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横浜ゴム、「ブルーアース・ワン EF20」などスポンジ入りタイヤの吸音性能を説明
2019年12月23日 06:00
- 2019年12月17日 開催
横浜ゴムは12月17日、同社の平塚製造所において報道関係者向けのタイヤ技術勉強会を開催。シリカ配合やスポンジ装着タイヤについて説明した。
タイヤの内側にスポンジを装着するサイレントフォームは東京モーターショー 2019でも展示され、来場者の関心が高く質問も多かったタイヤ技術。横浜ゴムのラインアップでは純正装着タイヤとしてスポンジを貼り付けた製品のほか、交換用タイヤとしてサイレントリングをタイヤ内部に入れた「ブルーアース・ワン EF20」がある。
スポンジによる吸音のしくみ
説明を行なったのは横浜ゴムの研究開発部 主幹 池田俊之氏。吸音スポンジについて研究を行なっている。
タイヤの空洞共鳴とはタイヤの空気が入っている部分の共鳴のこと。共鳴はほかにクルマの車内共鳴、ビンの口を吹いて出る音や、楽器による共鳴音もある。ギターなどの弦楽器は、弦の響きをボディに響かせる共鳴音だという。
池田氏はタイヤが発する音の種類を説明。ゴーっという音は100~150Hzくらい、ガーという音は300Hz以上で、もっと高いシャーという音もある。タイヤの空気の部分の空洞共鳴音はそれらの音に紛れて存在する「ホォーン」や、ジョイント通過の「パカーン」という音になる。
この音は路面の凹凸によってタイヤが振動し、タイヤの空洞部の空気が共鳴してホイールを振動させ、車内に伝達される。
タイヤのトレッド面と地面が触れるときの音は速度によって周波数が変わってくるが、空洞共鳴音の周波数については速度とはあまり関係がない。周波数の変化はタイヤサイズの違いによる空洞の大きさの差によるものが大きく、タイヤサイズで共鳴音の周波数は変わってくるという。
走行時の「ホォーン」や、ジョイント通過の「パカーン」の音に効果
タイヤの空洞共鳴音をどうやって小さくするかだが、音が発生しているところで対策を行ない、直接作用する対策が重要と池田氏は説明。実用化されている方法は2つで、スポンジを使う方法と、共鳴に共鳴をぶつけて干渉作用で吸音するヘルムホルツレゾネータがある。ヘルムホルツレゾネータでは周波数に応じて設計し、専用のホイールに組み込みが必要となる。
ヘルムホルツレゾネータでは音を消せる周波数が設計に応じた決め打ちになるが、スポンジは広い範囲で効果があり、柔軟性をもたせられる。池田氏はスポンジを効果的に使うことで空洞共鳴音をほとんど消失させることが可能と述べ、空洞共鳴音が突出した車両ほど対策の効果が大きいとした。
30年前から効果は分かっていたが、耐久性の確認に時間がかかった
池田氏によれば、タイヤの内側にスポンジを入れることで騒音を減らすことができることは30年ほど前から分かっていたとのこと。しかし、最近まで採用されなかったのはスポンジの耐久性の確認が必要だったから。タイヤよりも先にタイヤの空洞内でスポンジがボロボロになることは許されないため、タイヤと同等の寿命を確認するために時間がかかったとした。
なお、アフターマーケット用で横浜ゴムが現在ラインアップしているのはブルーアース・ワン EF20のみで、サイズも1サイズ限定となっている。池田氏は普及させるにはコストの問題があるとして、さまざまなスポンジ付きタイヤが販売されることには否定的な考えを示した。