深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第14回:キャンプ、車中泊を楽しむN-VAN乗りに向けた“車載できる簡易トイレ”の話
2019年11月30日 08:00
N-VAN乗りにはキャンプや釣りなどのアウトドアレジャー、車中泊での旅などを楽しむ人も多いと思うけど、早朝から丸1日、もしくは数日間行動するとなればトイレがある環境は必要だ。
整備されたキャンプ場なら常設トイレもあるけど、トイレが利用しやすいサイトは人気が高く、にぎやかな環境になることも多い。そのため、騒がしい環境を避けたいと思ったらトイレから離れたサイトを選ぶことになるのだけど、そうなれば当然、トイレの利用時にそれなりの距離を歩かなければならないし、雨が降っていたり冬期の深夜や早朝だとトイレに行くのが面倒と感じることもある。
それにせっかくたどり着いたトイレがあまりきれいではなかった場合、男性だって嫌だと思うだろうし、子供や女性は使用をためらうこともあるだろう。また、アウトドアフィールドではそもそもトイレがないことだってあるはず。そんなことから今回取り上げるのは「車載できる簡易トイレ」である。
簡易トイレというキーワードで探してみると該当する商品は多く、それぞれに特徴があるのだけど、筆者は簡易トイレをN-VANの装備として車内に常備しておきたかったので、使い捨てではなく繰り返し使用できるタイプを探していた。また、衛生面から本体が洗えることも条件だった。
こうした点をクリアする簡易トイレを探して見つけたのが「サンコー」が発売する「ポータブルコーナートイレ」というもの。
簡易トイレというと災害時などの運びしやすさを考えた製品が多いが、この商品はそうではないようで、例として挙げられていたのが「エレベーター内への設置」。ポータブルトイレに付属のフタを被せることで、普段は椅子や手荷物置き場として使い、地震などでエレベーターが緊急停止した際には、出られなくなってしまった人用のトイレになるというもの。また、介護ベッドの脇に常備しておくような使い方も提案されていた。つまり、簡易トイレながら常設に近く、その分しっかりした作りになっているのが特徴だ。
また、簡易トイレを探しているうちに、手で持って使用するタイプから本体と便座が付いていて座って使うタイプまでいろいろ見つかった。
このうち座るタイプでは、軽量でコンパクトに収納でき、繰り返しの使用もできるダンボール系素材の製品などもあって価格も手ごろなのだが、ダンボール系ではポリプロピレン製ほどの耐久性はなく、メーカーに聞いてみるとやはり洗うことは無理で、表面の汚れを拭き取るぐらいしか対処できないとのことだった。
そうなればやはりポリプロピレン製のトイレとなるが、サンコーには筆者が購入したコーナートイレとは別に、四角い形状のポータブルトイレ(ポリプロピレン製で折りたたみ可能)もあった。四角いので一見すると大きそうに思えるが、コーナートイレと便座の縦サイズはほぼ同じなので使い勝手に大きな違いはなさそうだ。ちなみに、四角形状のサイズは31×32×32cm(縦×横×高さ)で、ポータブルコーナートイレのサイズは35×48×39cm(縦×横×高さ)なので、座ったときのサイズ感はほぼ同じだろう。
さて、そんな簡易トイレ。N-VANならリアのラゲッジスペースに置いて用を足すこともできるが、基本的には外に置くスタイル。筆者はキャンパルジャパンの「カーサイドシェルター」を持っているので、ポータブルコーナートイレはこの中で使えばいいと思っているし、ポップアップテントもあるので、そちらをトイレ部屋としてクルマの近くに設置しておく手もある。いずれにしろ設置場所には困らないと見ている。
なお、登山をする人がキャンプ地で携帯トイレを使う時には、トイレに座った状態でポンチョを被り、体を隠すということもするそうなので、仕切りや目隠しを出すまでもない、人目のないところならばそれを真似するのもいいだろう。
