試乗記

ストロングハイブリッド搭載のスバル「レヴォーグレイバック」が登場! 一足先に乗ってみた印象は?

レヴォーグ レイバック

フルモデルチェンジを待たずにストロングハイブリッドを搭載した理由

 スバルのツーリングワゴン「レヴォーグ」をベースに、都会派の上質なクロスオーバーSUVを目指して派生した「レイバック」が、約3年のサイクルを経てビックマイナーチェンジを果たした。

 最もホットなトピックは、「S:HEV」(エス・エイチ・イー・ブイ)の搭載だ。結論から先に述べてしまえば、ストロングハイブリッドの搭載は、かなりいい。

 スバルファンならご存じの通り、スバルは基本として年次改良型の方針をとっており、レヴォーグに属するレイバックは「アプライドF型」となる。つまりレヴォーグファミリーとしての年次改良が行なわれたなかで、今回もっとも大きな変更を受けたのがレイバックということになる。

 ストロングハイブリッドの搭載に次いで注目すべきは、その見た目が大きく変わったこと。そして車高が1550mmに低められたことだ。

 まずそのアピアランスとしては、フロントまわりが一気にスムージングされた。具体的にはフロントボンネットのエアインテークがなくなり、フロントグリルは主張が強かったメッキバーが、シンプルな水平基調になった。

 ヘッドライトのデザインは、よく見ればインプレッサ/クロストレックの流用だ。合わせて言えばボンネットや、フェンダーもクロストレックのものである。

 その背景には、「ニーズに応えて、いち早く、ストロングハイブリッドを登場させたい」というスバルの思いがある。スバルは主要車種のプラットフォームをSPG(スバル・グローバル・プラットフォーム)で共通化しているが、S:HEVの搭載で「ポン付け」はできない。ハーネスや各ユニットを搭載するために専用の加工や取り付け穴が必要となり、専用開発をいちから行なえば、時間がかかる。フルモデルチェンジまでそのときを待てば、あと4年は必要だという。そして何より、コストに跳ね返る。

 であれば、実績のあるクロストレックの素材を使って、いち早くニーズに応えたい。それが今回スバルの出した答えだったわけだ。

 その価格はベーシックな「プレミアム ブラック S:HEV EX」で424万6000円、「プレミアム S:HEV EX」で452万1000円と、フォレスター S:HEV(437万8000~)よりも安いのだ。

レヴォーグ レイバック。撮影車はプロトタイプ。ボディサイズは全高が20mm下げられた4735×1820×1550mm(全長×全幅×全高)となった。ホイールベースは変わらず2675mm。全高が下げられた分、最低地上高がガソリンモデルの200mmから180mmに変更されている
ボンネットのエアインテークがなくなり、ヘッドライトもよりシャープな印象となったため、フロントまわりはすっきりとした滑らかなデザインとなった。ストロングハイブリッドパワートレーンを搭載するために、インプレッサ/クロストレックのフロントまわりを流用し、開発期間・コストを削減した恩恵がデザインにも表われている
専用デザインの18インチアルミホイールを採用。試乗した車両にはファルケンのオールシーズンタイヤ「ZIEX ZE001A A/S」(225/55R18)を装着していた
e-BOXERのエンブレムをリアに装着。プレミアム ブラック S:HEV EXは「LAYBACK」のエンブレムがブラックとなる
ストロングハイブリッドパワートレーンは、最高出力118kW(160PS)/5600rpm、最大トルク209Nm(21.3kgfm)/4000-4400rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 2.5リッター直噴エンジンと、最大出力88kW(119.6PS)、最大トルク270Nm(27.5kgfm)を発生するモーターの組み合わせで構成される

 レイバックのボディサイズでS:HEV化したデメリットとしては、後部座席のリクライニングがなくなったことが挙げられる。正直ロングドライブだとやや直立気味のシートを寝かせて姿勢を変えたくなるのは否めないが、そこは実際に一般道を走らせて検証したい。

 バッテリを搭載しながらも、荷室容量は1.8ターボの492Lに対して、429Lを確保した。

プレミアム ブラック S:HEV EX(プロトタイプ)のインパネ。ブラック内装でシックにまとめられている
プレミアム ブラック S:HEV EXのシート表皮はブラックの本革を採用
プレミアム S:HEV EXはタン/ブラックのナッパレザーシートとなる
ハイブリッドシステムの作動状況がひと目でわかるパワーメーターを採用
ステアリング右側にはモーターのみで走行できるEV MODEスイッチが設定される
ガソリンモデルでは標準装備だったスマートリアビューミラーなどをメーカーオプション設定とすることでスタート価格を抑えている
ラゲッジ容量は19Lの床下サブトランクを含めると429Lと十分な広さを確保

 果たしてそのデザインは、非常にうまくまとまったと思う。

 ストロングハイブリッドゆえにターボ用のボンネットエアインテークは必要なくなったし、シンプルなインプレッサ/クロストレック用のLEDヘッドライトのデザインに合わせてグリルをすっきりさせ、バンパー下部でボリューム感を出した顔つきは精悍だ。個人的にはちょっとこじんまりしすぎてプレミアム感が減ったようにも思えるけれど、これなら世の中の奥さまたちが眉をしかめる「ボンネットの穴問題」も、クリアできるだろう(私はきらいじゃないんだけどなぁ)。

