深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第8回:「N-VAN」での車中泊&キャンプに向けて「カーサイドシェルター」を試してみた
2019年6月1日 08:00
N-VANといえば、仕事用でも趣味用でも、自分の使い方に合わせてカスタマイズしていける素材的なクルマだ。そのため純正品に限らずアフターパーツの用品などが豊富に発売されている。前回の記事で紹介したフロアボードもそういったアイテムの1つだ。
筆者も面白そうなものがないかとN-VANの用品を検索しているのが、その中でとくに気になっていたのが車体の側面に張る「サイドタープ」というもの。ご存じのようにN-VANは助手席ドアとスライドドアを開けるとピラーが残らない大きな開口部となる。この状態にサイドタープを組み合わせると、車中泊とテント泊を組み合わせたような便利で居心地のいい空間が作れそうで妙にワクワクするのだ。
そんなことからサイドタープをいろいろと検索していたところ、日本の老舗テントメーカーである「キャンパルジャパン」から「カーサイドシェルター」という新製品が発売されたことを知った。そして4月に東京都の代々木公園で開催された「アウトドアデイジャパン東京 2019」の会場で、展示されていたカーサイドシェルターの実物を見た。
展示では日産自動車の「NV350 キャラバン」と組み合わせていたが、N-VANよりもかなり大きなクルマなので、N-VANに対してのサイズ感がイマイチ掴めなかった。そこで現場にいたキャンパルジャパンの方に思い切って取材を申し込んでみたところ快諾していただき、さらにデモ用のカーサイドシェルターを試す機会をいただいた。
キャンパルジャパンという会社は1914年創業のアウトドアブランド「ogawa」の製品を販売している会社。ちなみに以前は社名が「小川キャンパル」だったが、2015年からキャンパルジャパンに変更している。アウトドアに詳しくない筆者でもogawaの名前は聞いたことがあるくらいなので、知っている人は多いのではないだろうか。
対応していただいたのは広報担当の大木秀樹氏と齋藤素子氏のお2人。まずはキャンパルジャパンが発売しているクルマ用のアイテムだが、これは3タイプある。1つは「カーサイドリビングDX」という大型のタープ。幕はフルクローズできる作りで、タープ下はアウトドアチェア4個とテーブル1つが置けるくらいのスペースを作れるという製品。かなり快適そうだが、N-VANには明らかに大きすぎるだろう。
次は「カーサイドタープAL」という製品。これはN-VANや「フリード」「ステップワゴン」といったクルマのサイズにピッタリなのだけど、「タープ」と名乗るだけに上側を覆うような作りで、下側と側面が大きく開いているのが特徴だ。
カーサイドタープALはサイズ的にはいいのだが、筆者の希望はカーサイドリビングDXのようにフルクローズできるタイプだったので、この製品の存在は知っていたが購入候補ではなかった。
そこに新製品として登場したのがカーサイドシェルター。これはカーサイドリビングDXの形状を小型化したようなもので、サイズ感的にはピッタリ。そして側面を閉めることができ、下側も地面まで幕があって風よけのフラップまで付いているので、機能面も理想どおりというものだった。
キャンパルジャパンでは社内でアイデアを持ち寄って検討したものを、今度は工場のスタッフと精査して製品化しているという。そのため、プランの立ち上げから仕上がりまでは1年ほどの期間を要するとのことだ。
使用する生地(フライ)も進化していて、カーサイドシェルターでは軽量で強度のある「ポリエステル75b」を使用。生地の合わせ目には防水処理のシーム加工が施される。生地自体にも防水コーティングが与えられているなど、新しい「加工」がドンドン施されているので快適度は向上しているという。
そして気になる寿命だが、屋外で定期的に使っていると加水分解によって防水性の低下や生地の痛みが出るので、メーカーでは3年~5年を寿命としている。ただ、その状態でも日よけ、風よけとしての機能はあるので、大切に使えば10年くらいはもつのではないだろうか。
また、どれだけの期間使えるかという点ももちろん大事だが、筆者としてはそれとは別に気になる点があった。それは強度について。
カーサイドシェルターの場合、1回張ったら撤収するまで張りっぱなしになるような製品なので、車中泊キャンプでは張った状態のまま就寝することになる。しかし、キャンプ場では夜になってから風が強まるようなケースもあるので、寝ている間に風が強くなってくると「壊れて飛んでいかないだろうか」と気になって寝られないこともある。それだけでなく、飛んだものがほかのクルマやテントに当たると大きな迷惑を掛けることになるので、それは絶対に避けたい。とはいえ、風が強くなるたびにシェルターを撤収するのも面倒。そんな理由から強度が気になったのだ。
