レビュー

【スタッドレスタイヤレビュー】ブリヂストン「ブリザックアイスピーク」が登場! SUVや電気自動車がメインターゲット、その実力を試した

新たに登場した「ブリザックアイスピーク」をテストコースで試乗

「DM-Z3」からの系譜を受け継ぐスタッドレスタイヤ

 スタッドレスタイヤの中でも高い氷雪上性能を誇るブリヂストンのBLIZZAK(ブリザック)シリーズに、新たなラインアップである「ICEPEAK(アイスピーク)」が追加された。BLIZZAKシリーズはスタッドレスタイヤの中でも全国装着率ナンバーワンを誇り、現在は「WZ-1」がフラグシップモデルとなっている。

 今回発表されたアイスピークは、近年のSUV需要の高まりやパワートレーンの多様化を受けて、SUVのような大きなサイズのモデルや、電気自動車など重量の重いモデルなどをメインターゲットとしているスタッドレスタイヤだ。

 アイスピークは、2002年から発売されているSUV向けのスタッドレスタイヤである「DM-Z3」からの系譜を受け継いでいる。2000年代のSUVといえば、オフロードや雪道をバリバリ走るクロカンが中心であり、雪道の道路事情も現在とは違い、今のようにきれいに除雪されていない場所なども多くあった。しかし、現代になるにつれてSUVのモデルはクロカンより都市型が増え、道路事情も除雪能力の向上や気候の変動などの影響もあって、非除雪地帯は少なくなり、ウェットやシャーベット、圧雪、凍結など路面がさまざまに変化する雪道が多く見られるようになった。ブリヂストンもそんな現状を考慮し、SUVやハイブリッド、電気自動車向けとして、高荷重やハイトルクを支える操縦安定性と耐摩耗性を備えたアイスピークをラインアップに加えることとなったという。

 先代モデルであるDM-V3と比較すると、トレッド幅の拡大によって接地面積を増やし、氷上のブレーキ性能を11%短縮。新トレッドパターンである「ウィンタートレイルパターン」によって雪を掴んだり、ひっかく性能を強化(前後18%、左右30%増加)したことによって、圧雪でのブレーキやハンドリング、トラクションが向上したという。

 また、重量の重い車両や大トルクがかかるモデルであっても、ブロック剛性を強化したことによってタイヤのゴムのすべり量が低減し、摩耗によるライフ性能は14%向上している。また、冬用タイヤ規制がかかった道路を走行できるスノーフレークマークだけではなく、国際的な氷上性能テストに合格したタイヤに与えられるアイスグリップシンボルもタイヤに刻印されている。

今回試したのは9月1日に発売予定の最新スタッドレスタイヤ「ブリザック アイスピーク」。15~21インチの全57サイズを用意し、うち耐荷重性能を高めたXL(エクストラロード)規格に51サイズが適合する
アイスピークではトレッド幅の拡大によって接地面積を増やすとともに、新トレッドパターン「ウィンタートレイルパターン」を採用。また、ブロック剛性を強化するなどし、DM-V3と比べて氷上ブレーキ性能を11%短縮。さらに摩耗ライフは14%高まった

おどろきの雪上ハンドリング性能

北海道のブリヂストンプルーピンググラウンドでアイスピークをチェック

 今回、7月27日のアイスピーク発表に先駆けて(発売は9月1日から)、雪上試乗の機会があった。試乗場所は北海道にあるブリヂストンのプルーピンググラウンドで、今回アイスピークを試すことができたのは、雪上ハンドリング路と特設のパイロンスラロームのコースだ。

 まずはアイスピークを履いたトヨタ RAV4でハンドリング路へとコースイン。コース上はきれいな圧雪路になっており、アップダウンのあるタイトなコーナーが多かった。道が細くなっているところもあって、最初は「もしクルマが滑り出したら雪壁に当たっちゃうかも」と少し心配していたが、走り始めるとクルマを自分自身できちんとコントロールできている感覚があり、その不安はすぐに解消された。

