深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう

第21回:フロントガラスの飛び石修理

フロントガラスに飛び石が当たってしまった筆者のN-VAN

 いつ頃だったか覚えていないが、高速道路を走行中、前を走るクルマのタイヤが巻きあげた小石が「バチッ」とフロントガラスに当たった。前のクルマからの飛び石は過去にも何度かあったのだが、このときはガラスに石が当たる「バチッ」の音がいつもより大きかったので、パーキングエリアに入ってガラスを確認してみたところ、フロントガラスのセンターよりも少し運転席寄りにハッキリ分かる1mm程度の傷が付いていた。

 見た目は小さな傷(正確には欠け)なのだけど、走行中の振動などでヒビに発展することもあるので楽観はできない。しかも運転席寄りのガラス傷は程度はどうあれ「運転中の視界を妨げるもの」と判断されるので、傷ありの状態では車検には通らないことがほとんどのよう。そんなことから、このときはけっこうなショックだった。

飛び石傷。飛んできたのは1つだと思うけど、当たり方がわるかったのか2つの傷がついてしまった

 傷を受けたあと「直さなきゃ」と思いながらズルズルと対応を伸ばしてしまったが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言もひとまず終わって、N-VANに乗る機会も増えることから今回ようやく対応することにした。

 さて修理だが、ここで最初に確認すべきは傷の状態だ。飛び石傷がやっかいなのは、素人目では軽微か重度かの見分けがつきにくいというところで、パッと見は小さな傷であっても深さがあったりすればちょっとした衝撃でヒビに発展する可能性は高い。また、傷の位置によってはそもそもリペアでは対応できないこともあるので、飛び石傷がついてしまったときは何はともあれ、自動車販売店やガラス修理業者に状態を見てもらうことを勧める。

 ちなみに、筆者はホンダカーズのサービス担当者に傷の状況を説明しつつDIYでリペアができるか相談していたが、いただいた回答は「無理とは言わないけど、作業に慣れていないと傷を広げてしまったり、きれいに直らないことも多い」というものだった。

 そこで市販リペア剤の使用方法をネットで検索してみたところ、修理箇所の下地作りや樹脂を流し込む手順など、難易度が高そうと思うものが多い印象を受けた。まあ、練習すればやれないことはなさそうだったが、練習台になるガラスもないので今回は無理せずDIYで直すことはあきらめた。

 そんなことから、業者にてリペアするかガラス交換かの2択になったわけだが、ここで気になるのが費用について。そこで事前に調べてみると、リペアの場合は傷の程度にもよるがだいたい2万円~3万円が相場らしい。そしてガラス交換だけど、N-VANの純正フロントガラスは11万3080円(6月18日時点)とけっこういい値段であり、これに別途工賃が必要。さらにガラス交換時はフロントカメラも外すので、再装着後はエーミングというカメラの動作確認作業も必要になり、それらを合わせると約14万円くらいになるそうだ。

N-VANのようなボディ形状のクルマはフロントガラスが立ち気味なので、飛び石の衝撃を逃がしにくい。それだけに当たったときに傷つく確率が高いのだ
フロントガラスの交換のときはフロントカメラも外すことになる。再装着後に動作確認のためのエーミングが必要になり、この分の工賃もガラス交換費用に加算される

ガラス修理代は自動車保険の特約でカバーする

 フロントガラス交換や修理は自動車保険の中の車両保険で対応できるのだけど、保険を使ってしまうと次年度からの保険料が上がってしまうので、14万円くらいの修理で車両保険を使うのはもったいないものである。でも、14万円の出費は大きなものなので、簡単に用立てできるかといえばそんなことはないだろう。

 そこでホンダの新車にはフロントガラス損害に対応する特別補償がついた「Honda自動車保険あんしんプラン」という保険が用意されていた。内容は10万円までの修理、交換であれば自己負担金1000円で修理ができ、利用しても保険の料率には影響しないというものだ。筆者はこの保険に加入していたので、今回はこの制度を利用することにした。