簡易トイレ使用時において重要なのは排せつ物の処理だ。付属している袋は単なるビニール袋なので、内容物が外に漏れなくても臭いはかなり出てしまう。ポータブルコーナートイレをはじめ、簡易トイレの多くには凝固剤が付属しているが、凝固剤は水分をゲル状のするものなので便には効果がないし、消臭効果があっても便の臭いまでは軽減できない。
そこで用意したのが防臭袋の「BOS(ボス)」という製品。介護の現場やペットの排せつ物処理では有名なアイテムで、排せつ物を入れた状態でも袋の入口をぎゅっと縛って閉じておけば臭いを感じさせないという防臭能力を持つ袋だ。
筆者の家には犬がいるので、散歩時にBOSの能力を試してみた。犬の便をBOSに入れてから袋の入口を閉じる。そして袋を顔に近づけてクンクン嗅いでみたところ……。まったく臭わない。そこで今度は袋に鼻をピッタリと付けて嗅いでも、それでも臭わなかった。効果はあると聞いていたが、これはびっくり。これなら車内に袋のまま置いても大丈夫そうだが、念のために樹脂ケースなどを用意してその中に入れておけば、袋破れなどの心配もなく自宅まで持ち帰って処理ができるだろう。ということで、筆者はポータブルコーナートイレと一緒にBOSも車載しておくことにした。
さて、ここまで準備をしているのだが、実はまだポータブルコーナートイレを使ったことはない。まあ、無理して使うものでもないので現状は使う機会がないだけなのだが、「クルマにトイレがある」ということは妙な安心感もあって、ここは明らかに今までと違う部分となっている。
また、今後はキャンプ場ではなくてどこか山の中での車中泊をしてみたいと思っているが、トイレ問題がクリアできた現在は実行への気持ちも強くなっている気がする。
やったことはただ「簡易トイレを積んだだけ」なのに、気持ちの上では大きな影響が出たと言える状況なので、この買い物は筆者的には正解だった。
さて、このままトイレネタだけで終わるのも微妙な感じがするので、アウトドアレジャーに便利な用品の話もさせていただこう。まずはフロアマットだが、筆者は納車時に純正アクセサリーの「フロアカーペットマット スタンダードタイプ」を同時に購入していた。
このマット、スタンダードタイプとはいえ質感などはまるで問題ないのだが、靴についてきた小石や砂が付くとマットの目に入り込んで取りにくくなり、マットから小石や砂がフロアカーペットにこぼれることもあって、その掃除が面倒だと感じることもあった。
そこで購入したのが、同じく純正アクセサリーの「オールシーズンマット」というもの。材質は樹脂なので、小石や砂を払い落としやすくなったし水濡れにも強い。また、縁高形状になっているのでマットに落ちたものがフロアカーペットにこぼれることもない。実際にオールシーズンマットを使い始めてからは、足下の掃除が格段に楽になった。汚れた靴でクルマに乗り込むことが多いアウトドアレジャーでN-VANを使う人にお薦めしたいアイテムだ。
最後にもうひとネタ紹介しよう。それは積載方法のバリエーションを増やすリアボード。以前、N-VAN用フロアボードを製作してくれたアースさんの試作品だ。
N-VANはフロアが低床な分、リアのタイヤハウスがラゲッジスペースに飛び出ているので、「ここを利用する棚板があると便利かも」ということから試作したものだ。使用したのは板厚18mmのコンパネで、タイヤハウス上部の形状に合わせてカットされており、載せるだけで装着完了。販売は未定とのことだが、気になる人はアース 職車事業部に問い合わせてほしい。
棚板のサイズは奥行きが58cmで幅が115cm。フロアボードから棚板までの高さは約20.5cmあるので、キャンプ用の椅子やテーブル、タープポールなどを下に置いても高さに余裕がある。そして棚板の上に他の用具を置いたりすればスペースが有効活用できるのだ。
ただし、棚板の上は未加工なので、そのまま荷物を置くと走行中の揺れなどで下に落ちてしまう場合もある。筆者はこの棚板を使う際には。カー用品店やホームセンターで売っているノンスリップマットを敷いている。N-VANのようにラゲッジスペースが広いクルマでは重宝するアイテムなので、1枚積んでおくといいと思う。