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写真で見る ホンダ「N-VAN」

助手席ダイブダウンで長尺物の搭載も容易な軽バン

新型「N-VAN」

 本田技研工業は、7月13日に新型軽貨物自動車「N-VAN(エヌ バン)」を発売する。

 バリエーションは、装備がシンプルな「G・Honda SENSING」(以下G)と「L・Honda SENSING」(以下L)に加え、装備や外装を個人ユーザー向けに仕上げた「+STYLE FUN・Honda SENSING」(以下+STYLE FUN)と「+STYLE COOL・Honda SENSING」(以下+STYLE COOL)がある。

 ボディ形状はGとL、+STYLE FUNがハイルーフ仕様で、+STYLE COOLはロールーフ仕様だ。

 車両サイズは全長3395mm、全幅1475mmが全車共通。全高はハイルーフの2WD車が1945mm。ハイルーフの4WD車が1960mm。ロールーフの2WD車は1850mm。ロールーフの4WD車は1865mm。車重は2WD車が930kg~970kg。4WD車は980kg~1020kg。

 N-VANは全車が4ナンバー貨物車登録の設定。5ナンバー登録のN-BOXと比較した場合、軽自動車税の標準税率は乗用(自家用)の1万800円に対して貨物用(自家用)の5000円となる。価格は126万7920円~179万9280円。

N-VAN +STYLE FUN・Honda SENSING。ボディカラーは+STYLE FUN専用色の「プレミアムイエロー・パールII」
N-VAN +STYLE COOL・Honda SENSING。ボディカラーは+STYLE COOL専用色の「プレミアムベルベットブルー・パールII」。このグレードのみロールーフ仕様でリアゲート上にスポイラーが付く
スタンダードなグレードのN-VAN L・Honda SENSING。ボディカラーは「タフホワイトII」

 車体は、N-BOXで開発したFFプラットフォームをベースにサイドシル、リアフロア、それにリアサスペンションまわりなどを専用設計としたもので、室内はFF化によるフラットな床面とセンタータンクレイアウトによる低床化を実現している。

 さらに、軽バンでは定番になっているリアシートを折り畳むことで床をフラットにする機能に加え、助手席も「ダイブダウン機構」を採用して折り畳めるので、助手席とリアシートを倒すことで最大2635mmのスペース長(助手席側のみ。+STYLE COOLのUSBオーディオ装着車は2560mm)が作れる。

助手席にダイブダウン機構を採用したことで、スペース長2635mm(+STYLE COOLのUSBオーディオ装着車は2560mm)を実現した
スライドドアは左右にあり、開閉は手動。助手席側は軽バン初採用となる助手席側センターピラーレス(ドアインピラー構造)となっている。これにより助手席ドアも開けると1580mmの大きな開口部が生まれる
助手席側ドア。ほぼ直角まで開く
運転席側ドア。こちらもほぼ直角まで開くので乗り降りしやすい
助手席ドアトリムには、助手席を倒す際に取り外す助手席ヘッドレストをベルトで固定する作りも設けている
ダイブダウンしたあと、隙間に付属の「ブリッジボード」を置くことでフラットな床面になる
リアシートが起きていてもこれだけのカーゴスペースがある。リアシートは左右別々で折り畳むことが可能なので、荷物に合わせた室内レイアウトが可能
タイダウンベルトなどを引っかけるフックは全8カ所ある。この部分は助手席右足下
助手席左足下前。発煙筒の下
助手席の取り付け部左右
リアシート後方のカーゴルーム左右
カーゴルーム後端に2カ所
7月12日に発売となる「モンキー125」を積んでみた。FFベースなので荷室床面地上高は525mm(4WDは540mm)と低く、積み降ろしもしやすい。モンキー125の車体サイズは1710×755×1030mm(全長×全幅×全高)。N-VANハイルーフ車はテールゲート開口部高が1300mm、荷室高は1365mm。ロールーフ車は開口部が1200mm、荷室高が1260mm
荷室後方の壁面にはユーティリティナットを設定。数は左右で28カ所(+STYLE COOLは26カ所)。この面は垂直に立っているのでユーティリティナットを利用してのバーやボードの取り付けに適している
運転席側リアの内装には外した後席ヘッドレストを収納するスペースがある。その下にはジャッキが入るスペースがあり、蓋は定規として使えるよう40cmまでの目盛りが振ってある
助手席側の利便性が高いことに併せて、助手席側の天井には「LEDワークランプ」を設けている(GとLを除く)
そのほか、後席上、荷室上それぞれに「LEDルームランプ」が付く(GとLは電球式)

