試乗記

スバルのドライブアプリ「SUBAROAD」をストロングハイブリッドの「クロストレック」で走る! グルメやお土産情報もある浜松ショートコースをたっぷり満喫

SUBAROADの浜松コースを走るべく「クロストレック S:HEV」と旅に出た

Car Watchで走る3コース目は新設ショートコース!

 スバルが提案する「SUBAROAD」は、旅のプロセスそのものを楽しませてくれる新感覚のドライブアプリだ。スバル車ならではの走りのよさを感じてもらうために、目的地への最短距離を優先するカーナビでは見られない景色や、コース設定にこだわったナビゲーションを提供するのが最大の特徴である。もちろんスバルオーナーじゃなくてもアプリをスマホにダウンロードすれば、そのナビゲーションを楽しむことが可能だ。

 そんなSUBAROADは常に開発陣が新しいコースを開拓しており、サービス開始当初は10か所だったコースが、今では全国のエリアに、合計27か所ものコース設定がなされるまでになった(北海道エリア、行ってみたい!!)。ちなみに筆者とCar Watchはこれまで「千葉/房総」コースと「群馬」コースを走破している。

 ということで“SUBAROADマニア”を自称する筆者とCar Watchは、新たに設定された東海エリアの「浜松」コースをトライしてみた。旅のお供は、「クロストレック S:HEV」だ。

SUBAROADの浜松コースを旅するお供はストロングハイブリッドモデルの「クロストレック S:HEV」。グレードは「Premium EX」(405万3500円)。ボディサイズは4480×1800×1575mm(全長×全幅×全高。ルーフレール装着車は全高+5mm)、ホイールベースは2670mm
高度運転支援システム「アイサイトX」を搭載。視野が広角化したステレオカメラと超広角単眼カメラの“3つの目”によって、“ぶつからない”をサポート。高速道路などでの渋滞時は条件を満たすとハンズオフが可能となり、ドライブの疲れを軽減する
ストロングハイブリッド専用デザインの18インチアルミホイール(ダークメタリック塗装+切削光輝)に装着するのは、オールシーズンタイヤのファルケン「ZIEX ZE001A A/S」
ストロングハイブリッド用にチューニングされ、最高出力118kW(160PS)/5600rpm、最大トルク209Nm(21.3kgfm)/4000-4400rpmを発生する水平対向4気筒2.5リッターエンジン「FB25」を搭載。さらに、最高出力88kW(119.6PS)、最大トルク270Nm(27.5kgfm)を発生する「MC2」モーターを4.3Ahのバッテリで駆動するe-BOXER(ストロングハイブリッド)システムを採用する
車内のプッシュスタートスイッチ脇に条件次第で電動走行ができるEV MODEスイッチを備える。WLTCモード燃費は18.9km/L
クロストレック Premium S:HEV EXのインパネ
ステアリングは本革&シルバーステッチ
12.3インチフル液晶メーター(パワーメーター付)にはエネルギーフローも表示可能
11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムを標準装備
シート表皮はグレーの本革シート。ステッチ色はシルバー

 浜松コースのタイトルは「ちょこっと遠州ドライブ! ご当地グルメ満喫のお試しコース東海」。“ちょこっと”という言葉からも分かる通り、今回のコースは「近い・短い・グルメ」がコンセプトのショートコースだ。遠州とは浜名湖周辺の地域を指していて、スタート地点である「新瀬戸橋前駐車場」から、ゴールとなる「蔵王山展望台」までの総走行距離は58km。走行時間は2時間と、アプリには表示されている。Car Watchチームは例のごとく撮影をしながら、お昼も食べて景色も眺めて、じっくりすべての行程を堪能したけれど、5時間弱で回り切ることができた。

 そしてもう1つ。今回SUBAROADには、うれしいアップデートが加わった。なんとこの浜松コースを含めた新しいコースのいくつかには、「ご当地グルメ」が盛り込まれたのだ。

 これまで2回の経験から、スバルには「その土地でしか食べられないグルメや、お土産の情報を盛り込んで!」と力説していたのだが、どうやらアンケートでもその声は多かったらしく、ついにグルメ情報が追加された。

浜松コースのメインビジュアル。うなぎがおいしそう
走ったコース。立ち寄り地は自分で加えたり減らしたりできる
ショートコースとはいえ、これまで体験したSUBAROADはどれも楽しかったため、期待値は膨らむ。しかも旅の相棒はこれまでも何度か試乗してきて好印象だったストロングハイブリッドモデルのクロストレック S:HEV!

2時間のショートコースを走り出す

 朝8時30分にホテルを出発して、浜名湖遊覧船の発着所となる「新瀬戸橋前駐車場」にサクッと到着。さっそくスマホからSUBAROADのアプリを起動すると、今回もスバロウ君が、元気にAIボイスで案内を始めてくれた。

スタートは新瀬戸橋前駐車場(浜名湖遊覧船のりば)から

 最初に目指したのは、豊橋市にある「立岩公園」。東海道新幹線の車内からも見えるという、巨大な岩山のふもとにある小さな公園だ。そこまでの道のりは、「オレンジロード」と呼ばれる蒲郡有料道路(現在は無料)を通った。適度なアップダウンのあるワインディングはゆっくり走るだけでも実に気持ちよく、クロストレック S:HEVの軽快な走りにもジャストフィット。

