試乗記
ボルボのフラグシップBEV新型「EX90」初試乗、街中からワインディングまでオールラウンダーな乗り味が光る
2026年10月15日 06:00
2027年で創業100周年を迎えるボルボ。初めから「安全が第一」というブランド理念は変わらず。それと同時に持続可能性を考慮し、工場は人からいわれる前から水力発電によって電力を賄おうとしてきたという姿勢も示している。
そんなボルボだからこそ、いち早く2030年を目標とした電動化の方針を打ち出してきた。だが、市場環境にあわせてその目標は2040年までにと柔軟な姿勢に改められてきたのが現状だ。
けれどもBEV(バッテリ電気自動車)への手綱を緩めてはいない。それを証明するかのように登場したのが、BEVモデルの「EX90」である。ようやく真打ちといえるフラグシップの登場だ。
日本市場では2022年に「C40」というクーペ型SUVでスタートしたBEV化は、その後BEVの「XC40」、そして「EX30」と次々に発展していった。まだBEVのトレンドが来ていない状況で、まずはお求めやすいクルマからということだったのだろう。
今回のフラグシップであるEX90の登場に続き、実は来年にはミディアムクラスの「EX60」も導入される予定との話もある。それが達成できた時、ようやくボルボのSUVにおけるBEVのフルラインアップが完成するのだろう。
そのトップを牽引することになるEX90は、これまでに存在していたXC90のサイズ感にかなり近い。ボディサイズは5035×1965×1740mm(全長×全幅×全高)で、XC90に比べると全長は80mm、全幅は5mm大きく、全高は35mm低いが、ホイールベース2985mm、最低地上高は210mmと変わらず。伸びやかでありながら低く構えたスタイルはなかなかの存在感だ。
こうなると室内のサイズが窮屈かと思いきや、ヘッドクリアランスは拡大しているし、ニークリアランスも同等になっている。ラゲッジは47Lも拡大するなど、使い勝手はより良く進化している。
使用するプラットフォームはSPAのジェネレーション2へと生まれ変わり、高剛性化されると共に足まわりも熟成されたことで、乗り心地も良好になったとのこと。また、このタイミングから400VのEVアーキテクチャーだったものが800Vへと変更し、最大350kWの超急速DC充電が可能になっている。
東名高速道路の海老名パーキングで運用が開始される350kW充電器があれば、10%→80%が22分で充電が可能となる。もちろん400V充電にしか対応できていない充電ステーションでもDC/DCブースターを備えることで充電を可能とし、その場合の最大充電出力は120kWで、10%→80%の充電時間は39分となる。
いずれにせよ、106kWのバッテリを搭載し650kmの航続可能距離を実現しているのだから、そこまで充電残量が気になるようなことはないだろう。ただしEX90はどのグレードを選択したとしてもツインモーターを採用。
今回乗った「Ultra Twin Motor Performance」は、フロントの最高出力220kW(299PS)/最大トルク390Nm、リアは最高出力280kW(381PS)/最大トルク480Nmを発生。0-100km加速は4.2秒を記録する。このパフォーマンスを存分に味わってしまえば、やはり急速充電時間の早さは魅力的かもしれない。
その走りは意外にもオールラウンダー
そんなEX90を走らせれば、走り出しからとにかく乗り味がいい。高剛性化されたというプラットフォームとエアサスを採用した足まわりがとにかく良い仕事をし、舗装されたばかりの道が続いているかのごとく突き進んでいくのだ。
また、フロント265/40R22、リア295/35R22というとんでもなく大きいタイヤ&ホイールを採用しているにも関わらず、ワンダリングが気になるようなこともなく、しっかりと安定して走っていく感覚もある。
そして低重心であることもあってか、SUVの高さが気にならず、ワインディングであっても手足のように動かせる感覚がある。そこに前述した大パワーが加わったとしても、持て余すようなことはない。まさに地に足ついた仕上がりで、路面へと無駄なく駆動が伝わっていくから心地いい。
コンフォート性能が優れる乗り心地からワインディングにおける走りまで、オールラウンドで満足できる仕上がりだった。それは2列目、そして3列目に乗車したとしても変わらない。
その上で先進のレーダーおよびドライバーモニタリング機能を標準装備とした「Safe Space Technology」を搭載し、守られている感が強くなったところも嬉しいポイント。前走車が近づけばクルマが先に減速を開始し、衝突の危険性をいち早く軽減していた。ちょっとおせっかいかな? と思いきや、それが慣れると次第に心地よくなるあたりはさすが。
また、高速道路でACCを使用時にレーンキープアシストを働かせることが可能だが、ステアリングを触れていればほぼステアリングはお任せで走ってくれるのもありがたい。
ここまで完成度が高ければハンズオフしても良いのかもと思えたが、ボルボは「ドライバーがステアリングから手を離さないことが安全につながる」という考えを貫いており、それは技術が進んだとしても変えるつもりはなさそうだとのことだった。
こうした変わることのない安全思想と上質な走りを存分に味わえるEX90は、BEVのフラグシップとして納得の仕上がりが存在していた。
























