深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう

第11回:分かりにくいN-VANカスタムと、N-VANキャンピングカー情報

 納車されたのが2018年の8月末なので、2度目の夏を経験した筆者のN-VAN。走行距離も1万8000kmまで伸びたけど、相変わらず好調で、気になるようなフィーリングの変化はない。エンジンオイルも小まめに替えているのでエンジンの調子も変わらないし、メカノイズも元のレベルだ。ただ、気温が高いぶんエアコンの負荷も高いのか、燃費は夏前と比べて落ち込んでいる。普段と走り方に違いはないのに、平均して-2km/Lの13km/Lあたりだ。

先日、法定12か月点検を済ませた。走行距離はN-VANとしては走っているほうだと思われる1万8000kmだが、とくに異常もなく消耗品も未交換でいけた。ただ、エンジンオイルだけは4000km前後で替えている

 660ccという排気量からみるといい数字とは言えないけど、夏場のターボエンジン搭載車は丁寧に走らない限り「そんなもの」という話も聞いたので納得はしているが、燃料タンクの容量が25L(4WDの場合。FFは27Lタンク)と少ないので、燃費の低下はもともと短めな航続距離に響いて正直厳しいと感じている。

 そんなことから思いついたのが、ルーフやボディ側面のトリム内へ断熱材を入れること。これでエアコンの負担を軽減すれば、ひょっとして燃費にいい影響が出るかも? というものだが、着手するには時期を逸している。もし、読者の方でN-VANの断熱をやったという方がいたら結果を教えていただきたい。

夏場になって燃費がイマイチ。エアコンの負荷が高いのだろうか。タンク容量が少ないだけに、燃費が落ちることでの航続距離低下の影響をかなりはっきりと感じる

カスタマイズはひょんなことからアイデアが生まれる

 さて、それでは今回の話に入ろう。以前も書いたことがあるが、筆者はホンダアクセスが2019年の東京オートサロンに出展したN-VANのカスタム仕様車「TRIP VAN」のファンである。これはN-VANを「旅をするためのクルマ」に仕立てているものだが、カスタムされた1つひとつに「そうなった」理由があって、しかもその理由と変更後の機能が道具的なクルマであるN-VANの本筋から外れていない。N-VANのことをホント真剣に考えて作られているクルマなので、N-VAN好きな方ならきっと気に入るであろう1台だ。

ホンダアクセスが東京オートサロンに出展した「TRIP VAN」。筆者はこのクルマのファンである

 そんなことから筆者のN-VANも「N-VANであること」を第1に考えて、筆者なりに「N-VANらしい」と思えることをプラスしてきたのだが、以前から実行できていないことが1つあった。それがボディ側面下部の色つけ、つまり2トーン化である。

 これもTRIP VANの影響によるものだが、TRIP VANはただの2トーンではなく、ボディ下側を接触や石跳ねからガードする意味で「ラインX」という軍隊の車両にも使用する特殊コーティングを塗布していて、その色がマットの黒なので結果的に2トーンになっているというものだ。

 このアイデアをそのまま使わせてもらうことももちろん可能だが、ラインXの吹きつけにはかなりの金額が掛かるようだし、1度吹き付けてしまうと元に戻すのは大変だ。

 筆者のN-VANではこれまでチョコチョコと細かい部分に手を入れたり、用品を追加してきたが、それらすべては記事を読んだ方が同じことを容易にやれること。そして合法であるのは当然として、元に戻せるとか査定的な面からクルマの価値を落とさないようなことを考えてやっている。

 そうなるとラインXはこのルールに合わないので、筆者のN-VANでやることではないということになる。

黒い部分がラインXでコートしたところ。とても固いコート剤で、防弾効果もあるくらい。ただ、コート剤の重量もけっこうあるし、施工も専門業者でしかできない。それに費用も高めで、一般レベルではまねしにくいもの

 ここでボディ下部に黒のボディ用フィルム(カッティングシート)を貼れば似たような感じになるかもしれない。フィルムを貼ることで塗装面の保護にもなるだろう。だけど「TRIP VAN魂(急に出てきた言葉だけど、ようはN-VAN的な工夫をすること)」が足りない気がしていたので、ただフィルムを貼るだけはナシだ。それに、最近は石跳ねなどから塗装面をガードするためのプロテクションフィルムもあるが、これも貼るだけなのでもの足りないのだ。

 で、アイデアというものはいきなり出てくるものだった。筆者はカスタム仕様車の取材もしていて、たまにカーラッピングカスタムのことも取り上げたりする。

 この世界は色やデザインにこだわる傾向なので、とくに色合いの表現に長けているのが特徴。そして、そのためにインクを調色して色を作り、それをインクジェットプリンターでフィルムに印刷する手法がある……と、これを思い出してから胸のつかえのようなものが取れた。そう、クルマのイメージに合う色を印刷したフィルムを貼ればいいのだ。

