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写真で見る ダイハツ「タント」(2022年マイナーチェンジ)
2022年10月26日 08:30
いまや軽自動車の主流となったスーパーハイト系モデル。その礎となったのが、2003年に登場したダイハツ工業の「タント」だ。
初代モデルはホイールベースを2440mmとすることにより2000mmの室内長を獲得。2002年にフルモデルチェンジを行なった同社の主力モデル「ムーヴ」において1920mmを実現していたが、それを上まわる室内長を手に入れたわけだ。加えて、フラットフロアや260mmのロングスライドが可能なリアシートの採用により、これまで以上に広く快適な居住空間とアレンジ自在のラゲッジスペースを実現していた。2007年に登場する2代目ではさらなるホイールベースの延長(2490mm)とともに、センターピラーレス&スライドドアを組み合わせた「ミラクルオープンドア」を採用。また、初代の途中から追加となったカスタム系モデル「タント カスタム」を当初から設定することで、幅広いユーザーへの訴求もしっかり。2013年には3代目へとフルモデルチェンジ。ボディの剛性アップや足まわりの改良、外板パーツの樹脂化による軽量化など、現行モデルにつながる基本性能の強化が図られている。また、両側スライドドアを装備したのも、このモデルからになる。
現行モデルとなる2019年に登場した4代目では「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を初採用するとともに、エンジンやCVTなどパワートレーンを一新。使い勝手の面では運転席席に540mmのロングスライド機構を採用することで、運転席から後席へのウォークスルーを可能にしたほか、助手席の半ドアを防ぐイージークローザー、パワースライドドアが閉まる前にロック操作を行なうことでドアロックを予約する「タッチ&ゴーロック」機能、降車時にスイッチ操作をしておくことで、クルマに戻った際にパワースライドドアが自動に開く「ウエルカムオープン」機能など、軽自動車では初採用となる便利機能を満載した。
今回の改良ではこうした充実機能はそのままに、タント、タント カスタムに続く第3のモデルとして「タント ファンクロス」が追加されたのが大きなトピックとなる。ちなみに、カタログはタントとタント カスタムが共通なのに対し、タント ファンクロスには専用のモノが用意されている。
タント ファンクロス
タント ファンクロスはタフさとアクティブ感を重視し、見た目はもちろん使い勝手においてもアウトドアシーンを意識しているのが特徴だ。外観はバンパーやドアに樹脂製のガーニッシュを採用しているほか、前後バンパー下部にはアンダーガード風のシルバー加飾を追加。キャリア類の装着に便利なルーフレールも標準で装着する。
内装で目立つのはエアコン吹き出し口などのオレンジ加飾。彩度や明度などが異なる多くのカラーの中からチョイスしたというだけに目立ち過ぎず、それでいて沈み過ぎずのいい塩梅。シート表皮には専用のカモフラ柄を採用しているうえ、撥水加工も採用。加えてシートバックには防水加工が施されており、濡れたギアなどを気兼ねなく収納できる。
ラゲッジには新たに上下2段調節式デッキボードを採用した。通常はフロア下アンダーボックスの蓋となるが、ワンタッチで折りたたみできる足を利用すれば、前倒ししたリアシートと組み合わせてフラットなスペースが出現。スーパーハイトワゴンならではの室内高を利用して大きな荷物を積み込んだり、雨天時の避難スペースとして使ったりと、工夫次第でいろいろ活用できそう。また、デッキボード下にも空間があるため、荷物の整理にも便利に使えそうだ。また、ラゲッジスペースにはルームランプをルーフとサイドの2か所に用意するほか、充電用のUSBソケットもセットするなど使い勝手を向上しているのもポイントだ。
エンジンは直列3気筒0.66リッターの自然吸気(NA)とターボの2タイプを設定。前者は最高出力38kW(52PS)/6900rpm、最大トルク60Nm(6.1kgfm)/3600rpmを、後者は最高出力47kW(64PS)/6400rpm、最大トルク100Nm(10.2kgfm)/3600rpmを発生する。トランスミッションはCVTのみとなるが、駆動方式は2WD(FF)とフルタイム4WDが用意される。WLTCモード燃費はNA車が21.9km/L、ターボ車が20.6km/L(ともに2WD車)。
先進安全装備はステレオカメラを利用する「スマートアシスト」を搭載。衝突回避支援ブレーキ機能をはじめ、ブレーキ制御付き誤発進抑制機能、車線逸脱抑制制御機能、オートハイビームなどを標準で装備するほか、全車速追従機能付ACCやレーンキープコントロール、駐車支援を行なうパノラマモニターをオプション設定している。
グレードは「ファンクロス」「ファンクロス ターボ」の2タイプ。価格はそれぞれ172万1500円(4WD車は184万2500円)、180万9500円(4WD車は193万500円)。ボディカラーはモノトーンが「サンドベージュメタリック」など8色、ルーフがブラックマイカとなる2トーンが5色用意される。
タント カスタム
外観はヘッドライトをスリム化するとともに、フロントバンパー形状を立体的で押し出し感の強いデザインに変更。室内はブラックを基調にファンクロスとは異なる深いブルーを差し色として配置したほか、メッキ加飾を追加している。ファンクロス同様、上下2段調節式デッキボードも装備している。パワートレーンなどメカニズム関連はファンクロスと同様となる。
グレードはNAエンジン搭載の「カスタム X」、ターボエンジン搭載の「カスタム RS」の2タイプ。価格は順に17 8万2000円(4WD車は190万3000円)、187万円(4WD車は199万1000円)。ボディカラーはモノトーンが新色の「クールバイオレットクリスタルシャイン」「クロムグレーメタリック」など7色、ルーフがブラックマイカとなる2トーンが2色用意される。