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日産&NISMO、2015年からル・マン24時間レース/WECのLMP1に「NISSAN GT-R LM NISMO」で参戦

「Go NISSAN!」を表す5月23日に、アウディ、ポルシェ、トヨタとの対決を宣言

GT-Rの前に置かれているのは、ル・マン24時間レース/WECのLMP1参戦車「NISSAN GT-R LM NISMO」なのだろうか?
2014年5月23日(現地時間)発表

「NISSAN GT-R LM NISMO」

 日産自動車とNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は「Go NISSAN!」を表すという5月23日(現地時間)、英国ロンドンにおいて2015年からル・マン24時間レース/WECのトップカテゴリーであるLMP1に2台のワークス体制でフル参戦することを発表した。参戦マシンは「NISSAN GT-R LM NISMO」となり、市販車「NISSAN GT-R」との関連性を強く打ち出す。

GT-RとNISMOブランドを強化する

 同社は今年の6月14日~15日に開催されるル・マン24時間レースに、革新的で新しい技術を紹介する車両のための「ガレージ56」枠に「NISSAN ZEOD RC(Zero Emission On Demand Racing Car)」を参戦させるが、あくまで実験的な参戦という要素が強い体制だった。2015年はアウディ、ポルシェ、トヨタなどトップカテゴリーのLMP1に参戦しているメーカーと直接競合していく。

日産自動車 副社長兼CPLO(Chief Planning Officer)アンディ・パーマー氏

 日産自動車 副社長兼CPLO(Chief Planning Officer)アンディ・パーマー氏は記者会見の中で「参戦するからには本気で勝利を目指したい。かつ我々が参戦するからには、他の競合他社と同じようなアプローチは望まず、これまでにないような革新的なクルマを作っていきたい。ちょっとした問題児でありたいと思っている」と述べ、ほかのワークスチームとはまったく異なるレーシングカーにすることを示唆した。しかしながら、「競合他社も多大な興味を持っていると思うので、今回発表するのはご容赦願いたい」と、その詳細について語ることはなかった。

 パーマー氏は同社がWeb上に公開したビデオでは、「日産の人気ブランドGT-Rと、NISMOの両方のブランド名を関している。その成功により、今後NISMOのブランドはサーキットでの成功だけでなく、ロードカーでの成功へもリンクしていくだろう」と述べ、日産のフラグシップカーである「GT-R」の名称と「NISMO」のブランドを冠することにより、両ブランドの向上を目指し、NISMOブランドの市販車を強化していく。ドライバーに関しては現在選定が続いており、決定次第発表されるとのことだ。

 日産のル・マン24時間へのワークス参戦は長い歴史があり、初参戦は1986年。それ以来年々実力をつけていき、1990年には圧倒的なタイムでポール・ポジションを獲得するなど、勝利まで後一歩に近づいた時期もあった。その後、1989年のル・マン24時間レースではR390を駆る星野一義・鈴木亜久里・影山正彦組が3位表彰台を占めるなどの活躍を見せたが、翌1999年のR391による挑戦を最後に同社の経営不振などもありワークス体制での挑戦は行われていなかった。トップカテゴリーで総合優勝を狙えるクラスでの参戦は、実に16年振りの挑戦となる。

 記者会見にはこのほかにも、ル・マン24時間を統括するACO(フランス西部自動車クラブ)の会長や、NISMO 取締役社長 宮谷正一氏などが登壇し挨拶を行った。この中で宮谷氏は「今回の挑戦は日本のNISMOだけでなく、グローバルな日産の取り組みとして行われる」と述べ、実際のレースオペレーションなどを含めてNISMOと日産本体が積極的に取り組んでいくとした。なお、宮谷氏はビデオの中で「SUPER GTやほかのモータースポーツ活動がこのLMP1参戦でスポイルされることはない。現在の活動に加えてこのLMP1活動を行っていくのだ」と述べ、従来のモータースポーツ活動の縮小はないようだ。

 記者会見には今年のル・マン24時間レースに、NISSAN ZEOD RCで参戦する、本山哲選手、日産GTアカデミー(グランツーリスモ出身のドライバー育成プログラム)卒業生となるルーカス・オルドネス選手、ウォルフガング・ライプ選手の3名も登壇。本山選手は「世界初のチャレンジに参加できることが嬉しい。2年前は不幸なアクシデントで完走することができなかったが、今年はチームとほかの2人と一緒に走りきりたい」と述べた。

NISMO 取締役社長 宮谷正一氏
2014年のル・マン24時間にNISSAN ZEOD RCで挑戦する3人のドライバー。左2人目がルーカス・オルドネス選手、中央がウォルフガング・ライプ選手、右から2人目が本山哲選手。2015年のル・マン24時間/WEC LMP1参戦時のドライバーは未定だが、SUPER GTのニッサンドライバーから選んでほしいものだ

(笠原一輝)