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ダイハツ、ユーザーの声に寄り添ったDNGAモデル第1弾、新型「タント」発表会
すでに月販販売目標台数の約1.5倍となる1万6000台を受注。DNGA第2弾モデルは今秋発表予定
2019年7月10日 00:57
- 2019年7月9日 開催
ダイハツ工業は7月9日、スーパーハイト系軽乗用車の新型「タント」を発売。同日に東京都内で発表会を開催した。
新型タントは、ダイハツの新時代のクルマづくり「DNGA(Daihatsu New Global Architecture)」による第1弾商品。サスペンションアレンジを最優先して開発を行ない、骨格の部品配置をゼロベースで最適化したプラットフォームを新開発して、衝突安全性、NV性能、ボディ強度に加え、曲げ剛性を従来に比べて約30%向上。ハイテン材の活用や構造合理化により、プラットフォームを含むボディ骨格全体で約40kgの軽量化を実現した。
また、パワートレーンも一新され、トランスミッションには世界初となるスプリットギヤを用いた新技術を搭載する新しいCVT「D-CVT」を採用。エンジンの回転をタイヤに伝えるCVTに「スプリットギヤ」を組み込み、従来のベルト駆動だけでなく、より伝達効率のよい「ベルト+ギヤ駆動」を可能にした。エンジンにも大幅な改良が加えられ、日本初となる複数回点火(マルチスパーク)の採用や、燃料噴射方法の改良(スワール噴射)により、燃焼効率を向上させた。
なお、詳しくはDNGAについての新技術説明会のレポート「ダイハツ「DNGA」の見どころをクローズアップ(プラットフォーム編)」「ダイハツ「DNGA」の見どころをクローズアップ(エンジン・CVT編)」をご確認いただきたい。
使い勝手に関しては、タントならではの広い室内空間やピラーインドア「ミラクルオープンドア」を最大限生かし、運転席を最大540mmスライドできる世界初の運転席ロングスライドシートを採用。そのほかにも、軽自動車初の「助手席イージークローザー」「タッチ&ゴーロック機能」「ウェルカムオープン機能」といった日常生活にゆとりをもたらす機能を多数搭載した。
安全面については、予防安全機能「スマートアシスト」に運転支援機能「スマートアシストプラス」を加えた進化した予防安全機能「次世代スマートアシスト」を採用。従来のスマートアシストから採用してきた世界最小のステレオカメラを搭載しつつ、ダイハツ独自の制御ロジックを進化させて機能を強化した。
使い勝手などのパッケージング、次世代スマートアシストについての詳細は、「ダイハツ、『DNGA』第1弾の新型軽スーパーハイトワゴン『タント』。世界初の運転席540mmロングスライド採用」をご確認いただきたい。
ユーザーの声に寄り添って「良品廉価」な新型タントを開発
発表会では、まずダイハツ工業 取締役社長 奥平総一郎氏が「CASEに代表されるとおり、自動車業界は100年に1度の大変革期を迎えており、お客さまのクルマに対するニーズや使われ方は日々変化しております。そうした中で、お客さまに最適なクルマを今まで以上にスピーディにお届けするため、新世代のクルマづくりであるDNGAに取り組んでまいりました。そして、パワートレーンを含むすべてのプラットフォーム構成要素を同時に刷新いたしました。この新技術を搭載した今後のDNGA商品群では、お客さまの暮らし、社会をもっと元気にするために、『良品廉価』『最小単位を極める』『先進技術をみんなのものに』という3つの価値を皆さまにお届けいたします。特に安全面におきましては、スマートアシストをさらに進化させ、より多くのお客さまに安全・安心をご提供してまいりたいと考えております」と新型タントを紹介。
「新型タントのキーワードは『新時代のライフパートナー』です。新型タントをより多くの暮らしに役立てていただきたいという思いで、機能、先進技術、デザインまで全方位で進化させたダイハツらしい良品廉価な1台となったと考えております。奇しくも今年は令和元年という新たな時代の幕開けとなる年です。このような年に、DNGA第1弾としてタントを発表できることを大変喜ばしく感じております」とあいさつを行なった。
次に、ダイハツ工業 製品企画部 チーフエンジニア 田代正俊氏が商品概要について説明。タントは2003年に「幸せ家族空間」をコンセプトに発売し、子育てをするファミリーの声から生まれた背の高いパッケージングで、スーパーハイトというジャンルを確立。2代目では軽自動車初のミラクルオープンドアを、3代目では両側スライドドアやスマートアシストを採用して、時代の変化を先読みしながらユーザーの声に寄り添って進化してきたことを紹介した。
また、商品開発に関して田代氏は「お客さまの声をよく聞くことで使いやすさを追求してきました。クルマの進化はお客さまの声から生まれます。新型タントの開発でもさまざまなライフステージの方の声を聞き込み、できる限り多くのお客さまに喜んでいただきたいという思いで開発を進めてまいりました」と述べたのち、「新時代のクルマづくりであるDNGA実現への挑戦が始まる中で、軽自動車の“ど真ん中”であるタントからDNGAを導入し、新しいダイハツの第一歩をこの新型タントから踏み出し、たくさんのお客さまの笑顔を生み出したいと考えました。新型タントのキーワードは『新時代のライフパートナー』です。日々の暮らしの相棒として、お客さまに寄り添いたいという言葉です。時代とともに暮らしは変わり、タントも変わる。新型タントはすべてのライフステージの方にご愛用いただける、ダイハツらしい良品廉価な商品になったと考えております」と、新型タントへの想いを語った。
タントにおける産学協同研究の取り組みについては、ダイハツ工業 法人事業部商品室 室長 管嘉毅氏が説明。「高齢化は日本の大きな課題」と述べ、ダイハツでは2017年から地域密着プロジェクトとして健康安全講座を開催していることを紹介。地方における免許返納と公共交通機関減少に起因する課題の中で、活動の意義を強く感じていると述べた。
新型タントの福祉車両では、さらなる良品廉価を目指し、標準車と福祉車両の垣根を無くすことをコンセプトに開発を一体化。高齢者が1人で家族などの手助けなくクルマに乗り降りできるよう、開発陣が現場で地域の人々と同じ目線で会話をして意見を聞き、産学協同で乗り降りの際の負担を解析するなど、すべての人に優しいクルマづくりを行なったことを紹介した。
なお、最後に行なわれた質疑応答で、これまで2019年内の投入予定としていたDNGA第2弾モデルについて、秋に発表する予定と紹介。
また、受注状況についても述べられ、1か月ほど前から先行受注を行なっており、すでに月販販売目標台数の1万2500台の約1.5倍となる1万6000台の受注があるとのこと。今後、どのタイミングで消費税10%へ引き上げられる10月以降の納期になるかは「はっきりとは申し上げられない」と述べ、「ギリギリになりそうなお客さまについては丁寧に商談を行ないたい」とした。