レビュー

【タイヤレビュー】ちょっと古いトヨタ「MR-S」に横浜ゴムの「BluEarth-GT AE51」を装着してみた

2019年2月1日 発売

トヨタ自動車の「MR-S」に横浜ゴムの「BluEarth-GT AE51」を装着してみた

 横浜ゴムの低燃費タイヤブランド「ブルーアース」から、2019年2月1日に発売されたグランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」を、ちょっと古いスポーツカートヨタ自動車の「MR-S」に装着してみた。

 この記事では2019年9月に装着してからの長期間使用した印象を伝えていきたい。結論を先に述べておくと、個人的趣向を含めて言えば、BluEarth-GT AE51とMR-Sの組み合わせは大正解であったと思っている。

 さて、BluEarth-GT AE51の購入段階に話を戻すと、当時MR-Sに装着していたのはコンチネンタルの「Premium Contact 2」。“輸入ブランドのタイヤを装着してみたい!”というミーハーな理由で選んだタイヤではあるが、5年近く使っていてノートラブルで満足度も高かった。まだまだ残り溝もあったのではあるが、新しいタイヤへの交換を模索していた。

 MR-Sのタイヤサイズはフロントが185/55R15、リアが215/45R16となっておりタイヤの選択肢が少ない。候補となったのは、過去に別のクルマで使ってみて印象のよかったミシュランタイヤから発売されているスポーツタイヤ「PILOT SPORT 3」と、“低燃費タイヤを試してみたい”という気分もあって横浜ゴムの「BluEarth-GT AE51」の2択となった。いざ“購入するぞ”と決意して最初に注文を入れたのはミシュランタイヤ。しかしタイヤを注文したお店では欠品中とのことで、すぐに手に入る横浜ゴムを購入することになった。

MR-Sのリアタイヤは215/45R16のサイズで、タイヤの選択肢が少ない

 BluEarth-GT AE51発表当時のプレスリリースを確認すると、ミドルクラスセダンをメインターゲットに「走行性能、快適性能、環境性能の全てに優れるグランドツーリングタイヤ」をコンセプトとして開発したという。ミッドシップのライトオープンスポーツであるMR-Sでは、商品ターゲットとは違っていてあまり参考にならないことはご容赦いただきたい。

 リリースの続きでは、長距離移動することを語源とする「グランドツーリング」に相応しい力強くしっかりとした走行性能を追求し、商品名に「グランドツーリング」を意味する「GT」を取り入れたとある。

 そのグランドツーリングに関する性能については、長期間使ってみた印象としては「まさにそのとおり」と思っている。高速道路を走行する速度域80~100km/hに合わせて、直進安定性や乗り心地、騒音が非常に快適になるように仕上げられていると感じた。このタイヤを装着してからプライベートで東京~大阪を移動する機会があったのだが、長時間の移動ほどそれを実感できる。

専用開発の非対称パターンを採用する「BluEarth-GT AE51」。国内ラベリング制度で全サイズで最高グレードのウェットグリップ性能「a」を獲得。ころがり抵抗性能では31サイズで「AA」、26サイズで「A」を獲得している

 燃費性能ではどうだろうか? 東京~大阪を移動した際の往復では17.0km/Lを超える燃費値も記録するなど、高速道路をメインとした走行では燃費を引き出しやすくて満足している。

 走行性能ではタイヤの転がり抵抗が減っている効果だろうか、高速道路を一定速度で巡航しているときに行なっている微妙なアクセルコントロールについても、小さなアクセルの踏み込みで調整できる速度幅がこれまでより増えたような気がする。また、大型トラックの後ろを走る、走らないで変化する走行風による抵抗など、車両の走行抵抗の変化を繊細に感じられるようになった印象がする。

記者がタイヤに求めるのはウエット路面における“安心感”

 BluEarth-GTでは、ウェットグリップ性能を確保しながら低燃費性能を向上させたとある。BluEarth-GTに用意される185/55R15、215/45R16のサイズは、国内ラベリング制度において最高グレードのウェットグリップ性能「a」、ころがり抵抗性能では「A」を獲得している。

 過去に別のクルマで使用したミシュランタイヤの印象がよかったのはウェットグリップ性能の部分。ミシュランタイヤを装着したクルマで豪雨の中を走行する場面があり、その中で感じた“安心感”が強く印象に残っている。安心感とはなにかと言うと、豪雨の中においても路面の情報がしっかりとステアリングに伝わるのを感じていたからであると思っている。

 BluEarth-GTを使っていて強い雨の中を走行する場面もあったが、使い初めの第一印象としては“もう少し路面の情報がほしい”と感じた。しかし、それは長期間使用して使い慣れてくるうちに、路面の情報はちゃんとステアリングに伝わっていることが分かってくる。ミシュランを装着していたのはFFのクルマ、MR-Sはリアエンジンの後輪駆動という違いも大きいだろう。

 BluEarth-GTを購入して驚いているのは記者の行動に変化を与えたこと、これまでMR-Sで長距離移動しようとは考えなかった。BluEarth-GTのグランドツーリング性能に味をしめた筆者は、新潟へのロングドライブを計画してそれを実行に移した。新潟でふらっと入ったお寿司屋さんでは、絶品のウニに出会った。ウニを口に入れた途端に口の中に海が広がり、それはウニが過ごしていた海底の風景が脳裏に浮かぶ思いがした。

 BluEarth-GTによってグランドツーリング性能を手に入れたMR-Sは、今では「MR-S GT」と名乗ってもいいのではないかという満足感である。自由に移動ができる日がやってくるのを楽しみに待ちたい。

編集部:椿山和雄