レビュー

【タイヤレビュー】マッド&スノーに対応する横浜ゴム「ジオランダー X-CV」でスノー路面を走ってみた

パイロンスラロームや急制動でスノー性能を体感

横浜ゴム「ジオランダー X-CV」のスノー性能を体感

 SUV向けのタイヤに「M+S」という記号が刻まれているのをご覧になったことはあるだろうか? これはマッド&スノーに対応する証で、これまで実際にそれを試す機会がなかったが、今回初めてスノー路面を試す機会に恵まれた。タイヤは最近発売されたばかりの横浜ゴム「ジオランダー X-CV」だ。

 ドライ路面のインプレッションは以前の記事をご覧いただきたいが、このタイヤは17サイズがラインアップされ、18インチ~22インチまで大径なものばかりを揃えている。モノコックボディを採用するハイパワーモデルをターゲットにしたタイヤだ。コンセプトはスポーツ性よりも快適性を確保しようというもので、さらにM+Sの要素も取り込んでいるところがポイント。細かな溝が刻まれ、ブロックもそれほど大きくなく、けれども左右非対称パターンを採用することで走りを確保している。

マッド&スノーに対応したジオランダー X-CVで、初めてスノー路面を体感。用意された車両はジープ「グランドチェロキー」
ジオランダー X-CVはハイパフォーマンス・クロスオーバーSUV向けのハイウェイテレーンタイヤで、18インチ~22インチの計17サイズをラインアップ。専用開発となる非対称トレッドパターンを採用し、急な降雪にも対応する「M+S(マッド&スノー)」規格を取得しつつ、ハイパフォーマンス・クロスオーバーSUV向けに最高速270km/hに対応するスピードレンジ「W」を全サイズで実現した。右の写真の向かって左がIN側、右がOUT側

 そんなX-CVで短距離ではあるがスノー路面を走ってみた。スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤを味わった後にM+Sを試すという流れだったため、やや心配だったのだが、路面をきちんと掴んで発進してみせたところ、正直に言って驚いた。これはなかなか走れそうだ。

 パイロンが並べられたところをスラローム的に走ってみるが、操舵初期の応答もわるくなく、きちんと旋回。その後、フル制動を行なってみたが、スタッドレスタイヤほどではないものの、シッカリと制動して見せた。縦方向、横方向のバランスがあり、クセなく走れるところが好感触。感覚としてはスタッドレスタイヤとオールシーズンタイヤの中間あたりに位置しているように思えたのだ。

パイロンスラロームやフル制動を行なったところ、縦方向と横方向のバランスのよさが感じられた

 もちろんこれは走行した路面に氷が見えるようなところがなく、全面に雪が敷き詰められていたからこそ。氷が見えるような状況では、こうはいかなかっただろう。あくまで限定的なシーンではあるが、雪だけならM+Sでも十分にこなすことが可能だということが理解できた。クルマが4駆であること、そして氷は除くというのが前提ではあるが、M+Sの記号はダテじゃない。いざという時には役立ってくれそうだ。

橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。走りのクルマからエコカー、そしてチューニングカーやタイヤまでを幅広くインプレッションしている。レースは速さを争うものからエコラン大会まで好成績を収める。また、ドライビングレッスンのインストラクターなども行っている。現在の愛車はトヨタ86 RacingとNAロードスター、メルセデス・ベンツ Vクラス。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。