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トライアンフ、エントリーモデル「STREET TWIN」など6車種発表会

2016年は「毎月、新型車を1車種ずつ発売。攻めに転じる」

2016年1月21日開催

トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン、価格100万円未満となるエントリーモデル「STREET TWIN」など計6車種を発表

 トライアンフ モーターサイクルズ ジャパンは1月21日、2016年に発売するクラシックモデル4車種とスポーツモデル2車種の計6車種を国内発表した。エントリーモデルとなる「STREET TWIN」は1月23日から、スポーツネイキッドの「SPEED TRIPLE S」と「SPEED TRIPLE R」は2月、同社の伝統的なモデルであるボンネビルの名を継ぐ「BONNEVILLE T120」と「BONNEVILLE T120 BLACK」は3月、ハイパフォーマンスモデルの「THRUXTON R」は4月と、1カ月ごとに1車種ずつ発売する。

走りながら登場したSTREET TWIN
SPEED TRIPLE R
BONNEVILLE T120
1968年式Bonneville T120も展示
THRUXTON R
発表会の風景
STREET TWIN、BONNEVILLE T120などを発表
プレスだけでなく関係者やトライアンフのオーナーらが招かれた発表会場では、オリジナルのカクテルなどが振る舞われた

個性的あふれる2気筒のモダン・クラシックにエントリーモデル「STREET TWIN」

「STREET TWIN」は、モダン・クラシックのカテゴリーに新たに登場したモデル。899ccの水冷SOHC並列2気筒エンジンを搭載し、最高出力は55PS、最大トルクは80Nm。2気筒ではあるが、スロットルバルブ自体は1つで、2又に分かれる構造となっている。価格は100万円未満からということもあり、女性を含め、トライアンフの2輪車に初めて触れるユーザー向けのエントリーモデルに位置付けられる。

STREET TWIN
ヘッドライト
ハンドル、メーター
イグニションをオンにした時のメーター表示
フロントホイール
エンジン

 今回発表された6車種のうち、このSTREET TWINのみオプションでTPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム:タイヤの空気圧を監視してデータを無線信号でやりとりし、異常時に警告する仕組み)に対応する。ただし、標準のキャストホイール、チューブレスタイヤを装備した状態でのみ利用でき、オプションのスポークホイールに交換した場合は利用できない。

オプションのサイドバッグを装備
オプションの「インスピレーションキット」を装着したモデル
VANCE & HINESのサイレンサー
ベンチシート
フロントLEDウインカー
リアLEDウインカー
サンプガード
バレル型ハンドルグリップ
リアフェンダーレスキット

「BONNEVILLE T120」「BONNEVILLE T120 BLACK」

「BONNEVILLE T120」および「BONNEVILLE T120 BLACK」は、同社の伝統的なモデル、ボンネビルの名を受け継ぐ、モダン・クラシックカテゴリーにおけるメインストリーム。両車種の主な違いは全体のボディカラーで、基本仕様は同一となる。1197ccの水冷SOHC並列2気筒エンジンで、最高出力は80PS、最大トルクは105Nm。ロードとレインの2パターンから選択可能なライダーモードを備え、路面や気分に合わせたエンジン出力でライディングを楽しめる。グリップヒーターも標準装備する。

BONNEVILLE T120
後方からのアングル
ヘッドライト
タンク
メーター
ハンドルグリップ
フロントタイヤ
1968年式Bonneville T120

「THRUXTON R」

「THRUXTON R」は、オーリンズ製サスペンションやブレンボ製ラジアルモノブロックブレーキキャリパーなどを備えるハイパフォーマンスモデル。モダン・クラシックカテゴリーの最上位機種であり、各部パーツに高い質感が与えられている。1200ccの水冷SOHC並列2気筒エンジンで、最高出力は97PS、最大トルクは112Nm。ロード/レイン/スポーツの3パターンから選択可能なライダーモードを備える。グリップヒーターはオプション。

THRUXTON R
ヘッドライト
ハンドルとミラー
ブレンボ製モノブロックラジアルブレーキキャリパー
オーリンズ製リアサスペンション
エンジン

さらに魅力を増した3気筒スポーツバイク「SPEED TRIPLE S」「SPEED TRIPLE R」

「SPEED TRIPLE S」と「SPEED TRIPLE R」は、大排気量ながらもコンパクトな車体で、扱いやすいハイパワーを備えるストリートファイター系スポーツネイキッド。リニューアルした1050ccの水冷並列3気筒エンジンは、従来より横幅を縮小した。スタンダードモデルの「S」は、ブレンボ製モノブロックブレーキキャリパーやショーワ製前後サスを装備。上位モデルの「R」は、前後サスがオーリンズ製となり、クイックシフターと、軽量・高強度のカーボンファイバーを外装に採用する。いずれの車種も特徴的な片持ち式スイングアームとしている。ABSのオン・オフが可能なことに加え、ロード/レイン/スポーツ/トラック/ライダーの5パターンから選択可能なライダーモードを備える。

