ホンダ、東京モーターショーの出展内容を発表
「CR-Z CONCEPT 2009」をはじめ、4輪車では3台のワールドプレミア

CR-Z CONCEPT 2009

2009年9月30日発表



 本田技研工業は、10月23日に開幕する第41回東京モーターショーの出展内容について発表した。今回のモーターショーでは、4輪車、2輪車、汎用製品のブースを合体させ、全出展社の中で単独ブランドとしては最大面積のブースとなる。4輪車では「CR-Z CONCEPT 2009」をはじめとした、ワールドプレミアが3モデルに加え、「FCXクラリティ」、市販直前の「ステップワゴン」や「シビック TYPE R ユーロ」などが展示される。

FCXクラリティステップワゴン
シビック TYPE R ユーロアクティ トラック

 また、「Hello!ゾーン」というエリアも設けられる。ここでは、燃料電池や電気自動車、電気2輪車とそれらにコミュニケーション機能を持たせ、さらに歩行者が持つ携帯端末を組み合わせた「Hello!(Honda Electric Loop)」というコンセプトも提案している。これは、太陽エネルギーを使った発電によりエネルギー供給を行う「Solar Power Loop」と、モビリティ同士、あるいはモビリティと歩行者の道の譲り合いといった情報伝達を可能にする「Communication Loop」の2つのLoopを意味していると言う。

2010年2月発売予定の「CR-Z」コンセプトモデル
 ワールドプレミアとして2機種のハイブリッドモデルが展示されるが、その内の1台は2010年2月に発売するとしている「CR-Z」のコンセプトモデル CR-Z CONCEPT 2009。ライト類などには、コンセプトカーらしい作り込みがあるものの、内装やラゲッジ、ワイパーなども作り込まれ、かなり市販モデルに近いものとなっているようだ。

 そのエクステリアデザインは、「先進」「官能」「塊感」というコンセプトで作られたと言う。ワンモーションのデザインでありながら、彫りの深いプレスラインが、スポーティーでアグレッシブな雰囲気を与えながらも、フロント、サイド、リア、そしてルーフのラインが途切れることなく融合し、塊感を演出している。単に優等生のハイブリッドカーではない存在感の強さを感じさせる。

CR-Z CONCEPT 2009のエクステリア。全長4080mm、全幅1740mm、全高1350mmで、ホイールベースは2435mm
サイドに延びたシャープなエッジがスポーティな印象を与えるブルーのライトがコンセプトカーらしさを感じさせるホイールもシャープでエッジの立ったデザインだ
鋭くとがった印象のドアミラー。市販モデルでは大型化されるか?テールランプもアクリルを使ったコンセプトカーらしい造りになっているCR-Zのロゴ。シーアールズィーと読む

 インテリアは「先進感」「運転する楽しさ」を演出したとのこと。ステアリング周辺に操作パネルを集約し、見やすい位置に先進の3Dメーターを配置。ドライバーにとっての扱いやすさと、ハイブリッド車らしい先進性を感じさせるデザインになっている。また、注目すべきは、トランスミッションが6速MTで、ペダルも3ペダルであること。ハイブリッドカーに6速MTが組み合わせられるのは初で、CR-Zがハイブリッドカーである前にスポーツカーであることを主張しているようだ。エンジンはインサイトよりも大きい1.5リッターi-VTECエンジン+IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)が組み合わせられる。

インテリア。ステアリングの左右に、エアコンやミラーを操作するタッチパネルが配置される
6速MTのシフトノブドアのパワーウインドースイッチもタッチパネル風になっているラゲッジの内側を見ると、トノカバーなども付き、かなり市販車に近いことが伺える

これからのミニバンの新しいカタチ「SKYDECK(スカイデッキ)」
 もう1台のハイブリッドカーは6シーターのミニバンタイプ「SKYDECK(スカイデッキ)」。ひと目見て分かるその特徴は、ミニバンらしからぬ全高の低さ。これは、ハイブリッドユニットをセンタートンネル部に収めることで、シート部の床を低くすることができ、全高を低くしても十分な頭上空間を確保している。

 また、ドアの開き方も特徴で、リモコンを操作すると、前後ドアが外側にせり出し、その後、前席ドアはガルウィング風に前に跳ね上がり、後席ドアは斜め後ろ下方にスライドする。これは、横幅が狭い駐車スペースでも広い乗降スペースを確保するためとのことで、立体駐車場の様に上方にスペースがない場合は、前席ドアは、通常のように横方向に広げることもできるとのこと。

