深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう

第8回:「N-VAN」での車中泊&キャンプに向けて「カーサイドシェルター」を試してみた

 N-VANといえば、仕事用でも趣味用でも、自分の使い方に合わせてカスタマイズしていける素材的なクルマだ。そのため純正品に限らずアフターパーツの用品などが豊富に発売されている。前回の記事で紹介したフロアボードもそういったアイテムの1つだ。

コンパネをフロア形状に合わせてカットしたフロアボード。職人さんが乗るクルマ用のアイテムを取り扱う「職車ドットコム」で販売開始。詳しくは職車ドットコムのWebサイトを参照してほしい
製品は未塗装だが、筆者は飛行甲板風に塗装してみた。とくに重い荷物は積まないという人でも、こんな風にデザインで遊ぶのも面白いだろう
車内の小物整理用に導入したのがシートバックに付ける「モールシステム対応のカバー」だ。モールシステムとはアメリカ軍が使用する個人装備で、小型のケースやポーチなどを引っかけられるように帯状の布を表面に付けているもの。そこに別売りのポーチなどを固定して小物の収納場所を作った

 筆者も面白そうなものがないかとN-VANの用品を検索しているのが、その中でとくに気になっていたのが車体の側面に張る「サイドタープ」というもの。ご存じのようにN-VANは助手席ドアとスライドドアを開けるとピラーが残らない大きな開口部となる。この状態にサイドタープを組み合わせると、車中泊とテント泊を組み合わせたような便利で居心地のいい空間が作れそうで妙にワクワクするのだ。

 そんなことからサイドタープをいろいろと検索していたところ、日本の老舗テントメーカーである「キャンパルジャパン」から「カーサイドシェルター」という新製品が発売されたことを知った。そして4月に東京都の代々木公園で開催された「アウトドアデイジャパン東京 2019」の会場で、展示されていたカーサイドシェルターの実物を見た。

 展示では日産自動車の「NV350 キャラバン」と組み合わせていたが、N-VANよりもかなり大きなクルマなので、N-VANに対してのサイズ感がイマイチ掴めなかった。そこで現場にいたキャンパルジャパンの方に思い切って取材を申し込んでみたところ快諾していただき、さらにデモ用のカーサイドシェルターを試す機会をいただいた。

キャンパルジャパン株式会社で広報を担当する大木秀樹氏
同じくキャンパルジャパン株式会社 広報の齋藤素子氏

 キャンパルジャパンという会社は1914年創業のアウトドアブランド「ogawa」の製品を販売している会社。ちなみに以前は社名が「小川キャンパル」だったが、2015年からキャンパルジャパンに変更している。アウトドアに詳しくない筆者でもogawaの名前は聞いたことがあるくらいなので、知っている人は多いのではないだろうか。

 対応していただいたのは広報担当の大木秀樹氏と齋藤素子氏のお2人。まずはキャンパルジャパンが発売しているクルマ用のアイテムだが、これは3タイプある。1つは「カーサイドリビングDX」という大型のタープ。幕はフルクローズできる作りで、タープ下はアウトドアチェア4個とテーブル1つが置けるくらいのスペースを作れるという製品。かなり快適そうだが、N-VANには明らかに大きすぎるだろう。

 次は「カーサイドタープAL」という製品。これはN-VANや「フリード」「ステップワゴン」といったクルマのサイズにピッタリなのだけど、「タープ」と名乗るだけに上側を覆うような作りで、下側と側面が大きく開いているのが特徴だ。

 カーサイドタープALはサイズ的にはいいのだが、筆者の希望はカーサイドリビングDXのようにフルクローズできるタイプだったので、この製品の存在は知っていたが購入候補ではなかった。

 そこに新製品として登場したのがカーサイドシェルター。これはカーサイドリビングDXの形状を小型化したようなもので、サイズ感的にはピッタリ。そして側面を閉めることができ、下側も地面まで幕があって風よけのフラップまで付いているので、機能面も理想どおりというものだった。

