試乗記
スバルのドライブアプリ「SUBAROAD」に追加されたSTIとのコラボコース“赤城のニュル”を「レヴォーグ」で走る!
2025年8月5日 07:00
新たなSUBAROADはSUPER GTドライバーと一緒!
近道よりも、面白い道を走りたい。
ただ目的地に着くことではなく、旅そのものを楽しむスバルの新体験ドライブアプリ「SUBAROAD」。2025年7月時点で27か所にまで増えたその設定に、新しく「群馬」コースが加わった。
――あれっ、群馬コースって前からなかったっけ?
そう思ったアナタは、立派なSUBAROAD・マニアだ。今回加わったのは新しい群馬コースで、しかもスバルテクニカインターナショナルこと「STI」とのコラボレーションによってできた特別編なのだ。
そのタイトルは、「STIの神髄はこの道から。GTドライバーと体感“赤城のニュル”を駆けろ!」。STIがマシンやパーツの開発にも使っている「からっかぜ街道」は、表情豊かな赤城山の峠道。全長約24kmの行程を“赤城のニュル”と命名し、ドライブコースとしたわけだ。
さらに豪華なのは今回のナビゲーターに、井口卓人選手と山内英輝選手が起用されていること。SUPER GTの#61 SUBARU BRZ R&D SPORTでGT300クラスを戦う名コンビが、道中をガイドしてくれるという、ファンにはたまらない内容になっているのである。
そんな赤城ニュルコースの行程は、約85kmのミドルコース。日本一の来場者数を誇る道の駅「川場田園プラザ」をスタート地点に、5つの地点を経由しながらゴールの「貴船神社」まで、公式では2時間15分の所要時間となっている。ちなみに今回は11時半に川場田園プラザを出発し、2番目の経由地となる「奥利根ワイナリー」で昼食を取って、15時に貴船神社を出た。ビューポイントで景色を眺め、道の駅「ぐりーんフラワー牧場」でソフトクリームを頬張って、ゆったり回るなら6時間くらい見ておくといいだろう。
ということで、さっそく「赤城のニュル」コースを体験だ。
今回の試乗車は、STIコラボということもあって全てSTI Sport仕様のレヴォーグだった。
筆者が担当したのは水平対向4気筒2.4リッターターボに、STI仕様のインテリアトリムを施した「STI Sport R EX」の特別仕様車「Black Interior Selection」だ。
ちなみにスバルのデータによると、SUBAROAD利用者で一番多いのはレヴォーグで、その台数は2024年の販売台数(2万2747台)を大きく上まわっているという。そして全体では実に61%のユーザーが、SUBAROADを通して「これからもスバル車に乗りたい気持ちが高まった・とても高まった」と答えている。
また今回のSUBAROAD体験では、スバルのワークスドライバーが3人もゲストとして招かれた。それだけでなく、今回のコースを説明するために同乗し、しかも望めば、ドライバーまで担当してくれるという。
メンバーは山内英輝選手、佐々木孝太選手、久保凛太郎選手の3名。ご存じ山内選手は現GT300 BRZのドライバーであり、佐々木選手はSUPER GTにおけるスバルの黎明期を支え、現在もスバルのニュルブルクリンクプロジェクトで走り続けるベテラン選手。そして久保選手は、NRBプロジェクトとGR86/BRZ Cupの2つのカテゴリーを担当する、実力派ドライバーだ。
Car Watchがくじ引きで引き当てたのは、山内選手だった。SUBAROADのナレーションを行なったご本人と一緒にコース巡りできるなんて、なんとも贅沢で面白い企画だ。
走りがいのある道をプロドライバーとドライブ
「SUBAROAD、STIコラボー!」
井口卓人選手の元気なかけ声で始まった、赤城スペシャルコース編。それを聞きながらドライブする山内選手はちょっと恥ずかしそうにしていたけれど、車内の雰囲気は一気に明るくなった。いざ、赤城のニュルへ出発だ。
普段はAIボイス「スバロウ」君のナビゲートに沿って楽しむSUBAROADだが、今回はGTドライバーの2人と一緒にドライブしている感じが新鮮だった。
これまでSUBAROADはその土地の歴史や景色、食べ物などを中心にガイドをしてきたが、今回の赤城コースの内容はより走りに振られているのが特徴的。STIフレキシブルパーツの効果やスバル車の楽しさはもちろんのこと、「どうやったらクルマの運転がうまくなるのか?」というテーマについて、2人で熱く語りながら、ドライブを盛り上げてくれる。
そして山内選手の運転にも、うならされた。クルマの動かし方が、驚くほどにスムーズなのだ。
ハンドルを回すスピードは、とてもゆっくり。にもかかわらずカーブではまったく切り遅れがなく、レヴォーグがきれいに曲がっていく。ブレーキのかけ方も制動Gを意識させないほど丁寧で、しかし必要な分だけタイヤに荷重をかけている。
これをにこやかに会話しながら、平然とやってのけるのだ。
例えばいまドリンクホルダーに紙コップがあったら、中身の水はこぼれなかったんじゃないかと思うほど、その走りと操作は美しかった。そして山内選手からドライバーを変わった後半は、その感覚を思い出すようにレヴォーグを走らせるのが、とっても楽しかった。
絶対的なGの大きさが違うだけで、クルマを限界領域で走らせることと、普通の領域で走らせることには、かなりの共通点がある。Gを途切れさせず、前後左右へと滑らかに移してゆく運転は、普段でもできるのだ。そんなことを改めて、現役ドライバーの本物の走りを味わって、再確認することができた。
「赤城のニュル」は、こうした奥深いドライビングまでもが楽しめる素晴らしいコースだった。大小さまざまなカーブだけでなく、木々に囲まれたストレートや、ダウンヒルからの急勾配には、確かにノルドシュライフェの雰囲気が少しあった。これで街中にラウンドアバウトでもあれば、気分はニュルブルクリンクだ。
そして群馬の自然が作り出したワインディングを走らせて、やっぱりレヴォーグはいいクルマだと思った。ステアリングを切ったときの、路面をタイヤが捉えるしっとりとした手応え。ダンピングをコンフォートモードにしていても、腰砕けしない足まわりの確かさ。
唯一心残りがあるとしたら、今回の試乗車にはSTIパーツが付いていなかったことだ。
つまりSTIパーツを装着しているオーナーのみなさんにはぜひこの赤城ニュル編を走って、彼らが開発を行なったこの場所で、STIパーツの真価を味わってみてほしい。それってとっても、贅沢なことだと思うのだ。