スカイデッキのエクステリア。全長4620mm、全幅1750mm、全高1500mmで、ホイールベースは2885mmピラーレスで広々とした乗降スペースが確保される
ホイールはカーボン風で、アクリルでカバーが施される。これは空力を意識したものドアミラーはなく、代わりにカメラが設けられる斬新なデザインのテールランプ
ドアの開くモーション。まずは外側にドアがせり出す
次に前席ドアはガルウイング状態に、後席ドアは後ろ斜め下に向かってスライドする

 インテリアでもスペース効率を得るため、シートはネットタイプの薄型で、シート下にはレールはなく、センタートンネルにつながる形になっている。このためセカンドシートはフロントシート下に収めることが可能で、サードシートにも楽にアクセスすることができる。ほかにも、車外の明るさを取り込んでくれるガラスルーフに木目調をあしらった明るい内装色は、広々とした爽快な空間を演出している。

2列目のシートが前席の下に潜り込むギミック
シートがセンタートンネルにつながっているのがわかるリアゲートから見た3列目シートシート自体が薄いので、畳めば広大なスペースが確保できる
木目を生かした爽快感のあるインテリア立体的な造形のメーターセンタートンネルに設けられたパネルには、携帯音楽プレーヤーを置くと、非接触でオーディオ接続が可能になると言う

Hello!ゾーンのコミュニケーションする電気自動車
 4輪車のもう1つのワールドプレミアモデルが、電気自動車の「EV-N」だ。「人にやさしい未来のカタチ」を提案するというEV-Nだが、とのコンパクトなボディーと、ホンダN360を彷彿とさせる愛嬌のあるデザインが特徴的。全長はわずか2860mmで、N360の全長2995mmよりも短い。これは、携帯電話でコミュニケーションしたり、デジタルオーディオプレーヤーで音楽を聞くように、もっと身近に気軽に車を感じてもらいたいという想いから、作った形だと言う。狭い街中でも気軽に使えるサイズ。無駄な装備は廃し、必要十分な居住空間を確保。インパネには薄型液晶ディスプレイを用い、シートもネット型の薄型にすることで、このサイズでありながら、後席の足元スペースも十分確保していると言う。

N360をイメージさせるEV-Nのエクステリア。全長2860mm、全幅1475mm、全高1515mmで、ホイールベースは1995mm
ウィンカーを点けるとドアミラー全体が柔らかく光るシンプルだが愛嬌のあるテールランプのデザインルーフにはソーラーバッテリーが装備される
ボンネットを開けるとトランクになる。モーターはこの下に収まる曲線を生かした柔らかいデザインのホイール後部にラゲッジはないので、リアガラスだけが開く
前席。表示類は液晶を使うことで省スペース化薄型のシートバックは簡単に取り外して、自分好みのものに交換ができるシートバックが薄いので、後席足もとにも十分なスペースが確保できている

 また、EV-Nのもう1つの特徴が、フロントグリルやサイドミラー、リアゲートに内蔵されたランプによるコミュニケーション機能。リモコンによる起動や終了に応じた演出や、歩行者に道を譲るといった合図を行うことができる。

起動の合図。グリル中央から光が広がり、ライトへと繋がっていくというモーショングリルの中で光が動いて、歩行者へ道を譲るなどのコミュニケーションができる

 これが、Hello!コンセプトの掲げるコミュニケーション機能で、2輪車の「EV-Cub」やパーソナルモビリティの「EV-MONPAL」、そして手のひらサイズの携帯端末「LOOP」とのコミュニケーションができる。なお、このLOOPはスマートキーとしての機能も持ち、愛車の始動や終了はもちろん、離れたところから自車の位置を確認したり、バッテリー残量の確認や駐車時間の確認などもできると言う。

参考出品のEV-CubLEDのパネルやピラーの点灯により歩行者や車とコミュニケーションを取る
インホイールモーターのEV-Cub。前輪にもモーターが入った2輪駆動だと言うEV-MONPALもライトを使ってコミュニケーション操作パネルには「渡ります」や「ありがとう」というコミュニケーションボタンがある
スマートキーにもなるLOOP駐車場などで、自分の車の位置を探すこともできる

(瀬戸 学)
2009年 9月 30日