深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう

第22回:N-VAN、初めての車検を受けてきた

 軽貨物の車検有効期限は2年なので、2020年はN-VANを早期に購入した人にとって初めての継続検査(以下、車検)が来る年である。そして筆者のN-VANも、2018年の発売早々に納車されているので8月半ばに車検満了日を迎える。

 いまどきだと業者に出さず、自ら軽自動車検査協会にクルマを持ち込むユーザー車検を行なう人も多いだろうし、整備工場やガソリンスタンドなどでも受け付けているので、車検を通すための選択肢は多いのだが、筆者は普段の整備もお願いしているホンダカーズに出すことにした。でも8月の半ばといえば世間的に夏休みで、記憶では納車の際も盆休みが影響していた気がするので、事実上、8月初旬がリミットと言える。ただ、車検は満了日のひと月前から受けられるので、少し早めの7月後半に検査の予約を入れておいた。

車検を取る手段はユーザー車検やガソリンスタンド、車検専門店などいくつかあるが、筆者はいつものホンダカーズ東京中央 調布インター店にお願いした
今回は点検と検査を2日に分けて行なったの、でN-VANは工場に一泊することに。そこで帰りの足として、今お借りしているネストのe-bike「X-VALLEY E6180」を積んでいった。梅雨が長引いていてまだできていないが次回はこのMTBタイプのe-bikeで山道に走りに行こうと思っている
大柄でハンドル幅が広いMTBでもN-VANなら普通に載せられる。いつものジョルカブに比べると積むのも降ろすのも楽で作業もすぐ終わる。e-bike、欲しいです

 N-VANの車検費用は以前も取り上げたことがあるけど、今回は本番ということで改めて紹介しておこう。

 まずは法定費用(諸費用とも呼ぶ)は重量税が5000円、自賠責保険が2万1140円、印紙代が1100円の合計2万7240円。法定費用は検査に入る前に現金で支払うことになっているので、検査当日、クルマを持ち込んだときに支払うのが一般的である。そして法定費用と一緒に用意しておくのが今年分の納税証明書、それに有効期限が残っている車検証と自賠責保険証も必要なので、忘れずにクルマに積んでおくこと。

 次に車検に出す際のクルマの状態だけど、不正改造はさておき、例えばフロントガラスの運転席側に飛び石傷があったり、バルブ類の球切れやLEDの劣化などがあっても車検では不備とされる。

 とはいえ、そういった部分は普段の点検でチェックできることなので、直前になって慌てることにはなりにくいのだが、ホンダカーズのサービスフロントの方によると、軽貨物車の車検時には独特の「うっかりミス」があるという。それが助手席ヘッドレストの付け忘れだ。

 保安基準には運転席と助手席のヘッドレストは必ず装着してあることが定めてあるけど、軽貨物車は助手席を前倒してテーブル的に使えるような機能が付いていることが多いし、N-VANでは助手席を完全に倒した車中泊仕様やトランポ仕様にしていることもある。そしてこの機能を使うときは構造的にヘッドレストを抜くのだけど、普段からそういう使い方をしていると、車検に出す際にヘッドレストを付け忘れてしまうというミスが起きるのだ。

 だけど前記したように助手席のヘッドレストがない状態では車検に通らない。販売店の工場なら取りに戻ってくるまで検査を待つことも可能だろうけど、ユーザー車検でやってしまうと予約時間に間に合わなくなって、1日を棒に振ることにもなりかねない。こういったうっかりミスを防ぐためにも、車検を受ける前はシートアレンジなど、変更できる部分を標準状態に戻しておくことをお勧めする。

 なお、2列目シートにも着脱できるヘッドレスト的なパーツがついているが、これは「リアピロー」と呼ぶ背もたれの延長パーツという扱いであって、ヘッドレストではない。そのため、「+STYLE」を含め、2列目シートはリアピローを外していたり、シートを倒した状態のままでも車検には問題がない。

運転席と助手席は、ヘッドレストが装着された状態でないと車検に通らない。日頃から助手席を前倒しにしたりダイブダウンさせている人でも、車検時は元に戻しておくこと
2列目シートにあるヘッドレストふうのパーツは「リアピロー」という背もたれの延長パーツなので、これは外した状態でも車検には関係ない
貨物車には耐荷重値の高いバン用タイヤが設定されているので、乗用車用タイヤではサイズが合っていても車検は通らない。履いている期間が短いスタッドレスタイヤではうっかり乗用車用を履いてしまうクルマもあるようなので、スタッドレスタイヤの時期に車検を迎える際はタイヤの種類に注意

