深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第18回:e-bikeを積んで山へ行き、健脚になってきた!?
2020年4月3日 00:00
ちょうど1年前、同じような写真を撮った。それがこちら(深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう・第5回:ジョルカブ積んで檜原村へ行く)の記事。本田技研工業の「N-VAN」に同じくホンダの古い原付スクーター「ジョルカブ」を積んで、奥多摩に近い東京都檜原村へ原付ツーリングをしに行った時のものだ。
ジョルカブというバイクは非力だから走りは基本的にのんびりだけど、コイツはそこに気持ちのいいところがあるので、交通量の多い道を追い立てられながら走るのは苦手。それよりもクルマがほぼ走っていない山沿いの道をゆっくりペースで走りたい乗り物だ。
そこでN-VANだった。積載能力を生かしてジョルカブを郊外まで一気に運んで目的地で降ろし、走りたい道だけ走る。これはとても気持ちよかった。
そんなことから、N-VAN+ジョルカブの組み合わせはとても好きなのだが、今回はもっと気楽にツーリングを楽しめるアイテムを試させてもらったので、その乗り物を使ったN-VAN+2輪アソビの内容を紹介していきたい。
初めての体験。“e-bike”って乗って面白いの?
今回借りたのは、「BESV(ベスビー)」というブランドから販売されている「PSF1」という“e-bike”(電動アシスト自転車)。筆者はこの分野の知識がないのでBESVの名前は紹介されるまで知らなかったが、調べてみるとe-bikeの世界では高い人気を持つブランドだ。読者の方にはBESVをすでにご存じの方もいるだろうが、筆者と同じく初めて目にするという方もいると思うので、まずはBESVというブランドのことから触れていこう。
BESVはDARFON(ダーフォン)というキーボードやノートPC用のバッテリーの製造を行なっているメーカーのe-bike事業である。そして母体のDARFONは液晶モニターでおなじみのBenQ(ベンキュー)のグループ企業で、Apple製品のキーボードの製造も手がけているという会社。つまり、普段からPCを使用するわれわれと接点の多い企業でもあるのだ。
そんなBESVが作るe-bikeは、フレームをはじめアシストの制御プログラムやドライブユニット、そしてバッテリーがBESVのオリジナルとなっているのが特徴で、IT系企業が本気で作るe-bikeという点が世の中に受けている部分でもある。もちろん、製品の性能や品質も高い。
今回試乗させてもらったPSF1というモデルは、BESVのラインアップで主力モデルとなっている「PSシリーズ」の最新作で、特徴は折りたたみができるところだ。フレームはアルミ製で、形状は見てのとおり独特で洒落たもの。バッテリーは車体の中心に付くので重量バランス的にもよさそうだし、バイクのようなスイングアームもかっこいい。
このPSF1をはじめ、BESVのe-bikeはどれもデザインに特徴があるのだけど、それはBESVが自転車業界出身ではないからできたもので、なおかつ新しいブランドだけに、使用する素材や製法も以前のものにとらわれず、現代のものからスタートできたのも大きなポイントだ。素材、製法が進化した分、「自転車のフレームというとこれ」みたいな面を踏襲せずとも、安全性と個性が出せたということだ。
そのほかの特徴については、姉妹誌である家電 Watchのe-bikeページ「e-bike Watch」で、「PSF1」の解説記事を紹介しているのでそちらで見ていただきたい。
約10kmの上り坂にPSF1でチャレンジ!
さて、PSF1を受けとってN-VANで向かったのは、冒頭で紹介した記事と同じ東京都檜原村だ。あの時は村営駐車場にN-VANを停めさせてもらい、そこでジョルカブを降ろして檜原街道の終点付近にある重要文化財「小林家住宅総角沢モノレール駅」まで行ったので、今回も同じコースをe-bikeで走ってみよう。
出発の前日、村役場の観光課に連絡をして村営駐車場に駐めさせてもらう許可をいただく。そして当日の午前中に村営駐車場に到着してN-VANからPSF1を降ろしたら、まずはシートの高さを合わせてポジションの確認。次はe-bikeならではのアシストモードの選択を行なった。
PSF1にはアシストの程度別に1~3までアシストモードがあり、加えてペダルを踏む力に応じて1~3のアシストモードを自動で切り替えてくれるスマートモードも設定されているので、今回はこのスマートモードを選択した。
準備を終えて初めてPSF1のぺダルを踏んでみる。最初の一瞬だけ普通の自転車と同じ感覚だが、すぐにアシストが入ってスルスルと漕げるし、ペダル操作を止めると同時にアシストも切れるので、以前のe-bikeにあったような操作と制御のズレがなく、自然に乗れる感じだ。
駐車場内をクルクル走って様子を見た後、いよいよ目的地に向けて出発。ちなみに目的地に設定した「小林家住宅」へのモノレール乗り場までは約10kmの上り坂。日ごろはランニングなどのトレーニングどころかあまり歩かないクルマ中心の生活なので、脚力に自信は一切ない。そんな筆者が本当に10kmの上り坂を漕ぎ切れるのか不安はあったものの、とりあえず坂に挑んでみた。
すると、勾配の緩いところの感覚は平地と同じ、上り坂である感覚はほぼない。その後、坂がきつくなる区間では多少のつらさも出てくるが、ギヤを落とせば問題なし。このギヤ選択を駆使したところ、もっと急な勾配になっても立って漕ぐまでの状況にはならなかった。
そんな感じで、原付スクーターよりさらにスローペースで山道を走っていると、いつもよりいろいろな風景が見えてくる。横道に入ったり、止まってまわりを見ることもあったが、アシストのおかげで再スタート時が楽。走行中のアシストも頼もしいが、坂道での再スタートが楽という部分は普通の自転車にはない部分なので、その瞬間が「お~、e-bikeだ~」という感動を一番感じたところかもしれない。
そうこうしている間に、衰えている足ながら無事目的地に到着。約10kmの上りコースなので、アシストがあるとはいえ足にはそれなりの疲労感があるし、途中で勾配が急な区間では「ハアハア」と息が荒くなって体力的にキツイところもあったが、それらがすべて「ちょうどいい疲れ」なので、キツイという感想より達成感みたいなものが上まわって気分がいい。この感覚はジョルカブで来た時にはなかったものだし、運動不足が気になっていたので「これはいい」と思えるものだった。そんなことから、色々と積めるN-VANにまた1つ「積みたいモノ」が増えた感じだが、う~ん25万円。アシスト付きのおサイフが必要だなぁ。
紛失すると高いスマートキー
いつもスペアのスマートキーをカバンに入れているのだが、どこかで落としたらしく見当たらなくなった。そこで新しいスマートキーを購入するためにホンダカーズ東京中央 調布インター店に問い合わせてみると、なんとスマートキー本体と登録費用で3万円近くかかるとの答え。これはどうしたものかと考えていると、フロントの担当氏が1つの提案をしてくれた。
それはスマートキー本体に差し込んであるエマージェンシーキー(物理キー)は付けず、スマートキーのみを買うことだった。これだと価格はスマートキー本体と登録費用で約1万2000円。安くはないけどこれならなんとかなるということで、エマージェンシーキー抜きで注文。エマージェンシーキーのみでも後から買えるとのことなので、お金を貯めてから改めて注文をしよう。まぁとにかく、N-VANオーナーの方々、スマートキーはなくさないように気をつけましょう。