レビュー

【ナビレビュー】ケンウッドの新型PND「ココデス」は彩速ナビゆずりの使いやすさと安心感があった

ケンウッドのポータブルナビ「ココデス」をプチレポート

クルマに合わせて画面サイズを5V型・7V型・9V型から選べる

 スマホの性能向上は多くの業界に衝撃を与えた。例えばデジタルカメラだ。コンパクトタイプだけでなく一眼レフまでも少なくない市場を奪われた。カーナビもそうした業界のひとつ。とくに大きな影響を受けたのがPND(ポータブルナビゲーションデバイス)だ。ディスプレイにGPS、そして地図と多くの要素が被っているのだから、これはもう仕方がない。PNDというジャンルは先細りしていき、ついには消滅してしまうのか……。もはや時間の問題かと思っていたが、ところがどっこい。PNDは底堅い需要に支えられ一定の市場を築いていたのだ。

 PNDが選ばれている主な理由は「専用機ならではの安心感」「電源や地図データを内蔵」「手頃な価格」といったあたりだろうか。本体には地図データを内蔵しているから電波状態も不問なのだから、余計なことに気を遣う必要がないのは大きい。

 そうした背景を踏まえて登場したのが、ケンウッドの「ココデス」だ。ラインナップは9V型が「EZ-950」、7V型が「EZ-750」、5V型が「EZ-550」と、ディスプレイサイズが異なる3モデルが用意されており、全機種オープン価格となっている。基本的なスペックは共通となっており、EZ-950のみフルセグ対応で、その他はワンセグ対応になるという点が異なるぐらいだ。

左からEZ-950、EZ-750、EZ-550

共通スペック

衛星受信:GPS/みちびき/グロナス
ジャイロセンサー:上下/左右/ロール
加速度センサー:上下/左右/ロール
電源:12V/24V

 嬉しいのは3モデルともリアビューカメラ接続に対応している点。オプションではあるものの、安全や安心を考えれば装着しておきたい。ブラックの「CMOS-230」と、ホワイトの「CMOS-230W」が用意されており、ボディカラーに合わせて選択が可能だ。ともに希望小売価格は1万4300円で、接続ケーブル「CA-P150R」(オープン価格)も必要になる。

EZ-950の同梱アイテム。本体とB-CASカード以外はほかのモデルも同じだ

彩速ナビゆずりの使いやすさを実現

 まずはクルマ(スカイラインR33 GT-R)に装着して各モデルを見比べてみた。吸盤スタンドを使ってダッシュボードに本体をセット、後はシガーソケットから電源を取るだけでいいからとってもカンタンだ。これの手軽さもPNDならではの魅力といえる。

9V型の大画面が嬉しいEZ-950
EZ-750。一般的な据え置き型ナビと同じ画面サイズになる
ちょっと小さめのEZ-550

 実際に装着された状態を見ると、やはり9V型ディスプレイを搭載するEZ-950は迫力満点。据え置き型ナビでさえ主流は7インチなのだから当然といえば当然。ただ、そのサイズゆえちょっとムリがある感じ。EZ-550はちょっと小さく感じるので、やはりEZ-750がベストチョイスだろう。というように、ダッシュボードの形状によっては装着できない場合もあるから、その時は臨機応変にチョイスしたいところ。幸いナビの性能的には違いがないので、純粋に大きさだけの差だ(地デジは違うけど)。

 実際の走行ではクルマを変更(GT-Rだと画面写真が撮れないのよ……)。本体もEZ-950を選んでみた。やはりデカい。地図の視認性もバツグンだ。

 さて、実際に使って見て感じるのは、とてもスムーズに操作できること。スマホはもちろん最近の据え置き型ナビは静電式タッチパネルが標準だけれども、PNDは感圧式タッチパネルが主流。「そういうモノ」だと思っていればそれほど気にならないものの、静電式に慣れてしまうと違和感があるのも確かだ。だが、「ココデス」はグレア処理した静電容量式タッチパネル! ピンチイン/ピンチアウトで地図の縮尺を変更したり、フリックでスクロールしたりと、とてもスムーズな操作が可能だった。加えて地図もクッキリ感があって鮮明。これもグレア処理した静電容量式タッチパネルの恩恵だ。

メニュー画面
目的地設定メニュー。一般的な項目は網羅されている
東京国際空港を検索。駐車場もしっかり
最大5ルートの探索が行なえる
交差点での「ここです案内」。100m手前からオレンジ色になるほか曲がるタイミングで「ポンポン」という音で教えてくれる

 一般道の交差点では「彩速ナビ」でお馴染みの「ここです案内」がサポート。右画面に大きな矢印とともに交差点までの距離が表示される。まさにここです! といったシンプルな表示だけれども、曲がるポイントがとても分かりやすい。走行中に自車位置が不安定になるような挙動は一切見せることがなく、しっかり専用機らしい精度を備えているといえそうだ。

 長時間のチェックはできなかったものの、専用機らしい安定した挙動はスマホとは比べものにならない安心感。操作レスポンスも上々でフリックなどによる操作も快適だ。物理的に据え置き型ナビが装着できないクルマや、手軽に大画面ナビを楽しみたいユーザーにはピッタリ。新型ならではの地図や性能、そして選べる画面サイズと、「ココデス」シリーズは魅力溢れるPND界のニューカーマーだ。

情報および設定のメニュー。リアカメラを接続した場合はここでセッティングが可能
AVメニュー。地デジのほかSDカードを利用して映像(MP4)、音楽(MP3)、静止画(JPEG)の再生ができる
通常はセンサーからの情報を利用して走行中の映像表示は不可だが、助手席モードにすることで利用可能になる
助手席で地デジを鑑賞。さすがにフルセグ映像は美しい
地デジ用のロッドアンテナを内蔵。オプションでフィルムアンテナも用意されている
安田 剛

デジモノ好きのいわゆるカメライター。初めてカーナビを購入したのは学生時代で、まだ経路探索など影もカタチもなかった時代。その後、自動車専門誌での下積みを経てフリーランスに。以降、雑誌やカーナビ専門誌の編集や撮影を手がける。一方でカーナビはノートPC+外付けGPS、携帯ゲーム機、スマホ、怪しいAndroid機など、数多くのプラットフォームを渡り歩きつつ理想のモデルを探索中。