 シートに関しては、運転席のみに乗用車と同等サイズのシート骨格を使用。シートバックのサイドにはサポート性を向上させる張り出しがあるので腰部をしっかり保持でき、長時間座っていても疲れにくい作りとしている。

 シートバックはほぼ水平までリクライニングさせることができ、なおかつ大型のヘッドレストとシートバックのショルダー位置がほぼ一緒なので、リクライニングさせても身体の位置に無理がなくゆったりと過ごすことができる。

 これに対して、助手席はダイブダウン機能があるため、運転席に比べると座面サイズも小さくクッションも薄め。リクライニング機能はあるが前後のスライド機構はない。長距離の移動や身体が大きい人では不満が出るかもしれない。

1人乗りを基準としているので、運転席のシートは乗用車と同等。G以外のCVT車はシート左側にアームレストを装備。助手席はダイブダウンだけでなくシートバックが前倒れした状態で止めることもできるので、休憩時などにはテーブルとして使える
運転席シートの後方にはポケットを装備
運転席と助手席の間はウォークスルーだが、助手席側から運転席側の足下に荷物などが転がってこないよう、小物侵入防止板が標準装備される

 リアシートも折りたたみを前提としているので座り心地は二の次。大きさは軽バンとして標準的なサイズだが、腿の裏に当たる座面を前部に延長して座りやすさを高める工夫を施している。また、+STYLE FUNと+STYLE COOLには、バックレストの高さ不足対策として、背中の一部もカバーする大きめのヘッドレストが付いている。なお、リアシートには前後スライドやリクライニング機能はないので、助手席同様、長距離の移動は厳しそうだ。

リアシートは軽貨物自動車として標準的なサイズだが、座面の腿裏の部分を伸ばし、ヘッドレストを大型化するなど座りやすさを向上する作りを施す

 N-VANはドライバー1人で乗車することが多いという想定から、インパネ周辺はドライバーにとって使いやすい作りとなっている。メーターも情報が読み取りやすいシンプルな3眼メーターを採用し、センターは速度、左がタコメーター、右にはHonda SENSINGなどの情報を表示するマルチインフォメーションディスプレイを配置する。

N-VAN +STYLE FUNのインパネ。オプションの「ナビ連動スペシャルパッケージ」と「8インチプレミアムインターナビ」、ETC車載器を装備
メーターは3眼スタイル。センターに速度と燃料計、左はタコメーターとシフトポジション、時計。右がマルチインフォメーションディスプレイとなる
フルオートエアコンが全車標準装備。Gを除く全車に「PM2.5対応高性能集塵フィルター」も装備する
+STYLEの2モデルでは、オーディオを助手席側のトーボード内に配置していて本体は見えない「USBオーディオ」を採用。操作はステアリングスイッチで行ない、オーディオの情報はマルチインフォメーションディスプレイで確認
撮影車はメーカーオプションの8インチプレミアムインターナビを装備。+STYLE FUNと+STYLE COOLのUSBオーディオ車の場合、ここは小物入れとなる
運転席まわりのその他の装備

 運転支援機能に関して、N-VANは全車にHonda SENSINGを搭載(レス仕様をオプションで設定)。内容は全車共通の機能として衝突軽減ブレーキ(CMBS)、歩行者事故低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱抑制機能があり、CVT車には誤発進抑制機能、ACC(アダクティブ・クルーズ・コントロール)、LKAS(車線維持支援システム)、後方誤発進抑制機能が追加されている。

フロントウィンドウに単眼カメラ。バンパー右側にミリ波レーダーを装備。フロントウィンドウはGとLがUVカット。+STYLE FUNと+STYLE COOLはIRカット/UVカット機能付き。フロントの左右ドアウィンドウもGとLは高熱波吸収/UVカット。+STYLE FUNと+STYLE COOLはIRカット/スーパーUVカットとなっている

 搭載するエンジンはN-BOX用をベースに、低速域を多用する商用ユースを重視した最適化を行なった。バリエーションはアイドリングストップ付きの直列3気筒DOHC 0.66リッターの自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類。自然吸気エンジンは39kW(53PS)/6800rpm、最大トルクは64N・m(6.5kgf・m)/4800rpm。ターボエンジンは最高出力が47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクが104N・m(10.6kgf・m)/2600rpmとなっている。

「S07B」型エンジン。直列3気筒DOHC 0.66リッターの横置き。最高出力は39kW(53PS)/6800rpm、最大トルクは64N・m(6.5kgf・m)/4800rpm
ターボエンジンも型式は自然吸気エンジンと同じS07B型。最高出力が47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクが104N・m(10.6kgf・m)/2600rpm。自然吸気、ターボ共にアイドリングストップ付き

