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【CEATEC JAPAN 2015】豊橋技術科学大学と大成建設、走行中給電で走るEV

左右のタイヤから給電

2015年10月7日~10日10時~17時開催

Web事前登録者は入場無料。当日登録は一般1000円、学生500円

デンソーが展示した小型EVプラットフォームとピコグリッド・システム

 ITとエレクトロニクスの展示会「CEATEC JAPAN 2015」(シーテック ジャパン 2015)が10月7日から幕張メッセ(千葉県千葉市)で開幕する。この開幕前日となる10月6日に報道向けの事前公開が行われた。

 CEATEC JAPAN 2015では、日本国内の自動車メーカー以外でもさまざまなブースで自動車関連の展示が多数行われている。エレクトロニクスメーカーでもあるデンソーをはじめ、カーオーディオ製品を三菱電機が展示。V2Hなどの機器のニチコン、そしてエレクトロニクス機器の塊であるEV(電気自動車)を販売しているテスラモーターズジャパンなどだ。

 デンソーは、小型EVプラットフォームとピコグリッド・システムを展示。カーシェアリングで使われる小型EVのあり方について、不特定多数がシェアして使いやすいよう、キーでなくICカードで起動するシステムを採用するほか、クラウドと連携して個々のユーザーのオリジナル画面が呼び出せるディスプレイ、ドアがない開放的な車両を想定して座面からエアが吹き出すシートによる空調機能などのシステムを提案した。

 また、車両側のシステムだけではなく、小型EVを「移動する電源」としても利用するピコグリッド・システムとも連携。太陽光発電で小型EVに電力供給をしているカーシェアのステーションで電気が余りそうな場合、充電残量が足りない車両をそのステーションに誘導することで電力の平準化を行うという。

デンソーが展示した小型EVプラットフォームとピコグリッド・システム
カーシェアでの使用を前提とした車両で、ステアリングホイール中央にICカードリーダを搭載
シートはエアが出る空調機能を内蔵。後方のチャイルドシートに子供を乗せることができる

 車両以外の展示で今回用意されたDC充電器は、CHAdeMOの仕組みを利用して充電制御を細かく行う家庭用の充電器。従来のACの普通充電では家側から充電量を制御することができなかったが、CHAdeMOの仕組みを使ったDC充電であれば、家庭での消費電力とブレーカーの容量をチェックしながら充電量を家側のHEMSなどのシステムでも制御できる。

 また、ACの普通充電では車両側に変換機器の搭載が必要になるが、DC充電だけになれば車両側に電源変換機器を搭載せずに済み、車両の軽量化などにも繋がる。デンソーは将来的に、DC充電器の普及によって価格を15万円程度まで下げたい考えだ。

壁設置タイプのDC充電器
ハンディタイプのDC充電器。どちらも機能は同じだが、設置方法や使い方に合わせて2種類を提案している

 このほかのデンソーの展示品では、地図や図版を中央に配して分かりやすくした二次元バーコード「MapQRコード」、クルマのステアリングにも設置できる小型コントローラー「KKP(くるくるピ)」などを展示。新しいインターフェースを積極的に提案している。

中央に地図を配した「MapQRコード」。スマートフォンで読み込んでカーナビなどとも連動可能
小型コントローラーの「KKP(くるくるピ)」。クラウドファウンディングで資金を集め、12月に一般向け販売を開始予定。価格は5000円以下の予定とのこと
KKP(くるくるピ)はステアリングホイールに取り付けて利用するほか、単体で車載時以外のリモコンとしても利用可能
デンソーは車載機器を数多く手掛けるメーカー。ブースではEVの制御機器なども展示した

 三菱電機のブースでは、先日発表したばかりのDIATONEブランドのカーナビゲーション一体型オーディオ「NR-MZ100」シリーズを実車にインストールして展示。車内でタイムアライメントを取った実際の音を体感できる。

三菱電機はアルファ ロメオ「ジュリエッタ」をオーディオデモカーとして用意
車内にヘッドユニットとして「NR-MZ100 PREMI」をインストール。ダッシュボードの2DINスペースにNR-MZ100 PREMIが収まっている。来場者は誰でも先着順に視聴可能。スピーカーは下のほうに設置されているが、タイムアライメントによって上から音が聞こえてくる
スピーカーはDIATONEブランドの「DS-G500」システムをインストール

 ニチコンは、蓄電池付きのV2Rシステムをトヨタ自動車の「MIRAI」とともに展示。クルマから家庭への電源供給を現実的なものとした。

トヨタ「MIRAI」を展示、ニチコンのV2H機器と連動することをアピールした

 テスラモーターズジャパンは、2014年9月から日本市場でのデリバリーを開始したセダンタイプEV「モデルS」の完成車両とパワートレーンを装着したフレームの2種類を展示。エンジンがなく、小型のモーターとフロア下に並べて備え付けた薄型リチウムバッテリーの展示により、EVのメカニズムのシンプルさをアピールしている。

テスラはモデルSを展示。ゆったりとしたスペースでクルマを見ることができる
専用コネクタを備える充電器も展示
車両前方のボンネットを開けると、エンジンを持たない広大な空間がラゲッジスペースとなっている
アルミニウムと高張力鋼板を組み合わせたフレームの展示。これだけでバッテリー、モーター、パワーステアリングなど、走行に必要なほとんどのコンポーネントがそろっている
リアの車軸後方にモーターを搭載する後輪駆動方式
フロント側にはステアリング関連の仕組みをレイアウト
フロントタイヤにドライブシャフトは続いておらず、最近になって登場したAWDモデルではないことが分かる

 豊橋技術科学大学と大成建設は、共同で走行中給電システムについての展示を行った。これは道路の路盤部分に並べて埋め込んだ金属製の電極線路から、タイヤのスチールベルト、ホイールを介して車両に電気を送って走行用のエネルギーとして使うシステム。展示された車両は走行はしないものの、実際に電送された電気を使って駆動輪が回転するシーンを披露していた。

 なお、自動車への搭載のほか、倉庫内で同様の仕組みを使い、電動カートによる搬送システムの展開も考えているという。

豊橋技術科学大学と大成建設が展示したトヨタ車体「コムス」をベースとした車両。走行中給電を行うため、走行用バッテリーは非搭載。電気は13.56MHz(今回の試作機)の高周波で電送する。タイヤの銘柄によって電送効率に差は出るが、基本的には市販品をそのまま利用する
左右のタイヤから電気を得て走行用電源とする。デモカーのため、ケーブルが露出している
道路の下に埋め込まれた左右の金属に高周波を印加しているところ。実際には露出させないように設置される

(正田拓也)