「Honda自動車保険あんしんプラン」の特別補償はフロントガラス損害のほか、キーシリンダー損害(上限3万円)、ボディへの落書き損害(上限3万円)についても自己負担金1000円で対応できる。ただ、利用できるのは契約期間中にいずれか1回のみなので、使いどころが重要になる

「Honda自動車保険あんしんプラン」の特別補償を利用すると、リペアは修理費上限内なので払うのは1000円のみで済むが、ガラス交換をすると4~5万円は持ち出しになる。まあ、それでも全額支払うより負担は少ないのだけど、新型コロナウイルスの影響がまだ続く状況では先のことを考えて出費は抑えたい気持ちが強い。それに、傷がついた箇所は視界から外れたところなので、リペアの痕が残ったとしてもおそらく気にならないはず。そんなことから今回は1000円ポッキリのリペアでいくことにした。

 作業はいつものホンダカーズ東京中央 調布インター店で行なった。ガラスリペアや交換はホンダカーズのメカニックさんがやるのではなく、専門の業者さんが出張して行なうのだが、応対はサービスフロントの方がやってくれるので普段の整備のときと何も変わらない。

 今回は取材を兼ねていたので、作業中に業者さんにリペアについていくつか質問をしたのだが、その中で気になったのがフロントガラスの撥水処理について。これがやってあるウィンドウでは一度撥水コートを落とす必要があるとのことなので、施工している場合は作業前に申告する必要がある。そして、作業後も撥水効果がほしいときは再度コーティングをすることになる。

 なお、作業前には「リペアを行なうと作業跡が残る」ことなど注意事項の説明があると思うので、何か疑問や気になる点があればその時点で確認しておきたい。

ガラス修理は提携する専門業者さんが販売店まで出張して行なう。こちらはいつもの整備どおり時間に合わせて販売店にクルマを持っていくだけ
内側から鏡を当てて修復中の状態を確認しやすくしたあと、小型の電動ドリルで傷内部の汚れ取りと面のならしをする。その後、修復用のレジンを圧入していく
最後は紫外線をあててレジンを硬化させる。業者さんいわく、今回の傷は見た目は小さいが近くに2つ並んでいるのと深さもあるので、大きなヒビに発展しやすいものであったという。こう聞くと素人判断で作業しないでよかったとつくづく思う
修理後のガラス。このような跡は残るがヒビに発展する心配はなくなった。車検も問題ないとのこと
内側から見た修復箇所。目をこらさないと見えないくらいのものなので、運転中に気になることはなかった。なお、修復箇所に重なっている縦筋はガラスの汚れである
ガラス屋さんが使っていた脚立。ボディに当たっても傷がつきにくいようにパッドが巻いてあった。N-VANは背が高く洗車時に同様の脚立を使っているので、これはマネさせてもらおう

暑さ対策にエアコン添加剤を入れてみた

 スバル系のカスタマイズや、モータースポーツ用途のメンテナンスで定評のある「RST」というメンテナンスガレージが神奈川県大和市にある。筆者は他の取材で何度もこちらを訪れているが、以前、伺ったときに話題になったのがエアコン用の添加剤だ。

 RSTが扱っているのは、アメリカのオイルメーカーで日本では日本サン石油が扱っている「SUNOCO(スノコ)」製の「AC EFFECTER」という製品。日本ではSUNOCOと言えばエンジンオイルのイメージが強いが、SUNOCOが最も得意としていて世界的なシェアを持っているのが、エアコンや冷蔵庫のコンプレッサーに使われてる冷凍機オイルとのことだ。そんなメーカーがクルマ用エアコンコンプレッサーの潤滑性を上げ、フリクションロスを低減するために作ったのがAC EFFECTERなのだ。

 N-VANのような新しいクルマには最新のコンプレッサーが使われているだろうから、そもそも低フリクションなのかもしれない。しかし、それでもエアコンONとOFFでは燃費も若干違うし、エアコンOFF時の方が走りも軽い感じがするので、コンプレッサーの抵抗を減らすことは意義がありそうだ。

