インプレッション
岡本幸一郎のスキー・スノボに行くなら、やっぱクルマで。トヨタ「ランドクルーザープラド」でガーラ湯沢へ行ってみた
2018年2月10日 00:00
今冬シーズン、JR東日本を利用している人は、駅の構内などで映画「私をスキーに連れてって」をリスペクトした、「私を新幹線でスキーに連れてって JR SKISKI」というキャンペーンを展開しているのをご存じだろう。中でもJR東日本グループのガーラ湯沢は、新幹線の駅とゲレンデが直結していることで知られるが、実はクルマでもとってもアクセスがよいスキー場だ。関越自動車道 湯沢IC(インターチェンジ)からすぐそこにあり、都内からは関越道の基点の練馬ICから2時間あまりで着いてしまう。
そこで今回、スキー・スノボに行くのに理想的なクルマの最有力候補と思っていたトヨタ自動車「ランドクルーザープラド」で、ガーラ湯沢へと向かうことにした。プラドは2017年秋に2度目のマイナーチェンジを実施したばかり。1世代前はフェイスやリアの立体的なデザインがウリだったところ、新型ではスッキリとしてモダンな印象になった。全車に採用されたLEDヘッドライトも先進感があってよいし、ホイール専業メーカーのような凝ったホイールのデザインもなかなかよい。
インテリアもインパネまわりがリフレッシュされて、タブレット型になったディスプレイがよりそれを引き立てている。新色のニュートラルベージュの内装色も上質な雰囲気で、全体的に高級感が増している。心なしか視界がよくなったような気がしたのだが、調べてみると新型ではボンネットフードの形状やエアコン吹き出し口の位置を工夫して視認性の向上を図ったようで、なるほど納得である。
バックドアが横開き式なのもプラドの特徴の1つで、横開き式のほうが開閉するときにあまり大きな力を要しないし、それゆえバックドア自体のサイズも重くなることを恐れず大きくできるので、開口部を広く確保できるのがメリット。加えてスキーのように長尺ものを積み降ろしする際に跳ね上げ式だと頭上のドアがジャマになることがあるが、横開き式ならそれがない(跳ね上げ式は雪の際にちょっとした屋根になるなどのメリットもあるが)。しかもプラドの場合はオイルダンパー付きステーが装備されていて、ドアを任意の位置で保持することもできる。さらにはバックドアガラスハッチもあって、小さな荷物ならそこからさっと取り出せるのも重宝する。
3列目シートを電動でアレンジできるのも便利だ。それをバックドア側だけでなくリアドア側からもスイッチ操作でアレンジできるようになっているのも、実際に使う人のことをよく考えているなと思う。2列目は4:6分割可倒式なので、このようにアレンジすれば3人+3人分のスキーと大荷物を積んでも快適に移動できる。
駐車するときや再び走り出すときには、360度ビューがあると本当に助かる。キーを身に着けてクルマに近づいていくと、ドアミラー下と足下、室内灯が光ってくれるという新しい機能も、こうして夜間にクルマに乗るときにはとても役に立つ。
いざ、ガーラ湯沢へ
夜に関越道を北上すると、この日は晴れていたが、少し前に降った雪で埼玉でもまるで雪国のような景色。群馬エリアに入っても最初は雪は降っていなかったが、県境に向かうにつれてチラチラと雪が舞い始めた。
プラドは高めのアイポイントにより見はらしがよく、ゆったりとした乗り心地と操縦性により、リラックスしてドライブできるので、こうしたロングドライブも苦にならない。新型プラドには「Toyota Safety Sense P」が標準装備されたのも特徴。万一のときに頼りになるのはいうまでもなく、的確に先行車との車間距離を保ってくれるACCはもとより、車線逸脱警報機能やオートマチックハイビームも付く。ブラインドスポットモニターがあると、車線変更する際の安全確認をより確実に行なえる。こうして長距離を高速移動するときに役立つ機能が満載だ。
ところで、プラドに乗るのはひさびさだが、こんなに静かだったっけ? こんなに乗り心地がよかったかな?と感じたのが第一印象。現行プラドには、2009年に出てすぐと、2013年のマイナーチェンジ、2015年のディーゼル追加時と、節目節目で比較じっくり乗る機会を得てきた。今回のマイナーチェンジでは、走りに関する変更は伝えられていないものの、全体的によくなっているように感じられた。これなら車内の会話もはずむってもんだ。
2年あまり前にリニューアルした谷川岳PA(パーキングエリア)に立ち寄ってから、関越トンネルへ。そしてトンネルをすぎると雪国だった、……けど路面に雪はなかった(笑)。
関越トンネルから湯沢ICまではいくらもない。湯沢ICで下りて目的地の近くのコンビニで買い物していると、某ハイトワゴンでそこに来ていた若者4人組が、プラドを目にするなり「おお、カッケー!」と言っていた。やっぱりプラドみたいなクルマは、若者ウケがよいようだ。
宿泊地の近くには、こんなところ普通のクルマじゃぜんぜん無理と思われる、かなりタイトで勾配のついた道もあったのだが、そんなところでもプラドはものともせず走れてしまう。実に頼もしい。ランクル200ほどではないにせよ、これだけサイズがあると、さすがに小回りが利かないので1発で曲がれず切り返さなければならないのだが、ブレーキに気を遣わなくてもクルマがずり下がる心配もなくないので、それをとってもラクにできる。また、ランクルシリーズとして初めて採用したというリアのトルセンLSDも、駆動力を確保するのに効いているはずだ。ディスプレイに前輪の舵角が表示されるのも分かりやすくて助かる。
そして翌朝、いざガーラ湯沢へ。ゲレンデのすぐ近くまでクルマで行けるのがありがたい。ボディサイズはそれなりに大きいが、大きすぎないのもプラドの強み。おかげで宿泊地から駐車場までの狭い道も臆することなく走れたし、駐車スペースからはみだすこともない。好天にも恵まれて、雪のコンディションも最高! 久々のスキーを大いに満喫することができた。
車両にはブリヂストンの「ブリザック DM-V2」が装着されていた。SUVに特化して開発されたスタッドレスタイヤゆえケースやブロックの剛性が十分に確保されているようで、走りにはしっかり感があり、フラつきが気になることもなく、舗装路での走りはOEMタイヤに対してもそん色なさそう。それでいて圧雪の一般道や部分的に凍った路面でも頼もしいグリップを得ることができた。こうしたSUVがウインターレジャーに使わることを想定して、とくに雪上性能の確保に注力していることがうかがえた。
今どきのSUVは多様化してさまざまなタイプが存在するが、プラドはクロカン車らしいタフさと、使い倒せる道具感と、高級車に負けない快適性と先進性の全てを併せ持っているところが偉い。そして冒頭でも述べたとおり、やっぱりプラドはスキーに行くのにもってこいのクルマだとあらためて認識した次第である。