深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
最終回:2年越えのN-VANをちょっとだけイメチェン
2020年10月2日 09:25
N-VANに2年、3万km乗ってきてつくづく思うのが「シート(運転席)がいい」ということだ。
軽バンというとシートが簡素なイメージもあるが、N-VANのシートはそうでもない。配送などで丸1日クルマに乗る人に“運転しやすさ”と“疲れにくさ”を提供するため、運転席は普通乗用車と同等のフレームを採用することでオシリから腿の裏をしっかりカバーする広い座面としていた。さらにバックレストはサイドのサポートを大きなものにすることでカーブなどで身体が横にずれることを抑えるなど、軽バンのシートとは思えないほどの作り込みが施されている。筆者もN-VANで300~600kmくらいの長距離移動をちょくちょくやっているが、たしかに身体の疲れも出にくいしオシリが痛くなったということも記憶にないくらいだ。
こうした座り心地に加えて運転席左側には大きめのアームレストが付いているので、高速道路の走行ではこれを使用してリラックスした体勢で運転。ステアリングは右手のみで握ることになるがLKAS(車線維持支援システム)を使うと直進安定性がかなりよくなるので右手はステアリングを軽く握るだけでOK。ふらつくことも不安もない。これにACC(アダプティブクルーズコントロール)での80~100km/h巡航は軽バンとは思えないくらい運転が楽なのだ。N-VAN購入当初は「長距離の移動のために」とそれまで乗っていたシビックセダンも同時に所有していたけど、長距離走行を乗り比べたらなんとACCとLKASのあるN-VANのほうが楽に走れたのでシビックの出番は減り、けっきょく手放してしまったというくらいN-VANは長距離移動(長時間乗車)が得意なのだ。
さて、そんな感じのシートにとくに不満はないのだけど、2年も乗るとなにかイメージチェンジをしたい気持ちにもなってくる。そこで検討したのがシートカバーだった。
N-VAN用のシートカバーを探すと、ホンダ純正アクセサリーには3種類あるし、アフターパーツでもいろいろなタイプが発売されていたが、筆者のN-VANは道具箱っぽくラフな感じに仕上げたいので、どれもイメージとはちょっと違った。車用品と言うよりアウトドアグッズのようなものが欲しいのだ。とはいえそんなのはないよな……と思っていたらなんとイメージどおりのカバーを発見。それがオートバックスが展開する「ゴードン ミラー」ブランドの「ゴードン ミラー キャンバス シートカバー」という商品だ。
素材は厚手のキャンバス布とアウトドア感は満点で、表面には撥水効果のあるパラフィン加工が施してあるので飲み物をこぼしたり、濡れた服で乗り込んでもある程度の水分をはじいてくれる。それにパラフィン加工をしたキャンバス布は使用時の摩擦や折れなどにより布の表面に擦れたような痕(チョークマークと言うらしい)が付くので、使い込むほどに風合いが増すという特性もある。
装着に関してもシートにピッタリ合う用に作られている一般的なシートカバーとは違い、こちらは汎用でエプロンのようにシートに被せるだけというラフなもの。おそらくトヨタハイエースのシートを基準にしていると思われるが、軽バンながら大柄なN-VANのシートでも「ザックリ着る」ことができる。そんなルーズフィットな部分もまさに理想的だった。
キャンバス シートカバーは、ゴードン ミラー製品を扱うWeb通販サイト「JACK&MARIE」のみで販売しているが、現在は売り切れ。次回入荷は冬ごろとなっていた。ただ、これも発売されればすぐに売れてしまうと思うので、手に入れたい人はサイトに登録し、製品ページからお気に入り登録をして入荷時期を見逃さないようにしておくことを勧める。
なお、ゴードン ミラーにはキャンバス シートカバーのほかにアウトドア用のチェアやコットにも使われる丈夫なX-PACという素材を使用した「X-PACシートカバー」もある。こちらは別売りのモールシステムパーツを取り付けていくことで、シート背面にさまざまなものを装備できるようになる。アウトドアと言うよりサバイバルゲーム的なタクティカルなイメージだがこの手の雰囲気もN-VANには似合うのだ。
これからの季節に増えてくるロードキルへの対策品
鹿や猪など大型の野生動物が人の住むエリアに多く出没するというニュースを見ることが増えたが、山間部や郊外の道ではずっと以前から野生動物の道路への飛び出しによるクルマとの衝突事故(ロードキル)が発生している。
N-VANは趣味をサポートするクルマなので山深い道など走行する機会も多いと思うが、軽自動車では大型の野生動物と衝突した際に受けるダメージは普通車より大きいだろうし、野生動物の出没が増えているいまは余計に気をつけたいところ。
そこで紹介するのがT.M.ワークスというクルマの電気系パーツメーカーが発売している「鹿ソニック」というロードキル抑制装置。機能を簡単に紹介すると鹿や猪などが嫌う周波数帯の音を防水スピーカーからランダムに出すことで道路脇や道路上にいる野生動物を散らす効果を生むというもの。言うなれば電子鹿笛である。
この鹿ソニックは以前も紹介したが、そのときの製品はアンプとスピーカーが一体式になったタイプで、軽自動車のようにバンパーやグリルに奥行きがない場合はクルマの前面に取り付けしずらく、基本的にバンパーを外して内部に仕込むようになる。ちなみにN-VANなら純正ホーンを移設し、バンパーに開いているホーン用スリットから鹿ソニックの低周波が出るように取り付ける感じだ。ただ、バンパーを外すのはDIYでは難しく、作業を依頼しても工賃がそれなりに掛かるのが難点だった。
ところがこの夏から、スピーカー部とアンプ部が別体になったセパレート式の鹿ソニックを発売開始。スピーカー部の厚みが24mmと薄いのでバンパーの表面への取り付けも容易になったのが特徴。N-VANを始め軽自動車向きと言えるモデルなのだ。
気になる価格は2万8600円と安いものではないけれど、ロードキルは例年冬にも多発しているし、とくに今年は夏から野生動物の出没が増えているところから、郊外に出かけることの多いという人は装着しておきたいところである。
さて、2年以上続いたN-VAN連載ですが、車検の模様を紹介するなど、新型車を使った連載記事としてお伝えしたいこともほぼやり終えた感じでもあるので、今回で締めさせていただくことにします。
とはいえ連載が終わったからと言ってN-VANを手放すわけではなくこれからも仕事や遊びで乗っていくので、どこかで見かけたときはお声がけして下さい。
では、長い間、N-VAN連載記事にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。