深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第17回:強風被害にリコールとなんか重なりました
2020年3月3日 00:00
2月もなんだかんだで1000km以上走ったので、走行距離はもう少しで3万kmになるのだけど、これまでにN-VANが受けたダメージというか傷の類は、納車早々にやられたドアパンチが1回、飛び石によるフロントウィンドウの傷が1回で、自分でやらかしたものはなかったのだけど、ついにやってしまった。
関東では2月22日に春一番が吹いたが、その日は取材で富士スピードウェイにいた。現地では午前中とくに風が強く、コースサイドでカメラを構えていると体ごと風にあおられて走ってくるクルマが撮れないことがあるくらいだった。
そんな中、場内をN-VANで移動しつつ撮影ポイントを変えていたのだが、ある所でクルマから出ようとしたときに事件は起こった。ドアを開けた瞬間にクルマの後方から突風が吹いたのだ。「あっ」と言うほどの時間もないくらいの速さで、風を受けたドアが勢いよく開き、最後に「パキ」と小さい音を立てた。「あ゛ぁ~」と思わず声が出た。風が強いのでドアがあおられることは想定できたのに、不用心に開けてしまったことを猛烈に後悔した。
そしてN-VANを降りてドアを閉めてみると……、よかったドアは閉まる。と思いきや、ドアとボディの隙間をよく見ると、何だか違和感を覚える。目を凝らしてよく見ると、ドアの上側後方が若干外に開いていた。しかも走ってみると、窓も閉めているのに走行音が前より聞こえてくる。どうやら勢いよく開いた時にドアヒンジあたりが少し曲がってしまったようだ。「ようだ」とか他人事みたいに書いているけど、現場ではテンション大幅ダウン。仕事はまだまだあったけど、もう帰ろうかなと思うくらいだった。
午後の早い時間に撮影が終わったので、サーキットを早々に離れてN-VANを購入したホンダカーズ東京中央の調布インター店に向かう。高速道路を走っている最中も音の進入を感じて、改めて「やっちゃった」という気持ちになる。
ホンダカーズに到着早々、サービスフロントの方が出てきてチェックしてくれた。そして「これくらいなら調整で何とかなるかもしれません」とうれしいことを言ってくれた。しかも、その場で調整してくれるということなので「ぜひ」とお願いした。
ちなみに筆者は車両保険に入っているので、保険を使って直す手段もあったが、今回の程度ならピラーやドアなどの交換までは不要なので、修理費は概算で10万円以下。保険を使った分の保険料割増しを考えると、車両保険を使うレベルではないそうだ。
工場内で改めてドアの状態をチェックするが、ここでメカニックさんが使用したのがA4のコピー用紙。2つ折りにしてドアに挟んでを閉める。そして紙が折れないように横にずらしていきながら、ドアと車体側のウェザーストリップのクリアランスをチェックしていた。その結果、やはりドアの上側が開いていると判明したが、程度は軽いとのことだった。
さて、状況が分かったところで、次は調整。ドアには明確な機能としての調整幅はないが、ストライカーの取り付け部に多少の遊びがあるので、それを利用して微調整が行なえる。また、ドア側にあるゴムストッパーもねじ込み具合を変えることで多少の調整が可能だ。
念のためのプラスα。風切り音防止テープも貼る
この作業のおかげで走行中の遮音性は以前と近くなった。でも、風を受ける向きによっては多少音が大きくなる気もするのだ。そこでプラスαの対策として用意したのが、エーモン工業の「風切り音防止テープ リアハッチ用」。これを貼ることで、ドアを閉めた際のボディとの圧着力をさらに高めてみることにした。
風切り音防止テープを貼るのはドア側で、ボディ側に付いているウェザーストリップと当たる部分に貼っていくのだ。ちなみにこの風切り音防止テープにはドア用とリアハッチ用の2種類があるのだが、ドア用はテープの高さが5mmなのに対し、リアハッチ用は4mmとなっていた。わずか1mmの違いとは言え、そのわずかな違いで密着性が大きく変わることを身をもって経験しているので、高さがありすぎるとドアが閉まりにくいなどのデメリットも出そうだ。そこで今回は4mmのリアハッチ用を購入した。
結果はバッチリ。N-VANなので車内が静かという表現は合わないけれど、気になっていた「別の音」はしなくなったので納得の効果だ。それだけに、すべてのドアに風切り音防止テープを貼ったらどうなるかも気になるところ。
そこで運手席のドアに使って余った分を助手席側にも貼ろうと思っていたのだが、運転席ドアに貼ったところで残ったのは約1.5m。元は約5.0mあったので全然足りない。助手席側にも貼るならもう1パック必要で、スライドドアやリアハッチまで貼るとなればそれぞれ1パックずつ必要になるだろう。そんなことから今回は運転席ドアのみにして、助手席側などは「また今度」にした。ただ、N-VANの遮音性に不満があるわけではない(N-BOXと比較すれば静かではないけど、軽貨物だからこんなものだろうという意味)ので、急いでやることはないだろう。
N-VAN初のリコール。さっそく受けてきました
さて、2月27日に発表されたN-VANと「N-BOX」のリコール(ホンダ、「N-BOX」「N-VAN」計18万5902台をリコール。後退灯が不灯となるおそれ)。内容はヒューズボックス内の後退灯制御リレーに不具合があって、場合によってはシフトセレクターをリバースに入れても後退灯(バックランプ)が点灯しない恐れがあるというものだ。なお、2月27日時点でリコール対象箇所が原因の事故は起きていないとのこと。早い時期に連絡が来た筆者はさっそく作業を受けてきたので、その模様を紹介しよう。
発表されたニュースリリースにある図解では、フロントグリルの裏側に交換する部品があるようにも見えるが、実際に変えるのは運転席足下にあるヒューズボックスなので、作業は車内で行なわれる。運転席のドアを開け、足下からインパネ下をのぞき込むとヒューズボックスは見えるけれど、ここは配線が集中しているのでヒューズボックス周辺は配線だらけ。いくつものカプラーが刺さっているので、それらをすべて抜かないと取り外しできない。また、ヒューズボックスを外す際はインパネまわりを多少バラすことになっているなど、意外と手間が掛かる作業となっている。それだけに、このリコール作業では「およそ1時間半」の作業待ち時間があると思っていていいだろう。
なお、2月28日にはN-BOXの一部車種(自然吸気エンジン搭載車)にトルクコンバーター交換のリコール(ホンダ、「N-BOX」「N-BOX カスタム」計4万4974台をリコール。対象車両のトルクコンバータを良品と交換)が出たが、販売店で聞くとこちらは1泊2日の作業になるそうだ。なので、ヒューズボックス交換とトルクコンバーター交換の両方のリコールに該当するN-BOXオーナーは、1泊2日の間にどちらも済ませてもらうのが正解。
N-VANオーナーをはじめ、対象車オーナーの皆さんはそれぞれ忙しいと思うが、定期点検に出すタイミングなどを利用しつつ、なるべく早く対応しておきたいところだ。