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ダイハツ、「DNGA」第1弾の新型軽スーパーハイトワゴン「タント」。世界初の運転席540mmロングスライド採用
軽初の駐車支援システム「スマートパノラマパーキングアシスト」搭載
2019年7月9日 13:30
- 2019年7月9日 発売
- タント:122万400円~187万3800円
- タント フレンドシップシリーズ:139万円~207万円(消費税非課税)
ダイハツ工業は7月9日、軽自動車のスーパーハイトワゴン「タント」をフルモデルチェンジ。合わせてタントをベースとした福祉車両「フレンドシップシリーズ」の「タント スローパー」「タント ウェルカムシートリフト」もフルモデルチェンジするとともに、新たに「タント ウェルカムターンシート」をラインアップに追加してそれぞれ発売した。価格はタントが122万400円~187万3800円、タント フレンドシップシリーズが139万円~207万円(消費税非課税)。
タント
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 | WLTCモード燃費 |
---|---|---|---|---|---|
L(スマートアシスト非装着車) | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,220,400円 | 21.2km/L |
4WD | 1,344,600円 | 20.2km/L | |||
L | 2WD(FF) | 1,306,800円 | 21.2km/L | ||
4WD | 1,431,000円 | 20.2km/L | |||
X | 2WD(FF) | 1,463,400円 | 21.2km/L | ||
4WD | 1,587,600円 | 20.2km/L | |||
X ターボ | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | 2WD(FF) | 1,560,600円 | 20.0km/L | |
4WD | 1,684,800円 | 18.8km/L | |||
カスタム L | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | 2WD(FF) | 1,549,800円 | 21.2km/L | |
4WD | 1,674,000円 | 20.2km/L | |||
カスタム X | 2WD(FF) | 1,668,600円 | 21.2km/L | ||
4WD | 1,792,800円 | 20.2km/L | |||
カスタム RS | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | 2WD(FF) | 1,749,600円 | 20.0km/L | |
4WD | 1,873,800円 | 18.8km/L |
タント スローパー
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格(消費税非課税) |
---|---|---|---|---|
L(スマートアシスト非装着車) | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,445,000円 |
L | 1,525,000円 | |||
L(ターンシート仕様) | 1,630,000円 | |||
X | 1,670,000円 | |||
X(ターンシート仕様) | 1,775,000円 | |||
カスタム RS | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | 1,925,000円 |
タント ウェルカムシートリフト
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格(消費税非課税) |
---|---|---|---|---|
L | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,545,000円 |
X | 1,690,000円 | |||
4WD | 1,805,000円 | |||
カスタム RS | 直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ | 2WD(FF) | 1,955,000円 | |
4WD | 2,070,000円 |
タント ウェルカムターンシート
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格(消費税非課税) |
---|---|---|---|---|
L | 直列3気筒DOHC 0.66リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,390,000円 |
X | 1,535,000円 | |||
4WD | 1,650,000円 |
2003年11月にデビューした初代タントは、広い室内空間で大ヒットモデルとなっていた同社の「ムーヴ」をさらに上まわる室内高が生み出す高いユーティリティを備え、スーパーハイトワゴンのジャンルを確立。2007年12月発売の2代目では、助手席側のBピラーをスライドドアなどに内蔵して、助手席ドアと合わせて1480mmの開口部を実現する「ミラクルオープンドア」を軽自動車で初採用。
