イベントレポート

【東京モーターショー 2019】横浜ゴム、アルプスアルパインと乗用車用タイヤセンサーを共同開発

2020年1月発売の乗用車用オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」の展示も

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

アルプスアルパインと乗用車用タイヤセンサーを共同開発すると発表

 10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回東京モーターショー2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。

 東京ビッグサイト 南展示棟4階(S4304)にある横浜ゴムブースでは、「OPEN FUTURE」をテーマに、現在から未来に向けて新しいモビリティ形成をサポートする技術を紹介している。また、2020年1月の発売が予定されている乗用車用オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21(ブルーアース・フォーエス・エーダブリュー・ニーイチ)」など、タイヤの展示も行なわれている。

横浜ゴムブース

タイヤセンサーでのアルプスアルパインとの共同開発を発表

横浜ゴム株式会社 取締役常務執行役員 技術統括 野呂政樹氏

 24日に行なわれたプレスカンファレンスでは、横浜ゴム 取締役常務執行役員 技術統括 野呂政樹氏が登壇。まず、「私たちはカーライフというものが、もう一度楽しいものとして捉えていただけるよう、日々タイヤ作りをしております」とあいさつするとともに、安全なタイヤは雨の日も雪の日もクルマで出かけることをためらわないとして、技術開発はもちろん情報のサポートを行なっていくことで、「ドライバーがいつまでもアクティブにカーライフを楽しめることを願っています」と述べた。

 技術開発の面では、「高度なシリカ配合技術を駆使することで、低燃費タイヤでありながらウェットグリップ性能“a”という最高グレードを有するタイヤを数多く揃えている」としたほか、「滑りやすい凍結路面でもちゃんと止まることができるスタッドレスタイヤの開発に日夜取り組んでいる」といった事例を説明。その成果として「夏、冬を問わずクルマの事故ゼロを目指した高性能タイヤ」をはじめ、レースやクラシックカー、あるいはオフロード志向のお客さまなど、あらゆる自動車ユーザーの趣味に対応する商品のラインアップ拡充を図ることでユーザーのカーライフに貢献していきたいと述べた。

 また、昨今では低燃費タイヤが求められているものの、「国内メーカーとしていち早く“エコタイヤDNA”を発売した1988年は、エコ性能でタイヤが売れるとは誰も思っていなかった」と振り返りつつ、同社では「それよりも以前から低燃費性能とウェット性能の両立に欠かせないシリカ配合技術に着目していた」と説明。その上で、今後は省資源が求められる時代に変わりつつあることから、「通常廃棄される天然素材からゴムを生成する技術開発」を行なっており、独自技術で特許を取得した再生可能な熱可逆性ゴム「THCラバー」、50%もの軽量化を目指す超軽量化タイヤなどの事例を紹介。加えて、今後増えていくことになる電気自動車(EV)や自動運転車に求められる快適性として、「より一層の静粛性能」「パンクしにくいタイヤ、あるいはパンクしてもある程度走れるタイヤ」を挙げ、それに対しては「サイレントフォームを内蔵することで静粛性を高めたタイヤ」「パンクの穴を埋めるセルフシーリングタイヤ」といった回答を示した。

 将来的なタイヤの進化方向としてはコネクテッド化を想定。空気圧警報装置を利用して燃費の悪化を防いだり、空気圧メンテナンスを簡略化したり、パンクなどトラブル時のタイヤサービスだったりと、得られた情報をフィードバックしていくための研究開発を行なっていると述べた。さらに、こうした方向性強化の一環として、乗用車タイヤセンサーの一部についてアルプスアルパインとの共同開発を実施すると発表。「センサー開発のほかシステム設計力、ソフトウェア開発力を有している」として、新しいタイヤビジネスモデルのシナジー効果にも期待していると述べた。

タイヤ作りの「思い」
安全なタイヤの開発
さまざまなクルマの「趣味」に対応する
環境技術の飽くなき追求
タイヤが生む「新しい快適」
Intelligent Tire Concept
展示タイヤ
1月9日より本格販売が開始される乗用車用オールシーズンタイヤ「BluEarth-4S AW21」。発売サイズは225/55R19~175/65R14の19種類。価格はオープンプライス
V字ダイバージェントグルーブが特徴
方向性パターンを採用している
ロゴ部分。スノーフレークマーク付でチェーン規制時でも走行可能
ロードノイズを抑えるためにブロックサイズが異なる
サイド部分にも凝った意匠が施されている
スタッドレスタイヤ「iceGUARD6 iG60」
SUV向けハイパフォーマンスタイヤ「GEOLANDER X-CV」
静粛性を追求した「ADVAN dB V552」
高い省燃費性能とウェット性能を両立した「ADVAN FLEVA 91W」
高い操縦安定性と快適な乗り心地を実現した「BluEarth-GT AES1」
マトリックス・ボディ・プライ

 同社のグローバルフラグシップモデル「ADVAN Sport V105」に採用する技術。サイド部分のカーカスをクロスさせることでねじれを解消、操縦安定性をアップさせる。

ADVAN Sport V105
マトリックス・ボディ・プライを体感できるデモ展示が用意されている
超軽量タイヤ

 高剛性のアラミドベルトやカーカスを採用することで、ゴム使用量を大幅低減。2011年の開発スタート時より50%近い軽量化を実現しているという。

従来型タイヤと超軽量タイヤを比較できる
軽量化技術
エアロダイナミクス技術も投入
省資源化

 天然資源から合成ゴムを作り出したり、タイヤをリサイクルしたりすることで化石燃料の削減を狙う。

天然資源(バイオマス)から合成ゴムを精製
バイオマス原料
合成したブタジエンゴム
使用済みタイヤから再資源化したペレット
THCラバーで製造した車いす用タイヤ
製品化された車いす用パンクレスタイヤ
さまざまな開発中技術も
タイヤノイズを低減する技術
BluEarth-1 EF20で使用されたサイレントリング
メーカー純正タイヤに採用されたサイレントフォーム
タイヤ内部に面ファスナーを用いてサイレントフォームを装着するコンセプトタイヤ。より静粛性を求めるユーザー向けに販売店で装着するといった利用を想定する
空気圧がゼロになっても走行可能な「Z・P・S」(Zero Pressure System)
高剛性ビードワイヤーやパワーアーチによりサイド部が強化されている
粘着性の高いセルフシーリング材により空気漏れを防ぐコンセプトタイヤ
ウェットグリップ技術を体験できるコーナー
一般的なゴムとシリカ配合ゴムが用意されている
見た目には違いがあるように思えないが、試してみると確かに違う!
インテリジェントタイヤコンセプト
見た目には普通のタイヤ
タイヤ内部にセンサーが設置されている

安田 剛

デジモノ好きのいわゆるカメライター。初めてカーナビを購入したのは学生時代で、まだ経路探索など影もカタチもなかった時代。その後、自動車専門誌での下積みを経てフリーランスに。以降、雑誌やカーナビ専門誌の編集や撮影を手がける。一方でカーナビはノートPC+外付けGPS、携帯ゲーム機、スマホ、怪しいAndroid機など、数多くのプラットフォームを渡り歩きつつ理想のモデルを探索中。