深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第10回:N-VANの助手席を快適にしてみた!?
2019年7月31日 00:00
今回のN-VAN連載は2本立ての内容でお届けしよう。まずは用品のテストからで、試したのはホンダアクセス製の「シートカバー コンフォート」(1万800円)だ。
ご存じのように、N-VANには助手席を折り畳むことで荷室と連続してフラットなフロアを作る機能があるが、これを実現するため助手席の構造は独特なものになっていて、座面と背面のクッションは薄く、加えてスライド機能がない(リクライニングはする)。そんなことから長時間座り続けるのは厳しいシートである。
N-VANに限らず、軽貨物車の助手席はそもそも座り心地がいいものではないのかもしれないが、N-VANは乗用車的に使う人も多く、助手席に人が座る機会もあるので「分かっているけどちょっと改善したい」と思ってしまうのだった。
そこでシートカバー コンフォートだ。N-VANの純正アクセサリーカタログには「クッション性のある厚い生地で、快適な乗り心地をもたらします」と記載されていて以前から興味があったのだが、そもそも生地を厚くするくらいで座り心地の改善効果があるのだろうか?という疑問もある。そこでホンダアクセスさんにお願いをしてこのアイテムを借りてみたのだった。
シートカバー コンフォートは汚れたら洗えるように脱着できる作りで、シートとの固定には面ファスナーを使用している。そのためカバーの装着時は面ファスナーのベース側を助手席シートのビニール部分などに粘着テープで付けていくのだが、カバーをピンと張りつつ、付け外しの際にベースが剥がれない貼り付け部を探すのが意外と大変。そんなことから、シートカバー装着もホンダカーズなどの整備士がいる工場に依頼したほうがいいかもしれない。
それではシートカバーのテストだ。長時間座り続けた時の状況が知りたかったので、最低でも2時間、目標は3時間以上座りっぱなしでいられる環境が必要だった。
ちなみに2018年に東京都~宮城県までの約350km移動でN-VANの助手席試乗をしたこともあったが、その時は約2時間が経ったあたりでお尻が痛くなり、休憩を取っていた。
さて、どこまで行こうかと考えていると、名古屋開催の「人とくるまのテクノロジー展 2019 名古屋」の取材が決まったので、その道中でやることにした。東京~名古屋はトコトコ走って約4時間ほどなのでちょうどいいのだ。ただ、自分が助手席に座るためには誰かが運転してくれないといけない。そこはCar Watchの営業担当をしているインプレスの岩田氏が名乗り出てくれた。感謝である。
シートカバー コンフォートが付いた助手席に座って最初に感じたのが、座面と背面に設けられていたブロック状のクッション部の感触がハッキリ体に伝わるということだった。装着前に指で押してみた感じではそれほどクッション性を感じなかったのでこれはちょっと意外だったが、だからといってそれを座り心地のよさとは思えなかった。
そんなことから効果に対してちょっと不安を感じながらスタート。そして海老名SAを出て約1時間が経ったあたりのことだ。痛みではないがオシリに軽いしびれを感じてきた。これは予想よりもちょっと早かったので「あれ~」と思ったのだが、以前の助手席体験と違ったのはここからだった。
シートカバーなしの時は時間の経過とともにオシリのしびれが痛みに変わっていったのだが、今回はそれがなく、最初の1時間で感じた違和感は少し増していったものの、痛いというほどにはならないまま、2時間、そして3時間と座っていられた。
そうこうしているうちに、N-VANは高速道路を下りて宿泊地に到着。座っていた時間は約4時間と座り心地を試すのにはまあまあ長いものとなった。
そして肝心の感想だが、これは「楽ちんとまでは言えないが、全然座っていられる」というものだ。もちろん、感覚には個人差はあるので違う意見も出てくると思うけど、そうだとしても座り心地の改善は感じられるはず。
ただ、背面のクッションについては効果が分からなかった。というより、もともと背中が痛くなることはないのだ。でも、バックレストに体重をかけるとクッション性は感じるので、何の効果もないということではないと思う。それに座面にカバーを付けたら背面も同じようにしないと装着後のルックスが微妙になるので、そういう面でも背面カバーは必要だ。
そんなことから、助手席の座り心地を少しでも向上させたいと思っているN-VANオーナーならシートカバー コンフォートの装着はアリだと思う。
それと、使ってみて分かった別の効果だが、表面に滑りにくい布を使っているので、カバーを付けた後はブレーキング時などに助手席に置いた荷物が滑り落ちにくくなった。これは予想していなかったが、N-VANオーナーなら「それはいいね」と思う効果ではないだろうか。