2013年10月に発売された3代目では運転席側のリアドアもスライドドアに変更され、助手席シートの前後スライド量を100mm拡大して380mmのロングスライドを実現。着実な進化を続けて商品力を磨き上げ、2014年には1年間で23万4456台を販売。車名別販売台数のランキングで乗用車1位の「アクア」(23万3209台)を上まわる大ヒットを記録し、ダイハツの基幹車種としての地位を確立している。
4代目となる新型タントでは、ダイハツのクルマ作りの新世代を切り開く新たな開発思想「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」を採用。親会社であるトヨタ自動車が「TNGA(Toyota New Global Architecture)」で「もっといいクルマづくり」を目指しているように、DNGAでは以前から企業理念としてきた「良品廉価なクルマづくり」をさらに進化させることを目標としている。
DNGAで生み出された第1弾商品となる新型タントでは、「新時代のライフパートナー」をキーワードに開発を実施。ゼロベースから新開発したプラットフォームや世界初の技術を採用するトランスミッションを用意するなどすべての機構を一新。「走る」「曲がる」「止まる」といった基本性能を大幅に向上させている。
なお、新型タントでも先代同様に個性の異なる2つのバリエーションを展開。シンプルで愛着を感じさせるフロントマスクを持つ外観と、居心地のよい空間を演出するインテリアを備えた「すっぴん美人スタイル」の「タント」、メリハリを効かせて軽快で存在感のあるスタイルを表現した外観と、メッキ加飾や「プレミアムシャインブラック」のカラーリングで上質感と高級感を与えたインテリアを備える「洗練/上質スタイル」の「タント カスタム」が用意されている。
ボディカラーは、新色の「アイスグリーン」「パールブラック」「マスタードイエローマイカメタリック」「シャイニングホワイトパール」の4色を用意。アイスグリーンがタント専用、パールブラックがタント カスタム専用となり、タントに全9色、タント カスタムに全8色をラインアップ。また、タント カスタムでは3種類の2トーンカラーも選択可能となる。
世界初の「スプリットギヤ」採用で伝達効率を約8%高めた「D-CVT」
新開発のプラットフォームでは、基本骨格となるアンダーボディやサスペンション設定、パワートレーンなどの構成要素を同時刷新。とくにサスペンション配置を最優先して、操縦安定性や乗り心地などのポテンシャルを最大限に引き出せる設計を行なっている。また、アンダーボディでは効率よく強度を発揮できるよう骨格構造をストレート化。高張力鋼板を積極的に採用して、曲げ合成を従来から約30%アップに強化しつつ、同等の構造における車両重量を約80kg軽量化。これによって仕様や意匠の向上、基本性能の向上、安全性能の向上などで必要となった重量増を吸収し、トータルで40kgの軽量化を果たしている。フロア高も従来型から16mm低床化して、子供や高齢者などの乗降性、ラゲッジスペースに対する荷物の積載性を向上させた。
ダイハツではDNGAついての新技術説明会を事前に開催しており、DNGAプラットフォームに関するレポート(ダイハツ「DNGA」の見どころをクローズアップ[プラットフォーム編])を誌面で紹介しているので、合わせてご確認いただきたい。
エンジンは従来と同じ「KF」型の直列3気筒DOHC 0.66リッターの自然吸気とターボをラインアップするが、新たに日本初となる複数回点火(マルチスパーク)を採用し、高タンブルストレートポートや排気集合ポートの導入、燃焼室内の表面凹凸のフラット化による表面積削減などによって基本特性を磨き上げ、燃焼効率を向上。自然吸気エンジン搭載車では軽自動車で初めて「平成30年基準排出ガス75%低減レベル」を達成し、さらに軽自動車ユーザーが多用する低速域でのトルク特性を強化している。
トランスミッションでは世界初の「スプリットギヤ」を採用した新CVT「D-CVT」を全車に導入。CVTが不得意とする高負荷領域でギヤトレーンを併用することにより、伝達効率を約8%向上させているほか、変速比率を従来の5.3から6.7(構造では7.3まで拡大可能だが、新型タントではエンジン出力、車両重量の関係から6.7までとしている)に高めている。これにより、低速域でのスムーズで軽快な加速、高速域での静かで低燃費な巡航走行を両立する。こちらについても新技術説明会のレポート(ダイハツ「DNGA」の見どころをクローズアップ[エンジン・CVT編])で誌面紹介しているので、合わせてご確認いただきたい。
このほかに車体関連では、ボディの表面形状や隙間、段差低減などの工夫でスムーズな空気の流れを生み出し、風切り音を抑制。車体の内側にあるサービスホール(製造作業用の穴)を減らして防音材を最適配置したことで、走行音などの浸入を低減し、静粛性が高いキャビンを実現している。
タントの大きなセールスポイントである車内ユーティリティでは、運転席のシートを最大540mm前後スライド可能とした世界初の「運転席ロングスライドシート」を新採用。助手席シートの380mmロングスライド、ピラーインドアのミラクルオープンドアと合わせ、歩道のある助手席側から運転席までアクセスできる「ミラクルウォークスルーパッケージ」を実現している。
安全面を考慮してシフトポジションがPレンジの場合だけに利用可能としたロングシートスライドは、雨天などの日に傘を差した状態で運転席まで乗り降りできるほか、母親が運転席に座ったまま助手席後方のシートにいる子供の世話をしたり、後席に置いた荷物を手に取ったりできるなど、多彩なシーンで高い使い勝手を発揮する。
