深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第7回:バッチリ合法のオリジナルカスタムに着手!
2019年5月9日 04:00
自分のN-VANは納車時期から考えると本当の初期生産モデル。それだけにマイナートラブルの1つや2つあるのかなと思っていたのだけど、そんなことはまったくなくて、走行距離が1万kmを超えた時点でも「働くクルマ」としての信頼性の高さを見せてくれている。N-VANは安心して乗れるクルマと言えるだろう。
ただ、個人的に気になっていたのがエンジンオイルの粘度について。「0W-20」(Honda ULTRA LEO)が指定となっているけど、筆者は0Wオイルがどうも好きじゃない。そんなことで、走行距離が9000km台になった時点で行なったオイル交換で「5W-30」(Honda ULTRA LTD)のオイルに変更してみた。オイル交換はいつもどおりホンダカーズ東京中央 調布インター店でお願いしたので、入れたのは当然ホンダ純正オイル。粘度だけ変えたのだ。
その際、サービスフロントの方に「オイルの粘度を上げると燃費に影響が出ることもあります」というアドバイスはいただいたけど、今のところ燃費が落ちたようなことはない。まぁ、乗り方や状況によってはわるくなることもあるだろうが、もともと燃費にさほどこだわりがない筆者にはまるで問題がない。それよりも安心感が増したことのほうが大きい。
これだけでも十分なのだが、なんと0Wオイルを使っていた時より明らかにエンジントルクを感じるようになった。とくにアクセルの踏み込みではターボらしい伸びを感じるようになって、市街地でのキビキビ感がアップした印象だ。燃費より走りのフィーリングを重視したいというN-VANオーナーの方は、次回のオイル交換時に5W-30を試してみてはいかがだろうか。
なお、N-VANで使うエンジンオイルの推奨銘柄や粘度などの情報は、ホンダのWebサイト内に用意されているオンライン版のオーナーズマニュアルにある車両仕様一覧で確認できるので、参照していただきたい。
“黒てっちんホイール”のカッコよさを引き出す足下カスタムに挑戦
N-VANは12インチタイヤを装着している。いわゆる“軽トラサイズ”なので小さいと思う人もいるだろう。実際、N-VANの開発時もタイヤ径を上げることが議論されたようだけど、N-VANは軽貨物。仕事で使うクルマだから維持コストは低い方がいいということで12インチになったと聞いた。
つまり、12インチであることはN-VANらしさとも言えるので、筆者としてはインチアップをする考えは一切なかった。ただ、純正のホイールまわりは何か変化を付けたいと思っていたところに出たのが、ホンダアクセスが東京オートサロン 2019に出展した「TRIP VAN」だった。
このクルマの見どころはいろいろあるのだけど、筆者がとくに注目したのがホイールとタイヤだった。ホイールは純正のスチールホイールを黒で塗り直しただけの素っ気なさだが、塗装をあえて雑な感じにしたりホイールナットを黒にしてイメージをそろえたり、センターキャップに木製プレートを付けて「H」の文字を焼き印で入れたりと小技をいろいろ盛りこんできた。
そしてタイヤはTOYO TIREの「オープンカントリー RT」を履いてきた。このタイヤはオフロード性能とオンロード性能を両立させた「ラギットテレイン」というタイプ。見た目はオフロード用タイヤでかなりカッコよく、スチールホイールにもよく似合っていた。
筆者はTRIP VANのファンでもあるので「黒スチールホイール+オープンカントリー RT」のスタイルをそっくり真似させてもらうことにした。
ただ、すべて一緒では面白くないので、自分なりの何かを入れたい。とはいえ、純正スチールホイールを使用してタイヤサイズも変えずにカッコよく仕上げたTRIP VANのカスタマイズはかなりの上級技で、何か付け足すのは簡単なことではない。
そこで考えたのが、スチールホイール用のハブキャップをボディと同じ色で塗ること。黒1色の足下にワンポイントのアクセントを入れることだった。これなら使うのは純正パーツなので、TRIP VAN風カスタムの路線から外れないし、キャップのサイズは小さいので、色を付けても目立ち過ぎることはないはず。そんなわけでさっそく純正ハブキャップをホンダカーズで注文した。
ハブキャップぐらいの大きさならDIYでも塗れそうな気もするが、実際にやるとなればキャップ表面のメッキを紙やすりで擦って塗料が乗るような下地を作り、その後に塗装面の脱脂。それからやっと塗装とけっこうな手間である。それに、しっかり塗るには何度かに分けて塗装しなければいけないので塗料スプレーは2~3缶はいるだろうが、実は筆者のN-VANのボディ色(ガーデングリーン・メタリック)は市販スプレー塗料がまだなく、特注で作るしかないという状態なので、用意できてもひと缶あたりの価格は高い。
そんなことから今回はプロに塗装を依頼することにした。お願いしたのは東京都江戸川区にある「カーファクトリー上嶋」というボディショップで、ここは一般の板金塗装はもちろん、マニアックな旧車や輸入車の作業も得意としているところ。以前から他の取材でお付き合いがあったので、ハブキャップの塗装という手間が多い仕事を頼んでみたところ上嶋社長は「面白そうだからやりますよ」と快諾してくれた。
