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写真で見る ダイハツ「タント」(2022年マイナーチェンジ)

タント ファンクロス

 いまや軽自動車の主流となったスーパーハイト系モデル。その礎となったのが、2003年に登場したダイハツ工業の「タント」だ。

 初代モデルはホイールベースを2440mmとすることにより2000mmの室内長を獲得。2002年にフルモデルチェンジを行なった同社の主力モデル「ムーヴ」において1920mmを実現していたが、それを上まわる室内長を手に入れたわけだ。加えて、フラットフロアや260mmのロングスライドが可能なリアシートの採用により、これまで以上に広く快適な居住空間とアレンジ自在のラゲッジスペースを実現していた。2007年に登場する2代目ではさらなるホイールベースの延長(2490mm)とともに、センターピラーレス&スライドドアを組み合わせた「ミラクルオープンドア」を採用。また、初代の途中から追加となったカスタム系モデル「タント カスタム」を当初から設定することで、幅広いユーザーへの訴求もしっかり。2013年には3代目へとフルモデルチェンジ。ボディの剛性アップや足まわりの改良、外板パーツの樹脂化による軽量化など、現行モデルにつながる基本性能の強化が図られている。また、両側スライドドアを装備したのも、このモデルからになる。

 現行モデルとなる2019年に登場した4代目では「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を初採用するとともに、エンジンやCVTなどパワートレーンを一新。使い勝手の面では運転席席に540mmのロングスライド機構を採用することで、運転席から後席へのウォークスルーを可能にしたほか、助手席の半ドアを防ぐイージークローザー、パワースライドドアが閉まる前にロック操作を行なうことでドアロックを予約する「タッチ&ゴーロック」機能、降車時にスイッチ操作をしておくことで、クルマに戻った際にパワースライドドアが自動に開く「ウエルカムオープン」機能など、軽自動車では初採用となる便利機能を満載した。

 今回の改良ではこうした充実機能はそのままに、タント、タント カスタムに続く第3のモデルとして「タント ファンクロス」が追加されたのが大きなトピックとなる。ちなみに、カタログはタントとタント カスタムが共通なのに対し、タント ファンクロスには専用のモノが用意されている。

タント ファンクロス

撮影車両はタント ファンクロス ターボ。ボディカラーはサンドベージュメタリック×ブラックマイカの2トーン

 タント ファンクロスはタフさとアクティブ感を重視し、見た目はもちろん使い勝手においてもアウトドアシーンを意識しているのが特徴だ。外観はバンパーやドアに樹脂製のガーニッシュを採用しているほか、前後バンパー下部にはアンダーガード風のシルバー加飾を追加。キャリア類の装着に便利なルーフレールも標準で装着する。

 内装で目立つのはエアコン吹き出し口などのオレンジ加飾。彩度や明度などが異なる多くのカラーの中からチョイスしたというだけに目立ち過ぎず、それでいて沈み過ぎずのいい塩梅。シート表皮には専用のカモフラ柄を採用しているうえ、撥水加工も採用。加えてシートバックには防水加工が施されており、濡れたギアなどを気兼ねなく収納できる。

 ラゲッジには新たに上下2段調節式デッキボードを採用した。通常はフロア下アンダーボックスの蓋となるが、ワンタッチで折りたたみできる足を利用すれば、前倒ししたリアシートと組み合わせてフラットなスペースが出現。スーパーハイトワゴンならではの室内高を利用して大きな荷物を積み込んだり、雨天時の避難スペースとして使ったりと、工夫次第でいろいろ活用できそう。また、デッキボード下にも空間があるため、荷物の整理にも便利に使えそうだ。また、ラゲッジスペースにはルームランプをルーフとサイドの2か所に用意するほか、充電用のUSBソケットもセットするなど使い勝手を向上しているのもポイントだ。

 エンジンは直列3気筒0.66リッターの自然吸気(NA)とターボの2タイプを設定。前者は最高出力38kW(52PS)/6900rpm、最大トルク60Nm(6.1kgfm)/3600rpmを、後者は最高出力47kW(64PS)/6400rpm、最大トルク100Nm(10.2kgfm)/3600rpmを発生する。トランスミッションはCVTのみとなるが、駆動方式は2WD(FF)とフルタイム4WDが用意される。WLTCモード燃費はNA車が21.9km/L、ターボ車が20.6km/L(ともに2WD車)。