 毎回感心させられるのはSUBAROADがこうしたワインディングはもちろんのこと、畑の中や脇道といった、カーナビ任せでは絶対に通らない道を選んでコース設定をしていること。そして絶妙なタイミングでスバロウ君が小ネタを挟み、車内は「へぇ~」っと盛り上がった。

ワインディングを気持ちよく走ると、目的地まではあっという間
立岩は立ち入り禁止ではあるが、すぐ近くまでは行ける

 旅のハイライトは、いきなりやってきた。

 たどり着いたのは、天竜浜名湖鉄道の「新所原」駅。小さな駅の改札横にある「駅のうなぎ屋 やまよし」さんが、次の目的地に設定されていたのであった。

 ……って今まだ、10時半なんですけど(汗)。

 浜松編の壁紙にもあるとおり、やまよしさんのうなぎ弁当は間違いなく、今回のメインディッシュだ。本音を言えば、あと1つくらいアトラクションを挟んでお昼ジャストにやまよしさんにたどり着くのがベストだが、そこまでうまくはコースの設定ができなかったのだろう。

 つまりお昼ジャストでうなぎ弁当を食べたいならば、スタート時間は10時くらいに設定して、のんびりオレンジロードを走ってくるとよい。お店が開くのは10時45分からで、イートインはない。焼き上がりまでの時間はかなり早く、注文から10分くらいだ。

天竜浜名湖線新所原駅の駅舎に併設されている「駅のうなぎ屋 やまよし」さん。輸入物は一切使わずに地元の浜名湖うなぎにこだわって、すべて手作業で焼き上げているという。駅に着くとたれの香りがただよってくる

 ということで筆者たちは少し時間をつぶしてうなぎ弁当を買い、「道の駅とよはし」のベンチでお昼をいただくことにした。

 肝心のやまよしさんのうなぎ弁当は、ちょっと冷めてもすごくおいしかった。製法は関東に多い背開きだが、焼き方は蒸しを入れない関西風とのこと。ちなみに筆者の母方の田舎も静岡は三島でうなぎ屋をやっているのだけれど、関東と関西の中間に位置する静岡や愛知では、焼き方や開き方が折衷される話はよく聞かされた。

 そして串打ちもしないからだろう、やまよしさんのうなぎはお弁当にして、多少蒸れても身が崩れない。むしろほどよくふっくらしており香ばしく、1人1尾をぺろりと平らげた。

香ばしく焼き上がったうなぎがまるっと1尾入ったうなぎ弁当。白焼きや、お土産用の真空パックもある

 また、うなぎが苦手だったり、予算が合わなかったりするという場合は、「道の駅とよはし」のフードコートもおすすめだ。今回はお腹いっぱいで無理だったけれど、スバロウ君がうんちくを話してくれた「豊橋カレーうどん」も、とても興味深い。

 腹ごしらえをしたあとは、伊古部海岸で遠州灘を満喫した。ネタバレ防止で多くは語らないけれど、海岸に続く坂道はゆっくり降りてほしい。途中できっと、「わぁ!」と声を上げてもらえること請け合いだ。そして砂浜に下りたらそこに思い出を刻んで、波とたわむれてほしい。

 そしてクロストレックは、海にもよく似合うなと思った。筆者はマリンスポーツをしないけれど、釣り竿とクーラーボックスを積んでサクッとやってきたくなる。いやいや折りたたみ式のチェアなんかを積んで、ただただ海辺で本を読んでいるだけでも、最高に贅沢だろう。

クロストレックは海にも似合う
遠州灘をバックに走るクロストレック

 軽快なハンドリングだけでなく、クロスオーバーボディを支える足腰の確かさや、ストロングハイブリッドのトルキーな出足のおかげで、足取りは実に軽い。だからその適度なボディサイズと合わせて、どこにでも出かけて行きたくなる。

 ストロングハイブリッドと環状フレームのカップリングが生み出す、質実剛健かつ優しい乗り味は、アクティビティ後の疲れを癒やしてくれる。その上でアイサイトXを使えば、安全に帰路に着くことができる。

ワインディングも軽快に走る

 もう少し動的質感にエモーショナルさや、硬質感があったら言うことないけれど、それは次のステップにとっておこう。ジャストサイズなボディに2.5リッターのハイブリッドエンジンを搭載するクロストレック S:HEVは、本当に素晴らしいCセグメントのコンパクトクロスオーバーだと思う。

 最終目的地の「蔵王山展望台」に着いたら、浜松編はこれにて終了。訪れてきた遠州灘や三河湾、そして豊橋の街をぐるっと一望できる眺めは壮観で、夜景を楽しむならやはりスタートは、ちょっと遅めがよいだろうと思った。

 というわけで総評は、「SUBAROADに、はずれなし!」。

 相変わらずナビゲーションはたまにロストするけれど、だからといって困ることなど何ひとつない。知らない道を走り、たまに迷っては笑い、プロセスそのものを満喫しながら楽しむさまは、ちょっとしたロードムービーのようだ。

 次は絶対、北海道に行ってみたい!!

普段は走らない道を走り、いつもと違う景色を見られる楽しさがSUBAROADにはある
終着点は蔵王山展望台。SUBAROADのアプリでは走行時間は2時間と記載されていたが、うなぎを食べたり、寄り道したりで約5時間かかった。それだけ、SUBAROADの楽しみ方は無限にあるのだ
山田弘樹

1971年6月30日 東京都出身。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カーオブザイヤー選考委員。自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJ、スーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆活動中。またジャーナリスト活動と並行してレースレポートやイベント活動も行なう。

Photo:安田 剛