さて、それではホイールカバーを外しただけの状態と、ハブキャップを付けて塗装した状態を比べてみよう。純正ホイールキャップを外すのはN-VANで最も簡単なイメージチェンジでやっている人も多い。N-VANに黒いスチールホイール姿は似合うのだが、ハブナットが丸見えの状態は見栄えがよくない。また、サビなども気になる部分だ。
ボディ色に塗装したハブキャップを付けてみると+STYLE FUNっぽいカジュアルさが出たと思う。そして反対側(助手席側)には黒塗装のキャップを装着。こちらはグッと締まった感じになるが、「Hマーク」の部分にボディ色を入れているので黒が主体でも重くなりすぎない見え方になっている。
この記事を読んでいるN-VANオーナーやこれからN-VANに乗るという方で、このハブキャップ塗装が気に入ったという方はぜひ参考にしていただきたい。筆者のN-VANは「ガーデングリーン・メタリック」だが、これが「プレミアムイエロー・パールII」や「プレミアムホワイト・パールII」「プレミアムピンク・パール」ならもっと映える感じになるだろうし、「シャイニンググレー・メタリック」「クリスタルブラック・パール」「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」などのクールな色なら渋い感じで仕上がるだろう。塗った人が出てきたら、どこかで見せていただきたいものだ。
気になる値段だが、カーファクトリー上嶋さんではCar Watch読者なら「1つ5500円でいいですよ」と言ってくれた。自分でやる手間や缶スプレー代を考えるとこれは格安だ。
ただ、そんな値段だけにメインの仕事の合間に作業するので、納品までは1週間以上の期間を見てほしい。また、Hマーク周辺の色分けは塗料を流し込む手法なので境目が波打つこともあり、これも了承しておいていただきたい。
カーファクトリー上嶋さんのWebサイトにはメールアドレスも載っているが「メールだと返信を忘れちゃうこともある」とのことなので、問い合わせは電話(03-5607-0450)で担当の上嶋さんにお願いしたい。
足下カスタムの仕上げはタイヤ交換
続いてはタイヤ交換。前記したように選んだのはTOYO TIREのオープンカントリー RTで、サイズはN-VAN純正タイヤと同じ145/80R12 80/78Nなので車検も問題ない。値段はインターネットと実店舗で差はあるが、交換工賃を含めてどちらも3万円くらいで収まるのではないだろうか。筆者はいつも行っているガソリンスタンドでタイヤを購入して交換もしてもらった。
さて、オープンカントリー RTだが、このタイヤを選んだ一番の理由はルックスのよさだ。ただ、見てのとおりブロックパターンなので、ロードノイズが大きくなることは予想できた。この点は読者の方も気になるところだと思うので、オープンカントリー RTの印象はしばらく乗ってから改めて紹介したいと思う。
でも、まぁカッコいいことは間違いなく、黒いスチールホイールともよく似合う。どこに乗って行っても好評の組み合わせだ。
カーゴスペースの使い勝手向上と誰もやってないカスタマイズ
筆者のN-VANには原付きバイクを積載するのだが、原付と言えどもバイクを積むとなるとフロアやダイブダウンしたシートの背面が痛まないか多少気になっていた。
そこでフロアを保護できるものを探していたのだが、知人が経営するアースという建築工事会社でいいものを発見。
この会社では職人さんが愛用している「ハイエース」や「キャラバン」向けに職人さん目線で便利なアイテムを企画・製作している部署があるのだが、そこで根強い人気の商品がベニヤ材を使用した「フロアボード」だ。これはその名のとおり荷室に敷く板で、余計な装飾は一切なし。丈夫さや使いやすさを重視しつつ低価格に抑えているのが特徴。
N-VANも職人さんが乗っているクルマなので「作りますか?」と提案したところ、筆者のN-VANで型を取り、市販することに決定したのだ。
さてさて、筆者的にはかなり便利なフロアボードなのだが、ただ置くだけでは記事的にひねりがない。そこで思いついたのがカラーリングだ。
イメージしたのは海上自衛隊の護衛艦「いずも」の甲板。グレーの塗料でフロアボードを塗り、バイクが乗る部分に白線を引く。艦番号が入る位置にはナンバープレートの「14」を入れた。ちなみにアルファベットの14番目が「N」なので、14番とはN-VANというダジャレ的な意味で選んだ数字だ。そして開いたスペースにはヘリポートのHマークをもじったNマークを入れ、フックがある部分は黄色のペイントで目印を入れた。
仕上がりはご覧のとおり。バイクを載せるのがもったいないくらいだけど、使って傷がつくのもN-VANの用品らしいところなのでドンドン使っていこうと思う。“甲板ボード”の仕上げが気に入った人はいくらでも参考にしていただいて構わない。ただ、アースでこの塗装作業は受け付けていないので、やるならDIYでがんばってほしい。
フロアボードを塗るには木部用の水性塗料を使うが、塗装の面積が広いのでスプレー缶ではなく塗料缶で買うのが正解。塗るときは塗装ローラーという道具を使うが、ローラー部はスポンジなので塗ると塗装面に細かい凹凸が付く。これを「ローラー目」と言うそうで、職人さんの世界ではローラー目が出ないように塗るらしいが、表面が適度にざらつくのもいい雰囲気だったので“甲板ボード”ではローラー目を出した仕上げとした。
ということで、今回は一気に方向性を変えた記事にしてみたが、タイヤ、ホイール、フロアボードとすべて法規を守ったもので、ディーラーへの入庫や車検も問題ない。その一方でイメージはかなり変えることができたと思う。これならTRIP VANにもちょっと対抗できた……、かな。