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ホンダ、運転席以外はフラットに。新型軽貨物車「N-VAN(エヌバン)」は6速MT・CVTとも126万7920円~

7月13日発売。軽バン初のセンターピラーレス「ダブルビッグ大開口」

2018年7月13日 発売

126万7920円~179万9280円

軽貨物自動車の新型「N-VAN」

 本田技研工業は、軽貨物自動車の新型「N-VAN(エヌバン)」を7月13日に発売する。価格は126万7920円~179万9280円。

 N-VANは、「日本の積む・運ぶ生活のために」というコンセプトで開発が行なわれ、床下などにパワートレーンを搭載する従来の軽バンのレイアウトではなく、エンジンの前置きのFFレイアウトとセンタータンクレイアウトを採用したことで、フラットな荷室を実現。助手席スペースにも荷物が積めるように助手席シートにダイブダウン機能を採用することで、ダイブダウンした助手席からテールゲートにかけて段差のない荷室床面として長尺物の積載を可能とした。

 さらに、助手席側からのスムーズな荷物の積み下ろしを可能にするため、軽バン初のセンターピラーレス化による「ダブルビッグ大開口」を実現。長尺物が横から1人で積めるようになったほか、大きなものを2人で運んでも楽に搭載できるなど使い勝手を向上させるとともに、移動店舗などアイデア次第で新しい用途の可能性を広げた。

N-VANはセンターピラーレスにより助手席側から簡単にアクセス可能
助手席側とリアドアが大きく開くダブルビッグ大開口を採用

 N-VANは全モデルが自家用として登録可能な4ナンバー軽貨物車となり、5ナンバー軽乗用車と比べて軽自動車税の負担が軽減される。また、初回車検と2回目以降の車検の有効期間は共に2年間。

 モデル展開は、ベーシックモデルの「G」「L」に加え、仕事とレジャーのどちらでも使える「+STYLE」の「FAN」「COOL」を設定。2WD(FF)と4WDそれぞれにCVTと6速MTが設定されるが、+STYLEに用意されるターボモデルはCVTのみとなる。なお、G、L、+STYLE FANはハイルーフで、+STYLE COOLのみロールーフとなる。

G・Honda SENSING
+STYLE FUN・Honda SENSING
+STYLE COOL・Honda SENSING
草刈り機を載せたりバイクを載せたり、ホンダアクセスや無限が発売するアクセサリーを活用すればさらに使い方は広がる
タイプエンジン変速機駆動方式価格JC08モード燃費
N-VAN G・Honda SENSING直列3気筒DOHC 0.66リッターCVT2WD(FF)1,267,920円23.8km/L
6速MT1,267,920円18.6km/L
CVT4WD1,377,000円21.2km/L
6速MT1,377,000円17.6km/L
N-VAN L・Honda SENSINGCVT2WD(FF)1,341,360円23.8km/L
6速MT1,341,360円18.6km/L
CVT4WD1,450,440円21.2km/L
6速MT1,450,440円17.6km/L
N-VAN +STYLE FUN・Honda SENSINGCVT2WD(FF)1,560,600円23.8km/L
6速MT1,560,600円18.6km/L
CVT4WD1,691,280円21.2km/L
6速MT1,691,280円17.6km/L
N-VAN +STYLE FUN・ターボ Honda SENSING直列3気筒DOHC 0.66リッターターボCVT2WD(FF)1,668,600円23.6km/L
4WD1,799,280円21.2km/L
N-VAN +STYLE COOL・Honda SENSING直列3気筒DOHC 0.66リッターCVT2WD(FF)1,560,600円23.8km/L
6速MT1,560,600円18.6km/L
CVT4WD1,691,280円21.2km/L
6速MT1,691,280円17.6km/L
N-VAN +STYLE COOL・ターボ Honda SENSING直列3気筒DOHC 0.66リッターターボCVT2WD(FF)1,668,600円23.6km/L
4WD1,799,280円21.2km/L

 N-VANのプラットフォームは、軽乗用車「N-BOX」で新規開発したプラットフォームを商用向けに専用設計。FFレイアウトや軽量・高剛性フロアフレーム構造による低床設計などを活かしながら、軽バンに必要なフレーム構造を加えて走行安定性や静粛性、乗り心地といった性能を引き上げて乗用車並の快適性とした。