シンプルな見た目だからこそ、自分好みにカスタマイズできるレヴォーグ レイバック S:HEV用の用品も多数用意される

 そしてS:HEVモデルはその最低地上高を、200mmから180mmへと下げた。そのニーズは要望が多かった立体駐車場への対応で、全高を1550mmとすることでこれをクリア。対して併売される1.8ターボモデルは、200mmのままとなる。

 こうしたアピアランスの改良によって、都会的になったかどうかはわからないがシンプルさを増して男前になったレヴォーグだが、結果として重心も下がるから走りもきっとよくなっているはず。

 ということでこの走りを確かめるために、当日は長野県うさぎ平スキー場内のワインディングを貸し切っての試乗会が開催された。クローズドコースとしたのは、試乗車が発売寸前ながらもプロトタイプだったからだ。

 また試乗会場までの往路では、1.8ターボとも乗り比べることができたので、その違いを交えながらインプレッションしていこう。

クローズドコースでレヴォーグ レイバックのストロングハイブリッド搭載モデルに乗った

乗ると大いに感じるストロングハイブリッド化したメリット

 おさらいすればそのパワーユニットは、2.5リッター自然吸気の水平対向4気筒「FB25」(160PS/209Nm)に、駆動用モーター(120PS/270Nm)とスターター/ジェネレーター用モーターを組み合わせたストロングハイブリッドだ。車種ごとの特性に細かいキャリブレーションは取っているけれど、基本的にはフォレスターやクロストレックと同じパワーユニットだという。その燃費は19.0km/Lだ。

 だがそのパワーユニットを語る前に、まずお伝えしたいのは、大幅にクオリティアップした乗り味だ。

 1.8ターボも“都会派”の走りを狙ってその足まわりをプレミアムに仕上げようとしていた。しかし同時に車高を高めたことで、そのバランスがやや取りきれなかったと筆者は感じている。

 高い重心の動きを抑えるために、スプリングは少し固めざるを得ない。でも乗り心地はよくしたいから、ダンパーの減衰力は上げられない。こうした組み合わせで一見ハンドリングは俊敏だけれど、大きな入力をダンピングできない、ちょっと突き上げ感のある足まわりになっていた。都会派な乗り味と言いながらもガツンと来るから、「スポーティ」にも感じてしまう、ちょっと矛盾した乗り味が1.8ターボだ。

 片やS:HEVの足まわりは、「これです、これ!」と膝を打つほどのしっとり感である。

ストロングハイブリッド化にともない足まわりが変更され、乗り味が格段にアップした

 車高を低めたことで重心が下がり、数字としては1.8ターボと同じだが、割合としてスプリングをソフトにすることができた。かつダンパーは減衰力を上げており、高い入力に対しても、その衝撃をきちんと吸収できている。

 試乗路はラリーさながらの狭くて荒れたワインディング路だったが、段差や路面の継ぎ目を乗り越えることすら楽しかった。バネ下でタイヤをトトン! と動かし、車体をフラットに保つその走りが、実に心地よかったのだ。

ワインディングも軽快に、スムーズに走る

 1.8ターボにもこの味付けが欲しいとリクエストしたが、逆にバネ上が軽いから、このしっとり感を出すのがちょっと難しいようだ。また現状の乗り味はターボのキャラクターにも合っていて、市場的には評価されているとのことだったが、もう少しだけバンプタッチを抑えてほしいという意見には、開発陣も耳を傾けてくれた。

 そしてこうした乗り味に対して、ストロングハイブリッドの特性が大きく貢献する。

 アクセル開度の浅い状況ではモーターのみの静かな走りも(少しだけれど)こなすし、そこから踏み込んでいっても加速はリニア。水平対向4気筒のビートは涼しげで、上質な乗り心地に気持ち良さを上乗せしてくれる。

 そしてここからアクセルを踏み込めば、豊かなトルクとともに、間髪入れない4WDのダッシュが、滑らかに決まる。滑らかに、が重要だ。

 タイトターンでアクセルを開けても4輪がせめぎ合わず、アンダー/オーバー知らずに小回りをきかせることにも感心させられた。内輪ブレーキの制御すら意識させないほどスムーズに旋回し、ターンアウトで再び華麗にダッシュを決める。

タイトターンも難なくこなす

 最終的な伸びでいうと1.8ターボに軍配は上がるようだが、常用域でのリニアリティは圧倒的にS:HEVだ。高速域でやや電動パワステの制御が軽めで、ここにどっしり感が出れば高級感も上乗せされると思うのだが、トータルバランスとしてはとてもよくまとまっている。

 思い起こせば1.8ターボプロトタイプの試乗も、佐渡のワイルドな峠道だった。どちらもレヴォーグの上質さを謳うにはピントが外れたコースであることには違いないが、クローズドコースでしか走らせられないプロトタイプを、いち早く体験させてくれたスバルの気持ちには納得できる。そして今回は、それでも十分満足できた。こうした厳しい路面を苦もなく走り抜き、その上で上質さをも感じさせたレヴォーグ S:HEVの走りが、スバルらしさにあふれていたからだ。

 だからこそ、一般道での走りにも期待が高まる。63Lタンクをレギュラーガソリンで満タンにして、どこまでも走り続けてみたいと今からワクワクしている。

レヴォーグ レイバックのストロングハイブリッド搭載モデルは、遠乗りしてみたいと思うモデルだ
山田弘樹

1971年6月30日 東京都出身。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カーオブザイヤー選考委員。自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。編集部在籍時代に参戦した「VW GTi CUP」からレース活動も始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJ、スーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆活動中。またジャーナリスト活動と並行してレースレポートやイベント活動も行なう。

Photo:高橋 学