 そんなことから、筆者のN-VANにAC EFFECTERを入れてみた。施工後、まだ距離を走っていないので燃費に変化があったかは分からないが、エアコンの効きは上がっていて、施工前の設定温度では寒さを感じることもあった。今年の夏も暑くなるとのことなので、AC EFFECTERの効果に期待したい。

神奈川県大和市、厚木航空基地のそばにあるRST。チューニングも行なうが、あれこれパーツを変えるよりクルマの基本性能を高めるような工夫のクルマいじりを得意とするショップ。作業は完全予約制だ
これがSUNOCOのAC EFFECTER。SUNOCOの特許が入った製品でコンプレッサーの作動音も静かになる効果もあるとのこと
エアコン配管に注入。R134a-PAG専用で、RSTでは交換工賃を含めて3000円(税別)

 RSTはスバル車を得意とするショップであるが、1つだけN-VAN用のパーツをラインアップしていた。それがアースケーブルだ。なんでも常連さんの中にN-VANに乗っている方がいるそうで、その方の依頼で製作したものがベースになっているという。

 アースケーブルというアイテムはいろいろなところから発売されているが、RSTではアースを取るポイントの抵抗値や周波数を測定し、そのデータを参考にした配線の作り方をしているそうで、N-VAN用も測定したデータをもとに作っているとのことだ。

 そんなに面白いものなら付けてみようということで、AC EFFECTERの注入後にアースケーブルも装着した。ちなみに筆者のN-VANは、あらかじめエンジンからバッテリーマイナス側へアースを増設してあったので、今回はそれに加えてCVT本体、スロットルボディ、そしてバルクヘッド側のボディアースという3か所からバッテリーマイナス側へ線を引いた。

 こちらも付けてから距離を走っていないので効果を語る段階でもないが、インマニ、インテークホースとも樹脂性のため、静電気がたまりやすそうなスロットルボディや、電気で作動するものが多く使われるCVTにアースの追加は有効であると思う。なお、RST 角田氏によると、こうしたアースの追加ではなく、純正アース線を質のいいケーブルに変えるだけでも効果はあるとのことなので、エンジンルームの見え方を変えずにアースのグレードアップしたい方はこちらの方法を試してみてはどうだろう。

N-VAN用のアースケーブル。これはスロットルボディ、CVTケース、ボディアースの3か所からバッテリーマイナス側へ引くタイプ。価格は7000円(税別)
スロットルボディからアースを取る
CVT本体からもアースを取る。スロットルボディアースとの組み合わせは「86」「BRZ」や「レヴォーグ」などでも行なっていて、レスポンスアップなどの効果が体感できるとのこと
もう1本はバルクヘッド側のボディアースへ繋ぐ。念のためホンダカーズへアースケーブルを追加した車両のサービス対応について聞いてみたが、とくに問題はないとのことだった
アイドリングストップ機能付きのクルマのバッテリーには充電制御用の電流センサーがついているので、アースなど新たな配線をする場合はバッテリーのマイナス端子でなく、電流センサーより後に配線すること。純正アースも電流センサーより後に付いている
これはバッテリーとは逆側の純正アース。エンジンマウントからボディへ落としている。こうした純正配線のグレードアップも効果あるとのこと
さらにもう1個。マフラーアース+ボディアースも付けた。こちらは大恵産業製のマフラーアースキットがベースで、ケーブルや取り付けバンドをRSTで再セレクトしている。航空機と同じく放電索を使った空中放電式。価格は5300円(税別)
装着写真。写真の位置ではプロペラシャフト(筆者のN-VANは4WD)のガードに干渉したので位置を変えている。FF車ならこの位置でOK。効果は色々あるそうだが、ボディに帯電する静電気が減るので冬場の「バチッ」とくるのがなくなるとのこと

深田昌之