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トヨタ、米Kymetaの衛星通信機能を搭載したFCV「MIRAI(ミライ)」実験車
液晶技術とソフトウェアを用い、電子的に衛星を補足する独自技術を採用
(2016/1/13 00:00)
- 2016年1月12日発表
トヨタ自動車は1月12日、2016年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)において米Kymetaが持つ衛星通信技術を活用した、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の実験車を参考出展したと発表した。
トヨタは、Kymetaと2013年9月から大量のデータを車両に衛星配信することを想定した車載用平面アンテナの共同研究を開始。現在は自動車向けアンテナの開発・試験における独占権を得て、同社に試験車を貸与して走行評価を行なっている。今回公開した試作アンテナ搭載のMIRAIは、こうした衛星通信機能の車載に向けた取り組みの進捗を示すものという。
従来の衛星通信アンテナでは、衛星を捕捉するためパラボラアンテナのような曲面の形をしたものが一般的になるが、Kymetaでは液晶技術とソフトウェアを用いることでこうした形状を必要とせず、電子的に衛星を補足できる独自技術を搭載。そのためアンテナを平面化、小型化し、車載に適したものにできるとともに、「車両へ大量のデータを配信できる」「カバーエリアが広く、グローバルに国や地域をまたいで同規格のもと『つながる』クルマを展開できる」「天災等の緊急時でもより安定した通信が確保できる」といったメリットがあるという。
今回の実験車について、トヨタの専務役員である友山茂樹氏は「トヨタは何年にもわたり世界中の様々な企業を訪問するなど、新しい技術を探してきた。中でもKymetaの平面型アンテナは、衛星通信技術を車載するにあたっての課題を解決する可能性を秘めており、非常に期待している」とコメント。
また、Kymetaのネイサン・クンツCEO(最高経営責任者)は「当社はこれまでに1万km以上も衛星通信機能を備えたクルマの路上試験を実施しており、世界に先駆けて車載に適した衛星通信アンテナを実現すべく、トヨタと協業できることを大変うれしく思う」と述べている。