 ボディはフロアまわりなどの低い部分を中心に強化し、乗用車と変わらない比率の高強度ハイテン材を使用。助手席側はフロントドア後方とスライドドア前方にピラー相当の強度を持たせる「ドアインピラー構造」として、左右の剛性差を最小化するため各部の補強を適正化した。

 足まわりは、重量変化の大きい軽バンで安定した乗り心地を実現するため、リアトーションビームを大幅に強化したリアサスペンションを採用。ブレーキには、車両の状態とドライバーのブレーキ操作を常にモニタリングして、必要に応じてVSAでブレーキ油圧を加圧して安定した制動力を発揮する「ハイドロリック・ブレーキ・ブースト」を採用した。

ボディ構造(フロア部)
シャシー構造
リアサスペンション
ハイドロリック・ブレーキ・ブーストの作動イメージ
ハイテン材適用比率
ドアインピラー構造について

 安全性能については、高水準の衝突安全設計ボディを採用して、全方位ロードパス構造により衝突時の衝撃を吸収・分散。側面衝突時にはフロントドア上下とボディ、前後のドア同士がそれぞれ噛み合う構造とすることで、ドアのキャビン侵入を抑制して安全性を確保。

 加えて、ホンダの軽バンに初採用となる安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を標準装備。「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」「歩行者事故低減ステアリング」「先行車発進お知らせ機能」「標識認識機能」「路外逸脱制御機能」をMT車を含む全タイプに採用し、AT車は「誤発進抑制機能」「ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)」「LKAS(車線維持支援システム)」「後方誤発進抑制機能」を備えるとともに、+STYLEでは「オートハイビーム」も装備される。

衝突安全設計ボディの前面衝突対応技術について
衝突安全設計ボディの側面衝突対応技術について
衝突安全設計ボディの後面衝突対応技術について
運転席&助手席にi-SRSエアバッグを標準装備

 ボディサイズは3395×1475×1945mm(全長×全幅×全高、4WD車は全高が1960mm)。ロールーフの+STYLE COOLのみ、全高が1850mm(4WDモデルは1865mm)となる。ホイールベースは全車2520mm。助手席側開口部のサイズは1580×1230mm(幅×高さ)。リアシートダイブダウン時の荷室長(2名乗車時/助手席側)は1510mmで、助手席とリアシートをダイブダウンした時の最大スペース長は2635mm(+STYLE COOLでUSBオーディオ装着車の助手席・リアシートダイブダウン時は2560mm)となる。荷室幅(4名乗車時)は1390mm(+STYLE COOLは1325mm)、荷室高は1365mm(+STYLE COOLは1260mm)で、380×310×280mm(長さ×幅×高さ)の段ボール箱を71個、447×364×315mm(長さ×幅×高さ)のビールケースを40個搭載可能とした。

助手席ダイブダウン&センターピラーレスによる大開口で使い勝手を高めた
1名乗車時(助手席&荷室フラットモード)
2名乗車時(助手席&荷室フラットモード)
走行中の使用はできないが、1名乗車時には助手席をテーブルとして使うことも可能
助手席のドアトリムには、助手席をダイブダウンする際に取り外すヘッドレストを固定可能
リアのヘッドレストは荷室側面に固定
荷室などに8カ所のタイダウンフックを設定
ユーティリティナットを左右等間隔に28個(+STYLE COOLは26個)設定して荷室の使い勝手を高めた
荷室側面にジャッキを収納
N-VANの開口部や荷室などのサイズ

 パワートレーンは、N-BOXの高効率エンジンをベースに商用ユースに最適化。最高出力39kW(53PS)/6800rpm、最大トルク64N・m(6.5kgf・m)/4800rpmを発生する直列3気筒DOHC 0.66リッターエンジンと、最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク104N・m(10.6kgf・m)/2600rpmを発生する直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジンの2種類を設定。燃料効率を高めて低速から高トルクを発生することでフル積載時でも力強く、優れた燃費性能を実現した。

最高出力47kW(64PS)/6000rpm、最大トルク104N・m(10.6kgf・m)/2600rpmを発生する直列3気筒DOHC 0.66リッターターボエンジン。自然吸気となる直列3気筒DOHC 0.66リッターエンジンは最高出力39kW(53PS)/6800rpm、最大トルク64N・m(6.5kgf・m)/4800rpmを発生。型式はどちらも「S07B」型

