深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第6回:いろんな原付バイクを積載してみた
2019年3月30日 00:00
大阪と東京で開催されたモーターサイクルショーには行きましたか? 筆者も興味があったのだが、ほかの仕事があって見に行けず。
そのモーターサイクルショーだが、来場者の平均年齢が40歳以上なんだとか。もちろん若い世代の来場者も多くいたようだけど、それ以上にオジさんパワー(筆者も同世代)が勝ったということか。
まあ、われわれの世代はガチなバイクブームで、バイクに乗っている人は多かったし、校則で免許が取れなかった人もバイク雑誌やバイクが登場するコミックなどを読んでバイクと接していた時代。そんな環境にいたら、今でもバイクに興味があるのは当たり前のことだと思う。
また、取材の仕事で若い世代のバイク乗りに話をうかがうこともあるけれど、彼らはオジさん世代が若いころにそうであったように、バイクから新鮮な刺激や面白さを感じていているし、加えて彼らの世代の価値感とルールでバイクを楽しんでいると感じる。
そう、バイクにしてもクルマにしても「自分たちの世代」という暗黙の了解というか、同世代間だけで通じる価値感のような……。とにかく共通した楽しみの方のイメージを持つことは大事で、それがあるといくつになっても「自分たちの楽しみ方」を見失わずにすむ。筆者も含め、オジさんたちにはきっとそれがあるので、いい歳して(?)も好みのバイクを見ると目がキラキラしてしまうのだと思っている。
さて、前置きが長くなってしかもバイクのことばかり書いてしまったが、本連載はバイクの記事ではなくてN-VANが主題デス。
オジさんの昔語りはもうちょっと続きます
前回、N-VANに「ジョルカブ」というスクーターを積んで山へ遊びに行ったことを記事にしたところ、面白がってくれた方が多かったよう。それに「軽自動車なのに無理なくバイクが積める」というN-VANの特徴を改めて知ってもらえたようで、まあ、紹介できてよかったと思っている。
ちなみに、N-VANにバイクを積んで思ったのが「サンダーバード2号みたいだな」ということ。ご存じない方もいると思うのでちょっと紹介すると、サンダーバードはイギリスで製作されたSFものの人形劇で、日本でも吹き替え版がTVで放送された。
サンダーバードは国家に縛られず出動する「国際救助隊」という私設のヒミツ組織で、世界各地で起こる事故や災害に出動して人々を救うというストーリー。国際救助隊にはレスキュー用のメカがいくつかあるのだが、そのなかにサンダーバード2号という輸送機があり、この機体は救助の内容ごとに適切な使用機材を現場へ運ぶ役割をしていた。筆者はこの2号が大好きで、子供のころはプラモデルを何個買ってもらったことか。
で、用途によって積み荷(コンテナ)を変えて出動していくサンダーバード2号と、あるときは撮影機材車、あるときは机とイスを出す簡易事務所、そしてバイクキャリアなど、使い方に合わせて積み荷を変えているN-VANがちょっとだけ被ったと言うこと。色もサンダーバード2号と同じの緑だし。
クルマの免許があれば乗れる原付一種。取得が容易な原付二種免許
とまあ、そんなことで本題に話を戻すが、前回の記事を読んで「自分もバイクを積んでみたい」と思ってくれた方もいるかと思う。しかし、「ジョルカブは楽勝で積める」と言っても、あれはバイクが小さめなので「現行のバイクは同様に入るのか?」という疑問が残る。そこで今回は本田技研工業に協力していただき、何台かのバイクを実際にN-VANに積んでみることにした。
積むバイクの選択にあたってはいろいろと考えてみたのだが、クルマとバイクを同時に所有することは家計的に負担もあるので、それを加味すると任意保険をクルマの保険に付いているファミリーバイク特約でカバーできる原付がよいと思う。それに、何より原付クラスならバイクも小さく軽いのでN-VANに積むには適している。それに原付一種のバイク(50cc以下)ならクルマの免許を持っていれば乗ることができるので、二輪免許がない人でもサンダーバード2号遊び(?)ができるのだ。
でも、最近は125cc以下の原付二種が人気になっていて、選べる車種もこちらのほうが多くなっている。また、原付二種は法定速度が60km/hとなり2段階右折も不要。それに2人乗りもOKになるなど魅力は多いのだ。
原付二種に乗るには小型二輪免許が必要だが、クルマの免許を持っていれば比較的短期間かつ費用もさほどかからずに取得できる。小型二輪免許についてはホンダの公式サイトで紹介しているので、参考にしていただきたい。
「いい感じ」に積める原付バイクはどれだ?
