メルセデス・ベンツ、クリーンディーゼルSUV「ML 350 BlueTEC」発表会
「BlueTECに乗ることは、環境に責任を持つということ」

ML 350 BlueTEC 4MATIC Limited for Seven Summits by Ken Noguchiとスピークス社長



 メルセデス・ベンツ日本は5月31日、「ML 350 BlueTEC 4MATIC」の報道関係者向け発表会を、都内で開催した。発表会には特別仕様車「Limited for Seven Summits by Ken Noguchi」をメルセデス・ベンツ日本とともに企画した、アルピニストの野口健氏が登場し、クリーンディーゼルの魅力と環境性能を語った。

3種の環境対応車をラインアップ
 ML 350 BlueTECは、「BlueTEC」の名が示すとおり、ポスト新長期規制に対応したクリーンディーゼルエンジンを搭載する。そのメカニズムについては関連記事を参照されたいが、搭載されるパワーユニットは、2月に発売されたEクラスのクリーンディーゼル車「E 350 BlueTEC」と同じもの。最高出力155kW(211PS)/3400rpm、最大トルク540Nm(55.1kgm)を発生するV型6気筒 3リッター ターボディーゼルに、7速ATを組み合わせる。同社はこの性能を「5リッターガソリンエンジンに匹敵する動力性能」と「ガソリンモデルより約20%優れた燃費経済性」と表現する。

ML 350 BlueTEC。外観はノーマルのMクラスと同じで、クリーンディーゼルであることを表すものは「BLUE EFFICIENCY」と「BLUETEC」のバッヂしかない
NOx低減のための尿素水溶液(AdBlue)のタンクはラゲッジルームの下にある。タンクの全容は見えないが、AdBlueの補給口は見える
写真左の左にあるのがAdBlueのボトルこちらはEクラスのAdBlueタンク
燃料補給口はもちろん軽油仕様室内もノーマルのMLと同じ
しかしタコメーターが5000回転までしか刻まれていないので、ディーゼルエンジンと分かるCOMMANDシステムも搭載する
AdBlueのタンクと噴射ノズル。PMを除去した後の排出ガスにAdBlueを吹きかけることでNOxを低減するV型6気筒クリーンディーゼルエンジンこちらは先行して発売されたEクラスのクリーンディーゼル搭載車

 

上野副社長

 同社の上野金太郎 副社長によれば、そのEクラスのBlueTECモデルの販売は、セダンの約20%、ステーションワゴンの約50%を占めると言う。Mクラスでは、初代Mクラスにもディーゼルモデル「ML 270 CDI」をラインアップしており、これはMクラスの50%以上を占める大好評だったと言う。

 ML 270 CDIは自動車NOx・PM法により2002年に販売を終了したものの、この実績がML 350 BlueTECの日本導入に大きな影響を及ぼしたようで「早い段階でML 350を導入したかったので、左ハンドル仕様のみとなった」と、上野副社長はML 350 BlueTECに右ハンドル仕様がない理由を説明。「年間200台の導入を予定しているが、好評を博したら右ハンドル仕様も考える」とつけ加えた。

 同社の環境対応車ラインアップは、Sクラスのハイブリッド車、Cクラスの低燃費ガソリンエンジン「CGI」、そしてEクラスとMクラスのBlueTECと3種類になり、とくにCGIはCクラスの80%を占める。エコカー減税やエコカー購入補助金の対象車は前者が3モデル、後者が26モデルと輸入車最多となる。

 上野副社長は経済産業省の「次世代自動車戦略」で、クリーンディーゼル車の普及目標が2020年に5%、2030年に5~10%となっていることを示し、BlueTECでこの目標に貢献するとした。

 上野副社長に先立って、同社のニコラス・スピークス代表取締役社長兼CEOは、「メルセデス・ベンツに乗ることと環境に責任を持つことは矛盾しない。むしろ、BlueTECに乗ることは、環境に責任を持つということ」と述べ、同社が環境対応でもリーディングブランドであることをアピールした。

メルセデス・ベンツの環境対応技術CGI、ハイブリッド、BlueTECを導入済み欧州のMクラスは90%以上がディーゼル
BlueTECの仕組み。排出ガスにAdBlueを吹きかけ、SCR触媒コンバーターで窒素と水に分解するBlueTECでの有害物質の低減により、ポスト新長期規制に適合したエコカー購入補助金の対象車となるが、輸入自動車特別取扱制度で少数輸入される形式指定外の車両のため、エコカー減税の対象にはならない

「まだベンツと環境がつながっていない」
 限定車の「Limited for Seven Summits by Ken Noguchi」は、アルピニストの野口健氏とメルセデス・ベンツ日本のコラボレーションによる限定車。本革シートなどの快適装備のほか、雪の結晶をイメージしたホイールを装着し、ML 350 BlueTECに山のイメージを纏わせたもの。売り上げの一部は同氏の環境保護NPO「セブンサミッツ持続社会機構」(SSASS)を通じて、環境保全活動に寄付される。7台という限定数はセブンサミッツにちなんだもの。

 野口氏とメルセデス・ベンツのつながりは、2006年頃のこと。環境保護活動やイベントで全国を駆け回る野口氏が、その足として「どのようなクルマに乗ることが、自分のメッセージになるのか」を考えた。ハイブリッドカーというのが一般的な答えだが、「あたりまえすぎて意外性がない、何かを伝えるには面白くない」ので、さらに調べてみたところ、メルセデス・ベンツのクリーンディーゼルに出会ったと言う。

 ディーゼルといえば粒状物質(PM)やNOxといったイメージが先行していた当時のこと。「ディーゼルでエコカーというのが意外で、そのギャップが面白い」と感じ、EクラスのCDIを選択したと言う。

 実際にメルセデス・ベンツのクリーンディーゼルに乗ってみての感想は「燃費のよさに驚いた。(東京と)富士山を往復して17.6km/L、長い距離を走るほどよくなる。そのうえトルクが強い。環境に優しくて運転が面白い」と言うもの。また「野口健がベンツに乗っているのが意外だと言われる。しかし、クリーンディーゼルだと言うと安心してもらえる。まだベンツと環境というのがつながっていないようだ」とも述べた。

スピークス社長(左)が野口健氏に1号車のキーを渡したLimited for Seven Summits by Ken Noguchi。会場に展示されたのはオブシディアンブラック
車両にはSSASSのステッカーが貼られる20インチホイールは雪の結晶をイメージして野口氏が選んだ
本革シートやガラススライディングサンルーフを備える

(編集部:田中真一郎)
2010年 5月 31日