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ホンダ、新型「ヴェゼル」ハイブリッドはクラストップの27.0km/Lを実現
ガソリンモデルも空力性能の追求と軽量化で20.6km/LのJC08モード燃費
(2013/12/19 14:30)
本田技研工業は、コンパクトクロスオーバーSUVの新型「ヴェゼル(VEZEL)」を12月20日に発売する。価格は187万円~268万円。
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|
G | 直列4気筒DOHC 1.5リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,870,000円 |
4WD | 2,080,000円 | |||
X | 2WD(FF) | 2,010,000円 | ||
S | 7速CVT | 2,120,000円 | ||
ハイブリッド | 直列4気筒DOHC 1.5リッター+スポーツハイブリッドi-DCD | 7速DCT | 2WD(FF) | 2,190,000円 |
4WD | 2,400,000円 | |||
ハイブリッド X | 2WD(FF) | 2,350,000円 | ||
4WD | 2,560,000円 | |||
ハイブリッド Z | 2WD(FF) | 2,500,000円 | ||
ハイブリッド X Lパッケージ | 4WD | 2,680,000円 |
多面的な価値を高次元でクロスオーバー
11月に行われた第43回東京モーターショー2013の会場でワールドプレミアされたヴェゼル。車名は「カットした宝石の小さな面」を意味する「Bezel(ベゼル)」にクルマを表す「Vehicle」のVを組み合わせた造語で、「多面的な魅力と価値を持つクルマ」という想いが込められている。開発にあたってターゲットイメージになったのは、同社の「アコード インスパイア」「プレリュード」といったスペシャルティーカー。単なる移動の道具としてだけでなく、豊かで上質な暮らしのパートナーとしてユーザーから支持を得たスペシャルティーカーのポジションを目指して開発が進められ、SUVが持つ「力強さと安心感」、クーペの「あでやかさとパーソナル感」、ミニバンの「快適性と使いやすさ」など、通常では並び立つことのない相反価値を高いレベルでクロスオーバー。“新時代のスペシャルティーカー”として仕立てあげている。
パワートレーンはフィットの15X/RSでも採用するL15Bエンジン+CVTと、L15Bエンジンにフィット ハイブリッドと同じ1モーターハイブリッドの「i-DCD(intelligent Dual-Clutch Drive)」を組み合わせた2系統。駆動方式は2WD(FF)に加えて電子制御4WDの「リアルタイムAWD」をラインアップする。エコカー減税はハイブリッドモデルが免税(100%減税)、ガソリンモデルが75%減税となる。
外観はホンダのデザインコンセプト「エキサイティング Hデザイン!!!」をベースに、クーペのエモーションとSUVのタフさを融合。力強いロアボディーで安定感を演出しつつ、前後を絞り込んだエアロキャビン、ドアパネルからルーフまで跳ね上がるサイドラインなどでシャープさを表現している。ボディーカラーは専用色の「ルーセブラック」「モルフォブルー」「ミスティグリーン」という3色を用意する全8種類。フロントノーズをハイブリッドモデルではクロームメッキ調、ガソリンモデルはウイングデザインのメッキ加飾とするほか、ボディーロアガーニッシュをハイブリッド Zでカラードタイプ、ほかのハイブリッドモデルとSでガンメタリック塗装、X/Gでブラックとするなど、要所のディテールでデザインを変えて個性を演出している。
ハイブリッドと空力追求で“SUVらしい力強さ”と“コンパクトカー並みの燃費”をクロスオーバー
エンジンは直列4気筒DOHC 1.5リッター直噴のL15B型で、ガソリンモデルでは96kW(131PS)/155Nm(15.8kgm)を発生させる。ハイブリッドモデルではエアコン用のコンプレッサーとウォーターポンプを、駆動用バッテリーを持つIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)から電力供給される電動タイプに変更。エンジン出力のロスを低減して最高出力を97kW(132PS)とわずかながら高めつつ、モーターを内蔵するi-DCDとの組み合わせによってベースモデルのハイブリッド 2WD(FF)で27.0km/LのJC08モード燃費を実現。同クラスのライバルを圧倒する高い環境性能を手に入れている。