 ということで貼ってみたのが、トップ写真の姿。色を作るので塗色は自由に選べたが、ここはあえて目立たないようN-VANのボディ色である「ガーデングリーンメタリック」を選択した。それに加えて印刷面の保護のためにオーバーラミネートフィルムをツヤ消しタイプにしているので、色は同じであってもボディの反射の違いを使っている珍しい感じの2トーンとなった。

まずはフィルムを貼っていない元の姿。全然わるくないが、次の写真を見たあとだと「?」と感じるものがある
そしてフィルムを貼った姿。違いは分かりにくいが、それでも下部のトーンが落ちているので、ボディを横から見たときの厚みが減ったようにも見える。筆者としては質感も上がったと思っているし、これくらいの微妙な色の差は「いかにも換えました」という感じにならずに気に入っている

 このようにツヤを変えることで見え方を工夫してみたのだが、「それだとツヤ消しのプロテクションフィルムを貼ったのと違いがないのでは?」という意見もあるかと思う。でも、そこはもちろん承知しているので、実はここにもひと工夫入れてあるのだ。

 N-VANに限らず、クルマのボディカラーにはユーザー向けの名称のほかに板金修理業者向けの「カラーコード」という呼び名があり、ガーデングリーンメタリックのカラーコードは「GY33M」というもの。今回の調色のため、塗料メーカーが出しているカラーサンプルを調べてみたところ、GY33Mには2018年式のN-VANに塗られていた色と、それ以降のN-VANに塗られている色の2種類があることが判明。それぞれのカラーサンプルを見比べると、現行のGY33Mのほうが色合いが少し明るいように見えた。

塗料メーカーのカラーサンプルを調べると、N-VANのGY33Mには2通りあることが判明。筆者のN-VANは2018年式だが、この年式は色が多少濃いめだった

 筆者のN-VANは2018年式なので色味が濃いほうのGY33Mが塗られている。だから、フィルムへの印刷も濃いほうのGY33Mで……と考えたが、同じカラーコードで色が違うという状況は滅多にないだろう。それならここは現行のGY33Mにしたほうが面白いのでは、ということで現行のGY33Mを選択している。

 結果はツヤ消しと合わせて、ちょっとした色味の違いのあるさりげない2トーンになってくれたので非常に満足だ。

 まあ、見た目の変化に乏しいのは承知しているが、アイデアや手間は並以上にかかっているし、フィルムを貼ることでマッドガード的な石跳ねなどによる傷付き予防の機能もあるので、これはTRIP VAN魂に沿ったものだ、と筆者は思っている。

塗装面をフィルムで保護しているので、タイヤが石などを巻き上げてもボディに傷がつきにくい。秋から冬はアウトドア遊びでN-VANを使うつもりなので、実益もあるカスタムだ
今回はリアバンパーにフィルムは貼っていない。貼るならバンパー全体になると思うが、あまり広い範囲に貼ると「換えた感」が強く出るので、今のようなさりげなさが失われそう……でも、貼りたい気持ちもあってここは悩み中
光の当たり方や見る角度によって見え方が違ってくるのも面白い。この写真だとけっこう違って見える
ボディへの写り込みも違ってくる。マットの部分は反射が弱いのでぼやける感じになる
今回作ったフィルムにあまりがあるので、それをフロントグリルへ施工するのも似合いそう。ここはやってみるかも

 さて、この施工をお願いしたのは埼玉県の秩父郡皆野にあるグラントデザイン(株式会社宏有)さんで、ここはアニメの公式キャラクターグッズの製造や公式のラッピングカーを製作しているところだが、母体はクルマ販売や修理、板金塗装などを行なう自動車整備業者。それだけにクルマ用塗料のデータも持っているし、色合わせの技術もあるので、今回のフィルム用のボディカラーを調合するという難易度の高そうなことも、ここならできるのでは? ということからこちらへ依頼したのだ。

調色とフィルム製作、施工をお願いしたのは埼玉県の秩父にあるグラントデザインさん。アニメやゲームの公式キャラクターグッズ製造や公式のラッピングカーを製作している
母体は自動車販売、修理業なので板金塗装部門も持っている。だからカラーコードからの調色が可能で、フィルムの知識や施工の技術もある。これらがそろっているところはそうそうないだろう

 筆者のN-VANと同じ色のフィルムを製作するのはもちろん、他のN-VAN純正色のフィルムを製作することも可能(事前にコーションプレートのカラーコードを調べておく)だ。それに色味の調整やオーバーラミネートフィルムをツヤありかツヤなしかも選べる。さらにフィルム製作だけの依頼もできるので、通販で購入し、施工は地元のディーラーや板金業者、またはDIYでやることも可能だ。もちろんグラントデザインでの施工もできるが、作業予定が詰まると取りかかれるのがずいぶん先になるそうなので、ここは要相談だ。