積み込みレポートの撮影は、東京 青山にあるHonda ウエルカムプラザ青山で行なった。N-VANで駐車場へ入ると、駐車場の受付の方に「広報車の返却ですか?」聞かれたので「いえ、これは自分のです」と答えて入場。
ホンダさんにお願いして用意してもらったバイクは7台あるが、積み込み時の状況を確認することが今回の目的なので、すべてを積むのではなく、サイズ的に異なる車種を選び積んでみることにした。
撮影のために用意していただいたのはこの7台だが、このうちグロムとモンキーはサイズがほぼ一緒なので積むのはモンキーで行なった。また、大柄なPCXを積むので、これが入ればカブ系もいけるという判断からクロスカブ50のみを積んでみた。ということで、計5台を積載した結果を紹介していこう。
サイズのわりに積むのがけっこう厳しいPCX
まず最初は積むのが一番大変そうなPCXから。寸法的には問題ないように思えるが、スクーターは車体の幅がある(バイクの全幅はハンドル間の長さ)ので、これがクセ者。N-VANに載せるときにカウルが運転席シートに当たることが予想されていた。
実際はどうだったかというと、まさにそのとおりで、ステアリングを真っすぐに積もうと思うと運転席のアームレストにカウルがガッツリ当たってしまう。そこで車体を左振りで斜めにしてみるとなんとか入った。でも、左のミラーやハンドルバーエンドが内装や窓に当たるので、ハンドルを左に切った状態でタイダウンを掛けるようになる。ただ、運転席のアームレストを外してしまえば積みやすくなりそうな感じだ。
フルサイズ125バイクでも、さほど無理なく積める
次に積んでみたのがCB125R。250ccと言われても違和感ないほどの車体サイズで、装備も豪華。このバイクこそ郊外で乗りたいので、N-VANに積んでみたらどんな感じなのかは筆者も興味があった。
CB125Rの全長は約2mとそこそこ長いが、N-VANは助手席をダイブダウンさせると約2.5mのものまで入るので縦の長さは心配ない。ここは本当にすごいと思う。
ただ、CB125Rは車体が大きいぶん、ハンドル幅があるのでハンドルを切って載せる感じになった。ただ、こちらもアームレストがフレームに当たるので右寄せができずにいたが、アームレストがなければハンドル真っすぐで積めるかも知れない。
N-VANに載せることに適していた大人気125cc
PCXとCB125Rという大物が載ったので、あとのモデルは余裕でしょう。次に選んだのはモンキー125。これも載せるのが楽しみだったバイクだ。
積み込みはこちらもホンダ広報の皆さんにお願いしたが、撮影後に自分でも取りまわしてみたところ、全高が低いぶん重心も低いので、重量が100kgあってもあまり重さを感じず取りまわししやすかった。ゆえに積み込みも楽そうという印象を受けた。
実際に積んでみると、N-VANとのサイズ感はぴったり。前出の車種でネックになっていた運転席のアームレストもモンキー125なら問題ない。ハンドル真っすぐで直立固定ができるので、なんか嬉しくなりついつい本気のタイダウンの張り方をしてしまった。このまま載せて帰っちゃダメですか? あぁそうですよね……。
ちょっと大きめでもクロスカブなら余裕
今度はクロスカブ50を積んでみた。このバイクも人気はあるし、50ccなのでクルマの免許さえ持っていれば乗ることができるのが魅力。車体も大きいので乗りやすく、大人の男性が乗っていても絵になるし、女性が乗るとかわいくてなおイイ。
また、4速ロータリーミッションなのでシフト操作も楽しめる。それにクロスカブは道具っぽいデザインなのでN-VANとのイメージが合うのもいい。
積載に関しては、クロスカブはレグシールドがなく車体を右に寄せて積めるので、ハンドルを真っすぐにしても左内装や窓にハンドルが当たらない。ただ、全高が高く、ミラーのステーも長めなので左のミラーは緩めて内側に向けたり、右も鏡面を回すなどが必要になる。でも、大した手間ではないし、ミラーをオフ車用のフレキシブルジョイントタイプに換えれば簡単に向きを変えられるので、そのちょっとの手間もなくなるだろう。
もっとも楽に載るが、サイドスタンドが欲しい
最後は原付一種スクーターのダンク。こちらはATバイクだし、今回の中ではもっとも軽量の81kg。価格も約21万円と純正カーナビと同等の予算で購入できる。N-VAN+原付のプランではもっとも現実的なバイクだ。ただ、このクラスのスクーターにはサイドスタンドが付いていないので、車載の際は一時的にバイクを支えるためのサイドスタンドは欲しい。
今回はサイドスタンドがなかったのでセンタースタンドで自立させて積載イメージとした。当然のことながら余裕で右リアシートも出すことができる。ただ、さすがに助手席を起こした状態では真っすぐに入らない。
N-VAN+原付バイクで休日の楽しみを増やそう
このような結果になったN-VAN+原付バイク。印象として一番よかったのがモンキー125との組み合わせだ。サイズ的にも無理ないし、125ccならどこへ行っても走りの面で不満はない。そしてMT車なのでバイクらしい楽しさも味わえる。
2番目はすごく悩むが、ここはダンクかもしれない。50ccバイクは都市部では制限速度と交通の流れとのミスマッチがあったり、2段階右折の場所も多かったり、いろいろと乗りにくいところがあるけれど、山や郊外までN-VANで運べばそこはクリア。走りやすい道では50ccスクーターならではの軽快感や便利さが生きてくるはず。すると、これまでバイクの趣味がなかった人にバイクの楽しさが分かってもらえるような気がする。価格面でも取りまわしの面でもハードルが低いのもポイントだ。
N-VANを新車で購入すると、オプションなどを付けて約200万円。そこに原付バイクを足すと総額約230万円となるが、これだけ工面すると遊びの幅はグッと広がる。まあ、けっして安い値段ではないので気軽に「どうですか」とは言わないが、「こんな遊び方をしたときのことをちょっと想像してください」とだけは言わせていただこう。