SPEED TRIPLE S
ヘッドライト
タンク
メーター
シート
サイレンサーとリアまわり
フロントホイール
リアホイール
エンジン
SPEED TRIPLE R
ハンドル、メーター
ヘッドライト
タンク
シート
シュラウド
リアまわり
オーリンズ製リアサスペンション
エンジン

クラシックでありながらエンジンは完全新設計。最新電子制御も

 モダン・クラシックカテゴリーの4車種については、新開発となる水冷エンジンを搭載した。ピーク馬力ではなく、街乗りやタンデム走行時の加速感と乗り心地を追求したトルク重視の設計としている。例えばBONNEVILLE T120では、従来の空冷エンジン搭載BONNEVILLEと比較して54%のトルクアップを果たし、街乗りにおける常用域でのパワーを最大限に活用できるという。

 クランクシャフトの構成は270度としたことで、重厚なエンジンサウンドを奏で、特有の鼓動感とフィーリングを味わえるようにした。また、最新の排ガス規制に対応するため水冷エンジンとなったが、従来の空冷エンジン搭載車のようなシンプルな見栄えを水冷エンジンでも再現するべく、水冷システムを1から設計し、露出の少ないコンパクトなレジエータ―を実現した。

どの車種も従来車種と比べトルクを大幅にアップさせた
小型の水冷システムを新設計

 クラッチ部は、シフトダウンなどによる唐突なエンジンブレーキを抑制するスリッパ―クラッチと、クラッチレバーの操作に必要な力を軽減するアシスト機構を一体化したユニットを採用。これにより、エンジンやクラッチ操作の扱いやすさを向上させるとともに、エンジン自体の横幅を抑えることにも成功した。実際にクラッチレバーを操作してみたところでも、指一本で軽々と握り込むことができた。

 エレクトロニクス部分では、LEDリアライトやABSのほか、スロットル部でライドバイワイヤ(ライダーが操作するスロットルとインジェクション内のバルブを電気的に接続した仕組み)を採用。オン・オフ可能なトラクションコントロールを搭載し、メーター内にはギアポジションも表示する。

クラッチは、スリッパ―クラッチとアシスト機構を一体化した構造
LEDリアライトを装備
ABSは新しいモジュールとなる
ライドバイワイヤとトラクションコントロールも標準装備

 さらに、充電用USB端子を1ポート用意。シート下などに設置され、別途準備したUSBケーブルを接続してスマートフォンなどを充電できる。トライアンフ純正のLightningケーブル、Micro USBケーブルも後日発売され、すでにオプションとして用意されているスマートフォンなどをハンドルに固定するホルダーと組み合わせて利用できるようにする。

USB電源がシート下に設けられている
STREET TWINの装備、テクノロジー
BONNEVILLE T120の装備、テクノロジー
THRUXTON Rの装備、テクノロジー
車体ジオメトリーもさらなる乗りやすさを目指して調整された

月に1台の新型車。倍の工数をかけて開発した

トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン 代表取締役社長の野田一夫氏

 発表会で登壇した同社代表取締役社長の野田氏は、今回発表した6車種について、「従来の倍の工数と人的資源をつぎ込んで開発を行なった」と述べ、さらに2016年は「月に1台の新型車を投入していく」と高らかに宣言した。

 英国に本社を置くトライアンフは、1900年初頭からオートバイの製造を手がけ、レースシーンなどで数々の記録を打ち立ててきたものの、1980年代には主要工場の閉鎖を余儀なくされるほどの経営危機に陥ったこともある。同氏は毎月新型車を投入することで「トライアンフはこれに賭けているんだという勢いのある姿を見せる。これからは攻めに転じる」と語り、新型車に自信を見せた。

 5月以降にリリースする車種は未定だが、すでに英国で発表されている新型の「TIGER」をはじめ、既存車種を順次リニューアルして発売していくものとみられる。2016年の国内における目標販売台数は、全車種合わせて1600台を見込む。ラインアップに新しくSTREET TWINを追加したことも加味し、2014年の1375台、2014年の1174台よりも多めに設定した。野田氏は「やみくもに販売台数は追い求めない。まずはきちんとした製品をお客様にお届けすること」と話し、顧客とのコミュニケーションを重視していく方針。

(日沼諭史)