 筆者のN-VANは2年で約3万3000kmと走行距離はそこそこ伸びているが、無料点検を含めて車検までの間に5回の点検を受けているし、短いサイクルでオイル交換も行なうなどサービス工場への入庫回数は多め。その甲斐あってか車検前の点検でとくに問題になる点はなかったし、消耗品であるブレーキの摩材もフロントパッドの残量が7mm(新品は約10mm厚)、リアシューは残量4mm(新品は約4.5mm厚)というまだまだ交換の必要がない状態だった。

 そんなわけで今回の点検で車検合格を目的にしたパーツ交換はなかったが、2年乗っていることからブレーキフルード、エアフィルター、エアコンフィルターの交換、それとブレーキキャリパーの分解清掃はお願いした。ほかにCVTフルードなど駆動系の油脂類の交換も考えたが、サービスフロントの方の説明ではこれらの交換は走行4万kmあたりが目安ということだったので、今回は見送った。

許可を得て工場内で撮影させてもらう。継続検査を行なう前に車体の状態をチェックする。今回は2日に分けて作業を行なったけど、1日でやることも可能だ
CVTフルード、トランスファーフルード、デフオイルの交換は4万km時点で行なうことにした
マフラーに測定器のセンサーを入れて排気中のCO、HCの濃度をチェック。COは4.5%以下、HCは1200ppm以下であることが条件
サイドスリップ、スピードメーターなどの検査中。4WDなのでリア用のローラーをセットして行なう
ヘッドライトの光軸検査。フォグランプを含む灯火類もすべて正常に点灯しなければならない

 さて、それでは気になる費用だけど、ホンダカーズでの24か月定期点検代は2万350円で、これに保安確認検査料金の9350円と継続手続き料の9350円がプラスされた3万9050円が基本の支払い額となる。この金額に最初に払った諸費用を足すと、N-VANの初回車検にかかる費用は6万6290円となる。

 ただ、筆者は今回の車検の際にホンダが設定する有料の定期点検パック(加入コースSS)に入ったので、今回からさっそく割引が効き、24か月点検代や検査料金などを含めた諸費用以外の総額が3万3220円と多少安くなった。これに諸費用を足すと6万460円で、そこに別途作業分の1万3282円も加えると合計金額は7万3742円。これが筆者のN-VANの支払い額である。

作業終了後は作業内容の解説を行なってくれる。定期点検パックの詳細はN-VANを購入した販売店、もしくはホンダのWebサイトにて確認して欲しい
交換したパーツは交換前の状態が解るようにデータを取ってくれるが、エアクリーンフィルター(エアコンフィルター)の汚れはけっこうひどい。ここが詰まってくるとファンの風量も落ちるので夏場はエアコンの効きにも影響する
ホンダカーズでは来店時に半年先の予約の整備予約も入れられる早期予約制度を行なっている。土日などは入庫の予約も取りにくいので、販売店に持っていける日が限られているならこの制度を活用したい

ご時世にあわせた装備を追加した

必要にかられて車内にゴミ箱を置くことにした

 新型コロナウイルス感染症の影響でマスクをするのが当たり前の状況だけど、いまの時期は汗もかくのでマスクは不快さを感じた時点で交換したい。そんなことから筆者は使い捨てできる紙マスクを使用しているが、クルマで移動しているときに困るのが外したマスクを捨てるところがないことで、仕方ないのでドアポケットなどに入れていたが、これはあまりいいものでもない。

 また、レジ袋ゴミを減らす目的で袋の有料化が始まったため、出先での昼食として買うことの多い、おむすび、惣菜、そしてドリンク程度の量で「袋いります」と言わないようにしているのだけど、その結果、車内で食べたあとのゴミの捨て場がなくなりこれもドアポケット行き……というように、筆者のN-VANではこれまでになかった“車内ゴミ問題”が発生していた。

レジ袋をゴミ入れにしていた。N-VANにはレジ袋を引っ掛けて使うためのフックがあり、ゴミ袋としてレジ袋をぶら下げるときに非常に便利ではあるが、時代の流れは速くこの考えも当たり前でなくなりそうだ
そして増えたのがマスクゴミ。主にこれを捨てるためのゴミ箱が必要と感じた

 そこで用意したのが車内用のゴミ箱だ。これまでこういったものは車内がごちゃつくような印象から置いたことがなかったのだが、いまはそうも言っていられない。だけどやっぱり「あとから置きました」感はできるだけ出したくないので、まずはどこに置くかを考えてみた。

