深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第16回:N-VANの初回車検費用を調べてみた
2020年1月31日 15:46
早いもので「N-VAN」が手元に来てから約1年半が経った。ということは、2020年の夏には初回の車検である。これまで何台ものクルマで車検を経験してきたが、軽貨物車の車検を通すのは初めて。そこで初回車検の費用がいくらになるかを聞くため、N-VANを購入したホンダカーズ東京中央 調布インター店に足を運んだ。この時に車検前の最終定期点検もやってもらったので、約1年半で走行2万6000kmを走った各部の状態も紹介していこう。
N-VANの初回車検はおよそ8万円
まずはN-VAN +STYLE FUNの初回車検の費用だが、これはいくつかのパターンがある。最も安く済ませられるのは、法定費用に保安確認検査料と24か月定期点検検査料を加えた6万9352円というもの。車検専門店の4ナンバー軽自動車の車検費用をインターネットで検索すると若干(数千円レベル)安いところもあるが、筆者の考えではクルマも人間と一緒で、状態をよく把握している「いつもの工場」の存在は大事だと思うし、「Honda SENSING」のような装備があるクルマでは、システムや装置に何かあった時にもやはりディーラーが頼りになる。そんなことから、ごく普通にディーラーに依頼する予定である。
ということで、改めて費用を見てみよう。まずは重量税だが、これは5000円とかなり安い。そして自賠責保険は2万5070円、印紙代が1100円だ。これに保安確認検査料の9350円と24か月定期点検の2万350円という内訳。ちなみに、受け取った提案書には「エンジンオイル交換」「ブレーキ整備」「ボディ下まわり洗浄」「下まわり防錆塗装」などが24か月点検の技術料とは別に記載されていたが、これらは不要だと思えばカットすることが可能だ。とはいえ、整備のタイミングによってはエンジンオイル交換は同時にやるだろうし、ブレーキフルードの交換は以前から車検時に必ずやっていたのでこれも省くことはないと思う。でも、下まわり洗浄はお願いしないと思うし、下まわりの防錆塗装はすでにやっているのでこれもない。あとはエアクリーナーやエアコンフィルターの交換を車検時にやるかどうかというところだ。
こうした作業をすべてやっても約8万円というのが筆者のN-VANの車検費用。とはいえ、これでも「高い」と感じて、少しでも安い手段を探すN-VAN乗りの方もいるだろう。そういったこともカーライフの楽しみの1つだと思うので、掲載した見積書は1つの目安として見ていただければと思う。
今回やってもらった点検は、新車購入時に加入した「点検パック まかせチャオ」によるもの。筆者は初回車検までに3回の点検が受けられる「3Tコース」に加入していた。
このコースは車検までに行なう3回の法定点検(N-VANの場合)をパックにしたもので、内容は国が定めた点検基準に則ったものになる。加えて点検ごとにエンジンオイルを交換する内容になっている(12か月点検時はオイルフィルターも交換)。
点検が大切なのはもちろんのこと、2年間でオイル交換を3回行なうという内容は年間走行距離が1万km以内の人にはちょうどいいものだろう。少し余裕を持ったオイル管理ができることはエンジンにとって理想である。
しかし、筆者の場合は取材であちこちに出かけるので走行距離が伸びることに加え、エンジン温度が高めになりやすい高速道路走行も多いということから、2年に3回というエンジンオイル交換では不足。そのため、4000km走行くらいで交換を行なうようにしている。点検パック以外の交換はもちろん実費となるのだが、0.66リッターエンジンは交換時に必要なオイル量が少なく、費用も安いので負担はあまり感じていない。
さて、定期点検だが、今回の点検で気になっていたのが消耗品の状態だ。車検まであと6か月なので、ここで消耗していたり汚れがひどいようなら車検時には確実に交換となる。すると費用もそれだけ上がるので、支払いの時に「あれ!?」とならないように現状を知っておきたかったのだ。気になる箇所の状態を撮影しておいたので、ここからは写真で紹介していこう。
