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ケンウッド初のデジタルルームミラー型ドライブレコーダー“ミラレコ”、その性能を実走で体験してみた
- 提供:
- 株式会社JVCケンウッド
2021年9月1日 08:00
“ミラレコ”の注目ポイント
これまで数多くのドライブレコーダーを登場させてきたケンウッド(JVCケンウッド)が、新たなスタイルとなる製品を登場させた。それがデジタルルームミラー型ドライブレコーダー「DRV-EM4700」、通称“ミラレコ”だ。「デジタルルームミラー」と「2カメラドライブレコーダー」の機能を兼ね備えているもので、価格はオープンプライス(店頭予想価格は6万1000円前後)となる。
ミラレコはケンウッドが満を持して登場させた自信作。それだけにそのスペックには目を見張る。ルームミラー型の本体は表面に静電タッチパネル式の12型IPS液晶ディスプレイを組み込んだデジタルルームミラーとし、その背面にはフロントカメラを内蔵。これにバックカメラユニットを組み合わせ、前方と後方を同時記録するものとなっている。中でも見逃せないのが、デジタルルームミラーとしての機能を徹底してこだわり抜いていることだ。
リアウィンドウなどに取り付けられたバックカメラは、ドライブレコーダーとして常に車両後方を撮影しており、この映像をデジタルルームミラーに活用。これは、例えば後席に人が乗車していても、ラゲッジルームに荷物を満載していても後方の視界が妨げられないメリットを生み出す。しかもフロント/バックカメラともに高感度センサーを採用することで、夜間やトンネル内を走行しても従来の鏡面式ミラーを上まわる明るさで映し出せる。つまりミラレコは、ドライブレコーダーとして映像を記録しながら常に良好な後方視界が得られるという、安全走行に大きなメリットをもたらしているわけだ。
こうしたデジタルルームミラーが登場した背景には、2016年に施行されたカメラモニタリングシステムの法改正がある。国際基準に適合するカメラモニタリングシステムを備えることでバックミラーレスを可能にしたほか、直近ではバックカメラなど「後退時車両直後確認装置」の装備を義務化するなど、自動車の安全基準の拡充や強化にもつながった。これによって純正やアフター製品で対応が拡大。同時にドライブレコーダー機能を合わせ持つ製品が相次いで登場している。
ただ、ドライブレコーダーを手掛けるケンウッドとしては、これまで登場している製品を上まわる製品にしたい。そこで、まずこだわったのがそのデザイン。ルームミラーは車内のどこからでもその存在が見える。つまり、誰からもカッコイイ! と感じられるようなスタイルを目指したのだ。
本体を手にすると、デジタルルームミラーにドライブレコーダー機能を組み込んでいるにも関わらず想像以上に薄型ボディとなっていることに気付く。通常、デジタルルームミラーにドライブレコーダー機能を組み込めば筐体の厚みはどうしても避けられず、既存のルームミラーに被せて装着する以上、その厚みは不格好さを生む要因となってしまう。そこで徹底した薄型化を目指すことにした。
カメラユニットの取り付け方も工夫を凝らした。カメラの位置を右側とし、その上でカメラをスライド式としているのだ。
これまでミラー一体型ドライブレコーダーには海外製が多く、左ハンドル車に合わせてカメラも左側に取り付けられていることがほとんどだった。これだとドライバーの視線とは違った角度で撮影されるし、何よりもルームミラーに取り付けることを前提としているため、純正の大型ミラーへの取り付けに対応する必要がある。また、安全運転支援(ADAS)ユニットへの影響も最小限にとどめるため、ミラレコではカメラを右側に取り付け、スライド式とした。
カメラには前後ともに1/2.8型のフルカラーCMOSセンサーを採用した。注目すべきはフロント用の画角だ。最大記録画角は水平約143°、垂直約76°、対角約170°となっており、これは一般的なドライブレコーダーよりもはるかに広い。これはフロントウィンドウが傾斜してガラスエリアが広くなった最近のクルマに合わせた対応なのだという。