そんなことを説明すると、大木氏が強度について解説をしてくれた。カーサイドシェルターのフライは何枚かの生地を縫い合わせているのだが、ここでポイントになるのがフライの張りだ。
シェルターの設営時には骨組みとなるポールを使ってフライを張るのだが、張った状態で生地に弛みがあると風を受けたときにそこが帆のような状態になってシェルターに掛かる風の力が増えてしまう。
そこでキャンパルジャパンでは裁断、製法にこだわり、張った状態で生地に弛みが出ないようにしている。こうすることで風の抵抗を軽減しているのだ。また、風を受けたときに引っ張られる縫い目の部分に独自の縫製技術を使い、十分な強度を持たせているという。ポールには強度と弾性のあるアルミ材を使用する。
ちなみに、テント類では縫製の工程を簡略化すると製造コストが下げられ、販売価格を抑えることもできるらしいが、ogawaブランドでは品質を優先しているということだ。
とにかく、強風対策も施されているということで、最も気になっていた点はクリア。これなら張りっぱなしで就寝しても安心できそうだ。
N-VANでのカーサイドシェルターの使い勝手をチェック
ということで、期待十分のカーサイドシェルターをお借りして実際に設営してみることにした。せっかくなのでデイキャンプ的な使い方を試してみたかったので、千葉県にあるオートキャンプ場までN-VANを走らせてみた。
撮影日は平日で夜から豪雨になる予報だったため、この日の利用者はなんと筆者のみという貸し切り状態。これなら設営でモタモタしていても誰にも見られないので、初めて使う製品でも気が楽である。
カーサイドシェルターは70cmほどの長さの袋に収められているので、まずは袋から出して地面に広げる。そのあとにポールを通していくのだが、使用するポールは同じ形状のものが2セットあるだけなので迷うことなく作業できた。そのほか、組み立てについては写真で紹介するが、初めての設営でしかも撮影しながらでも約30~40分ぐらいで作業完了できたので、2度目以降は半分ぐらいの時間で完成しそうだ。
もともと購入するつもりだったカーサイドシェルター。使ってみると絶対に欲しくなったので戻ってからキャンパルジャパンさんに購入したい旨を伝えると、なんと! かなり売れているようで、5月中旬の時点で注文しても入荷は8月になるという。
けっこう待つことになるが、よく考えれば真夏はキャンプに行かないと思うし、フルクローズできるカーサイドシェルターの本領発揮は風が冷たくなる秋以降だ。なので「8月入荷で問題なし」ということで順番を待たせてもらうことにした。カーサイドシェルターは1度の生産量があまり多くないようなので、この記事を読んで欲しくなった場合、早めに注文を入れておくのが正解だと思う。
簡易的にプラスアルファのスペースが作れる「テールゲートカーテン」
さて、カーサイドシェルターは確かににいいのだが、展開時のサイズが大きく、例えば駐車場を使うオフ会のような場所では使えない。そこでもう1つ紹介するのが、ホンダ純正アクセサリーである「テールゲートカーテン」だ。
こちらは開けたテールゲートに被せ、ゲート開口部の下に幕で覆った空間を作るもの。設営はテールゲートに被せ、両脇を付属の吸盤で固定するだけなので数分で完了する手軽さ。使用するスペースも全長にプラス1mほどなので、駐車場のような限られたスペースでも展開できるだろう。
内部に入ってみるとアウトドアチェアが1つ置けるくらいのスペースがあり、座るとフロアの高さがちょうどいいのでテーブル代わりになるという感じ。カーサイドシェルターほどの装備は不要だけど、出先で簡易的にプラスアルファのスペースを作りたいという場合にこのテールゲートカーテンは便利なはずだ。
では、テールゲートカーテンの細部を見ていこう。幕の下側は自然に垂らすものだが、風があるときは舞い上がるので、それを防ぐため水を入れたペットボトルをウェイトとして利用できる袋が両サイド下に2か所用意されている。なお、テールゲートに被せる部分はガラス面をすべて覆わない作りなので、フルクローズ状態でも幕の内部は想像以上に明るかった。
さらにカーテンの3面はすべて個別にロールアップできるので、明るさを含めて使い方に合わせてアレンジができる作りとなっている。
テールゲートカーテンは純正アクセサリーなので全国のホンダディーラーで購入できるし、こちらは欠品していないようなのですぐに手に入る。夏は日よけがほしいシーンも多いので、出かける機会が増える夏休み前に入手しておくのがいいかもしれない。