N-VAN乗りとしての整備知識も身につくメンテナンスパック
ここからはメンテナンスの話をしよう。筆者のN-VANは購入時に「初回車検までに3回の点検が受けられるメンテナンスパック」をお願いしていた。そしてある日、帰宅すると法定12か月定期点検のお知らせがホンダカーズから届いていた。
この法定12か月定期点検とは、年間走行距離が1万km程度の利用を標準として、ステアリング、ブレーキ、エンジン、駆動系、タイヤ、ホイール、サスペンション、電気装置、そして車体下まわりといった各部の状態をチェックするもの。
まあ、調子のわるい部分はまったくないのだが、すでに1万8000km走っている筆者のN-VANでは消耗パーツの状態がどうなっているか気になっていた。点検はそれを知る機会なので、さっそく入庫の予約を入れておいた。
作業にかかる時間は約1時間。エアコンの効いたショールームでPCを広げて仕事をしながら待っていると「終わりました」と声が掛かる。
ホンダカーズ東京中央では、点検した部分をデジカメで記録して、それを一覧にして見せてくれる。これだとパーツの状態がよく分かるので、クルマに詳しくない人でもサービス担当者からの説明が理解しやすくなるだろう。
結果は予想どおり。とくに問題になるところやすぐに交換が必要になる部分はなかったのだが、それでもエアフィルターはやや汚れた状態。今回は汚れをエアブローで払ってもらい再装着した。ただ、汚れの進み具合から見ると「来年の車検では交換だな」と感じた。
もう1つ、エアコンフィルターも汚れ始めていた。ここは雑菌が発生しやすい部分なので、汚れが進行して菌も繁殖してくると吹き出す風に雑菌からの臭いが乗ってくるので、定期的に交換をするべき部分。今回はまだ大丈夫そうだったのでここも再利用とした。
エンジンオイルは交換したが、メンテナンスパックにはオイル交換も含まれているので別途費用は発生しない。ちなみに筆者は基本的に4000km前後でエンジンオイルを変えるようにしているので、すでに4回ほど交換している。
今回入れたのはホンダ純正オイルの「ULTRA LTD」で粘度規格はSAE 5W-30。N-VANはULTRA LEOのSAE 0W-20が基準オイルだが、ULTRA LTDも指定オイルなので使用することに問題はない。
筆者の感想では、粘度が柔らかいULTRA LEOを入れている時より、5Wで若干粘度が硬くなったULTRA LTDを入れている方がトルク感などのフィーリングが好みだった。そんな理由から交換時にはこちらを選んでいる。なお、数値を細かく残しているわけではないが、燃費は0Wの時と変わらないという印象だ。
次にバッテリー。アイドリングストップ機能や充電制御機能が付いたクルマではバッテリーの劣化が早いこともあるが、筆者のように頻繁に乗っているとバッテリーは劣化しにくいとのこと。とはいえ、燃費向上のために充電負荷が高まる満充電まで充電し続けないようにする充電制御、バッテリーのみで電装品を動かすアイドリングストップ機能があると、電極板に硫酸鉛が付着する「サルフェーション」という現象が起きやすい。そこでT.M.WORKSというクルマ用電子機器メーカーが発売している「SE パルサー プレミアム A」(税別8600円)を取り付けた。
SE パルサーはバッテリーの電極板に硫酸鉛が付きにくいよう脈動を与える装置。付着予防だけでなく、すでに硫酸鉛が付いてしまったバッテリーでも再び使えるようにすることが可能(完全に放電したものは別)だ。
装着したばかりなのでまだ効果を語ることはできないが、もし、バッテリーの消耗が気になっている人はSE パルサーのことを調べてみてはどうだろう。
さて、このような定期点検だったが、今回は初回車検前なので問題になるところはまず出ないだろうと思っていた。そういった意味では無駄と思われるかも知れないが、筆者的には直すところを見つけるというより、状態の変化を見ていくことに意味があるような気がする。例えば今回のようにエアクリーナーが汚れていく状況が分かると、メンテナンスパックが終わったあともいつ交換すればいいかの基準になる。その他の消耗パーツも同様だ。
そのためには、点検を受けたあとに提示される資料をよく見て、不明な点はサービス担当者さんに質問する。こうしていくと誰かから聞いた情報ではなく、自分のクルマで覚えた「生きた整備の知識」が身に付いてくる。N-VANは長く乗り続けたくなるクルマだと思うので、こうした知識を持っていたほうがいいはずだ。
そんなことから、これからN-VANを買うという人は、N-VANメンテンスの知識を得るためにもメンテナンスパックに加入してみてはどうだろう。