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ホンダ、新型コンパクトクロスオーバーSUV「ヴェゼル」発表会

4WDモデルにもハイブリッド車を設定し、23.2km/Lをマーク

2013年12月19日開催

 本田技研工業は、コンパクトクロスオーバーSUVの新型「ヴェゼル(VEZEL)」を12月20日に発売する。価格は187万円~268万円。車両の詳細な情報については関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20131219_626924.html)(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/20131219_628013.html)を参照いただきたい。

 ヴェゼルは1月14日(現地時間)に開催された「2013年デトロイトモーターショー」で新型コンパクトSUVのコンセプトモデル「URBAN SUV CONCEPT」としてワールドプレミア。11月20日の「東京モーターショー2013」では市販予定車を世界初公開しており、それから約1カ月間に渡って同社HP内の特設サイトで車両の内外装写真などを紹介するティザーキャンペーンを行ってきた。このモデルが12月19日に発表、12月20日に正式発売となった。

ヴェゼルはホンダの4輪販売を支える“新たなグローバルカー”

本田技研工業 代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏

 12月19日に行われた記者発表会には、本田技研工業 代表取締役社長執行役員の伊東孝紳氏、同専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏、開発責任者を務めた本田技術研究所 主任研究員の板井義春氏の3人が出席。冒頭で挨拶した伊東社長は、「ホンダはこれまで既成概念に囚われることなく、新しい価値の創造にチャレンジしてさまざまな製品を世に送り出してきました。そしてこのヴェゼルでも、また1つ新しい価値を生み出しました。SUVのような力強さ、クーペのような艶やかさ、ミニバンのような使いやすさ。こうしたさまざまな価値を融合させ、新たな世界を提供します」と新型車両の基本コンセプトを解説。

 また、「ヴェゼルはフィットに続く“グローバルコンパクトシリーズ”の第2弾になる商品です。来月(2014年1月)にはインドでシリーズ第3弾となるコンパクトセダンの“シティ”も販売を開始します。“グローバルコンパクトシリーズ”をより多くのお客様にお届けして、2016年までには全世界でシリーズ合計160万台の販売を目指します」とコメント。ヴェゼルがホンダの4輪販売を支える「新たなグローバルカー」になると紹介している。

ブランニューモデルのヴェゼルを「クラスの枠を超えた質感を徹底的に追求し、感性を刺激するこのデザインに加え、ひとクラス、ふたクラス上のクルマに搭載される装備や質感を採り入れています」と解説。上質さを求めるユーザーにも満足してもらえるモデルだと確信していると語る伊東社長
グローバル展開されるハッチバックの「フィット」、SUVの「ヴェゼル」、セダンの「シティ」という3モデル。2016年までには全世界でシリーズ合計160万台の販売を目指すと発表

ヴェゼルでハイブリッドカーの新しい価値を提案

本田技研工業 専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏

 ヴェゼルの日本市場での販売展開を解説した本田技研工業 専務執行役員 日本営業本部長の峯川尚氏は「日本はハイブリッドカーに対する関心や期待が非常に高いマーケットであり、ホンダはこのヴェゼルでハイブリッドの新しい価値を提案していきます」とコメント。ヴェゼルが持つ多面的な魅力を紹介し、「とくにハイブリッドにもリアルタイムAWDモデルを用意したことで、“雪道をより安心にパワフルに走ることができて、環境にも優しいクルマが欲しい”というお客様の希望にお応えできるようになりました。お客様がハイブリッドに求める価値の多様化に応え、新しい市場を創造することで、月間4000台の販売を目指します」と語っている。

SUVながらJC08モード燃費の最高値では27.0km/Lという破格の省燃費性能を実現
多面的な価値は、カットした宝石の小さな面を意味する「Bezel(ベゼル)」と「Vehicle(ヴィークル)」のVを組み合わせた車名によっても表現されている
ホンダは4輪車生産50周年という2013年に、「アコードハイブリッド」「フィット」「オデッセイ」「N-WGN」と4種類のジャンルに新車を投入して新しい価値を提案。5車種目の新車となるヴェゼルでも、新しい価値を創造すると紹介している

新型SUVの開発イメージはスペシャルティーカー!?

ヴェゼルの開発責任者を務めた板井義春氏

 ヴェゼルの開発責任者を務めた本田技術研究所 主任研究員の板井義春氏は、「ホンダは四半世紀前にアコードインスパイアというクルマを発表しました。今までになかったパワートレーンやお客様の心を捉えるデザイン、多くの魅力を備えながらも手が届きやすい価格などによって一世を風靡しました。3代目のプレリュードも若者のステータスとして多くの人に愛されたクルマです」「これらのクルマは“スペシャルティーカー”と呼ばれて流行の一端を担いましたが、これはクルマが単なる移動手段としてだけで終わらず、お客様がクルマとともに豊かな気持ちになれたからではないかと思っています。そこで今回、我々が開発の志として考えたのは、多くの人々の心を掴んだスペシャルティーカーのように、お客様が夢のある生活を思い描けるような魅力的な商品を作り出すということでした」と語り、ニューモデルであるヴェゼルの開発テーマを紹介した。