 トランスミッションは、静かでスムーズな走りと低燃費化を実現するため、N-BOX用のCVTをベースにレシオレンジをワイド化するなど商用車向けに改良を施したCVTを全タイプに設定。ターボ車以外に設定される6速MTは「S660」の6速MTをベースに開発され、低速時の駆動力と高速時の静かで快適なクルーズをもたらすとした。

 4WDはホンダ独自のシステムを採用し、リアデフは普通乗用車の1.5リッタークラス用をベースに開発。ビスカスカップリングのトルク容量をN-BOXの2倍に増やすとともに、差回転トルク特性をN-BOXよりも高く、1.5リッタークラス用に対してもより早く立ち上がるようにチューニングすることで、走破性の向上とスムーズで力強い登坂性能を確保した。

レシオレンジをワイド化したCVTを採用し、金属ベルトなど各所を強化して商用車向けに改良を実施
CVTの採用によりキックダウン時の変速ショックをなくし、積載時でも空荷時と同様にスムーズな加速が可能となった
オイルポンプを従来の1系統吐出から2系統吐出に変更。走行状況に応じて最適な油量を供給することで仕事量を軽減し、燃費向上に寄与
「S660」のミッドシップ用6速MTをベースに、FFおよび4WD向けに開発が行なわれた
4WDシステムは1.5リッタークラス用をベースに開発。ビスカスカップリングの特性を商用車向けにチューニングした

 エクステリアは「機能美」「安心感」をコンセプトに、たくさんの荷物が積めそうなスクエアボディに使いやすそうな大開口を表現。軽バンは狭い道に入っていくことが多いため、威圧感のない親しみやすいフロントマスクのデザインとした。さらに、ジュラルミンスーツケースをモチーフとした3本のビードを真横に通すことで強さを表現した。

 灯体のデザインは、フロントはスクエア形状で大きくワイドに見せる安心感のあるヘッドライトを意識してデザイン。リアコンビネーションランプは、テールゲートを大開口化するために、LEDを採用して極細の縦型デザインとした。

 +STYLE FUNは“お客さまを笑顔で迎えるバンスタイル”として、丸形LEDを採用した特徴的なヘッドライトで表情を創出。フロントグリルはボディカラーとプラチナ調のメッキで落ち着いた印象を作り上げた。フルホイールキャップは2トーンを設定。

 +STYLE COOLは、“お客さまをカッコよく迎えるバンスタイル”として、フロントグリルにメッキを採用し、クロームメッキリアライセンスガーニッシュとテールゲートスポイラーを設定。リアコンビネーションランプは+STYLE COOL専用のクリアタイプのレンズを採用した。

サイドパネルに走る3本のビードで力強さを表現
G、L、+STYLE COOLに設定されるマルチリフレクターハロゲンヘッドライト。G、Lはマニュアルレベリング機能が、+STYLE COOLはオートライトコントロール機構が付く
+STYLE FUNに設定されるフルLEDヘッドライト(プロジェクタータイプ<オートレベリング/オートライトコントロール機構付>)
縦型のLEDリアコンビネーションランプは全車標準装備。G、L、+STYLE FUNは画像のレッド&クリアタイプ、+STYLE COOLのみクリアタイプとなる
Gは12インチスチールホイール+センターホイールキャップを設定
Lと+STYLE COOLは12インチスチールホイール+フルホイールキャップを設定
+STYLE FUNは12インチスチールホイール+フルホイールキャップ(2トーン)を設定

 ボディカラーは、GとLには「タフタホワイトII」「ルナシルバー・メタリック」を設定。+STYLEには新色の「ガーデングリーン・メタリック」のほか、「プレミアムピンク・パール」「シャイニンググレー・メタリック」「プレミアムホワイト・パールII」「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」「クリスタルブラック・パール」を採用。+STYLE FUNの専用色として「プレミアムイエロー・パールII」を、+STYLE COOLの専用色として「プレミアムベルベットパープル・パール」をそれぞれ設定した。

