試乗記
レクサス初の本格3列シートSUV「TX」試乗 2.4リッターターボをチェック
2023年10月17日 08:10
V型6気筒3.5リッターのPHEVも開発中
レクサス初の本格3列シートSUVが「TX」となる。日本ではなじみがないが北米市場専用モデルでトヨタ「グランドハイランダー」のレクサス版にあたる。
GA-Kプラットフォームに2.4リッターターボと6速ATを組み合わせたFFモデルとその4WD仕様、さらにそのパラレルハイブリッドとダイレクト4(4WD)を組み合わせて前後トルク配分を行ない、後輪ステアも装備した仕様がある。現在はV型6気筒3.5リッターのPHEV(プラグインハイブリッド)を開発中とされる。
全長は5mを超える5160mm、全幅1990mm、全高1990mmという北米サイズの大きなボディだが、スクエアなデザインは新しさを感じる。ホイールベースは2950mmと長く、その伸びた後部に3列目シートと大容量のラゲッジルームがあって、さすがに長い。
試乗したのはFFとその4WD仕様。ハイブリッドはおあずけとなったが、初めて乗るレクサスSUVの3列シートモデルには興味津々だ。装着タイヤはレクサス初となるコンチネンタルのオールシーズン。それも北米タイプの夏タイヤに近いものではなく、パターンの細かい本格的なオールシーズンを採用する。サイズは255/45R22という大径で迫力がある。
2.4リッターターボの実力はこの大きなボディを引っ張るにも十分で、上り勾配も軽快に走る。ただし「低速トルクの厚みはそれほどないな」、と感じたところでグイッと加速した。アクセルのゲインが高く飛び出すようだ。どうもピックアップが鋭すぎる。試乗中にドライブモードの切り替えスイッチを捜したがアナログスイッチはなく、モヤモヤした気持ちで3周の試乗を終えた。こちらはあとで再確認。
操舵感は重めの設定でレクサスらしい滑らかさがあるが、長いホイールベースのために曲がるよりもまっすぐに走る方が得意。ステアリング応答性は鈍い。アクセルを踏んでいるとストレートエンドではかなり速度が乗っており、直線でしっかり減速するのが重量級TXのセオリーだ。
そして2列目はもちろん、3列目に座った乗員からも「足下が広くて快適な乗り心地」と評価が高い。3列目はリアアクスルの上に位置するのでゴツゴツした突き上げがあるかと思っていたが、そうでもないらしい。滑らかなサーキット路面であることを考慮しても家族が皆で乗れるSUVを目指したのが分かる。
古き良き豊かなアメリカを連想させる家族のためのSUV
あとはドライブモードの確認だ。次に乗ったのは2.4リッターターボの4WD。基本的には前輪の駆動力が大きい設定になっている。ドライブモードの存在を問うと、なんとセンターディスプレイから入れた。FFではすべてスポーツモードで走行していたことになるが、それだけ変化を持たせていることが分かった。確かにスポーツにふさわしい。
4WDではノーマルモードを選択した。ピックアップは鋭いが、かなり滑らかになってのんびりと走る余裕が生まれた。急に蹴とばされるように前に出ることもなく粘り強い加速だ。さらにアクセルを踏むと出力の山に乗る。4WDはさらに直進安定性が高く、ハイウェイをクルーズしている光景が目に浮かぶようだ。
後席の乗り心地は「快適です」とのコメントが続き、3列シートを大切にしているのを再確認した。驚くべきは3列目を普通に使ってもラゲッジルームには55Lのスーツケースが7つ積めることだ。7人分の荷物ということで勘定が合うところが芸が細かい。
古き良き豊かなアメリカを連想させる家族のためのSUV。それがTXではないかと思う。人気の出そうな予感がする。