 先進安全装備はステレオカメラを利用する「スマートアシスト」を搭載。衝突回避支援ブレーキ機能をはじめ、ブレーキ制御付き誤発進抑制機能、車線逸脱抑制制御機能、オートハイビームなどを標準で装備するほか、全車速追従機能付ACCやレーンキープコントロール、駐車支援を行なうパノラマモニターをオプション設定している。

 グレードは「ファンクロス」「ファンクロス ターボ」の2タイプ。価格はそれぞれ172万1500円(4WD車は184万2500円)、180万9500円(4WD車は193万500円)。ボディカラーはモノトーンが「サンドベージュメタリック」など8色、ルーフがブラックマイカとなる2トーンが5色用意される。

他のモデルと大きく異なるのが顔つき。樹脂パーツによるガード風のアクセントによりタフさを演出
助手席ドアは半ドアを防ぐイージークローザー付。パワースライドドアも標準
ルーフレールも標準装備
センターピラーレス&スライドドアを組み合わせたミラクルオープンドアは乗降性バツグン。4代目になって16mm低床化されているのも体感的には大きい
リアゲートなど外板の多くが樹脂化されている
専用デザインのヘッドライト。フルLEDタイプでオートライトやマニュアルレベリング機能付
LEDフォグランプも標準
リアコンビランプはタントと共通
直列3気筒インタークーラーターボを搭載。スペックは最高出力47kW(64PS)/6400rpm、最大トルク100Nm(10.2kgfm)/3600rpm
燃料はターボ車、NA車ともに無鉛レギュラーガソリン仕様。タンク容量は30L
ターボ車、NA車ともにガンメタ塗装のアルミホイールが標準。タイヤサイズは前者が165/55R15、後者は155/65R14
ブラック基調にオレンジのアクセントカラーを配置。ハイトワゴンらしい広々とした空間は視界も良好だ
ターボ車はステアリングとシフトノブが本革巻。
ステアリングのボタン類。ACCはオプション
ペダルまわり。パーキングブレーキが電動タイプなので2ペダル
プッシュ式スタートボタンを採用。両側パワースライドドアも標準装備
ステアリング前のインパネアッパーボックスにもオレンジのアクセント。内部もオレンジでUSB端子を装備する
運転席前のカップホルダー。四角い紙パックにも対応
助手席前のカップホルダー。こちらは缶など丸形のみ
容量が大きめのグローブボックス
モニター横にUSB端子
フロント16cmスピーカーのみ装備するオーディオレス仕様が標準。オプションの純正ナビ装着用アップグレードパックを装着するとツィーターも付く
インパネ助手席側にはコンビニ袋やマスクを掛けるのに便利なフックを用意
ルーフには運転席、助手席用のパーソナルランプを用意。サンバイザー裏にはバニティミラーを装備する
ベンチタイプのフロントシート。表皮はカモフラ柄で撥水加工も施されている。運転席ロングスライドシートはオプション
運転席、助手席ともにシートヒーターが標準装備される
ドアトリムにもオレンジのアクセント
アームレストにはパワーウィンドウなどのスイッチ類
リアシートもフロント同様にカモフラ柄。シートアレンジは後述のタント カスタムを参照してほしい
運転席、助手席の背面に折り畳み式のテーブルを装備。前席をスライドさせるレバーも付く
ラゲッジルーム側面にUSB端子とランプを新設
壁面にはカラビナなどを掛けるのに便利なフックを用意
サイドだけでなくルーフにもランプがある
上下2段調節式デッキボードにより多彩なアレンジが可能になった
リアシート背面にはラゲッジ側からスライド操作が可能なレバーを用意
上下2段調節式デッキボード。内部に鉄パイプを3本入れることで強度を確保している。耐荷重は20kg
足を引き出したところ
グレーのレバーで足のロック、アンロックが可能
車外に持ち出してローテーブル的な使い方も
ボード下は収納として利用できる