また、燃費向上に加えて上質な室内空間と爽快な走行性能をクロスオーバーさせるために空力特性も徹底的に追求しており、SUVながらアンダーフロアの広い面積にカバーを施して前後リフトバランスを最適化。この効果で、ガソリンモデルでもJC08モード燃費をG/Xの2WD(FF)で20.6km/Lまで高めている。
モデル | JC08モード燃費 |
---|---|
ハイブリッド(FF)/(4WD) | 27.0km/L/23.2km/L |
ハイブリッド X(FF)/(4WD) | 26.0km/L/23.2km/L |
ハイブリッド Z(FF) | 24.2km/L |
ハイブリッド Z Lパッケージ(4WD) | 21.6km/L |
モデル | JC08モード燃費 |
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G/X(FF) | 20.6km/L |
S(FF) | 19.2km/L |
G(4WD) | 19.0km/L |
このほかに走行面では、先に登場したアコード ハイブリッドやオデッセイなどで採用された振幅感応型ダンパーをフロントサスペンションに備え、さらにリバウンドスプリングも設定。路面の小さな凹凸などをしなやかに吸収しつつ、タイトコーナーなどで発生するストロークが大きい入力には高い減衰力を発生させて車両姿勢を安定させる。大きな荷重変化はリバウンドスプリングで伸び方向の動きを抑制し、車高の高さを感じさせない旋回性を実現する。また、フロント側のロールセンター高をリアに対して低く設定して前下りのロール姿勢としたことで、コーナーリング時のフロントタイヤの応答性とリアタイヤの安定感を両立。ボディーを自然にロールさせることで乗員に安心感を与えるセッティングとなっている。
4WDシステムには電子制御式のリアルタイムAWDにヴェゼル専用セッティングを施して採用。SUVとしての悪路走破性だけでなく、コーナーリング時にはアクセルオフの状態で前輪だけを駆動させるFF状態としてアンダーステアを抑制。アクセルが踏み込まれると積極的にリアタイヤにも駆動力を配分し、ソフトなアクセル操作ではニュートラルステア状態を保つようにするほか、大きなペダル踏み込みからドライバーのアグレッシブな走りに対する要求をくみ取り、安全性は確保しながらもリアタイヤの駆動力配分を高め、VSAの作動を抑制して弱オーバーステア状態を誘発。アクセル操作によって向きを変えるようなセッティングとしている。
クーペの“パーソナル感”とミニバンの“使い勝手”をクロスオーバー
インテリアの開発コンセプトは「Expansible Cockpit」。広い空間を意味する「Expanse」とタイトなスポーティさをイメージさせる「Cockpit」の2つの言葉を組み合わせて独自の世界観を表現。フロントシートではクーペのパーソナル感を最も重視し、ドライバー側に向けたセンターパネルや2段構造の「ハイデッキセンターコンソール」で運転席のコックピット感覚を演出。タッチ操作の電子制御パーキングブレーキやフルオートエアコン、フローティングネオンリングを備える大径自発光式メーター、プッシュ式のパワースイッチ&エンジンスタート/ストップスイッチなどの装備で先進性をアピールする。また、インパネの助手席側には横一文字にデザインした「ワイドフローエアコン」を設置し、3分割構造でドアのある左側を強く、助手席乗員の正面になる中央を弱く、センターパネルに近い右側を中程度という風量設定を与え、車内をしっかり温度調整しながら吹き出した風が乗員に直接当たりにくいよう配慮している。
リアシートはフィットの「ULTR SEAT(ウルトラシート)」と同じく座面のチップアップが可能となっており、低床フロアと高めな室内高との組み合わせで多彩な使い勝手を実現。一方で座面長を上級セダン同等としながらも十分なレッグスペースを確保し、リアドアのウインドーラインと合わせたシートバックも大人の肩口までしっかりと支える高さを持っている。シートバックのリクライニングは前後に2個所のロック位置を用意する。
【お詫びと訂正】記事初出時、価格表内のハイブリッドシステムが「IMA」となっておりました。正しくは「スポーツハイブリッドi-DCD」となります。お詫びして訂正させていただきます。