 費用は今回と同じ範囲に施工する場合は、フィルム代と個別の色合わせ工賃で約3万円。これは通販可能だ(送料は別途必要)。グラントデザインでの施工まで依頼すると、フィルム代と施工料で計約4万円が目安というところ。やってみたい方はグラントデザイン(TEL:0494-62-0150)に問い合わせていただきたい。

今回の施工風景。この日はクルマ整備の工場が休みの日だったので、グッズ製造工場前で施工した
「ここで切りたい」というラインにデザインラインテープというものを貼ってからフィルムを貼る
すると、カッターを使わずまっすぐに不要なフィルムがカットできる
こちらはボディの合わせ目にかかるフィルムを隙間のセンターで切るカッター。隙間の幅に合うようアタッチメントを替えて使用する
フィルムが完全になじむまでは約1週間かかるというが、その間でも強く擦ったり、フィルムの継ぎ目に高い水圧をかけたりしなければ洗車はOK。フィルムの耐候性は約5年なので十分使えるものだ

 なお、普通に石跳ねなどからボディを守りたい場合は、ホンダ純正アクセサリーのマッドガードがあるので、それを選ぶのもいい。ボディカラーに塗装済の「カラード」と樹脂の黒のままの「ブラック」がある。定番はカラードだろうが、筆者のN-VANのようにホイールカバーを外していたり、無骨なイメージにしている場合は未塗装の質感が似合うのでブラックがいいかもしれない。

このN-VANは筆者がクルマを購入したホンダカーズ東京中央の試乗車。ホンダ純正アクセサリーのマッドガードが装着されていた。これはボディ同色のカラードタイプ。装着したスタイルはわるくないと思う
マッドガードは前後4枚セット。カラードタイプの価格が1万800円で、未塗装のブラックが6480円。これに別途工賃が必要だ

キャンピングカー仕様も夢がある

 さて、最後にもうひとネタ紹介しよう。ちょっと前になるのだが、東京 青海の東京ビッグサイト 新設ホールで開催された「東京キャンピングカーショー2019」に行ってきた。お目当てはもちろんN-VANだが、今回は大手キャンピングカーメーカーの「ホワイトハウス」さんの出品のみだった。でも、これがワクワクするクルマだったので、ここでは写真を中心に紹介しよう。

出展されていたのは「N-VAN COMPO」というモデルで、ベースは「+STYLE FUN」だった(Gグレードでの製作も可能)。ポップアップルーフ仕様だが、車高をローダウンしているので全高は軽規格に収まる
N-VAN COMPOのインテリア
運転席は180度回転する構造になっていた。これによってベッドスペースが広く取れる
ポップアップルーフ仕様だと4人が寝られるとのこと
株式会社ホワイトハウス キャンパー事業部 部長の酒井裕二郎氏。酒井氏いわく、現在は棚やシンクは木製だが、今後、樹脂製で取り外しが容易なものを製造する予定があるとのこと
キャンピングカー仕様は欲しいけど、普段使いのときに装備が邪魔になることを懸念していた人にとって、部品が必要に応じて付け外しできるのはうれしいこと。車名の「COMPO」は部品群を指すコンポーネントに由来しているそうだ
内装にはめ込んで固定してファスナーで開閉する防虫ネット。不要なときはロールアップしておける。車中泊やオートキャンプをしている人向き。リアゲート用とセットで7万2000円(税別)で販売している
こちらは汎用の防虫ネット。ホワイトハウス製で「64ネット」というネーミング。インターネットで多く販売されている。ネットの枠にマグネットが入っていて、枠を金属面に固定する。サイズはMとLがあって、N-VANならMサイズ。スライドドア両サイド、リアゲート用の3枚が入って価格は1万9800円(税別)。会場で特価販売していたので、筆者はすかさず購入!
運転席窓用はホンダ純正アクセサリーにある。「ウインドウメッシュ」という商品で、価格は左右セットで1万2960円
ホンダ純正アクセサリーには「テールゲートメッシュ」もある。こちらは両脇を垂らしたままセンター部分のみロールアップできるので、出入りや物の取り出しが容易
N-VANも発売から1年経ったので、世の中のN-VAN乗りの方もそれぞれ自分仕様ができているのではないだろうか。そこでもし、N-VAN乗りが集まるオフ会のようなものがあれば、取材を兼ねて行ってみたいと思っている。情報があればCar Watch編集部(car-watch@impress.co.jp)までお知らせ願います

深田昌之