G(タフタホワイトII)
G(ルナシルバー・メタリック)
L(タフタホワイトII)
L(ルナシルバー・メタリック)
+STYLE FUN(プレミアムイエロー・パールII)
+STYLE FUN(プレミアムホワイト・パールII)
+STYLE FUN(シャイニンググレー・メタリック)
+STYLE FUN(クリスタルブラック・パール)
+STYLE FUN(ブリリアントスポーティブルー・メタリック)
+STYLE FUN(プレミアムピング・パール)
+STYLE FUN(ガーデングリーン・メタリック)
+STYLE COOL(プレミアムベルベットパープル・パール)
+STYLE COOL(プレミアムホワイト・パールII)
+STYLE COOL(シャイニンググレー・メタリック)
+STYLE COOL(クリスタルブラック・パール)
+STYLE COOL(ブリリアントスポーティブルー・メタリック)
+STYLE COOL(プレミアムピング・パール)
+STYLE COOL(ガーデングリーン・メタリック)

 インテリアでは、フロントドアから荷室までのトリム下部にセレーション形状(溝を彫ったような造形)を施し、荷物の積み下ろしの際に傷が目立ちにくいよう配慮した。インパネまわりは、助手席側にさまざまなものを置けるようにトレーを上下に配置し、下側トレーにはアクセサリーソケットを設定。ドリンクホルダーは500mLの紙パック入りの飲み物も乗せられるようなデザインとした。また、運転席に小物などが侵入することを防ぐ「小物侵入防止板」やコンビニフックなどの装備も採用している。

Gのインテリアカラーは汚れが目立たないグレーを設定
Lのインテリアカラーはクリーンなイメージのブラックを設定
+STYLEはブラックを基調に加飾を施した
+STYLEのフロントウィンドウはIRカット<遮熱>/スーパーUVカット機能付となり、フロントドアウィンドウはIRカット<遮熱>/UVカット機能付となる
6速MTシフトノブ
Honda SENSING搭載車に設定されるマルチインフォメーション・ディスプレー
G、Lに標準装備されるAM/FMチューナー
全車でフルオートエアコンを装備
助手席から運転席に小物などが侵入することを防ぐ「小物侵入防止板」
助手席側のインパネトレーは少し深さのあるタイプ
コンビニフック(助手席フロント)
コンビニフック(助手席フロントドアプルポケット)
フロントドアポケット(ボトルホルダー付)
ステアリングホイール右側にあるドリンクホルダーは500mLの紙パックも置けるサイズ
センターガーニッシュにもボトルホルダーを設置
急速充電対応タイプの充電用USBジャックはL、+STYLE FUN、+STYLE COOLに設定
アクセサリーソケット
バニティミラー付サンバイザーは+STYLE FUN、+STYLE COOLに標準装備
リアウィンドウはポップアップ機構付ガラスとなり、全開にはできない

 シート表皮は、Gにトリコット、Lと+STYLEにジャージー素材を採用。運転席シートには、乗用車同等のゆったりしたサイズのシート骨格を用いるとともに、シートバックのサイドにボルスターを設けて腰を保持することで、長時間の運転でも疲れにくい姿勢を保てるようにした。さらに、低床設計により乗降時の足の運びをスムーズにしたほか、腰の上下動を最小限とする位置にシート高を設定し、繰り返しの乗り降りに対する身体への負担を軽減。シートバックのリクライニングはほぼ水平まで倒すことが可能で、休憩時の快適性にも配慮した。

 加えて、摩耗のきっかけを最小限にして繰り返しの乗り降りによるシートクッション生地の破れを防ぐため、クッション生地をサイドから下まで1枚の生地で張り込み、縫製ラインを解消するなどの工夫が凝らされている。

Lの運転席シート
トリコット素材
ジャージー素材
G以外のCVT車は運転席シートにアームレストが付く
運転席のシートバックはほぼ水平までリクライニング可能。大型ヘッドレストとシートバックのショルダー部がほぼフラットなため、ゆったりと快適に休憩できる
低床設計により乗降がスムーズに行なえるようになったほか、FF化により足下スペースに余裕ができ、ペダル類を着座位置に対して正面に近い場所にレイアウトできるようになった

【お詫びと訂正】記事初出時、価格表内の排気量など一部表記が間違っておりました。お詫びして訂正させていただきます。