一方のバックカメラ。こちらは従来通り車内取り付けタイプとしている。海外製は車外付けとしている製品が多いが、これはリアゲートのスモークガラスの影響を避けるためと推察される。ミラレコはケンウッドがこれまで培ってきた映像技術で、プライバシーガラス越しでも鮮明に映し出すことができ、この影響を最小限にしている。さらに言えば、車内に取り付けることで跳ね上げによる汚れを気にしなくてもいいというメリットもあるのだ。また、最大記録画角は水平約107°、垂直約55°、対角約132°。フロントよりも画角を狭くして後続車をより捉えやすくしたこともポイントになる。
操作系でも扱いやすいタッチパネル機構を採用した。上下スライドで表示エリアの調整、左右スライドで画面の明るさ調整、タッチ操作によって前方映像/後方映像の切り替えなどを可能としている。さらに同社製ドライブレコーダー「DRV-MR760」にも搭載されて好評だった「音声コマンド」機能によって、運転中でもハンドルから手を離さず操作できる。これは先進的だし、何より安全面でも大きな効果を発揮するのは間違いない。
日本で使うユーザーの立場でケンウッドが本気になって造り込んだ
さて、取材当日に用意されたデモカーはトヨタ自動車のミニバン「ノア」。テスト機であるミラレコは、ルームミラーに伸縮性のあるバンドで挟むようにして取り付けられていた。その背後にはカメラと赤外線センサーを一体化したADASユニットが装備されている。この状態でのミラレコはまったく後付け感がなく自然な雰囲気。この状態でどんなクルマにも取り付けられるというのはうれしい限り。
映し出された映像を見てその鮮明さに驚く。それもそのはず、ディスプレイには12型のIPS液晶パネルを採用しているのだ。IPS液晶パネルといえば視野角がとにかく広く輝度が高いことで知られる。そのため、車内のどこからでも鮮明に見えるし、場合によってはミラーの角度を鏡面式ミラーのように運転席側に向けなくても構わない。しかもその映像は、昼夜を問わず鮮明なフルHD画質(解像度1920×1080)映像をベースとした高解像度映像で表示。これにより、圧倒的に高精細でクリアな後方視界が得られるのだ。
この表示は好みに応じて切り替えが可能で、画面をタッチするだけでフロント/バック/フロント・バックの3モードが順に表示される。音声でも「フロントカメラ」「バックカメラ」「すべてのカメラ」と発話すれば即座に画面が切り替わり、運転に専念しながら表示が切り替えられるメリットはすぐに実感できるだろう。
また、音声操作はここぞ! というシーンに遭遇したときのイベント記録や静止画記録にも対応している。イベント記録をしたいときには「イベント記録開始」、静止画記録をしたいときには「写真を撮ります」と発話すれば即座にドライブレコーダー機能が反応し、前後の映像を同時に撮影してくれる。音声で対応する機能は前出の表示切り替えと合わせても3つなので、迷わずに操作できてしまうのがとっても分かりやすい。
では、記録したドライブレコーダーの映像はどうか。プレビューすると期待通りの映像が再現された。フロントの映像は強調感のない滑らかさが持ち味で、発色も自然で素直に「美しい!」と実感できるものだ。フロント映像はデモカーであるノアのフロントウィンドウすべてをカバーエリアとしており、それだけの画角の広さを備えているにも関わらず左右方向の状況もひずみが少ない。トンネル内での映像もノイズが少なく鮮明さはそのままだ。ここは高感度CMOSセンサー「STARVIS」を採用したメリットが反映されていると言っていいだろう。
輝度の変化を自動的に調整する「WDR(ワイドダイナミックレンジ)」も搭載しており、例えば明るいところからトンネルに入ったときや、逆にトンネルから明るい場所に出たときのように輝度が変化したときでもしっかりと追従。いわゆる黒つぶれや白飛びといった現象も最小限に抑えられているのだ。これなら逆光や急激なライトの照射にも十分対応してくれるだろう。
最近は新車にもデジタルルームミラーが用意されるようになってきたが、後付けとなれば海外製がほとんどというイメージが強かった。ミラレコは日本で使うユーザーの立場でケンウッドが本気になって造り込んだ製品だ。オプションの車載電源ケーブル「CA-DR550」を組み合わせれば最長24時間の駐車監視録画もOK。先進性もあって高機能、しかも格好もいい。安全安心の意識が高い人はもちろん、最近の新車を見て「電子ミラーいいなぁ、欲しいなぁ」と思っていた人に本機はまさに打ってつけの1台と言ってよさそうだ。
Photo:安田 剛