タント カスタム

 外観はヘッドライトをスリム化するとともに、フロントバンパー形状を立体的で押し出し感の強いデザインに変更。室内はブラックを基調にファンクロスとは異なる深いブルーを差し色として配置したほか、メッキ加飾を追加している。ファンクロス同様、上下2段調節式デッキボードも装備している。パワートレーンなどメカニズム関連はファンクロスと同様となる。

 グレードはNAエンジン搭載の「カスタム X」、ターボエンジン搭載の「カスタム RS」の2タイプ。価格は順に17 8万2000円(4WD車は190万3000円)、187万円(4WD車は199万1000円)。ボディカラーはモノトーンが新色の「クールバイオレットクリスタルシャイン」「クロムグレーメタリック」など7色、ルーフがブラックマイカとなる2トーンが2色用意される。

タント カスタム RS。撮影車両のボディカラーはシャイニングホワイトパール×ブラックマイカの2トーン
ワイドで立体感を増したフロントマスク
リアバンパーもボリュームを増したデザインに変更
スマートアシスト用ステレオカメラ
ヘッドライトはグリルに合わせて薄型化。カスタムはオートレベリング機能付のフルLEDタイプになる
リアコンビランプはクリアで、こちらもLEDタイプ
カスタムは15インチアルミホイールが標準。タイヤサイズは165/55R15
内装はブラック基調にメッキとネイビーブルー系のアクセントの組み合わせ
ステアリングは本革巻
本革巻シフトノブはメッキのアクセント入り。パネルは光沢感のあるプレミアムシャインブラック
メーターはデジタルメーターをメインとしたワイドな薄型
左サイドにはさまざまな情報表示に切り替えられるマルチインフォメーションディスプレイを配置
AV系はオーディオレス仕様。撮影車両は新たにオプションとして用意された9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ
サンバイザー裏にはバニティミラーを装備
前、後、両方と自由に開閉が可能なミラクルオープンドア。前後とも開ければ広い開口部が実現しシートへのアクセスはバツグン
フロントシートはベンチタイプ。シート表皮はレザー調素材とファブリックのコンビネーション。ファブリック部分は横糸がグラデーションになった凝ったデザイン
アームレストは収納付。オプションの運転席ロングスライドシートを装着すると、記事後半で紹介しているタントに装着される左右分割のスリムなタイプになる
パンク修理キットや工具類は助手席足下に収納。荷物を満載していてもすぐに取り出せるので使い勝手はよさそう
運転席ドアトリム。こちらはメッキのアクセント
50:50の分割可倒式リアシート。240mmスライド、リクライニングが左右独立して行なえる
リアのサイドには上下にスリムなポケットを用意
運転席、助手席背面に折り畳み式テーブルを設定
スライドドアには収納式サンシェードを装備

タント

 上下2段調節式デッキボードを標準装備としたほか、9インチスマホ連携ディスプレイオーディオをオプション設定。パワートレーンなどメカニズム関連は共通となる。

 グレードはNAエンジン搭載の「L」「X」、ターボエンジン搭載の「Xターボ」の3タイプ。価格は順に138万6000円(4WD車は151万2500円)、154万円(4WD車は166万1000円)、165万円(4WD車は177万1000円)。ボディカラーはモノトーンが「アイスグリーン」など9色、2トーンはルーフがホワイトとなり、アイスグリーンとサンドベージュメタリックの2色が用意される。

タント X。撮影車両のボディカラーはファイアークォーツレッドメタリック
専用デザインのフルLEDヘッドライト。レベライザーはマニュアル式になる
自然吸気エンジンを搭載。スペックは最高出力38kW(52PS)/6900rpm、最大トルク60Nm(6.1kgfm)/3600rpm
タイヤサイズは155/65R14。フルホイールキャップが標準になる
ステアリングはウレタン
シフトノブもウレタン。オートエアコンは全車標準装備
アイボリーのアクセントを採用
シート表皮は撥水加工されたフルファブリック。運転席ロングスライドをオプション装着しているため、アームレストが左右分割タイプになっている
リアシートは他のモデルと同様