これはカーサイドリビングDXの製品イメージ。かなり大型で価格は4万9680円
こちらはカーサイドタープAL。価格は2万4840円。サイズ的にはN-VANにぴったりだが、クローズできないので筆者の希望に合わなかった
そしてこれが新製品のカーサイドシェルター。価格は3万6720円。カーサイドリビングDXを小型化したようなもので、機能、サイズ感とも希望に合うものだった

 キャンパルジャパンでは社内でアイデアを持ち寄って検討したものを、今度は工場のスタッフと精査して製品化しているという。そのため、プランの立ち上げから仕上がりまでは1年ほどの期間を要するとのことだ。

 使用する生地(フライ)も進化していて、カーサイドシェルターでは軽量で強度のある「ポリエステル75b」を使用。生地の合わせ目には防水処理のシーム加工が施される。生地自体にも防水コーティングが与えられているなど、新しい「加工」がドンドン施されているので快適度は向上しているという。

 そして気になる寿命だが、屋外で定期的に使っていると加水分解によって防水性の低下や生地の痛みが出るので、メーカーでは3年~5年を寿命としている。ただ、その状態でも日よけ、風よけとしての機能はあるので、大切に使えば10年くらいはもつのではないだろうか。

 また、どれだけの期間使えるかという点ももちろん大事だが、筆者としてはそれとは別に気になる点があった。それは強度について。

 カーサイドシェルターの場合、1回張ったら撤収するまで張りっぱなしになるような製品なので、車中泊キャンプでは張った状態のまま就寝することになる。しかし、キャンプ場では夜になってから風が強まるようなケースもあるので、寝ている間に風が強くなってくると「壊れて飛んでいかないだろうか」と気になって寝られないこともある。それだけでなく、飛んだものがほかのクルマやテントに当たると大きな迷惑を掛けることになるので、それは絶対に避けたい。とはいえ、風が強くなるたびにシェルターを撤収するのも面倒。そんな理由から強度が気になったのだ。

 そんなことを説明すると、大木氏が強度について解説をしてくれた。カーサイドシェルターのフライは何枚かの生地を縫い合わせているのだが、ここでポイントになるのがフライの張りだ。

 シェルターの設営時には骨組みとなるポールを使ってフライを張るのだが、張った状態で生地に弛みがあると風を受けたときにそこが帆のような状態になってシェルターに掛かる風の力が増えてしまう。

 そこでキャンパルジャパンでは裁断、製法にこだわり、張った状態で生地に弛みが出ないようにしている。こうすることで風の抵抗を軽減しているのだ。また、風を受けたときに引っ張られる縫い目の部分に独自の縫製技術を使い、十分な強度を持たせているという。ポールには強度と弾性のあるアルミ材を使用する。

 ちなみに、テント類では縫製の工程を簡略化すると製造コストが下げられ、販売価格を抑えることもできるらしいが、ogawaブランドでは品質を優先しているということだ。

 とにかく、強風対策も施されているということで、最も気になっていた点はクリア。これなら張りっぱなしで就寝しても安心できそうだ。

薄くて軽い生地に防水コーティングを設定。合わせ目にも防水用のシーム加工を施しているので防水性は高い
力が掛かる部分は厳重な縫い目になっている。縫製にも独自のノウハウがあるという
ロープを通すところは革で補強してあった
ogawaブランドでは米軍向けの軍幕テントを輸出していたこともあり、そのころから野外で快適に過ごせる製品作りに努めていて、レジャー用のカーサイドシェルターにもその考えが生きているということだ

N-VANでのカーサイドシェルターの使い勝手をチェック

 ということで、期待十分のカーサイドシェルターをお借りして実際に設営してみることにした。せっかくなのでデイキャンプ的な使い方を試してみたかったので、千葉県にあるオートキャンプ場までN-VANを走らせてみた。

 撮影日は平日で夜から豪雨になる予報だったため、この日の利用者はなんと筆者のみという貸し切り状態。これなら設営でモタモタしていても誰にも見られないので、初めて使う製品でも気が楽である。