 少し走ってみると、アイスピークは自分が想像するよりももっと高いところに限界値があると感じたので、安心感を持って運転することができる。そしてRAV4のようなミドルサイズSUVでも、スタッドレスタイヤと聞いて思い浮かぶような「トレッド面が柔らかくて、ちょっと頼りない」と感じるシーンはほとんどなかった。ハンドリング路で右へ左へとクルマを走らせても、ボディもふらつきにくく、タイヤによってロールが大きくなって倒れ込むというようなシーンは少ないと感じた。

ハンドリング路ではコントロール性の高さを実感できた

 そしておどろいたのは雪上でのハンドリング性能だ。これまでのイメージだと、いくらスタッドレスタイヤを履いていても、雪上でハンドルを切るとドライ路よりもハンドルを切ってからクルマが動き出すまでのラグが大きく、自分が思っているよりもずっと多くハンドルを回さなければいけないイメージがあった。しかしアイスピークは、雪の上でも少しの舵角で微細なコントロールができ、グッと切り込めばそのとおりシャープに曲がることができる。

 さらにそこから切り増しても、アンダーステアになってまっすぐ行ってしまう、というようなことがほぼなく、自分が想定した以上にしっかり曲がっていくことができた。その後、横滑り防止装置が介入するところまで走り込んでみたが、制御がオンになっていることもあって滑り出した後はすぐスライドは収まったのだが、タイヤのグリップもしっかり戻ってきている感覚があり、とても安心感があった。

続いてスラロームではWZ-1との比較も

 スラロームでは、ハンドリング路よりも簡単にグリップの限界まで達するので、より挙動が分かりやすかった。WZ-1を履いた車両もあったので乗り比べてみると、もちろんフラグシップであるWZ-1の方が思いどおりに走らせられる感覚は強いが、アイスピークも十二分にコントローラブルで、スラロームを何本かクリアしていく時にもボディが揺さぶられて破綻してしまうようなこともなく、走っていてつい「楽しい」と感じるほどに、自分の感覚の中でしっかり運転することができた。

 今回のアイスピーク試乗は雪上のみだったが、近年変化するさまざまな路面にも対応しているというから、また別の機会に他の路面でも試してみたいなと感じた。BLIZZAKと聞くと、雪深いところに住む人たちが装着しているイメージが強いかもしれないが、アイスピークは雪の降らない都市に住んでいても、SUVを所有していて「冬にはウィンターレジャーを楽しみたい」という方にもおすすめできそうだ。

 先代のDM-V3から雪上・氷上性能が向上しただけでなく、実はドライ性能にもこだわって作られているという。ウィンターレジャーを楽しむために、まずは雪のない街のドライ路からスタートして、高速道路に乗り、山に近づくにつれて少しずつウェット路やシャーベット路が増えてきて、圧雪路を走り、夜には氷上に……というような、グラデーションのある路面変化でも、アイスピークはそれぞれのシーンで安心感を持って走ることができそうだ。そんな雪や氷に対する怖さや不安を払拭し、より自分のアクティブな趣味を手助けしてくれそうなアイスピーク。このスタッドレスタイヤによって、さらに自分の行動範囲が広がる人が増えそうだなという期待を感じた試乗会だった。

高荷重・ハイトルクなSUVや電気自動車ユーザーに試してみてほしい
伊藤梓

クルマ好きが高じて、2014年にグラフィックデザイナーから自動車雑誌カーグラフィックの編集者へと転身。より幅広くクルマの魅力を伝えるため、2018年に独立してフリーランスに。現在は、自動車ライターのほか、イラストレーターとしても活動中。ラジオパーソナリティを務めた経験を活かし、自動車関連の動画やイベントなどにも出演している。若い世代やクルマに興味がない方にも魅力を伝えられるような発信を心がけている。

Photo:安田 剛