ドア関連では軽自動車初の機能を多用して使い勝手を向上。助手席ドアが半ドアの場合に自動で全閉とする「助手席イージークローザー」、パワースライドドアのクローズ中にフロントドアのハンドル部にあるタッチ式リクエストスイッチに触れることでドアロックを事前予約できる「タッチ&ゴーロック機能」、クルマを下りる前にインパネに用意されたスイッチを押しておくことで、次にクルマに戻った際にパワースライドドアが自動オープンする「ウェルカムオープン機能」などを初採用して使い勝手を高めている。
また、ダイハツでは地域密着プロジェクトの「健康安全運転講座」で理学療法士や大学教授と協力しており、高齢者向けの新装備を産学共同研究で開発。助手席側のAピラー内側やフロントシート背面に固定する「ラクスマグリップ」、助手席側のドア開閉に連動する「ミラクルオートステップ」などをオプション設定。ピラー固定のラクスマグリップ以外はディーラーオプションとして、車両購入後にユーザーのライフスタイルが変わった場合でも追加できるようにしている。
運転席もドライバーを中心としてレイアウトを刷新。運転に関連する各要素の配置を再構築して、ドライバーが直感的に操作できるようにすることで運転負荷を低減。手や視線が動く軌道上に表示類を集約して、安全に安心して運転できるドライビングポジションを生み出した。さらにAピラーの形状を従来よりも細くして視界を拡大。ステアリングやシフトセレクターも握りやすい形状に改めている。
シートは座面のクッション硬度を最適化して、骨盤、臀部、大腿部の3点で乗員の体を確実にサポートする形状を採用。運転席のシートでは骨格形状の見直しも行ない、土台部分の横剛性を高めて安定性を向上。長時間座り続けても疲れにくい座り心地を実現している。
DNGAの「電子プラットフォーム」で「次世代スマートアシスト」に進化
DNGAで生み出された新しいプラットフォームでは、先進技術にも積極的に対応可能な「電子プラットフォーム」を採用。ステアリングやアクセル、ブレーキなどをADAS(先進運転支援システム)と統合制御できるようにしている。
新型タントでは先代モデルで初採用した衝突回避支援システム「スマートアシストIII」の「世界最小ステレオカメラ」を継続搭載しつつ、ダイハツ独自の制御ロジックをさらに進化させて機能を強化。コーナーセンサーの情報も制御に利用可能としている。
これにより、従来から備える「衝突回避支援ブレーキ」「車線逸脱警報機能」「先行車発進お知らせ機能」「オートハイビーム」などに加え、車両が走行中の車線からはみ出しそうになった場合に、車線内に戻るようステアリング操作をアシストする「車線逸脱抑制制御機能」を新たに採用。また、全車で標準装備する「フルLEDヘッドライト」に、ハイビーム状態での走行中に対向車を検知すると、対向車に当たる部分を自動的に消灯する「ADB(アダプティブドライビングビーム)」を軽自動車として初搭載した。
このほか、予防安全機能の「スマートアシスト」では、エンジン出力の抑制を行なう「誤発進抑制機能(前方・後方)」にブレーキによる制動力を追加。急発進の抑止力を高めた「ブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)」に進化させた。また、進入禁止の道路標識を認識してメーターパネル内の表示で知らせる「標識認識機能(進入禁止)」も採用している。
運転支援機能の「スマートアシストプラス」では、ステレオカメラで前方の車両の車速や車間距離を検知。車間距離を一定に保ち、設定速度内で先行車に追従走行して、前方の車両が停車した場合はブレーキによる一時停止を行なう「全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)」、ステレオカメラで車線を認識し、車線の中央を走行するようステアリング操作をアシストする「LKC(レーンキープコントロール)」をオプション設定。フルLEDヘッドライトには、夜間の右左折時にステアリングを操作した方向を追加点灯で照らす「サイドビューライト」も備えている。
これら全15個の機能の採用で予防安全機能を向上させ、安心・安全が進化した「次世代スマートアシスト」としている。
X、カスタム X、X ターボ、カスタム RSの4グレードとフレンドシップシリーズ各車では、軽自動車初となる駐車支援システム「スマートパノラマパーキングアシスト」をオプション設定。ボディの左右にあるカメラで駐車枠の白線を検知して、音声ガイドや画面表示に加え、必要となるステアリング操作を自動的に実施。ドライバーはブレーキやアクセルの操作、周辺の安全確認に専念して、初めての場所でも安心して駐車できるようにしている。並列駐車、縦列駐車のどちらにも対応可能。
このスマートパノラマパーキングアシストについては、プロトタイプ車両の試乗会で橋本洋平氏が実際に体感した動画も用意しているので、合わせてご確認いただきたい。
フレンドシップシリーズに追加されたウェルカムターンシート(回転シート車)は、「標準車と福祉車両の垣根をなくす商品展開」として用意されたモデル。助手席のシートが30度左側に回転して足腰に不安がある人の乗り降りをサポートし、ラゲッジスペースのルーフ側に車いす収納用の「パワークレーン」が取り付けられている。
ラゲッジスペースに設置したスロープで車いすの人がそのまま乗車するタント スローパーでは、ユーザーから寄せられた「普段使いで使いにくい」「車いす乗降時の操作が難しい」といった意見を反映して改良を実施。新開発の「リトラクタブルスロープ」はワンタッチ操作での前倒しを可能にして、車いすの利用がないシーンで広いラゲッジスペースを実現。また、車いすを固定するベルトをリトラクタ式に変更し、車内の車いす乗車スペース幅を20mm拡大して車いすの乗降性を高めている。