訪れたのは千葉県君津市にある「かずさオートキャンプ場」。スタッフさんはみんな気持ちのいい人だった。社長さんにN-VANを見せたところかなり興味を持ってくれて、なんでもクルマに犬を数匹乗せて出かけることも多いという。N-VAN仲間が増える!?
東京から2時間足らずでの距離でデイキャンプも受け付けているので、ちょっと時間が空いた日にも利用できそう
キャンプ場のある久留里という地区は湧き水が豊富で、場内にも飲用可能な湧き水が出ている。市街地には湧水を使った酒作りを行なう酒造会社が数件ある

 カーサイドシェルターは70cmほどの長さの袋に収められているので、まずは袋から出して地面に広げる。そのあとにポールを通していくのだが、使用するポールは同じ形状のものが2セットあるだけなので迷うことなく作業できた。そのほか、組み立てについては写真で紹介するが、初めての設営でしかも撮影しながらでも約30~40分ぐらいで作業完了できたので、2度目以降は半分ぐらいの時間で完成しそうだ。

収納時のカーサイドシェルター(左)はかなりコンパクトなサイズ。横に置いているのはA4対応のバッグなのでサイズ感をつかむ参考にしてほしい
カーサイドシェルターの内容物。シェルター本体とポール、ペグ、ペグハンマー、砂などを入れるウェイト用袋、車体などに固定する時に使う吸盤、そして収納袋だ
袋から出して広げたところ。この時にそれなりのスペースを使うので、混んでいるオートキャンプ場ではシェルターを展開する方向をよく考えたほうがいいだろう
ポールは「6061アルミ合金」というグレードのアルミ製。しなりや強度面でテント用ポール向きの材質とのこと。内部を通るショックコードは使っているうちに伸びてくるが、補修用コードも販売しているので修理が可能
シェルターにポールを通す部分があるのでそこに差し込む。ポールは2本あり、左右共通だが上下はあるのでそこだけ注意が必要
上側は袋状になっている部分に差し込む
シェルターからベルトを介して出ている金属ピンにポールの下(地面)側を差し込んで固定
ピンを差し込んだ状態。しっかり張れるよう、差し込む際に多少強く引っ張ることが必要だが、女性でも十分に作業できるレベル
ポールを通すとほぼ完成。あとはシェルターとポールを片側3か所ずつフックで引っ掛けて張りを作る
フックは樹脂性。誤って踏んで割ったりしても補修部品があるので修理できる。生地の破れや切れも修理可能なので長く使える製品だ。N-VANは“残クレ”で買う人も多いと聞くが、新車のときにカーサイドシェルターを買っておけば契約終了時まで使えるだろう
シェルターの上側は車両のルーフに固定。そのための吸盤も付属している
N-VANには雨どいがあるので、雨どいに引っかけてネジで固定するガイドを別途購入しておいた。今回は吸盤ではなくこちらのガイドを使用
ガイドとシェルターはロープで縛るのがアウトドアクラスタでは常識だろうが、こちらはクルマ業界の人間なのでタイラップで固定してみた
カーサイドシェルターの設営完了。「N-VAN専用か?」と思うぐらいマッチしている。横幕はファスナーで開閉でき、閉めると完全クローズとなる。これは開いた状態で、さらにもう1段ワイドに開くことも可能
クルマに固定する面から横の端までは約2.5mなので、N-VANで設置する場合は車幅と合わせて4~5mほどのスペースが必要
後方側はクローズしておいた。当日は風が強かったので、シェルターの端は地面にペグダウンして舞い上がらないようにしている
シェルター底辺の長さはN-VANの全長とほぼ一緒。サイズピッタリだ
助手席ドアを開けてシェルター外側に。この状態だとシェルター内と車内がつながる感じになる
シェルター内はけっこう明るい。スペースも広く、ソロだと場所が余るほど
メッシュ窓はファスナーで開閉可能
雨どい用のガイドを使うとルーフとシェルターにこれだけのすき間ができる。ただし、ガイドで引っ張る点を増やせる構造なので、固定箇所を増やして隙間を減らすこともできる
フラップが付いており、シェルター下からの風の吹き込みをある程度軽減できる
撮影日は途中から強い風も吹いたが、ピンと張ったシェルターは膨らむこともなく風に耐える。また、ペグを打っていたのでより不安のない状態だった。雨のはじき具合も良好
設置と撮影が終わって休憩タイム。持ってきたのは好物の「マルシンハンバーグ」。お手軽にカセットコンロで焼く
パンもトーストする
ケチャップで味付けしたマルシンハンバーグとカットキャベツを挟んだだけだが、十分オイシイ

