号車 ダイシン アドバン Ferrariが接戦を演じることとなった。

 30周を越え、トップ争いをする2台のフェラーリがピットイン、給油を行っていないチームに先行を許すこととなった。代わってトップに立った46号車 エスロード MOLA Zだが、ピット作業で43号車 ARTA Garaiyaに抜かれるが、アウトラップでコースアウトした43号車 ARTA Garaiyaを抜き返した。

 2号車 アップル・K-one・紫電も2回目のピットイン、43号車 ARTA Garaiyaは5周後の44周目に再びピットイン、ショートストップを行い2回のピット作業を終わらせた。GT300クラスはマシンによって給油回数が異なるので、コース上の順位と実質の順位が違ってくる展開となった。

 ペナルティ後もペースを維持していた初音ミク Studie GLAD BMW Z4だが、アクセルワイヤーが切れるというトラブルにより、60周目に立体交差下で停止。残念ながらリタイヤとなった。通常の300kmのレースであれば、ゴールまでたどり着ける距離を走っただけに、次戦以降は結果を残せる可能性が高い。

 スタート直後にショートストップを行った2号車 アップル・K-one・紫電と74号車 COROLLA Axio apr GTが3回目のピットインを済ませた時、GT500クラスの8号車 ARTA NSXが炎上、セーフティーカーが導入された。ここで3回目のピットインを済ませたチームと3回目のピットインを残しているチームで明暗を分けることとなった。

 フェラーリ勢などセーフティーカー走行中に3回目のピットに入ったチームは、ピットアウト後に隊列の後方に付くこととなり順位を落とした。

 レース再開後の順位は以下のとおり。

クラス順位ナンバー車名ドライバー
1位2号車アップル・K-one・紫電加藤寛規
吉本大樹
2位43号車ARTA Garaiya新田守男
高木真一
3位46号車エスロード MOLA Z星野一樹
柳田真孝
4位74号車COROLLA Axio apr GT井口卓人
国本雄資
5位11号車JIMGAINER ADVAN F430田中哲也
平中克幸
6位19号車ウェッズスポーツIS350織戸学
片岡龍也
7位81号車ダイシン アドバン Ferrari青木孝行
藤誠暢
青山光司
8位7号車M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口 信輝
折目遼
9位52号車KUMHO TIRE SHIFT IS350佐々木孝太
山野直也
関口雄飛

 戦略が当たりトップに立った2号車 アップル・K-one・紫電が43号車 ARTA Garaiya、46号車 エスロード MOLA Zとの差を広げて優勝を目指した。46号車 エスロード MOLA Zが43号車 ARTA Garaiyaをシケインでパスして2位浮上。このままチェッカーかと思われたが、残り3周でトップ3が急接近、最後まで誰が勝つか分からない展開となった。

 ドラマは最後に待っていた。最終ラップ手前のシケインで、引退ラストランでステアリングを握る17号車 KEIHIN NSXの金石勝智選手がやや早めのブレーキング。これでラインを変えた2号車 アップル・K-one・紫電の横に46号車 エスロード MOLA Zが並び掛け、シケインの出口で46号車 エスロード MOLA Zが先行し、ついにトップに立ち最終ラップへ突入した。

 さらに加速できなかった2号車 アップル・K-one・紫電を43号車 ARTA Garaiyaが最終ラップ1コーナー侵入でパスし2位に浮上した。最終ラップは各車ポジションをキープし、46号車 エスロード MOLA Zが今期初優勝を飾った。

大逆転で優勝した46号車 エスロード MOLA Z(星野一樹/柳田真孝)
2位に入った43号車 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)。シリーズポイントでトップに立った
不運で優勝を逃した2号車 アップル・K-one・紫電(加藤寛規/吉本大樹)
大躍進を見せた808号車 初音ミク Studie GLAD BMW Z4(菊地靖/田ヶ原章蔵/番場琢)

 46号車 エスロード MOLA Z(星野一樹)は昨年のポッカ1000kmで優勝しているので、夏の鈴鹿、GT300クラス2連覇となった。最終順位は以下のとおり。


クラス順位ナンバー車名ドライバー
1位46号車エスロード MOLA Z星野一樹
柳田真孝
2位43号車ARTA Garaiya新田守男
高木真一
3位2号車アップル・K-one・紫電加藤寛規
吉本大樹
4位74号車COROLLA Axio apr GT井口卓人
国本雄資
5位11号車JIMGAINER ADVAN F430田中哲也
平中克幸
6位19号車ウェッズスポーツIS350織戸学
片岡龍也
7位7号車M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7谷口信輝
折目遼
8位81号車ダイシン アドバン Ferrari青木孝行
藤井誠暢
青山光司
9位52号車KUMHO TIRE SHIFT IS350佐々木孝太
山野直也
関口雄飛
10位88号車triple a ガイヤルド RG-3松田秀士
坂本祐也
ゴール直後の花火GT500クラスの表彰式GT300クラスの表彰式

 ゴール直後に恒例の花火が打ち上げられた。さらに表彰式後にはGT500クラス、GT300クラスの優勝ドライバーによるカウントダウンで盛大に花火が打ち上げられた。

表彰式終了後の花火で鈴鹿の夏の祭典は締めくくられた

 ポイントランキングは、43号車 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)が59ポイントで1位、不運にも3位に終わった2号車 アップル・K-one・紫電(加藤寛規/吉本大樹)が57ポイントで2位、19号車 ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也)が55ポイントで3位、逆転優勝した46号車 エスロード MOLA Z(星野一樹/柳田真孝)が53ポイントで4位と接戦が続いている。ポイント制が変更となる残り3戦は、さらに激しい争いとなりそうだ。次戦は9月12日、13日に富士スピードウェイで開催される。

(奥川浩彦)
2009年 8月 26日