「かつて愛されたスペシャルティーカーのように、生活にゆとりを感じてもらい、お客様の夢を乗せて走りだすというのが開発に込めた想いです」と語る板井氏
外観デザインのテーマは「Dynamic Cross Solid」。クーペライクのスタイリッシュさとSUVのタフな形をクロスオーバーさせている
「Expansible Cockpit」がインテリアのキーワード。広さとタイト感という相反する価値のクロスオーバーを狙っている
キャビン設計には「Smart Cross PKG」を掲げ、扱いやすいボディーサイズの中に広い室内空間を創出し、さらにクーペのパーソナル感も演出するという欲張りなパッケージだ
タイト感の演出に加え、必要な場所にすぐ手が届き、ポケットスペースの充実などで使い勝手を高める「ハイデッキセンターコンソール」
コンパクトなボディーサイズだが、上級セダン同等という吸・遮音材の採用で居住性を高める
燃費、走行性能、静粛性などを同時に高めるべく、空力性能は徹底的に追求。SUVながらフロア下にもカバー類を多用していることが特徴的だ
4WDシステムにはヴェゼル専用にチューニングした「リアルタイムAWD」を投入。雪上コースでのテスト走行を重ね、不安定な路面での走破性だけでなく、日常的なドライ路面でも操縦性をコントロールすることで爽快な走りを演出する
アコードハイブリッド、オデッセイに続いてフロントサスペンションに振幅感応型ダンパーを使用。乗り心地のよさと安定したコーナーリングを両立させる
記者発表会の最後には、登場した3氏に対する質疑応答の時間が用意された
近年過熱する一方の“燃費競争”について質問され、伊東社長は「燃費をよくするというのは、技術屋にとって非常に大事なテーマ。各社がものすごい勢いで技術競争をしていることは、我々にとってもやりがいのある競争です。ただ、クルマは乗って面白くなければいけない、楽しくなければいけないという部分も忘れずにやっていきたいと思っています」と回答
ハイブリッドモデルの販売比率について質問され「新型フィットからハイブリッドの比率が高まっており、ヴェゼルには“ハイブリッド4駆”もラインアップに加えられました。初期の受注では全体の90%近くがハイブリッドモデルとなっています」と答える峯川専務
ボディー同色のカラードボディーロアガーニッシュはハイブリッド Zの専用アイテム
ハイブリッドモデルはクロームメッキ仕上げの専用フロントグリルを装着
バンパー埋込み式のフォグライトはハイブリッドのベースグレード以外に標準装着される
LEDヘッドライトはGグレード/ハイブリッドグレード以外で標準装備。Gグレード/ハイブリッドグレードはマルチリフレクターヘッドライトを装着する
リアコンビネーションランプは全車LED式。ハイブリッドモデルは専用の導光ストライプ式を採用する
リアドアのアウターハンドルをウインドー後方に配置してブラックアウト。存在感を抑えて2ドア風のエクステリアを演出
フロントのアウタードアハンドルはクロームメッキタイプハイブリッド Xやハイブリッド Zではプラチナ調のデザインとなる
ルーフレールはSグレードやハイブリッド Zなどに標準装備。一部グレードにはパッケージオプションで装着可能
LEDドアミラーウインカーは全車標準装備
ハイブリッド Zはスポーツタイプの17インチアルミホイールを装着。タイヤサイズは215/55 R17 94V
ハイブリッドモデルのパワートレーンは、直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴のLEBエンジンにスポーツハイブリッドi-DCDを組み合わせるLEB-H1。電動サーボブレーキ、エアコン用電動コンプレッサーなどもハイブリッドモデル専用となる
インテリア色は写真の「ジャズブラウン」内装のほか、「パッションブラック」「ブラック」の3種類を設定
ハイブリッドのベースグレード以外は本革ステアリングを装着。ハイブリッドモデルは左右のステアリングスポーク裏にパドルシフトを備える
大径自発光式メーターを全車に設定。中央のフローティングネオンリングは通常時はブルーに発光。ハイブリッドモデルでSモードを選択するとレッドに変化するほか、ユーザー設定の中にカラーリングの設定項目を用意し、写真の紫色以外にも数種類から選択可能
ハイブリッドモデルに与えられた新アイテムの「リアクティブフォースペダル(RFP)」。アコードハイブリッドで4輪市販車初採用となった電動ブレーキをさらに進化させ、アクセルワークによるエコドライブ誘導、雪道など滑りやすい路面でのアクセル操作支援、シティブレーキアクティブシステムの作動をペダル反力で通知するなど多彩な支援を行う
インテリアの大きな特徴となる「ハイデッキセンターコンソール」
フィットなどでも使用されている「ハイブリッド専用シフトレバー」
電子制御パーキングブレーキは全車標準装備
インパネの助手席前方に設置された「ワイドフローエアコン」3分割構造で適切な温度管理と助手席乗員に直接風が当たらないような配慮を両立させる
静電式タッチパネルのフルオートエアコンを全車に標準装備。ハイブリッド Zは左右独立温度コントロール式。「インターナビ+リンクアップフリー+ETC車載器」は全車オプション設定
「ジャズブラウン」内装のフロントシート
「ブラック」内装のフロントシート
センタータンクレイアウトの恩恵で広々とした後席空間を確保。リアシートのセンターアームレストは全車標準装備
リアシートはチップアップ&ダイブダウン機構付きで6:4分割可倒式
ラゲッジ容量は通常状態で404L。スクエアでワイドな開口部と低床設計で使いやすいよう考えられている

(編集部:佐久間 秀)