 トランスミッションは全車にCVTの設定があり、自然吸気エンジン搭載車にのみ6速MTが用意されている。CVTは静かでスムーズな走りと大幅な低燃費化のためにレシオレンジをワイドにしたN-VAN専用の設定となっていて、内部も金属ベルトをはじめ各所を強化。これにより最大積載量350kgを実現している(2名乗車時。+STYLE FUNの4WD車と+STYLE COOLの4WD車は最大積載量300kg)。

N-VAN専用にチューニングされたCVTを搭載
FF化したことでタイヤハウスが前方へ。それによって足下にはスペースができたので、ペダルレイアウトがより自然な位置になった。地味だが重要な部分だ。大型のフットレストも装備

 6速MTは「S660」のミッドシップ用6速MTをベースにFFおよび、4WDに対応したもの。6速化したことでギヤの設定がより広く取れるので、低速側は高い駆動力が得られるギヤ比とする一方、高速側の6速ギヤはエンジン回転数を抑える設定に。これにより、高速道路などではエンジンノイズを抑えた快適な巡航が可能になった。なお、6速MT車の最大積載量はCVT車と同じくFFが350kg、4WDが300kgとなる。

6速MTのシフトレバー。クラッチが付くのでCVT車のようなフットレストはないが、横に左足を置ける段差を設けている
パーキングブレーキは手動。位置はシフトレバー右横

 N-VANの4WDシステムは、通常走行時は前輪のみで駆動し、スリップを検知すると後輪にトルクを伝えるホンダ独自の4WDシステムを導入。4WD化にあたって装備されたリアデフは、普通乗用車の1.5リッタークラス用をベースに開発している。ビスカスカップリングのトルク容量をN-BOXの約1.5倍としたことで、タイヤがスリップしたときに後輪に駆動を伝える差回転トルク特性がN-BOXより高くなっている。また、トルクの立ち上がり特性も1.5リッター車に使っているときより早く立ち上がるようにしている。こういった作りにより、N-VANの4WD車は滑りやすい道での走破性や登坂能力が高くなっている。

+STYLE FUNはフルLEDヘッドライト(プロジェクター・オートレベリング/オートライトコントロール機能付き)
GとL、そして+STYLE COOLはマルチリフレクターハロゲンヘッドライト。マニュアルレベリングとなる。+STYLE COOLにはオートライトコントロール機能が付く
+STYLE FUNと+STYLE COOLはLEDフォグランプが標準装備
リアコンビネーションランプの点灯パターン。写真は+STYLE COOLでこのグレードのみレンズがクリア。ほかはレッド&クリア
全車、12インチスチールホイールを装着。タイヤサイズは145/80 R12 80/78N LT。これは+STYLE FUN専用ホイールキャップ
+STYLE COOLの専用ホイールキャップ。+STYLE FUNと形状は同じだが、塗り分けがないタイプになっている
GとLはホイールキャップなし。ハブ部には“H”マーク入りのセンターキャップが付く
ドアミラーは電動格納式。左側はサイドアンダーミラー付き。+STYLEシリーズとLはミラーカバーの上がボディ色。Gはブラック1色
GとLはインパネまわりの加飾もシンプルになる。エンジンスタートも+STYLEシリーズがプッシュボタンなのに対してキー式

 こちらは無限製パーツを装着した+STYLE COOL。無限では「Circuit Style」をコンセプトとして「俺のトランポ」「俺たちのモーターホーム」をキーワードとしたパーツを設定。

 撮影車は「フロントグリルガーニッシュ」「フロントアンダースポイラー」「リアバンパーガーニッシュ」を装着。アンダースポイラーにはオプション設定のエアロイルミネーションが付いている。

 ボディには無限ロゴと無限カラーを取り入れたサイドデカールと、無限のワークスナンバーである「16」を書いたゼッケン風のデカールステッカーも貼られる。共に左右セットで販売。

無限パーツ装着車
フロントアンダースポイラーのLEDはエアロのイルミネーション設定なので、ヘッドライトやフォグランプと同時点灯しても法規上、問題ない
マフラーはスポーツエキゾーストシステムを装着。シングル出しだが、テールは2重管構造の75φで存在感を出す
アルミホイールはN-VAN専用に開発した「MD5」で径は12インチ。切削+つや消しブラック塗装の「フラットブラックミラーフェイス」(左)と切削+シルバー塗装の「メタルシルバーミラーフェイス」(右)の2色を設定
使い勝手のいい折りたたみコンテナも発売。サイズは容量20.8リッターのSと、容量50.1リッターのMの2タイプがある