ちまたでウワサの「鹿ソニック」を導入
山梨県の河口湖町にある「T.M.WORKS」というクルマ用電子機器メーカーが発売しているのが「鹿ソニック」というアイテム。最近はTVや新聞でも紹介されているように、鹿やイノシシなどの野生動物とクルマとの衝突事故(ロードキルと言うそうだ)が増えているので、それを予防するために開発されたものだ。
仕組みを簡単に説明すると鹿やイノシシが不快に感じる高周波音(20kHz~30kHz)をランダムに発生するもので、音の照射距離は山あいの一般道の制限速度(50km/hくらい)で走っている時にちょうどいい約50m~70mに設定してある。
「鹿やイノシシなんてクルマが近づけば逃げるのでは?」と思うところだが、そうではないことも多く、かといってホーンなどで威嚇すると逆に興奮させてしまうこともある。そこで嫌がる音を聞かせることで退いてもらうというわけだ。この鹿ソニックの詳細はT.M.WORKSのWebサイトで紹介されているので、内容を詳しく知りたい人はそちらを参照していただきたい。Webサイト内には鹿ソニックの音で鹿が走り去る動画もある。
この鹿ソニック、本来はクルマの車体前方に固定して使うものだが、効果を聞いた地域や鉄道会社、キャンプ場などの担当者からクルマ以外での使用について相談が来るようになり、実際に野生動物の進入経路(いわゆる獣道)に向けて鹿ソニックを設置したところ一定の効果があり、このような場面での使用も広がって来ているという。
そんな話を聞いてふと思ったのが、鹿ソニックのポータブル化だ。キャンプや車中泊をしていて「夜中にテントやクルマの近くに野生動物が来た」という経験がある人も多いと思うが、鹿ソニックがクルマから簡単に取り外せて別の電源でも動作するようになっていれば、キャンプ地でも動物除けに利用できるだろう。
就寝中のテントやクルマに野生動物が近寄ってきても接触がなければ人に危害を加えることはないだろうが、トイレなどで外に出た時に出会ってしまったり、同行した子供や女性が驚いて大きな声など出して刺激してしまうと、動物も急な行動を取ることが考えられる。鹿やイノシシといった大型の動物は少し引っかけられただけでも人がケガをする可能性も高いので、人間のワガママではあるが、やはり近くには来てほしくないものだ。
そこで鹿ソニックの出番だ。クルマから外してキャンプ地の状況に合う方角に設置できれば、野生動物を脅かすことなく接近の対策になるはず。
そんなことを考えて製造元のT.M.WORKSに相談したところ、9V乾電池を電源とするポータブル仕様を作ってくれた。鹿ソニック本体はクルマ用だが、電源として9V乾電池を使えるよう、市販の9V乾電池ケースと鹿ソニックを接続するカプラーを取り付けている。
本体と電池ケースを合わせてもコンパクトなので、キャンプ地での設置に加えて山歩きのシーンで携帯もできると思う。ただし、本来は12Vで動かすものを9Vで使うため、高周波が届く距離は短くなってしまう。ただ、クルマのように高速で移動するわけではないので、これでも問題ないと思っている。
ポータブル化は比較的あっさりと実現したが、問題は装置本体をどのようにしてクルマに取り付けるかということ。鹿ソニックは高周波音を出すことがポイントなので、装置の正面を塞いでしまうのはNG。車内に固定してガラス越しに、というわけにはいかないのだ。そうなると、取り付け場所はフロントの開口部になるのだが、脱着しやすい場所となるとナンバープレートの固定用ボルトを利用するのが手っ取り早い。
そこで現在、N-VANのナンバープレート横に合うステーを製作しているので、次回は装着について紹介しよう。また、ナンバープレート横に装着することが法規的にOKかどうかも併せて調査中。先日、軽自動車検査協会に行って口頭で相談したところ、OKになりそうな手応えがあったので、完成してから現物を見てもらい、もう1度確認しようと思っている。