 その結果、目立たず使いやすいところとして運転席と助手席の間にあるフロアガーニッシュ部しかないと言うことになったのだけど、ここには助手席の足下に置いたものが運転席足下に転がってくることを防ぐセパレーターが付いているのでゴミ箱を置くスペースがない。まあ、セパレーターは着脱式なので外してしまえばいいのだが、付いている意味があるものを外すと言うことは個人的に納得できないものがあった。

運転席と助手席の間にあるフロアガーニッシュ。ここには助手席足下に置いた荷物が運転席側に転がってくることを防ぐためのセパレーターが付いている
ヘッドレストと同じようにプッシュボタンを押すと引き抜ける作り。パイプを曲げたものに布のカバーがかかっている
セパレーターを外せばゴミ箱を置くスペースはできそうだが、容易に外せつつ走行時に動かないようにするのが面倒そう

 こういうときは付けたい場所を眺めて対策を練る。するといくつかの案が湧いたが、最初ということでとりあえず簡単な工作でスッキリまとまりそうな案をやってみることにした。それが写真で紹介しているように市販のゴミ箱にフックを追加してセパレーターに引っかけるというものだ。

 使用したゴミ箱はセイワ製の「おもり付きスリムダストボックス」というものでサイズはぴったり。また、表面の材質はN-VANの内装に使っている樹脂パーツに近い質感なので、あとから置いたとしても、見た目的に「浮く」ことがなさそうと言う部分も選んだ理由だ。

購入したゴミ箱。底に重りが付いているので中身が空のときでも安定感がある。また、ぶらさげたときにも重心が底部にあると走行時の振動などがあっても箱のビビりが起こりにくいはず
このように上側が分かれるので中の掃除もやりやすい。フタはシーソー式のほか、フラップ式に横にも開く作り
セパレーターにあわせてみた。ゴミ箱の長さが約22cm、高さも約22cm、厚みが約12cmと引っかけるにはちょうどいいサイズだった

 次に引っかけるための道具だが、これはホームセンターを歩き回って探した結果、壁掛け用のフックを購入。写真のとおりフック部に滑り止め用の黒いスポンジが巻いてあるため、セパレーターに引っかけたときにもフックが目立たないはず。

 このようなものを買い揃えてチョイチョイと工作した結果、あまり違和感なく、それでいて使いやすいようにゴミ箱が置けたと思っている。これなら簡単に作れるので筆者と同じように、N-VANの車内にゴミ箱を置きたいと考えている方は参考にしていただきたい。

用意したフックは写真のもの。フック部に黒いスポンジが巻いてあり、フックの曲線もちょうどいい感じに見えた
フックにはタッピングビスが付属しているが、長さがありすぎるのと付き出た側が尖っているのが気になった。そこでタッピングではない短いネジを一緒に購入。フックのねじ穴がテーパーなので形状は皿ネジだ
裏側、ナットで留めると長さはぴったりでゴミが引っかかったりしにくい。ネジのサイズはM4で長さは10mm
フックのねじ穴は2か所あるが、1か所だけでもしっかりとまったのでこれでヨシとする。見えるところでもないし
ところがフックを付ける位置を間違えた。ゴミ箱の底がガーニッシュに付いてしまってフックが浮いている。大失敗
フックの位置を変更。今度はいけるはず
バッチリの位置で付いたがフックの曲線がセパレーターの幅より広めなので、余裕があるぶんゴミ箱が若干傾いでしまっている
そこでゴミ箱のセパレーター側に厚手のスポンジを貼った。これでかしぐのを抑えるのだ
写真では分かりにくいかもしれないが、かしぐことを直したあとは比較的真っ直ぐになり、傾いた分、斜めに下がってガーニッシュに接触していたゴミ箱の底もちゃんと離れてくれた。ただ、上から見るとまだ少し傾いているので、自分的に気になるのが収まらないようならもうちょっと直すつもり
付いた状態。サイズ的にも質感も合っている。ゴミの投入口の位置もちょうどいいところに来てくれたし、スポンジ巻フックは目立たないだけでなく、布と摩擦も多いので引っかけてあるだけでも加減速時にゴミ箱が動くこともない
この場所だと助手席をダイブダウンしても干渉しない。ただ、フロアガーニッシュ部にあるフックを使うときだけはゴミ箱を外すようになる
付けてからゴミ問題は解決したのでまあ満足している
しかし、今後、ますますレジ袋をもらわないことが当たり前になり、マスク着用の日常も続くようなら、これから発売される新型車にはゴミ箱が標準装備になったりするのかもしれない!?

【お詫びと訂正】記事初出時、一部表記に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

深田昌之