 もともと購入するつもりだったカーサイドシェルター。使ってみると絶対に欲しくなったので戻ってからキャンパルジャパンさんに購入したい旨を伝えると、なんと! かなり売れているようで、5月中旬の時点で注文しても入荷は8月になるという。

 けっこう待つことになるが、よく考えれば真夏はキャンプに行かないと思うし、フルクローズできるカーサイドシェルターの本領発揮は風が冷たくなる秋以降だ。なので「8月入荷で問題なし」ということで順番を待たせてもらうことにした。カーサイドシェルターは1度の生産量があまり多くないようなので、この記事を読んで欲しくなった場合、早めに注文を入れておくのが正解だと思う。

販売が好調なようで、5月中旬の段階で100件以上のバックオーダー状態。この時期に注文しても手に入るのは8月という。欲しいと思ったら早めに注文したほうがよさそうだ

簡易的にプラスアルファのスペースが作れる「テールゲートカーテン」

ホンダアクセス製の「テールゲートカーテン」。装着はテールゲートに被せて側面を吸盤で固定するだけという簡単なもの。価格は2万3760円

 さて、カーサイドシェルターは確かににいいのだが、展開時のサイズが大きく、例えば駐車場を使うオフ会のような場所では使えない。そこでもう1つ紹介するのが、ホンダ純正アクセサリーである「テールゲートカーテン」だ。

 こちらは開けたテールゲートに被せ、ゲート開口部の下に幕で覆った空間を作るもの。設営はテールゲートに被せ、両脇を付属の吸盤で固定するだけなので数分で完了する手軽さ。使用するスペースも全長にプラス1mほどなので、駐車場のような限られたスペースでも展開できるだろう。

 内部に入ってみるとアウトドアチェアが1つ置けるくらいのスペースがあり、座るとフロアの高さがちょうどいいのでテーブル代わりになるという感じ。カーサイドシェルターほどの装備は不要だけど、出先で簡易的にプラスアルファのスペースを作りたいという場合にこのテールゲートカーテンは便利なはずだ。

フルクローズ状態。海辺での着替えなどにも使える
スペースをあまり使わないので設営する場所を選ばない。カーサイドシェルターとは別に持っていてもいいかも

 では、テールゲートカーテンの細部を見ていこう。幕の下側は自然に垂らすものだが、風があるときは舞い上がるので、それを防ぐため水を入れたペットボトルをウェイトとして利用できる袋が両サイド下に2か所用意されている。なお、テールゲートに被せる部分はガラス面をすべて覆わない作りなので、フルクローズ状態でも幕の内部は想像以上に明るかった。

 さらにカーテンの3面はすべて個別にロールアップできるので、明るさを含めて使い方に合わせてアレンジができる作りとなっている。

 テールゲートカーテンは純正アクセサリーなので全国のホンダディーラーで購入できるし、こちらは欠品していないようなのですぐに手に入る。夏は日よけがほしいシーンも多いので、出かける機会が増える夏休み前に入手しておくのがいいかもしれない。

サイドの固定は吸盤なので簡単。ハトメ式なのでロープを掛けて引っ張ることも可能だろう
ペットボトルをウェイト代わりとして使うための袋が2か所に付いている
リア面をロールアップした状態
運転席側のサイドもロールアップした状態。開放感を損なわず日よけ的に使うときの形態だろうか
巻き上げてロールアップした後はベルトで抑えてボタンで留めるだけ
テールゲートの窓をすべて塞がないので、天窓状態で採光できる
ファスナーの引き手は表裏両面に付いており、外からでも中からでも開閉できる

深田昌之